2021年11月26日 | 園芸・ガーデニング
冬野菜をプランターで栽培しよう!おいしく育てる方法を解説
「冬野菜」と呼ばれる野菜のなかには、プランターで簡単に栽培できるものがあることをご存じでしょうか。冬野菜の多くは寒さに強く育てやすいため、初心者の方も気軽に栽培できます。
今回は、冬野菜をプランターで栽培する際のポイントや、おすすめの冬野菜8種類の育て方などについてご紹介いたします。
冬野菜をプランターで栽培するポイント3つ
冬野菜をプランターで栽培するポイントは次の3点です。
① 日当たりと水やり
植物の生長には日光が欠かせないため、プランターは日当たりのよい場所に置きましょう。冬に日当たりが悪くなる場所では、プランターを移動して日照時間を確保してください。基本的にプランターは、土の表面が乾いたら午前中に水やりをします。冬の間は数日に1回くらいを目安にし、晴れが続くときは土の状態を見ながら回数を増やしましょう。
② 間引き(まびき)と土寄せ(つちよせ)
芽が密集していると日当たりや風通しが悪くなり、全体がヒョロヒョロとして健康に育ちません。発芽後は、弱った芽を抜いて元気な芽を残す「間引き」の作業をしましょう。また、間引きの後は株元に土を寄せる「土寄せ」も大切です。土寄せは、株のふらつきや雑草の繁殖・肥料の流出のほか、根菜類の着色や寒さによる被害を防ぐ効果があります。
③ 冬越しの方法
寒さに強いものが多い冬野菜ですが、霜の降りる日や雪の日、北風が強く当たる日は、プランターに不織布(ふしょくふ)などをかぶせて保温しましょう。土の上に腐葉土(ふようど)や敷きわらなどを敷くとよい品種もあります。雨や雪が続くときは、軒(のき)や庇(ひさし)がある場所などに移動して過湿を防いでください。
冬の家庭菜園については「冬におすすめの家庭菜園7選。気をつけたいポイントと合わせて解説」、敷きわらなどのマルチングについては「園芸におけるマルチングとは?効果や使用方法、注意点をわかりやすく解説」の記事を参考にしてください。
プランター栽培におすすめの冬野菜~小さいサイズ
それでは、プランターで栽培できる小さいサイズの冬野菜からご紹介いたします。
小カブ
- アブラナ科アブラナ属(ブラシカ属)
- 一年草または二年草
国内では7世紀ごろから栽培されている野菜で、直径5~6cmの品種を「小カブ」として分類します。育てやすく、タネをまいてから30~40日くらいで収穫できる点がメリットです。根だけでなく葉にも栄養があるため、さまざまな料理に利用しましょう。
【育て方】
タネを一晩水に浸けてからまくと、発芽率が上がります。一般的なプランターを用意し、土に深さ1cmくらいの溝を1本作り、タネを1cmくらいの間隔でまきます。軽く土をかけて、静かに水を与えてください。双葉が出たら3cmくらいの間隔で間引き、株元に土寄せします。
本葉が2~3枚のころに6cmくらい、本葉が4~5枚のころに12cmくらいの間隔に間引き、同様に土寄せします。2・3回目の間引きの後に肥料を与えてもよいでしょう。根の直径が5cmくらいになったら、収穫してください。
ミニダイコン
- アブラナ科ダイコン属
- 一年草または二年草
根の長さが20~30cmくらいのものを指し、白いものだけでなく皮が赤や紫のものなどがあります。ミニダイコンも、根だけでなく葉も食べられます。ダイコンは10世紀よりも前に日本に伝わったとされ、多くの品種が作られました。
「ラディッシュ」と呼ばれるハツカダイコンも、ダイコンの仲間です。ハツカダイコンについては、「ハツカダイコン(ラディッシュ)の育て方!プランターや牛乳パックでの栽培方法は?」の記事をご覧ください。
【育て方】
深さ30cm以上のプランターを用意しましょう。土に直径3~4cm、深さ1.5cmくらいの穴を、20~25cmくらいの間隔で掘ります。3~4粒ずつタネをまき、軽く土をかぶせてから静かに水を与えてください。
本葉が4枚くらいまで育ったら、元気な1本を残して間引きます。発芽して3週間後に2本、4週間後に1本を残す方法もあります。間引きの後は肥料を与え、株元に土寄せしましょう。タネまきから40~50日が過ぎ、外側の葉が垂れて根の直径が6~7センチくらいになったら収穫します。
ミニハクサイ
- アブラナ科アブラナ属
- 一年草・二年草
丈が20cmくらいの小型のタイプで、タネまきから50~60日で収穫できます。サイズが小さいので、新鮮なうちに1株を食べ切れる点がメリットです。ハクサイは低カロリーでカリウムを多く含み、加熱すればたくさんの量を食べられます。
【育て方】
深さ30cmくらいのプランターを用意してください。土に直径3~4cm、深さ1cmくらいの穴を、20~30cmくらいの間隔で掘ります。4~5粒ずつタネをまき、軽く土をかぶせてから静かに水を与えましょう。
品種に合わせて3回の間引きをおこない、最終的に1本を残します。2回目の間引きの後と、結球がはじまったころに肥料を与えて葉を増やします。ミニハクサイは、品種ごとの適期に合わせて収穫してください。
プランター栽培におすすめの冬野菜~葉もの野菜
続いて、プランターで栽培できる冬の葉もの野菜をご紹介いたします。
リーフレタス
- キク科アキノノゲシ属
- 一年草・二年草
結球している一般的なレタスと結球しないリーフレタス、上に伸びる半結球のものや茎が伸びて葉だけを収穫する茎レタスなど、さまざまな種類が挙げられます。リーフレタスにはサニーレタスやグリーンリーフなどがあり、タネまきから60日くらいで収穫できます。
【育て方】
浅めで小さいタイプのプランターでも栽培できます。土に深さ1cmくらいの穴を20~30cmくらいの間隔で掘り、タネを4~5粒まきます。リーフレタスは発芽に光を必要とする好光性種子(こうこうせいしゅし)なので、ごく少量の土をかぶせて静かに水を与えましょう。
双葉が出たら3本に、本葉が2~3枚のときに2本に、本葉が4~5枚のころに1本に間引きます。2・3回目の間引きの後に肥料を与え、土寄せしてください。葉が10枚くらいまで育ったら、収穫できます。植え替える場合はトレイに1cmくらいの間隔でタネをまき、本葉が1~2枚のころに園芸用のポットに移して4~5枚まで育ったら植えつけます。
コマツナ
- アブラナ科アブラナ属
- 一年草または二年草
短期間で収穫でき、育てやすい冬野菜のひとつです。栄養価が高く、β-カロテンやビタミンC、カリウムやカルシウムなどを含みます。東京都江戸川区の小松川周辺で徳川吉宗が鷹(たか)狩りをした際、出された汁物に入っていた菜を命名したとされます。
【育て方】
一般的なプランターを用意し、土に深さ1cmくらいの溝を15cmくらいの間隔で2本作ります。1cmくらいの間隔でタネをまき、土をかぶせて静かに水を与えましょう。双葉が出たら3cmくらいの間隔になるように間引き、土寄せして1週間後に肥料を与えます。
本葉が3~4枚になったら5~6cmくらいの間隔に間引き、土寄せして肥料を与えてください。秋以降はタネまきから60日くらいが過ぎて、高さが20~25cmくらいになったら収穫します。根が絡んで抜けないときは、葉を刃物で切り取って収穫しましょう。
シュンギク
- キク科キク属
- 一年草または二年草
香りがよく、β-カロテンやカルシウム、鉄分などを含む冬野菜です。タネまきから40~50日くらいで収穫でき、鍋(なべ)物だけでなくおひたしやサラダなどにも使えます。食用にするのは日本や中国などのアジア諸国で、ヨーロッパでは主に観賞用として栽培します。
【育て方】
一般的なプランターを用意し、土に深さ1cmくらいの溝を15cmくらいの間隔で2本作ります。タネは「ばらまき」の方法でパラパラとまきますが、発芽率が低いため重なっても構いません。春菊も好光性種子なので、少量の土をかぶせて静かに水を与えましょう。双葉が出たら2~3cmくらいの間隔に間引き、肥料を与えて土寄せします。
本葉が3~4枚になったら、5~6cmくらいの間隔に間引きます。株が抜けないときは、葉をハサミで切り取ってください。間引きの後は、肥料を与えて土寄せしましょう。霜が降りる日は、プランターを不織布などでおおいます。高さが20~30cmくらいのころに下から3~4枚の葉を残して収穫すれば、新しい芽が伸びて再び収穫できます。
プランター栽培におすすめの冬野菜~春に収穫
秋に植えて冬を越し、春に収穫する野菜もあります。
タマネギ
- ヒガンバナ科(ユリ科)ネギ属
- 多年草
一般的には秋に苗を植えつけ、半年ほどで収穫します。特有のにおいをもつ「アリシン(硫化アリル)」と呼ばれる成分には、疲労回復や血栓予防などの効果が期待できます。海外では紀元前から栽培され、国内には江戸時代に伝わり明治時代から栽培がはじまりました。
【育て方】
深さ30cmくらいのプランターを用意し、土に深さ3cmくらいの穴を12~15cmの間隔で2列作ります。細く伸びた根を数cm残して切り、先端を15分くらい水に浸けます。白い部分が見えるように穴に植えつけ、水を与えましょう。
植えつけから2週間後と2月・3月の上旬に、それぞれ追加の肥料を与えて土寄せします。霜が降りる日は不織布などで保温し、春につぼみのついた茎が伸びたときは、根元から5cmくらい上を切り取りましょう。5月以降に、葉が8割くらい倒れてきたら収穫します。
スナップエンドウ
- マメ科エンドウ属
- 一年草または二年草
β-カロテンやビタミンC、カリウムなどを豊富に含みます。若い芽を「豆苗(とうみょう)」、若いさやを「絹さや」、熟したさやを「スナップエンドウ」、熟した豆を「グリーンピース」として収穫できます。国内には9世紀ごろに伝わり、明治時代から栽培がはじまりました。
【育て方】
深さ30cmくらいのプランターを用意し、深さ3cmくらいの穴を15cm以上の間隔を空けて掘ります。3~4粒のタネをまき、土をかぶせて水を与えてください。本葉が3枚くらいのころに元気な2本を残して間引きます。
植えつけ後は鳥よけのネットをかぶせ、プランターの内側に支柱を立ててつるを誘引します。生育の状況によっては、追加の肥料を与えることもあります。冬の間は、株元に敷きわらなどを敷いて保温してください。スナップエンドウとして収穫するときは、初夏に開花してから20日くらいが適期です。
豆苗については、「【栄養たっぷり!】豆苗(とうみょう)の栽培方法やレシピをご紹介」の記事で詳しくご紹介しています。
プランター栽培に向かない野菜
ベランダなどで簡単に取り組めるプランター栽培は、とても魅力的です。しかし種によっては向かないものもあり、冬野菜のなかでは一般的なダイコンや白い部分が長いネギ、ゴボウなど根が深く育つものはプランター栽培に適しません。これらの野菜は、畑にスペースを用意して栽培しましょう。
プランターで育てる冬野菜のお手入れには
プランターで冬野菜を栽培するときは、フマキラーの「カダン アミノパワー (野菜用)」をおすすめします。14種類の天然アミノ酸を配合した、植物用のサプリメント。葉にスプレーすると成分がすばやく吸収され、植物が元気になっておいしい実をつけます。
冬野菜をプランターで栽培しよう
今回は、冬野菜をプランターで栽培する際のポイントや、おすすめの冬野菜の育て方などについてご紹介いたしました。冬野菜は、日当たりや間引きなどの作業、冬越しのポイントを押さえて栽培し、適切な時期に収穫しましょう。この冬は、新鮮で栄養たっぷりの冬野菜をプランターで栽培してみませんか。