2020年7月29日 | 園芸・ガーデニング
ナチュラルガーデニングでお庭づくり!ポイントは「自然」「誇張しないこと」
草花や木々が生き生きと育つナチュラルガーデニングの庭。季節の移ろいを身近に感じながら、毎日を過ごせたらすてきですね。
今回は、ナチュラルガーデニングの基礎知識とおすすめの植物、空間を引き立てる雑貨やDIYなどの楽しみ方をご紹介します。はじめてナチュラルガーデニングの庭づくりに取り組む方は、ぜひ参考にしてください。
ナチュラルガーデニングとは?
そもそもナチュラルガーデニングとは、どのような庭なのでしょうか。
自然本来の姿を楽しもう
ナチュラルガーデニングの明確な定義はありませんが、ガーデニングが盛んなイギリスにおける庭づくりの考え方を取り入れた庭づくりを指すことが一般的です。自然との調和を重視し、環境に配慮しながら植物が持つ本来の美しさを引き出すように管理します。
菜園や花だんの管理、気候や土壌、生物の知識などを積極的に学び、本来の自然の姿に近い庭を目指しましょう。ただし、イギリスと日本では気候や文化が異なるため、管理する庭の規模や住む環境に合わせ、可能な範囲でナチュラルガーデニングを楽しむことが基本です。
誇張せずシンプルに
ナチュラルガーデニングのポイントはきっちりと整備するのではなく、以前から植物が生育していたような環境にすることです。つる性の植物は負担がかからないように誘引(ゆういん)し、実から落ちたタネはそのままにして発芽を待つなど、植物の特徴やサイクルを尊重しながら楽しみましょう。
ナチュラルガーデニングの引き立て役としては、木材や石、レンガなどのほか、素朴でシンプルな雑貨がおすすめです。特別に決まった型はないので、自然との調和を心がけながら自由に取り組んでください。
環境に配慮しながら
植物の病気や害虫については、なるべく薬に頼らない方向で管理します。木や竹を原料にした木酢液(もくさくえき)や竹酢液(ちくさくえき)を定期的に噴霧したり、互いの生育を助けるコンパニオンプランツを取り入れることで予防します。
病害虫は早期発見に努め、見つけたときはすぐに取り除いてください。万が一、広範囲で発生したときは周辺への被害も考慮し、国内の基準に沿った安全な農薬を使用して庭の景観を保つことも大切です。
また、健康な株を育てる知識を身につけ、植えつけの際は清潔な土を用意する、同じ科の植物を続けて栽培する連作(れんさく)を避ける、枝をせん定して風通しをよくすることを心がけてください。
管理やデザインのポイント
言葉の意味からナチュラルガーデニングは「お手入れいらず」と思いがちですが、美しい庭をつくるには日々の管理が欠かせません。毎朝の水やりのほか、病害虫のチェック、雑草の抜き取りや枯れた花の摘み取り、混み合う部分のせん定、肥料の追加などの作業は必須です。季節によっては植え替えや株分け、野菜などの収穫も行います。
また、ナチュラルガーデニングの庭は直線による区分けを避け、植物の生長に合わせた緩やかなラインでまとめましょう。すき間にグランドカバーの植物を植えたり、鉢植えの植物を上手に配置すれば、ナチュラルなニュアンスを楽しめます。
花をメインにせず、ハーブやカラーリーフ、アイビーなどの葉を楽しむ庭にしてもすてきです。えさ台を設置すれば、小鳥や小動物が遊びに来るかもしれません。
庭のデザインについては、「ガーデニングデザインで自宅のお庭をおしゃれな空間に!」の記事も参考にしてください。
ナチュラルガーデニングにおすすめの植物
それでは、ナチュラルガーデニングで育てやすい品種をご紹介します。初心者の方は苗から育てて管理に慣れ、徐々に品種を増やしたりタネから育てたりして楽しみましょう。
種類が多い一年草
一年草とは、発芽から枯れるまでおよそ1年の草花を指します。種類が多いため、好みに合わせて自由に選べる点がメリットです。開花の時期を考慮して育てれば、花が絶えない庭が楽しめます。なお、日本の冬や夏を越せない多年草は、一年草として扱うケースがあります。
春にタネをまくものは、マリーゴールドやサルビア、ニチニチソウ、トレニア、キンギョソウ、アサガオなどのほか、背が高いタイプはセンニチコウ、ヒマワリ、コスモス、デルフィニウムなどがあります。
秋にタネをまくものは、ネモフィラ、ワスレナグサ、ノースポール、パンジー、スイートアリッサムなどのほか、背が高いタイプはカスミソウ、ルピナス、スターチス、ストック、ヤグルマギク(春でも可)などがあります。
育てやすい多年草
多年草とは1年で枯れずに生存する草花で、冬の間も地上の部分が残るものを指します。多年草の中でも、冬に地上部が枯れて根が残り、翌年に生長するタイプを宿根草(しゅっこんそう)と呼びます。
春から夏に開花する多年草は、ゼラニウム、アメリカンブルー、カンパニュラ、バーベナ、サクラソウなどのほか、背が高いタイプはアスチルベ、ジギタリス、マーガレット(低木)などがあります。秋から冬に開花するものは、クリスマスローズ、シクラメン、宿根ネメシア、アネモネ、ハボタンなどがあります。
ハーブ類の多年草はセージやレモンバーム、ミントなどがあり、低木に分類されるローズマリー、ラベンダー、タイムなども育てやすい品種です。年間を通して葉の緑を楽しめる多年草は、アイビーやツルニチニチソウ、ツワブキ、リュウノヒゲなどがあります。
球根類は長く楽しめる
球根類も多年草に分類されますが、ここでは別に取り上げてご紹介します。球根は、秋に植えて春に開花する「秋植え球根」と、春に植えて夏に開花する「春植え球根」があります。秋植え球根はクロッカスやムスカリ、スズラン、スノードロップ、ハナニラ、ヒヤシンス、スイセン、フリージアなどがおすすめです。
背が高いタイプは、チューリップやユリ、アガパンサス、アリウム、ラナンキュラスなどがあります。春植え球根はアマリリス、クルクマ、ゼフィランサスなどのほか、背が高いタイプはダリア、カラー、グラジオラス、グロリオサなどがおすすめです。
球根については、「【春にきれいに咲かせたい!】秋植え球根の植え方を紹介」「おすすめの秋植え球根9選」の記事も参考にしてください。
愛らしい多肉植物
ナチュラルガーデニングでは、多肉植物のコーナーを設けても楽しめます。多肉植物は、基本的には屋外の日当たりがよい場所で栽培しましょう。ただし、雨に長く当たると株が傷むため、置き場所に注意してください。
多肉植物は非常に種類が多く、初心者の方が育てやすいセダム属のほか、エケベリア属、カランコエ属、アロエ属、ハオルチア属、セネシオ属などに分類されます。生長する時期によって「春夏型」「夏型」「冬型」に分かれるので、それぞれに合わせた管理をしてください。
サボテン類も多肉植物に入りますが、特徴や原産の違いから園芸上は別に扱われます。サボテンも種類が多く、球状や柱状、うちわのような形などがあります。
多肉植物については、「多肉植物の種類や上手な育て方についてご紹介」をご覧ください。
シンボルツリーを選ぶ
シンボルツリーはナチュラルガーデニングの庭を引き締める役目があります。常緑樹は落葉しないため、落ち葉の掃除の必要がありません。背の高さや樹形、花が咲くもの、実が成るものは好みで選び、定期的にせん定などの手入れをしましょう。
常緑のシンボルツリーは、ヤマボウシ、シマトネリコ、ソヨゴ、ユーカリ、ミモザ、キンモクセイ、ゲッケイジュなどがおすすめです。果樹で常緑のものは、レモンなどの柑橘(かんきつ)類のほか、オリーブ、ビワ、ヤマモモなどがあります。
病害虫のトラブルには
ナチュラルガーデニングでは日々の観察を心がけ、病気や害虫を見つけたときはすぐに取り除いてまん延を防ぎましょう。万が一、被害が広がったときにはフマキラーの「カダンセーフ」がおすすめです。
カダンセーフは、食品成分由来の膜が病害虫を包んで退治。害虫は呼吸ができずに窒息死し、病原菌も栄養を得られず死滅します。屋内での使用や、お子様・ペットのいるご家庭でも安心してご使用いただけます。また活力成分の天然アミノ酸とAO(アルギン酸オリゴ糖)を配合していますので、病害虫対策だけでなく植物の生育もサポートする優れものです。
ナチュラルガーデニングを引き立てる雑貨
最後に、ナチュラルガーデニングにおすすめの雑貨についてご紹介します。
枕木(まくらぎ)やフェンス
自然との調和を重視するナチュラルガーデニングでは、木製の素材がしっくりなじみます。仕切りや通路におすすめの枕木は、立てて植えれば鉢を置いたりつるしたりでき、門柱やアクセントとしての役割も果たします。木製のトレリスやアーチ、フェンスを選べば、つる性の植物の誘引や、仕切り、目隠しなどに利用できます。
ただし、木製の雑貨はシロアリなどの被害に遭いやすいため、防腐や防蟻(ぼうぎ)処理をしてから使用しましょう。
石やレンガなど
シンプルなものであれば石や砂利、タイル類もナチュラルガーデニングにおすすめです。通路や仕切り、すき間の補充などと使い道は多彩なので、お気に入りを探してください。レンガも通路や花だんの仕切り、飾り棚などと幅広く活躍します。鉢はプラスチックではなく、テラコッタ(素焼き)製なら雰囲気が良くなります。
缶やホーローなど
アンティーク風やジャンク風のテイストは、ナチュラルガーデニングに取り入れても違和感がありません。ブリキやホーローの器、バケツ、空き缶などは鉢のカバーにしたり、ツールを入れたりして楽しみましょう。古くから海外で使われているアイアンのトレリスやフェンスも、ナチュラルガーデニングにおすすめです。
アンティーク風の家具など
使わなくなったカゴやイス、机、足踏みミシンなどの家具もナチュラルガーデニングの庭に置いてみましょう。家具の高さを生かして鉢を置いたり、多肉植物のコーナーにしたりするほか、ツールの置き場所としても使えます。ときどき家具の位置を移動すれば、模様替えの気分も楽しめます。
DIYやリメイクで
費用を抑えるには、DIYやリメイクで雑貨を制作しましょう。100円ショップの木製の「すのこ」やボックスにペンキを塗り、サンドペーパーをかければ使用感が出てすてきな雰囲気に仕上がります。
ベランダなどの狭い場所でナチュラルガーデニングを楽しむときは、すのこやトレリス、ルーバーなどを立てかけ、棚を取りつければ空間を有効に利用できます。ヒビが入ったカップや鉢、缶やびん、デニムや麻袋などもリメイクにおすすめです。
おしゃれなナチュラルガーデニングを楽しもう
今回は、あこがれのナチュラルガーデニングを取り上げ、考え方と基礎知識、おすすめの植物や雑貨についてご紹介しました。ナチュラルガーデニングは、飾り立てるよりも本来の自然の姿を大切にした雰囲気にまとめることがポイントです。
はじめは玄関前などの小さい空間から取り組み、少しずつ規模を広げながら楽しみましょう。