野菜を保存する方法を解説。冷凍・冷蔵・常温どれが適している?

野菜を保存する方法を解説。冷凍・冷蔵・常温どれが適している?

冷蔵庫に入れていた野菜がしなしなに…。使いかけの野菜、切り口がすぐに変色してしまう…。鮮度が命の野菜。おいしくいただくためにも、できるだけ新鮮さを保っておきたいものですよね。
そのためにも、野菜について、そして冷蔵庫について、おさえておくべきポイントがあるようです。

ひとくちに野菜といっても種類や育った環境もそれぞれ。保存するなら常温それとも冷蔵庫?冷蔵庫に保存する場合は、冷蔵室あるいは野菜室?など、何をどこに保存するべきか、正直迷うことがあると思います。そこで今回は、野菜を上手に保存する方法について徹底解説します。

育った環境が判断の目安。冷蔵庫に入れる野菜、入れない野菜

育った環境が判断の目安。冷蔵庫に入れる野菜、入れない野菜

野菜を上手に保存するための第一歩として、まずは野菜について考えていきましょう。“野菜”とひとくくりにしても、陽の光を存分に浴びて育つトマトやカボチャなどから、寒さに耐えておいしくなるレタスや白菜など、育った環境(温度)はまさにそれぞれ。その環境に近い状態で保存してあげることこそ、鮮度を長持ちさせるポイントといえます。

冷蔵保存に適さない野菜

トマトやキュウリ、ナスやピーマンなど比較的温かい環境で育った野菜は、あまり冷蔵保存に向いていません。また、ジャガイモやタマネギなども湿気に弱く、冷蔵保存には不向きとされています。

収穫した野菜の保存場所としては、土間や蔵、縁の下などの冷暗で風通しのよい場所が最適といわれていますが、よほど大きな敷地のある家でない限りなかなかそうはいきません。

本来、冷蔵保存に向かないといわれている野菜ですが、保存する際、ラップや新聞で包むなどひと手間加えることで、冷蔵庫の「野菜室」や「冷蔵室」でも保存できます。

冷蔵保存に不向きな野菜に起こる「低温障害」

冷蔵庫に入れていたトマトがぶよぶよになったり、キュウリやナスが水っぽくなったり、これは野菜の鮮度(=おいしさ)や栄養などが損なわれる「低温障害」と呼ばれる障害。もともと常保存に適した野菜を、冷蔵庫など(10℃以下の環境)で保存した場合、表面にくぼみができたり、変色したり、水っぽくなったり野菜の品質が大きく損なわれます。

ただし、カットした残りの野菜は冷蔵庫で保存

冷蔵保存に向かない野菜でも、使いかけの場合は例外です。野菜はカットすると「エチレン」という植物を老化させるホルモンが発生しやすくなります。エチレンガスは他の野菜にも影響を及ぼすため、ラップでくるんだりジップロックなどの小袋に入れて冷蔵庫で保存するのがおすすめです。

野菜は呼吸している!?

野菜は収穫したあとも呼吸をしています。この呼吸する回数が多いとどんどんエチレンガスが発生して老化が進み、野菜が傷んで腐ってしまいます。

つまり野菜を長持ちさせるには、野菜が呼吸する回数を減らすことがポイント。陽があたらない冷蔵庫の中で低温保存することで野菜の呼吸をおさえて、エチレン以外にも、栄養分の分解や水分の蒸発を防ぐことができます。

知っているようで意外と知らない、冷蔵庫内の役割と温度設定

知っているようで意外と知らない、冷蔵庫内の役割と温度設定

冷蔵・冷凍のシンプルなタイプから、野菜室やチルド室、パーシャル室までついた多機能タイプまで、冷蔵庫もさまざまなタイプが普及しています。

冷蔵庫の庫内がそれぞれ何度に設定されているか、またチルド室やパーシャル室の役割など、割とざっくりとした認識で使われている人も多いのではないでしょうか。そこで、続いてはそれぞれの庫内の役割や一般的な設定温度について見ていきましょう。

冷蔵室

食材やドリンク類などを冷たく保存するスペースとして、約3℃~6℃が設定の目安とされています。

※JIS規格(日本工業規格)によると冷蔵室の設定温度は4℃~5℃を目標に定められています。

冷凍室

冷凍食材やアイスクリームなどを凍らせたまま保存できるスペースとして、約-20℃~-18℃が設定の目安とされています。

※JIS規格(日本工業規格)によると冷凍室の設定温度は-18℃を目標に定められています。

野菜室

野菜や果物を保存するスペースとして、約3℃~8℃が設定の目安とされています。

チルド室

肉や魚、乳製品など冷凍に不向きな食材を保存するスペースとして、約0℃~2℃が設定の目安とされています。

パーシャル室

肉や魚などを表面だけを凍らせた状態で保存できるスペースとして、約-3℃~-1℃が設定の目安とされています。

種類別に見る野菜の保存場所

果菜類

  • トマト、ナス、キュウリ、ピーマン、カボチャなど

基本は室内での常温保存に適しています。夏物野菜が多いため常温での保存が基本。冷やし過ぎるとすぐに品質が落ちてしまいます。水分を多く含んでいるため、カットしたあとは早めに使い切るようにしましょう。

トマト

10℃~15℃くらいが最適温度のため、冷蔵庫の野菜室で保存(保存期間は約2週間)

真っ赤に熟したトマトは、ビニール袋などに入れて冷蔵庫の野菜室へ。青い部分が残っているトマトはカゴなどに入れて常温保存で追熟させます。上下に重なった状態だとくっつきあった部分が傷んでしまうため、重ならないようにしてヘタのついている丈夫なほうを下にしておきます。赤く熟してきたら冷蔵庫の野菜室で保存します。

ナス

8℃~12℃くらいが最適温度のため、冷蔵庫の野菜室で保存(保存期間は約2週間)

ほとんどが水分で構成されているナスは、保存の際に水分を失いやすいため、ひとつずつラップにくるんで冷蔵庫の野菜室で保存します。低温に弱いため冷やしすぎには注意が必要です。

キュウリ

10℃~13℃くらいが最適温度のため、冷蔵庫の野菜室で保存(保存期間は約1週間)

水分量が多く、熱や寒さ、湿気や乾燥にも弱いキュウリは、ビニール袋などに入れてから冷蔵庫の野菜室へ。特に低温に弱いため温度は10℃前後に設定し、立てた状態で保存します。牛乳パックやペットボトルなどをカットして使うと立てやすくて便利です。

ピーマン

7℃~10℃くらいが最適温度のため、冷蔵庫の野菜室で保存(保存期間は約2週間)

最適な保存温度が5℃~10℃のピーマンは、冷蔵庫の野菜室での保存がおすすめ。水に弱いため、水分がついていたらしっかりふきとり、ひとつずつキッチンペーパーや新聞紙で包んでビニール袋などに入れて保存します。ピーマンはエチレンを多く発生するためビニール袋などの入り口はしっかりと密閉しておくことがポイントです。

カボチャ

10℃~13℃くらいが最適温度のため、常温または冷蔵庫の野菜室で保存(保存期間は約2~3カ月)

新聞紙で包んで冷暗所で保存します。ただし、夏場で14℃以上になったら、冷蔵庫の野菜室へ。冷蔵の場合、保存期間が短くなるためご注意を。カットしたものは早めに使い切りましょう。

根菜類

  • 大根、ニンジン、サツマイモ、里イモ、ゴボウ、ショウガなど

基本は室内での常温保存に適しています。

もともと土の中で育った野菜のため、なるべく土がついたままの状態で新聞紙に包んで保存します。大根やゴボウなどは育った状態と同じようになるべく立てて保存しましょう。葉がついた野菜の場合、葉から水分が蒸発してしまうため、葉は根元から切り離してから保存します。

大根

0℃~5℃くらいが最適温度のため、冷蔵庫の冷蔵室で保存(保存期間は約2週間)

葉を根元から切り離してから新聞紙に包んで保存します。大きすぎて冷蔵庫に入らない場合は、2つにカットします。カットするとエチレンが発生するためラップで包んでから、立てて保存します。

ニンジン

0℃~5℃くらいが最適温度のため、冷蔵庫の冷蔵室で保存(保存期間は約2週間)

湿気や乾燥に弱いため1本ずつ水分をよくふきとってから新聞紙に包み、立てて保存します。カットしたものはエチレンが発生するためラップで包んでからビニール袋に入れて保存します。

ジャガイモ

5℃前後が最適温度とするものの、冷蔵庫より常温保存がおすすめ(保存期間は約2~3カ月)

ジャガイモを冷蔵庫で保存した場合3℃~5℃でジャガイモに含まれるデンプンが糖分へと変わります。味が変わってホクホクした感じが失われてしまうため、新聞紙に包み、カゴなどに入れて冷暗所で保存するのがおすすめです。

サツマイモ

12℃~15℃くらいが最適温度のため、室内(冷暗所)で常温保存(保存期間は約1~2カ月)

1本ずつ新聞紙で包んでからカゴなどに入れて保存します。温かくなると芽が出てくるため冷蔵庫の野菜室で保存するようにしましょう。

里イモ

10℃~25℃が最適温度のため、室内(冷暗所)で常温保存(保存期間は約1カ月)

乾燥にも多湿にも弱いため特に暑い時期と寒い時期は注意が必要です。保存の際は、数個をまとめて新聞紙などに包み、紙袋などに入れて冷暗所(直接日光があたらない風通しのいい場所)におくようにします。

ゴボウ

0℃前後が最適温度のため、冷蔵庫の冷蔵室で保存(保存期間は約1週間~2カ月)

土がついた状態のまま冷蔵室に入るサイズにカットして新聞紙などに包み、ビニール袋などに入れて立てて保存します。はじめから土が洗い落とされたゴボウはラップに包んでから新聞紙で包みます。

乾燥と高温に弱いゴボウは土がついた状態であれば冷蔵室で最大で約2カ月と日持ちしますが、土を洗い落とした場合は約1週間と日持ちが短くなります。

ショウガ

14℃前後が最適温度のため、室内(冷暗所)で常温保存(保存期間は約2週間)

乾燥や水分に弱いため表面についた水分はしっかりとふきとってから新聞紙に包み、カゴなどに入れて室内の冷暗所で保存します。

葉菜類

  • キャベツ、レタス、白菜、ホウレン草など

しおれやすいため、基本は冷蔵庫で保存します。

葉が一枚ずつ重なり球状に育つキャベツやレタスや白菜などは、野菜を結球(けっきゅう)野菜といわれ、結球しない野菜(ホウレン草、小松菜など)に比べて日持ちしますが、葉菜類は全体的にしおれやすいため、素早く冷蔵庫で保存します。

キャベツ

0℃~5℃くらいが最適温度のため、冷蔵庫の冷蔵室で保存(保存期間は約2週間)

乾燥させないように新聞紙で包んでからビニール袋に入れて保存します。このとき、ビニール袋の口は軽く締め、キャベツは切り口が下になるようにおくことがポイントです。

レタス

5℃前後が最適温度のため、冷蔵庫の野菜室で保存(保存期間は約1週間)

キャベツと同様に、乾燥させないように新聞紙で包んでからビニール袋に入れて保存します。このとき、ビニール袋の口は軽く締め、切り口が下になるようにおきます。

白菜

0℃~5℃くらいが最適温度のため、冷蔵庫の冷蔵室で保存(保存期間は約2週間)

新聞紙で包み、芯を下側にして立てて保存します。比較的日持ちする野菜ですが、カットすると保存期間は約1週間に。ラップで包んで保存し、なるべく早く使い切るようにしましょう。

ホウレン草

0℃~5℃くらいが最適温度のため、冷蔵庫の冷蔵室で保存(保存期間は約2週間)

乾燥を防ぐため新聞紙で包み、ビニール袋に入れて立てて保存します。このとき、ビニール袋の口は軽く締めるのがポイント。密閉してしまうと、ホウレン草から出た水分で袋の中が蒸れて傷んでしまいます。

その他

タマネギ

0℃~5℃くらいが最適温度とするものの湿度に弱く、室内(冷暗所)で常温保存(保存期間は約2カ月)

1個ずつ新聞紙に包み、カゴに入れて冷暗所に保存します。ネットなどに入れて風通しのいい場所に吊るしておくのもいいでしょう。夏場の暑い時期は、芽が出やすくなるため、新聞紙で包んでからビニール袋に入れて、冷蔵庫の冷蔵室へ。保存期間は約1カ月と短くなります。

上手に保存するコツ

  • 低温や乾燥、湿気に弱い野菜は、なるべくひとつずつキッチンペーパーや新聞紙に包み、ビニール袋などに入れて保存する。
  • 野菜に水滴がついていると傷みが早くなるため、冷蔵庫に入れる前にはしっかりと水滴をふきとる。
  • 野菜を保存する際、野菜が(畑などで)育つときと同じ状態に近づける。こうすることで、ストレスがなく長持ちするといわれています。
  • 上下に重なっているとくっつきあった部分が傷んでしまうため、野菜が上下に重ならないようにする。

メリットに注目!野菜を冷凍して保存するという方法

メリットに注目!野菜を冷凍して保存するという方法

野菜を冷蔵庫で保存する場合、「野菜室」に入れておくのはもちろんですが、「冷凍室」で凍らせて鮮度を閉じ込めたまま保存するという方法もあります。

基本的にトマトのような水分の多い野菜や、食物繊維が多いニンジンやゴボウなどの根菜類は冷凍保存に不向きとされていますが、細かく刻んでラップに包んだりジップロックなどに入れて保存することで、解凍後の食感も気にならずにおいしくいただけます。

栄養価が落ちにくい!

野菜は収穫したあとも細胞が生き続けています。保存している野菜から芽が出てきたり、呼吸をしてエチレンが発生したりするのは、まさに野菜が生きている証拠。収穫されて根っこが切られた野菜は、自らに蓄えた栄養分を消費して生き続けるため、栄養価が損なわれていきます。

野菜を冷凍した場合、細胞の活動を停止させ、栄養価を保つことができるというわけです。

調理時間を短縮できる!

野菜をカットしてジップロックなどで小分けして冷凍保存しておけば、調理のとき野菜をカットする手間が省けてとっても便利。細かくミジン切りにしておけば、チャーハンやピラフ、お弁当の付け合わせなど、いろんな料理にサッと使用できます。

食感を楽しむ野菜は冷凍保存NG

野菜を冷凍した場合、解凍時に水分が出てしまうため、キュウリやレタスなどは特長ともいえる“パリパリ”“シャキシャキ”とした食感が損なわれてしまいます。

野菜をおいしく食べて、ますます健康的なライフスタイルを

美容や健康志向の高まりから、サラダを主食とした専門店がブームになるなど、野菜への関心がますます高まっています。

野菜の特徴を知り正しく保存することで、自宅でもよりおいしくいただけるうえ、野菜を傷めてムダにすることも減り家計も助かりますね。

野菜をおいしく食べて、ますます健康的なライフスタイルをおくりましょう。

「For your LIFE」で紹介する記事は、フマキラー株式会社または執筆業務委託先が信頼に足ると判断した情報源に基づき作成しておりますが、完全性、正確性、または適時性等を保証するものではありません。

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