バラの育て方 – 初心者が知っておきたいバラ栽培のコツ

バラの育て方 - 初心者が知っておきたいバラ栽培のコツ

世界的に有名なバラに憧れてガーデニングを始める方も多いのではないでしょうか。しかし、ガーデニング初心者が何も考えずにバラ栽培を行うと大抵の場合は失敗します。

失敗しないバラ栽培を目指すならバラの基本をしっかりと把握しておきましょう。今回はバラの基本的な育て方をまとめましたので解説します。

バラのタイプ

バラのタイプ

バラはその樹形からブッシュ・ローズ(木立ち性バラ)、シュラブ・ローズ(半つる性バラ)、つるバラの3タイプに分類することができます。

これにミニバラのような小型の種類を合わせると全部で4つのタイプのバラが存在します。まずはこのバラのタイプをひとつずつ見ていきましょう。

ブッシュ・ローズ(木立ち性バラ)

ブッシュ・ローズ(木立ち性バラ)はシュート(茎とそれについている葉)が上に伸びるタイプのバラを指します。

ブッシュ・ローズは最もよく見かけるタイプのバラであり、四季咲き性のハイブリッドティーなどの大半はブッシュ・ローズに該当します。ブッシュ・ローズはスペースが小さい場所でも収まりが良好なため、バラ初心者の方でも扱いやすい樹形といえるでしょう。

シュラブ・ローズ(半つる性バラ)

シュラブ・ローズ(半つる性バラ)は前述のブッシュ・ローズと後述するつるバラの中間に位置するタイプです。シュラブ・ローズは枝が湾曲して弓状になっているのが大きな特徴です。

オールドローズのような古い品種は春の1度のみ花を咲かせるだけですが、イングリッシュローズなどに代表される近年のシュラブ・ローズは返り咲き性が強いことでも知られています。

春から霜が降りる時期まで咲き続ける品種も多いため、長期間に渡ってバラを楽しみたい方にもおすすめです。

つるバラ

クライミング・ローズとも呼ばれるつるバラには「つる」という言葉が付いていますが、他の典型的なつる性植物のように、自ら絡みつくことはありません。つるバラは成長すると枝をつる状に伸ばし、色鮮やかなバラが広い範囲を覆うようになります。

つるバラの多くは春に花を咲かせる性質があり、その他の季節は花よりも枝を伸ばすほうに力を注ぐようになります。このつるバラの性質を活かしてフェンスや壁面などに枝を誘引したり、アーチやオベリスクなどに絡めて鑑賞を楽しむ方も多いです。

ミニバラ

ミニバラは文字通り花の大きさが小さいタイプでロサキネンシスの変異で生じた品種といわれているロサ・キネンシスミニマの性質を受け継ぐバラです。

樹形はブッシュ系が主流となりますが、中にはシュラブ系やつるバラといったタイプも存在します。コンパクトな株に小中輪(花径3㎝~5㎝)の花を咲かせ、環境次第では春から秋まで咲き続けることもあります。

ブッシュ・ローズ(木立ち性バラ)の育て方

ブッシュ・ローズ(木立ち性バラ)の育て方

ここからは各タイプに分けてバラの基本的な育て方を解説します。まずは最もポピュラーなタイプといわれているブッシュ・ローズ(木立ち性バラ)の育て方からご覧ください。

栽培環境

ブッシュ・ローズ(木立ち性バラ)の主な開花時期は5月~6月となっており、繰り返し咲く品種は11月ごろまで咲き続けます。ブッシュ・ローズに適した栽培環境は日当たりと風通しが良好な場所です。

また使用する用土は水はけと水持ちが良いものを選ぶようにしましょう。最近はバラ専用の配合土が数多く販売されていますので、初心者の方はそちらを使うことをおすすめします。

水やり

鉢植えの場合は年間を通して土が乾燥していたら、鉢底から水が流れるぐらいにたっぷりと水を与えるようにしましょう。庭植え、地植えの場合は雨が少ない時期(真夏など)に乾燥していたときのみ水やりを行うようにします。

肥料

生育期間中は肥料が常に緩やかに効いている状態が好まれますので、定期的に液体肥料や発酵油かすといった固形肥料を施すとよいでしょう。

また庭植えの場合は、冬に寒肥として発酵油かすの固形肥料を施すようにし、一番花が咲き終わる6月~7月中旬ごろにお礼肥として、9月中旬~10月中旬に追肥を施すと効果的です。

病害虫

病気は黒星病、うどんこ病、べと病、枝枯れ病、灰色かび病などに注意しましょう。また害虫はアブラムシ、チュウレンジハバチ、オオタバコガなどが4月ごろから活発に動くようになります。

特にうどんこ病は空気伝染であっという間に広がり、最終的には葉全体に白い粉をまぶした状態に変化するようになります。月2回~3回の薬剤散布を心がけるようにしましょう。

植えつけ・植え替え

1年苗(新苗)は春に購入後、なるべく早く植えつけるのが好ましいです。また大苗は11月~2月を目処にすると根付きやすくなります。新苗をポットで育てた鉢苗は真夏以外の時期ならいつでも行うことが可能です。

また鉢植えの場合は1年に1回(12月~2月ごろ)に植え替えを行なうのが理想的です。これは一度植物を育てた土は団粒構造が壊れ、排水性や通気性が悪くなるためです。

シュラブ・ローズ(半つる性バラ)の育て方

シュラブ・ローズ(半つる性バラ)の育て方

続いてはメアリー・ローズ、淡雪などのシュラブ・ローズ(半つる性バラ)の育て方の基本を見てみましょう。

栽培環境

シュラブ・ローズ(半つる性バラ)も基本的には日当たりと風通しが良好な場所を好みます。用土も水はけと水持ちが良いものを選ぶようにしましょう。

仮に土質がバラを育てる条件に適していない場合は、堆肥などを多めに入れるようにし、土壌を改良してから植えつけを行うことをおすすめします。

水やり

鉢植えの場合は年間を通して土が乾燥したら水やりを行うようにします。庭植え、地植えは雨が少なく土が乾燥しやすい時期にはこまめに水やりを行うようにしましょう。

肥料

生育期間中は定期的に液体肥料や固形肥料を施すようにします。庭植えの場合もブッシュ・ローズと同様、冬に固形肥料、一番花が咲き終わるころにお礼肥、秋口に追肥を施すのがよいでしょう。

病害虫

病気は黒星病、うどんこ病などに注意するようにします。また害虫もアブラムシやカミキリムシなどが春、夏、秋と活発に活動しますので、定期的に見回りを行うことが大切です。

夏になるとうどんこ菌(病)は減少しますが、代わって黒星菌(病)が発生します。殺菌成分と殺虫成分の両方が配合されたスプレーを常備しておくと安心です。

植えつけ・植え替え

シュラブ・ローズの植えつけ、植え替えも基本的にはブッシュ・ローズと同様で構いません。新苗は春の5月~6月、大苗は11月~2月を目処に植えつけを行うとよいでしょう。

また鉢苗は夏の平均気温が30℃になるような地域では、涼しくなるまで植え替えを控えるのが好ましいです。バラを植え込む際は周囲50㎝ほどに畝(土を盛り上げたところ)を作って、根の近くに水を含ませるのがおすすめです。

つるバラの育て方

つるバラの育て方

キモッコウバラ、ナニワバラなどの品種があるつるバラの育て方を解説します。

栽培環境

つるバラの開花時期は品種によって異なりますが、主に5月~11月の期間です。つるバラも基本的には日当たりと風通しを意識した栽培環境を整えてあげましょう。風通しが悪い環境で育てると病害虫によって正常な生育が阻害される可能性があります。

特につるバラの場合は枝や葉が茂りやすいため、周囲の植物の環境にも悪影響を与えることがありますので注意しておきましょう。ちなみにこのようなケースに陥った場合は枝を誘引するなどの工夫を施すことを推奨します。

水やり

鉢植えの場合は年間を通して、土が乾燥したらたっぷりと水を与えてあげるようにします。庭植え、地植えの場合は夏季など、雨が少なく乾燥しやすい時期にはこまめに水やりを行いましょう。

真夏の水やりは昼間に行うと水の温度が上昇し、根を傷める原因にもなります。そのため、朝に水を与えるようにし、夕方に様子を見て、再度水やりを行うか否かを検討するようにしましょう。

肥料

つるバラの肥料の与え方はブッシュ・ローズ、シュラブ・ローズとほぼ同様で問題はありません。生育期に液体肥料や固形肥料、冬に固形肥料(寒肥)、6月~7月中旬にお礼肥、秋口に追肥を施すようにしましょう。

ちなみに昔は油かすや骨粉などが肥料の主流でしたが、これらは分解が遅く、芽出しのころに効かせるには冬季の施肥が好ましいとされていました。近年は3月ごろから緩効性と即効性に優れた肥料を組み合わせて施肥をするケースもあります。

病害虫

つるバラを育てる場合も黒星病、うどんこ病、アブラムシ、チュウレンジハバチといった病害虫に注意しておかなければなりません。

5月~11月の時期に発生するサビ病、春から秋にかけて発生するベト病などバラはかかりやすい病気や害虫が多いため、定期的なチェックは欠かさず行うようにしましょう。

植えつけ・植え替え

新苗は5月~6月、大苗は11月~2月、鉢苗は真夏以外の時期に植えつけを行うようにします。鉢植えの場合は1年に1回(12月~2月ごろ)に、植え替えを行うようにし、部分的もしくはすべての用土を新しくするようにします。

1年間生育したバラは根もよく伸びています。この状態を放置しておくと、鉢の中で行き場を失った根がぎっちりと絡み合うことになり、生育に悪い影響を与える可能性があります。

鉢植えバラは毎年冬季に行う植え替えが重要ともいわれていますので、忘れないようにしましょう。

ミニバラの育て方

ミニバラの育て方

最後に花色も豊富で、専門店では年間を通して鉢植えの苗が販売されているミニバラの基本的な育て方を解説します。

栽培環境

ミニバラに適した栽培環境も基本的には日当たりと風通しが良好な場所です。バラは弱酸性の土を好みますので、自身で土を作る場合はピートモスを活用するのもおすすめです。

水やり

鉢植えの場合は年間を通して土の表面が乾いたら水をやるようにしてください。水の量は鉢底から水が流れ出てくるくらいにたっぷりと与えても問題はありません。

夏は1日1回~2回、冬は2日~3日に1回ほどが目安となります。庭植え、地植えの場合は真夏の時期など、土が乾燥したときのみ与えるようにしましょう。

肥料

ミニバラの肥料の与え方も上記3タイプと同様で問題はありません。元肥、追肥、液肥、お礼肥と適切な肥料の与え方をしていれば、根も元気になり、葉の艶や花つきも非常に美しいものになります。

ガーデニング初心者の方だと「花が咲き終わってから肥料(お礼肥)を与えても意味がないのでは?」という方もいますが、この時期も根はゆっくり成長しています。

お礼肥を施すことで翌年の春の力を蓄えることができますので、充実した休眠期を過ごすためにもお礼肥はしっかり行っておきましょう。

病害虫

病気は黒点病、うどんこ病、灰色カビ病、害虫はハダニ、アブラムシ、ヨトウムシなどに注意するようにしましょう。

日々のチェックを怠らずに、異常が見つかった場合は早期に対処することが大切です。ガーデニングを行う方の中には農薬を嫌う方もいますが、適性な使用方法であれば、人も植物も安全な環境を維持できます。

植えつけ、植え替え

新苗、大苗、鉢苗の植えつけ時期は上記3タイプのバラと同様で問題はありません。ミニバラは基本的に鉢植えに適しているといわれています。そのため、1年に1回の植え替え(12月~2月ごろ)も忘れないようにしましょう。

ちなみにバラを育てるときはできるだけ大きめの鉢に植えつけることが推奨されています。ミニバラはもともとのサイズが小さいため、直径1cmほどの鉢にも簡単に植えつけできますが、これでは小さすぎます。元の鉢の2回り以上大きい鉢を使用するようにしましょう。

「花の女王」を育てて華やかな風景を演出しよう!

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今回は気品あふれる花として有名なバラの育て方を解説しました。バラは「病害虫に弱い」「育てるのに手間がかかる」ともいわれています。たしかに右も左もわからない初心者の方だと難しく感じるかもしれません。

しかし、近年はバラ専用の用土が販売されているなど、ひと昔前と比べるとバラの栽培も容易になってきています。また比較的病害虫に強い品種もありますので、バラ栽培を失敗したくない方は初心者向けの品種を扱うのもおすすめです。現在、バラを育てることを検討している方はぜひ参考にしてください。

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