2018年10月10日 | 虫
秋でも要注意!迷惑な蚊の生態を知って賢く駆除・予防
真夏のうっとうしい時期、迷惑な蚊に悩まされて苦労している方が少なくありません。外出中はもちろん、快適な部屋で過ごしていてもいつの間にか刺されてしまいます。さらに残暑が厳しい年が多いので、蚊の対策は夏だけでは留まりません。
そこで、この記事では蚊が好む環境や生態を解説し、夏だけでなく秋も快適に過ごすために必要な蚊の対策・駆除の方法をご紹介します。
蚊の対策は夏だけでは不十分!
蚊が活発に活動するのは夏だけではありません。実は、秋の時期も注意しなければならないのです。蚊の活動期は、季節よりも気温が大きく関係します。暖かい時期が続くと、蚊の活動期も伸び、家や建物に潜む蚊の中には、そのまま越冬することもあります。蚊の対策は、季節を問わず常にできるようにしておくと良いでしょう。
蚊が好む気温を知っておこう
蚊の活動は、気温によって変わります。日本に多く見られるアカイエカは約20~30度、ヤブ蚊と呼ばれるヒトスジシマカは約25~30度が好む気温となっています。蚊は、夏だけでなく秋の季節も活発に動きます。
ただし、この気温はあくまでも目安です。アカイエカ、チカイエカは気温7度でも吸血活動を行っているという発表もあります。肌寒さを感じる時期でも安心ではありません。
蚊の活動と気温に関しては、「蚊の発生と気温・気候の関係。蚊は冬に本当に出ないの?」で詳しく解説していますので、合わせてご覧ください。
蚊は猛暑でも活動している
日本に生息する蚊は、30度を超えると動きが鈍くなります。30度以上の猛暑が続くと、昼間に活動するヤブ蚊(ヒトスジシマカ)の動きも停滞します。一見、猛暑が続くと蚊に刺されないと思ってしまいますが、実際は違います。
蚊は家や建物の中にも潜んでいます。エアコンが効いた涼しい部屋や、日陰などではしっかりと活動しています。野外でも、森林など木陰や草花の多い場所は、十分に気を付けなければなりません。
蚊を発生させないための対策
蚊は水があるところに卵を産みます。蚊の種類によって卵を産む場所は違うのですが、池や水田、水たまりといった場所だけでなく、空き缶に溜まった雨水の中にも産み付けます。蚊を発生させないためには、まず蚊の生態を知っておくと良いでしょう。
蚊の産卵期と産卵数
蚊の産卵期は、季節ではなく気温にとても関係しています。蚊が好む気温である20~30度の間は産卵し続けます。蚊が1回で産卵する卵の数は約300個です。蚊の寿命は30~40日程度で、その間に産卵を3、4回行います。1匹の蚊で900~1200個の卵を産む計算となります。
アカイエカの場合10日程度で卵から成虫になるので、放っておくと大量に増えていきます。蚊は、夏だけでなく秋でも増え続けるのです。
蚊が多く発生する場所
蚊が卵を産む場所は、池や水田だけでなく、下水溝、浄化槽、空き缶に溜まった雨水など、ちょっとした水たまりにも産卵します。成虫になったときは、日が当たらない物陰やすき間などに潜んでいます。家の周りに物が散乱していると、蚊にとっては格好の生息地となってしまいます。
蚊に刺されてしまう原因と対策
蚊は血液を求めて人や動物に寄ってきます。そのとき、蚊は目で人や動物を見つけるのではなく、いくつかのポイントを頼りにやってきます。蚊に刺されやすい人は、このポイントを多く含んでいることが原因です。蚊にさされないようにするためには、まず蚊が寄ってくる原因を知ると良いでしょう。
蚊に刺されやすい人の特徴
蚊に刺されやすい人と刺されにくい人には違いがあります。蚊が人や動物に寄ってくるポイントは下記の通りです。
【蚊が人や動物に寄ってくるポイント】
- 二酸化炭素の量
- 体温
- 汗や足の匂い
- 身に着けている服装の色
この4つのポイントを頼りに蚊は寄ってきます。蚊に刺されやすい人は、このポイントが多くあることが原因です。
二酸化炭素が原因
蚊は、炭酸ガスを感知することができます。大気中のガス濃度が0.01%変わっただけでも感知できる能力を持っています。そのため、人や動物の呼吸で出す二酸化炭素に集まります。運動しているときやお酒を飲んでいるときなど呼吸が荒くなったり激しくなったりすると、二酸化炭素が多く出てしまうので、蚊に刺されやすくなります。
外でバーベキューなどをしてお酒を飲むときや運動をするときには、虫よけスプレーで予防することを心がけましょう。
汗や足の匂い、体温が高いと寄ってくる
蚊の触覚には、温度を感じるセンサーが備わっています。さらに、汗のにおいの基となる乳酸、脂肪酸も感じ取れます。蚊は、およそ2000本の産毛が生えた触覚を使って、体温が高い人や肌の匂いを探し出します。
普段から体温が高い方はもちろん、赤ちゃん、妊婦の方が蚊に刺されやすいのは、蚊が持つ優れた体温センサーが原因です。また、足の臭いが蚊を集める原因にもなっています。足の裏から出る匂いが蚊を刺激します。
外出の際は、できるだけ肌を露出させないことが最大の予防策です。ほかにも、虫よけスプレーだけでなく冷却スプレーや無臭タイプの制汗スプレーなども活用して、体温、汗、足の臭いに気を付けると良いでしょう。汗をかきやすい方は、香りを抑えたデオドラントシートや着替えを持って外出すると、汗の匂いだけでなく体温の低下にも繋がります。
蚊にも好みの色・苦手な色がある
蚊が好む色は、黒っぽい色です。逆に好まない色は黄色や白色になります。蚊は、人の目のように色を識別できませんが、光の波長で色を見分けていると言われています。
蚊が黒色に集まる理由は定かではありませんが、黒色は蚊が隠れやすい保護色であることや熱を集めることが理由だと考えられています。黒い服が好きな方は、気分を変えて白を基調とした服を選んでみると良いでしょう。
蚊の対策については、「蚊に刺されないための虫よけ対策」でも解説していますので、合わせてご覧ください。
日本でも要注意!増え続ける感染症
2014年の夏、日本国内で70年ぶりにデング熱の症例が報告されてから、蚊を媒介とした感染症に注意が集まっています。大きな被害はまだありませんが、東南アジアや中南米、アフリカへの海外旅行が珍しくない現在では、いつ感染症が海外から侵入してくるか分かりません。身近な病気になりつつあるので、感染症について知っておきましょう。
子どもに危険なデング熱
デング熱は、日本にも生息するヤブ蚊と呼ばれるヒトスジシマカによって感染します。感染すると、通常3~7日の潜伏したのち38~40度の高熱を発します。頭痛や関節痛、筋肉痛、発疹が現れます。
インフルエンザと比べると致死率はかなり低いのですが、「デングショック症候群」という乳幼児、妊婦の方、高齢者の方が陥りやすいショック症状があるので安心できません。「デングショック症候群」にかかるのは稀ですが、発症してしまうと多臓器不全などを起こし、死に至る危険もあるので注意する必要があります。
デング熱には、ウイルスに直接効果があるワクチンや治療法がありません。人から人へ直接感染することはありませんが、蚊を媒介して広まる可能性があるのでデング熱の疑いがあるときは早めに病院へ行きましょう。
妊婦の方は注意したいジカ熱
ジカ熱は、デング熱と同じヒトスジシマカが媒介となって広まります。ジカ熱に感染すると、軽度の発熱、発疹、頭痛、関節痛、筋肉痛などがあります。妊婦の方が感染すると胎児にも感染し、小頭症などの障害を引き起こす可能性があります。
ジカ熱は、症状が軽いため気付きにくいのですが、東南アジア、中南米、アフリカなどの海外旅行をしたあとに風邪のような熱を感じたら、日本で感染被害を出さないためにも病院へ行きましょう。
感染症だと思ったときの対処法
デング熱やジカ熱の対処法は、ウイルスに直接効果があるワクチンなどがないので、安静にしていることが大事です。ただ、死亡率や症状が軽いからといって病院へ行かないと、蚊を媒介として感染が拡大してしまいます。
ワクチンがないからこそ、まずは蚊に刺されないようにすることが大事です。自分が東南アジア、中南米、アフリカへ海外旅行に行ったり、身近な人が海外旅行から帰ってきたりしたときは十分に注意しましょう。
蚊の感染症については、「【蚊の媒介による感染症】感染症の種類・症状・治療・予防について解説」でも詳しく解説しています。合わせてご覧ください。
【参考】蚊媒介感染症|厚生労働省
部屋に潜む蚊を効率よく退治する
部屋に潜む蚊は、活発に活動します。ちょうど人が過ごしやすい20~30度は、蚊も活動しやすい温度です。また、家やビルなどの建物内に潜む蚊は、そのまま越冬することもあります。秋や冬だからといっても、蚊が出現するときは対応策が必要です。
部屋には蚊が好む場所がいっぱい
蚊が潜む場所は、温度が高め(20~30度)のところや物陰、薄暗いところを好みます。部屋の中で蚊が潜む場所は次のようなところです。
- テレビや冷蔵庫など電化製品の裏側
- 配線が集まるところ
- 机、本棚、家具の裏や隅
- カーテンの裏
部屋に潜む蚊をなかなか退治できないときは、蚊が潜みそうな場所に殺虫剤や防虫剤を使用すると良いでしょう。
蚊に悩まされないための部屋づくり
蚊が潜む場所は、暖かいところや物陰などです。部屋はできるだけ清掃をしておき、物を乱雑に置かないようにすることが大切です。
蚊を部屋に侵入させないことも重要です。蚊は、人が出入りするのと同じように玄関やベランダから侵入します。外へ出る際は、少し注意しておくと良いでしょう。
部屋の風通しをするときにしっかり網戸を閉じていても、ちょっとしたすき間が開いていると簡単に入ってきます。網戸を閉じていても蚊が入ってくるときは、網戸のすき間モヘア(網戸と窓枠が合わさるふわふわとしたモヘアの部分)が薄くなっているかもしれません。蚊の侵入を許す原因になっているかもしれないので、チェックしましょう。
まとめ
蚊の活動は季節ではなく、気温で決まります。猛暑日が続く夏や寒い冬でも、家や建物の中に潜んで活動を続けます。蚊の予防や対応策は夏だけでなくいつでもできるようにしておきましょう。
蚊に刺されやすい方は、虫よけスプレーを使用したり、できるだけ白い色の服を着て肌を露出しないようにしましょう。特に、妊婦の方、乳幼児、高齢者の方は、感染症の情報が流れた際は十分に気を付けましょう。