コクゾウムシが発生する原因とは?コクゾウムシの退治方法と予防対策

コクゾウムシが発生する原因とは?コクゾウムシの退治方法と予防対策

ご飯の支度をしようと思ってお米を出している時に黒い小さなものが動いているという経験をした事はありませんか。この虫はお米についてしまうコクゾウムシといいます。

お米が主食でもある私たちの食生活にも影響してくる害虫になりますので、どのような虫なのか、どのような対策をとればよいのかをご紹介します。

コクゾウムシの画像をご覧になりたい方はこちらから ⇒ コクゾウムシ|Wikipedia

コクゾウムシの生態について

コクゾウムシは漢字で穀象虫と書き、鞘翅目(こうちゅうもく)オサゾウムシ科の虫です。
イネ科穀物の害虫として知られています。
私たち日本人の主食でもある米を食べてしまうので米くい虫という別名もあります。
日本だけでなく世界中に分布している害虫です。

体の色は黒褐色か赤褐色で体長は2㎜~3.5㎜と小さく、細長い形をして若干、光沢があり、背中に細かい点がたくさんついているようなデコボコがあります。
名前にもありますが、象の鼻のように長い口が伸びており、穀物をエサとして食べたり、繁殖時には穀物に穴を開ける事が可能になっています。

発達した後翅(こうし)のおかげで飛行能力もあるため、エサを求めて移動し、穀物を食べながら繁殖していきます。

コクゾウムシのライフサイクルと生態

コクゾウムシは長い口で穀物に穴をあけて穀物の中で産卵します。
卵は穀物1粒につき1個産み付けます。
孵化した幼虫は白いウジのような見た目で、周辺にある穀物を食べながら穀物の中で成長していきます。

1年に3回から4回ほど産卵が可能で、1匹のメスが一生に産む卵は200個以上といわれています。
活動が活発になるといわれている25℃から30℃位の環境では卵を産み付けてから約1か月で成虫になります。

成虫になるとコクゾウムシはお米の中から出てきます。
成虫の寿命は100日から長くて200日ぐらいです。

【参考】農研機構・食品研究部門:食品害虫サイト(図鑑:コクゾウムシ)

穀物全般を好む

コクゾウムシはお米についてしまう害虫といったイメージが強いですが、麦やトウモロコシ、パスタなどの乾麺にも被害を及ぼします。

苦手な温度環境がある

コクゾウムシは28℃位の温度が適温の環境となり、気温が18℃以下になると活動を休止します。
5℃以下、もしくは33℃以上になると発育や繁殖ができなくなるといわれています。

再び温かくなって23℃以上になると活動するようになりますので、主に3月から11月にかけて活動する事が多いです。

発熱現象が見られる事も

コクゾウムシが大量に繁殖している場合、穀物の発熱現象が見られます。
発熱した際の温度は29℃位ですが、高い時には38℃位まで上がる事があります。
発熱する事で幼虫の生育期間を短くする事ができ、気温が低い時期でも活動しやすい環境になるためです。

コクゾウムシによる被害について

コクゾウムシによる被害について

コクゾウムシは世界的に食害による被害がある害虫として扱われているので、穀物を食い荒らす被害が主になります。

穀類を食い荒らしてしまう

コクゾウムシによる被害はお米を食べてしまう事です。
成虫のエサにもなりますし、卵をお米の中心に産み付け、幼虫はお米の中でお米を食べながら成長していくために、コクゾウムシの食害に遭ってしまったお米はスカスカな状態になります。

そのため、気がついた時には大量発生している事も多く、全てのお米を廃棄処分しなくてはいけなくなるので家計にも影響してきます。

大量発生による不快感

コクゾウムシの発生数が多いと不快に感じます。
そして幼虫の見た目の色が白いので、見分けがつきにくいです。

コクゾウムシによる被害があった米を取り除いた後でも「駆除しきれないで一緒に何匹か食べてしまっているのではないか?」と不安に感じるようになります。

コクゾウムシに毒性は確認されていませんが、穀物の中に卵、幼虫がいる可能性がある事、そして徐々に大量発生していくという点で不快に感じるようになります。

コクゾウムシが発生する原因について

コクゾウムシが発生する原因について

コクゾウムシはなぜ、お米についてしまうのでしょうか。
それはお米の栽培時や保存状態の良し悪しによって発生の具合が変わってきます。

元々お米についていた

稲作農家は少しでも良質のお米を多く作り出荷したいという理由から害虫対策として農薬を使用します。
一般的に店舗などで販売され流通しているお米に関しては農薬を使用しているためにコクゾウムシの心配もあまりありません。

もし、無農薬で栽培しているお米を入手しているという場合は、稲の時点でお米に卵を産み付けている可能性もありますので、元々購入時からコクゾウムシが混入している事があります。

お米の保存状態が悪かった

コクゾウムシは翅を持っているので飛行できますし、体が小さいのでちょっとした隙間があれば侵入する事も可能です。
そして穀物のにおいを頼りにお米が保存されている場所を探し当て侵入していきます。

そのため、お米を購入して米びつなどに移した後に、管理状態が悪いとコクゾウムシが米びつ内に侵入してお米に卵を産み付けてしまう事もあります。

例えばお米の保存容器やその周辺をこまめに掃除していないと米ぬかの粉が下にたまってきますし、砕けたお米が落ちている状況にもなり、汚れやすくなります。
汚れた状態で放置しているとお米のにおいを嗅ぎつけてコクゾウムシが新しいエサ場、繁殖場として侵入するので注意した方が良いでしょう。

コクゾウムシの被害に遭わないために

コクゾウムシの被害に遭わないために

コクゾウムシが発生する事で保管していた穀物を処分しなくてはいけないと考えると、出来る範囲で事前に対策をしておきたいものです。
コクゾウムシの被害に遭わないように対策するにはお米の保存状態を工夫するのがポイントです。

米びつにトウガラシを入れておく

昔の人はお米に虫がわかないように虫よけ対策として乾燥したトウガラシを米びつに一緒に入れていました。

トウガラシの成分でもあるカプサイシンに防虫効果があります。
お米に入れるトウガラシの量は10㎏ぐらいであれば5本程度で十分です。

この時にトウガラシにへたの部分がついている場合、カビの元にもなりますのでへたを取ってから入れるようにします。

【参考】乾燥唐辛子にコクゾウムシへの防虫効果はあるのか – 農研機構

虫よけを利用する

最近では食品にも使用できる害虫の増殖を抑えるタイプの虫よけが販売されています。
こういった虫よけを利用してコクゾウムシの繁殖を抑える事も期待できます。

少量で購入する

大容量でお米を購入していると長期間保管している間にコクゾウムシが保管場所に侵入してきてしまい、繁殖の被害に遭う事も多いです。
そのため、少量ずつで購入して早く使い切るという方法も一つのコクゾウムシ対策となります。

冷暗所で保管する

コクゾウムシは18℃以下になると活動しなくなるという点からも、低温が苦手という事がわかります。

温度が低い場所で保管する事でコクゾウムシの被害を少なくすることが出来ます。
そのためお米の保管は冷蔵庫をおすすめします。
冷蔵庫の低温で保管する事によってお米の酸化を防ぐ事が出来るというメリットもあります。

大容量で購入している場合、冷蔵庫への保管は難しいと思いますので、少量ずつ購入している人向けの対策になります。

また、最近では保冷タイプの米びつなども販売されているので貯蔵するお米の量が多い場合は購入を検討してみてはどうでしょうか。

コクゾウムシの侵入がしにくい容器を選ぶ

お米を購入した後に袋でそのまま保管して使用しているという人もいますが、コクゾウムシは袋に穴をあけて侵入して繁殖する事もあります。
こういった理由から袋での保管は避けるようにした方が良いでしょう。

少量の保管では密閉容器を使用してコクゾウムシが入り込めないようにするのも一つの方法です。

最近ではペットボトルでのお米の保管をする人が増えてきています。
しっかりと蓋を閉める事も出来ますし、お米をペットボトルに入れる際も100円ショップなどで売られている漏斗(じょうご)を使用すれば簡単に移すことが出来ます。

コクゾウムシを見つけた時には

昔は「コクゾウムシがついてしまったお米は農薬の心配も少ない安心できるお米」と考える人もいたようですが、実質的に卵をお米の中心部に産み付け食い荒らしてしまうという被害を考えると困りものです。

コクゾウムシの被害があったお米は基本的に処分したほうが良いでしょう。
なぜ、より分ける方法は取らない方が良いのかも合わせて読んでみて下さい。

被害範囲が多い場合

コクゾウムシによって食い荒らされ、大量発生している場合があります。
コクゾウムシは低温に弱く、-20℃の環境下で7日から10日置いておけばコクゾウムシは成虫、幼虫共に死滅するという事がわかっています。

なので、冷凍保存するという対策が紹介されている事がありますが、食べる時にコクゾウムシを分けないといけないですし、卵や幼虫の分別も完全にはしきれないというデメリットがありますのでおすすめできません。

人によっては虫が原因でアレルギー症状を引き起こす可能性もあると考えると尚更やめておいた方が良いという事になります。

大量繁殖して被害に遭ったお米は残念ながら廃棄処分するしか方法はありません。
そうならないためにも、お米の保管中は定期的にお米の状態をチェックして、コクゾウムシによる被害が出ないように対策した方が良いでしょう。

少量での発生でも廃棄したほうが良い

コクゾウムシは昔からお米に発生する虫として知られています。
お米は粗末に扱ってはいけないという日本人の考えから少量の虫の発生は仕方がないと思って昔はより分けていたようです。
例えばコクゾウムシが水に浮くという特徴から、お米を洗う際にゆっくりと研いでみると浮いてくるのを利用して取り除いて調理するという人もいます。

また、コクゾウムシは光に反応しますので、新聞紙やシートなどにお米を広げておき、直射日光は避けて光が当たる程度の場所に置いておくと、数時間でコクゾウムシが逃げていく方法を利用する例もあります。

ただ、昔から利用されているこれらの方法はコクゾウムシの卵、幼虫、成虫を完全に駆除できる方法ではありません。
もしかしたらこの方法を使っても若干数の卵、幼虫、成虫が紛れ込み食べてしまう可能性は充分にあります。

基本的にコクゾウムシの発生を確認したら残念ですが、食べる方向で考えたりせずに保管していたお米は廃棄する事をおすすめします。

まとめ

まとめ

コクゾウムシは食害による被害があるので対策としては、お米の保管場所に侵入しないような環境にするという点を心がけ、保管場所はこまめに掃除を行う事で被害を防ぐことが出来ます。

たくさん購入してしまったり保管期間が長いとそれだけコクゾウムシの繁殖の場所として選ばれやすいので、短期間で消費できる量を買うという方法で保管してみると被害を少なくする事が可能です。

「For your LIFE」で紹介する記事は、フマキラー株式会社または執筆業務委託先が信頼に足ると判断した情報源に基づき作成しておりますが、完全性、正確性、または適時性等を保証するものではありません。

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