春の味覚「たけのこ」の秘密

春の味覚といえば、菜の花・春キャベツ・新たまねぎなど色々ありますが、真っ先に思いつくのはたけのこではないでしょうか。採れたての新鮮なたけのこは少し湯がいて刺身で食べたり、焼いたり煮物にしたり、炊き込みご飯などでも味わうことができます。

ところで、たけのこは漢字で「筍」と書きますが、旬とは10日間の意味で、たけのこは10日で成長して、それ以上日が経つと食べられなくなるということから、筍になったと言われています。たけのこは本当に10日で成長するのでしょうか。今回は、たけのこの秘密についてご紹介します。

竹の種類

竹はイネ科の常緑性の多年生植物で、竹の種類は日本に約600種類、世界では1,200種類あると言われています。

主に食用にされているのは孟宗竹(もうそうちく)や真竹(まだけ)で、他にはメダケ(女竹)やハチク(淡竹)などがあります。木は幹が堅く、年々太くなっていきますが、1年目で成長が止まり、2年目からは成長しなくなります。このことから、竹は木でもなければ草でもない独特の植物なのです。

たけのこの成長速度

たけのこは竹の若芽です。このたけのこが成長して竹になるのですが、たけのこの成長スピードは非常に速く、地表に出る頃には1日数cm、10日で数十cm程度伸びます。ピーク時には1日で1m以上伸びることがあり、1日に孟宗竹(モウソウチク)で119cm、真竹(マダケ)で121cm伸びたという記録もあります。

朝、たけのこ狩りをした際に、たけのこの先っぽに帽子をのせたことを忘れて夕方とりにいったところ、1m伸びたたけのこの先に帽子があるのに愕かされたという笑い話があるほどです。約30日でたけのこの皮が全部剥がれて竹になり、約50~60日で約20m前後まで伸びて成長は止まります。

たけのこの秘密その1:成長の早さ

たけのこは皮が完全に剥がれて竹になりますが、1日に1m以上も伸びる成長の秘密は大きく2つあります。

(1)節の数だけ成長

1つ目は茎の先端にある成長点。ここでは活発に細胞分裂が行われます。また、竹にある全ての節には分裂組織があり、ここでも細胞分裂が行われます。節は一本の竹に約60個あると言われ、それぞれの節が1日数cm同時に成長するため、先端の成長点のみで成長する植物と比較して、驚異的なスピードで成長することになるのです。

この節はたけのこの時からすでに備わっていて、竹になっても節の数が増えることはありません。また、たけのこの成長はよく提灯(ちょうちん)にたとえられますが、その理由は下から上に向かって提灯を広げるように伸びるからです。

(2)地下茎から栄養を補給

植物の多くは光合成によって栄養をつくり成長しますが、たけのこは地下茎に直接つながっていて、あまり光が入らない竹林でもこの地下茎から栄養分をもらって成長します。竹の本体は地面に埋もれている地下茎なので、この地下茎を伸ばすことで繁殖していきます。

孟宗竹の場合、竹に成長して成長がストップした後は地下茎が成長を開始し、地下茎は約4ヶ月で約7~8mも伸びてその後は停止し、作った栄養分は地下茎に貯め込んでいきます。そして次の年の春に出てくるたけのこが地下茎に貯め込まれた栄養分を吸収して成長するのです。

たけのこの秘密その2:たけのこの成長は皮の数でわかる

たけのこの成長は皮の数と節の数からわかります。たけのこのしま模様は節となる部分で成長帯と言い、この節の数だけ成長して皮が剥がれます。つまりしま模様と皮の数は一致するため、たけのこの皮を数えるとどれだけ成長するのか想像がつくのです。

たけのこの秘密その3:竹林は1個の植物

竹林はもともと1本の竹から、次々に地下茎を伸ばして大きな林になったものです。見た目には数十数百本の竹があるように見える竹林でも、地下茎でつながった1個の植物と言えます。そのため1本の竹が病原菌などで枯れると、周辺の竹が全て枯れてしまうという現象も起きてしまいます。

まとめ

「雨後の筍」や「破竹の勢い」などことわざにも出てくる竹ですが、縄文時代から竹かごなどに使用されていたことがわかっています。古代から利用されてきた竹は身近な植物として日本人に親しまれ、竹林は美しい風景として日本の文化に根付いてきました。

春の味覚のたけのこを味わいながら、たけのこの秘密を楽しんではいかがでしょうか。

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