2020年5月25日 | お役立ち情報
身近だけど実はこんなに使える「中性洗剤」のメカニズムと掃除で使う方法
洗剤には酸性・アルカリ性・中性といった液性がありますが、普段使う機会が多いのは中性洗剤ではないでしょうか。食器用洗剤に多い中性洗剤は日常的に頻繁に使っていても、どのようなメカニズムで汚れを落としているか知っている人は少ないかもしれません。
この記事では、中性洗剤が汚れを落とすメカニズムとさまざまな活用方法についてご紹介します。
中性洗剤とは
洗剤には酸性・アルカリ性・中性がありますが、これらの液性はpH(水素イオン濃度)によって分けられています。pHは0〜14までの数値で表すのですが、中間の7を中性とし、0に近いほど酸性が強く、14に近いほどアルカリ性が強いです。
洗剤の液性の欄には「中性」「弱アルカリ性」といった表示がありますが、家庭用品品質表示法ではpHにより次のように分類されています。
- アルカリ性…11以上
- 弱アルカリ性…11.0以下0を超えるもの
- 中性…8.0以下0以上
- 弱酸性…6.0未満0以上
- 酸性…3.0未満
掃除をするときは、汚れの種類と洗剤の液性に注目しましょう。酸性の汚れには反対の性質を持つアルカリ性の洗剤、アルカリ性の汚れには酸性の洗剤を使って汚れを中和して落とすのが掃除の基本です。しかし強力な汚れでなければ中性洗剤でも落とせます。中性洗剤はアルカリ性洗剤や酸性洗剤ほど洗浄力が強くありませんが、手肌に優しいため、普段使いしやすいでしょう。
中性洗剤が汚れを落とすメカニズム
中性洗剤が汚れを落とすのは、界面活性剤の働きによるものです。界面活性剤の主なはたらきは、親水性と親油性を持っているため、本来混ざり合わない水と油を混ぜ合わせる乳化作用や、水の表面張力を低下させる作用、細かい粒子を分散させる作用の3つです。
汚れたものを中性洗剤で洗うと、油汚れに界面活性剤の親油性の分子がつき、表面張力を低下させる作用によって汚れを繊維から剥がしやすくします。汚れの外側は親水性の分子が包み込むため、水に引かれることによって汚れを繊維から引き剥がします。このような仕組みで中性洗剤に含まれる界面活性剤が油汚れを落とすのです。
中性洗剤の種類
中性洗剤は、用途によってさまざまな種類があります。身近な中性洗剤にはどのような種類があるかご紹介します。
台所用中性洗剤
食器や鍋、フライパンなどの調理器具は素手で洗うことも多いため、台所用の洗剤は手肌への刺激が少ない中性洗剤が使われることが多いです。
お風呂用中性洗剤
お風呂の軽い皮脂や水垢汚れは中性洗剤で落とせます。中性洗剤なら手肌に優しく、浴槽や床、壁など、浴室内のどの部分にも使えて便利です。
トイレ用中性洗剤
トイレ用洗剤には酸性と中性があります。黄ばみや尿石、水垢などアルカリ性の頑固な汚れがある場合は酸性の洗剤が適していますが、酸性洗剤は素材を傷めやすいというデメリットもあります。
中性洗剤には酸性洗剤ほどの洗浄力はありませんが、軽い汚れなら中性洗剤でも落とせます。中性洗剤であれば便器にも負担をかけませんので、小まめに中性洗剤で掃除するのがおすすめです。
衣類用中性洗剤
洗濯洗剤には、弱アルカリ性と中性があります。衣類の主な汚れには食べこぼしや皮脂汚れなどがあり、しっかりした洗浄力が必要な場合は弱アルカリ性の洗剤が向いているでしょう。中性洗剤は弱アルカリ性の洗剤ほど洗浄力が高くはありませんが、素材に負担をかけずに洗えます。
中性洗剤の中でもおしゃれ着洗い洗剤は素材を傷ませたり縮めたりせずに洗えますので、デリケートな素材の洗濯に向いています。
中性洗剤の基本的な使い方
中性洗剤を使うときの基本的な使い方には2通りあります。掃除をする場所に合わせた使い方をしましょう。
① 原液のまま使う
食器を洗うときはスポンジに原液をつけて洗うように、洗い流せる場所の掃除には原液のまま使えます。たとえばお風呂掃除やキッチンのシンク、トイレの便器の中など、洗った後に水で流せる場所は、原液のまま使いましょう。
② 薄めて使う
洗い流せない場所で使うときは、原液を水で薄めて使います。ぬるま湯を入れたバケツの中に中性洗剤を数滴入れ、その中に雑巾を浸したら固く絞って掃除しましょう。洗剤を入れすぎると泡立ちすぎるので、適度な量にしてください。拭き掃除をした後は、洗剤が残らないようにしっかり水拭きしておきましょう。
NGな使い方
中性洗剤を壁紙や無塗装の家具などの掃除に使うとシミになる可能性があります。そのためいきなり汚れにつけるのはNGです。薄めた中性洗剤をまずは目立たないところで試してみてから使ってください。また、頑固な汚れは中性洗剤だけで落としきれないことがあります。その場合は汚れの種類に合った酸性洗剤・アルカリ性洗剤を使いましょう。
中性洗剤の活用方法
中性洗剤はさまざまな用途で使えます。専用の洗剤がなくても台所用中性洗剤があれば、次のような場所の掃除・洗濯に活用できます。
床掃除
住居用洗剤がなくても、台所用の洗剤でリビングなどの床掃除ができます。家族が集まるリビングは素足で歩くと皮脂汚れでべたつきが気になりますので、台所用中性洗剤を使って拭き掃除をしておきましょう。
用意するもの
- 食器用中性洗剤
- バケツ
- 雑巾(2枚以上)
手順
- 水を入れたバケツの中に食器用中性洗剤を数滴垂らします
- かき混ぜて泡立てます
- その中に雑巾を浸したら固く絞り、拭き掃除をします
- きれいな水で洗った雑巾で水拭きします
- 仕上げに乾拭きをしておきましょう
キッチンの壁
キッチンの壁は調理中の油跳ねや油を含んだ蒸気によってベタベタになってしまいます。油を含んだ蒸気は換気扇をつけていたらほとんど吸い込むのですが、吸いきれないものは舞い上がりますので、台所の壁などをべたつかせ、放置していると黄ばんでしまいます。水拭きではべたついた油汚れが落ちないので、中性洗剤を使って掃除をしましょう。
用意するもの
- 台所用中性洗剤
- スプレーボトル
- キッチンペーパー
- 布巾
手順
- スプレーボトルに200CCの水を入れ、台所用中性洗剤を1滴入れて混ぜます
- キッチンの壁に吹き付けて、キッチンペーパーを貼り付けます
- 5分程度放置したら、キッチンペーパーで壁を擦りましょう
- 布巾で水拭きして洗剤を拭き取ります
シンク掃除
台所用中性洗剤は、シンク掃除にもおすすめです。食器洗いと同じ洗剤を使えばキッチン周りのアイテムが増えすぎず、すっきり片付きます。
シンクの汚れは、主に水垢とヌメリです。水垢は水道水に含まれるカルシウムなどのミネラルが原因で、放置すると固くなって落ちにくくなります。また、ヌメリはシンクに残った生ゴミなどをエサとして雑菌が繁殖すると発生します。これらの汚れは軽いものなら中性洗剤で掃除できますので、汚れをためずに小まめに掃除しておきましょう。
用意するもの
- 台所用洗剤
- スポンジ
- 布巾
手順
- スポンジに原液をつけて泡立てます
- 円を描くようにシンクを擦って洗います
- 洗剤をよく洗い流します
- 水垢を防ぐため、仕上げに乾いた布巾で乾拭きしておきましょう
スニーカーを洗う
泥汚れが目立ちやすいスニーカーは、汚れを放置せず定期的に洗っておきましょう。スニーカーは土などの汚れだけでなく黄ばみも気になりますが、黄ばみの原因はアルカリ性物質が紫外線と反応するためです。スニーカーを洗うときにアルカリ性の洗剤を使うと黄ばんでしまう場合がありますので、中性洗剤を使いましょう。
用意するもの
- 中性洗剤
- ブラシ
- 酢
- バケツ
手順
- 水を張ったバケツに15分程度スニーカーをつけ置きします
- 中性洗剤をつけたブラシでスニーカーを洗います
- 水でしっかりすすぎます
- バケツに水と酢を1対1の割合で入れ、スニーカーを2〜3時間浸けておきます。
- スニーカーをよくすすぎます
- 陰干しして乾かしましょう
少し手間がかかりますが、酢を入れた水につけておくことで、スニーカーについたアルカリ成分を中和し、黄ばみの元を取り除いてくれます。忙しい方には、もっと簡単に靴を洗える商品もありますのでご紹介します。
フマキラーの「シューズの気持ち つけピカ」は、洗浄液につけておくだけで、しつこい黒ずみ汚れも浮かせて落としやすくします。汚れを落とそうとゴシゴシ擦るとスニーカーを傷めてしまう可能性もありますが、「シューズの気持ち つけピカ」はつけ置きして軽く擦るだけでピカピカになるので安心です。靴を簡単に洗えるだけでなく、消臭・除菌効果もありますのでスニーカーや上履きを快適に洗い上げます。スニーカーを洗う手間を軽減できますので、ぜひ使ってみてはいかがでしょうか。
ガーゼ・布マスクを洗う
ガーゼのマスクや手作りの布マスクを洗う機会も増えてきました。マスクはデリケートな素材ですし、顔につけるものなので、食器用中性洗剤で洗うのがおすすめです。女性の場合はマスクに化粧がついてしまうこともあるでしょうが、口紅も中性洗剤で落とせます。
乾燥に時間がかかると雑菌が繁殖しやすいので、手洗い後は水気をよく吸い取ってから干しましょう。基本的には手洗いがおすすめですが、洗濯機で洗うときはネットに入れてドライコースで洗ってください。
用意するもの
- 中性洗剤
- 洗い桶
手順
- 洗い桶に水かぬるま湯を張り、中性洗剤を適量入れます
- マスクを入れて押し洗いします
- 洗剤が残らないようによくすすぎましょう
- 絞ったらタオルに挟んで水気を吸い取るか、洗濯機で少しだけ脱水します
- シワを伸ばして形を整え、陰干ししましょう
まとめ
中性洗剤は肌に優しいだけでなく素材にも優しいため、あらゆる場所の掃除に安心して使えます。用途別にたくさんの洗剤を揃えなくても、台所用中性洗剤で床やトイレなどの掃除も可能です。
中性洗剤は、酸性やアルカリ性の洗剤ほど洗浄力は強くありませんが、軽い汚れであれば問題なく落とせます。汚れをためないように日頃からマメに掃除をしておけば、家庭内の大部分の汚れに対応できるでしょう。
掃除をするときは、いきなり洗浄力が高い洗剤を使わずに、まずは中性洗剤で落ちるか試してみてはいかがでしょうか。