2018年7月19日 | 虫
トコジラミが発生する原因とは?トコジラミの習性を知って対策しよう
トコジラミはこれまで海外での被害報告が多く、海外旅行の際に注意すれば良いというイメージでしたが、2000年を過ぎたあたりから海外からの荷物に紛れて日本国内での被害も増加しつつある害虫となっています。
これまで海外旅行に行ったことがない人でも国内で利用した宿泊先、移動先がきっかけでトコジラミの被害に遭う可能性もあるのかもしれません。
トコジラミはどのように発生するのでしょうか。そしてどのように対策をすればよいのかをまとめてみました。
トコジラミの画像をご覧になりたい方はこちらから ⇒ トコジラミ|Wikipedia
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トコジラミの生態について
トコジラミは床虫という別の呼び方もあり、名前にシラミがついていますが、カメムシ目のトコジラミ科の虫になります。
吸血性の寄生する昆虫で、人間を吸血する種類として主にトコジラミとタイワントコジラミなどがいます。
トコジラミの種類
トコジラミ
トコジラミの体長は5㎜位で、生涯を通して翅(はね)は持っていません。
体の色は薄黄色から赤褐色系の色をしていますが、吸血をすると体内に入った血液が影響して濃い茶色となり、体も伸びるので吸血後は7、8㎜位の大きさになります。
タイワントコジラミ
ネッタイトコジラミという別の呼び方もあります。
タイワントコジラミの体長はトコジラミとそれほど変わりませんし、生涯を通して翅は持っていません。
トコジラミとの違いはわずかに胸部の形が違うだけで、トコジラミに比べてタイワントコジラミの方が胸部がやや細いという程度なので、目視では区別しにくいです。
日本国内では南西諸島で生息が確認されています。
【参考】国立感染症研究所昆虫医科学部
トコジラミのライフサイクルと生態
トコジラミの成虫は温度や吸血状態にもよりますが、1日に5~6個の卵を産み、一生のうちに100〜200個ほど産卵します。卵の大きさは1㎜程で色は乳白色です。
幼虫と成虫の見た目はほとんど同じ形で大きさが違うだけです。
幼虫は1.5㎜ぐらいなので見つけにくいですが、5回ほど脱皮を繰り返して大きくなり、成虫になると5㎜程の体長になるので目視でも見つける事が出来るようになります。
明るい場所を嫌う
トコジラミは夜間、吸血をして活動していますが、明るい場所を嫌い、暗い場所を好むという習性から、暗ければ昼間でも活動できます。
環境状況が悪いと休眠する
トコジラミは自分にとって環境が悪い状況になると休眠する習性があります。
例えば気温が上がりすぎている時期や逆に冬に気温が下がりすぎている時期、吸血できずに栄養源とするものが無くなった時などです。
ちなみにトコジラミはこの休眠のおかげで1年以上吸血をしなくても生き延びる場合があるため、一見、トコジラミを見かけなくなって駆除できたと思っていても完全に駆除しきれていないということもあります。
進化して薬が効かない種類も
トコジラミは第二次大戦前後から1960年ごろにかけては日本でも一般的な害虫として知られていました。
第二次世界大戦後に散布されたDDTという殺虫剤により1970年代に一度、姿を消しつつありました。
ところがトコジラミはここ最近、海外からの荷物で持ち込まれるようになり、日本国内でもまた増えてきているのです。
そしてトコジラミに対して効果があるといわれていたピレスロイド系の殺虫成分でも抵抗性を持つように進化して殺虫剤が効きにくいスーパーナンキンムシと呼ばれているトコジラミも出てきて問題になっています。
病気の媒介の心配は?
トコジラミは吸血するため、心配になるのは吸血を介して病気を媒介する事はないかという部分だと思います。
今のところトコジラミが媒介する伝染病は報告されていません。
トコジラミによる被害について
トコジラミによる吸血被害はかなり厄介で強いかゆみが発生します。
また、トコジラミはスーパーナンキンムシのように殺虫成分が効きにくいものもいるため、駆除するのに時間がかかるといった問題点もあるので被害が続く事もあります。
吸血被害
トコジラミによる一番の被害は吸血被害です。1回につき平均3〜10分前後、吸血します。
個人差はありますが、最初に刺されたばかりの時にはかゆみを感じない事も多く、2回目以降に吸血された人は抗体が作られるため、数時間から数日後にかゆみが発生します。
このかゆみは吸血時に一緒に体に入ってくるトコジラミの唾液によるアレルギー反応のためです。
トコジラミに刺されると肌にはっきりとした1円玉ぐらいの大きさの赤い斑点が出現し、この跡は2週間以上残ります。そのかゆみの強さは眠れない事もあるぐらいです。
また、トコジラミは移動しながら吸血していくので刺された跡がいくつも広範囲に出来てしまいます。
商業施設への被害
トコジラミは荷物に潜り込み移動する事から宿泊施設等で発生する事もあります。
多くの人が利用する施設での発生は一定期間の駆除が必要になります。
そのため駆除が完了するまでの間に施設を営業停止にしなければならないといった被害も出てきます。
トコジラミが発生する原因について
害虫の発生原因の多くは衛生面が関係していますが、トコジラミに関して衛生面はあまり関係がありません。
主に人間が持ちこむ
トコジラミは翅を持っていないので飛んで移動する事は出来ません。またジャンプする事も出来ませんし、一晩で這って移動したとしても30mぐらいだといわれています。
そのため、トコジラミは荷物などに潜り込んで人間と一緒に移動をし、暗い場所でエサがないかを探して活動しています。
海外からの観光客が訪れる地域のホテルや旅館などで被害が報告されるようになりました。他にも海外旅行に行った人の荷物に紛れ込んだものが自宅での繁殖につながる事もあります。
物資、家具が原因になる事も
海外から買い付けた物資やビジネスにより海外から持ち込んだものの隙間に潜り込み被害が広がる事もあります。
中古の家具にトコジラミが潜んでいた事がきっかけでトコジラミの被害に遭うという例もあります。
トコジラミが潜入しやすい家具として椅子やソファー、中古のベッドなどがあります。
トコジラミが発生しているかを確認するには
トコジラミが数匹という少ない数の場合、気がつきにくいです。
交尾をして孵化しても小さすぎて見つけにくいですし、成虫になってから繰り返し繁殖をして増えてから発見される例があります。
トコジラミが繁殖しながら3ヶ月くらい経過したあたりから、大量発生して気がつく事が多いです。
刺されている箇所がダニとも違う、もしかしてトコジラミかもしれないと思った時にまず確認したいのはトコジラミが発生している場所があるかです。
今、自分の家にトコジラミが発生しているのか、もし生息しているとしたらどのあたりなのかを探す際の参考にしてみて下さい。
トコジラミが好む場所
トコジラミは一般的に夜行性の昆虫なので、暗くて狭い場所を好む傾向があります。
衣類や布団、ベッドの間やマットレスの間、畳どうしのすき間や下、壁と壁紙の間、カーペットの下、家電製品の中、柱と天井の隙間、床板の隙間、ベッドやタンスといった家具の隙間、本や棚の隙間、カーテンの裏やつなぎ目、カーテンレールなど暗くて狭い場所であればトコジラミが潜んで繁殖するのに適した場所になります。
糞による汚れがあるかを探す
トコジラミは紙一枚分ぐらいの隙間があれば入り込んでしまうので色々な場所に潜む可能性があります。
トコジラミが繁殖した場所に黒褐色の糞がついて汚れるようになります。
衣類などにつくカビとも違う濃い汚れが出てくるようになったと思った場合、トコジラミが汚れのある場所付近で生息している可能性が高いので、隙間などに成虫がいないかを確認するようにしてみましょう。
トコジラミの被害に遭わないために
トコジラミは荷物などに潜り込んで運ばれるという特徴があります。旅行時の荷物への入り込みや吸血被害への対策を行うようにしましょう。
旅行時の対策
海外旅行の時の荷物にトコジラミが潜り込む事で自宅に持ち帰ってしまう可能性もあります。
トコジラミの被害が多い地域に旅行される際には対策の一つとしてカバンを大きな袋に入れておくようにするのもおすすめです。袋に入れて密閉しておくことでカバンの中、衣服などに入り込む事も防げます。
また、帰ってきてから持って行った衣服類は全て熱処理をすると良いです。
50℃以上のお湯に1分以上つけて熱処理すると、トコジラミを持ち帰ってしまった時の対策になります。
【参考】トコジラミ なぜ復活? | 衣・食・住 | NHK生活情報ブログ
虫よけを利用する
トコジラミは夜、活動して人間を吸血しようとします。
虫よけスプレーの中にはトコジラミにも効果がある商品もありますので、使用して吸血被害を避けるという方法もあります。
自宅でトコジラミに刺される、旅行先でトコジラミの心配があるという場合は吸血被害の対策になるので安心です。
トコジラミを見つけた時には
トコジラミによる被害が出た、またはトコジラミを発見したという場合、大量発生する前に駆除をするようにしましょう。
トコジラミに刺された箇所への対処
トコジラミに刺されると強いかゆみの影響で仕事や睡眠にも影響が出るほどです。
二次感染がないようであればステロイド系の軟膏を塗ったり、抗ヒスタミン剤の内服で症状を緩和させる事が出来ます。
殺虫剤の使用
トコジラミに効果のある殺虫剤を利用して駆除します。
トコジラミを見つけたらスプレータイプのもので駆除をして、その後の見逃したトコジラミがいないかも含め対策をすると良いです。念のため1週間ぐらいしてから再び殺虫剤での駆除作業をおすすめします。それは卵があった場合を想定しているからです。
トコジラミの卵は殺虫剤では効果がありません。卵は1週間ぐらいでかえります。
幼虫は小さすぎて見つけにくいので、成虫だけ駆除しても幼虫や卵を見逃したために駆除しきれなかったという場合も考えておいた方が良いでしょう。
2回、もしくは3回ぐらいは毎週、殺虫剤での駆除をして卵や幼虫対策をしておくと良いです。
最近では一度すき間などに散布したら1か月ほど効果が持続する殺虫剤もありますので、予防対策も兼ねる事が出来ます。状況に合わせて併用してみると良いでしょう。
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駆除して効果がなかった場合は業者へ相談を
殺虫剤を利用しても効果がなかった、トコジラミが死ななかったという場合、殺虫成分に対して抵抗性を持っているトコジラミの可能性もあります。
この場合は害虫駆除業者へ相談してみると良いでしょう。
また数が多すぎて駆除しきれなかったという場合も早めに業者に相談してみて下さい。
早めに駆除したほうが被害が少なく済みます。
まとめ
トコジラミは知らない間に衣類や荷物に潜り込み人間が運ぶ事で新しい場所で繁殖していきます。
気がつかないうちに繁殖している、異常なかゆみのせいでする事が手につかない、場合によっては殺虫成分が効きにくく駆除しきれないものもいるなど、トコジラミはかなり厄介な害虫ともいえます。
寝ている間に虫に刺されてかゆみがひどいという場合はトコジラミも疑ってみて下さい。そしてトコジラミを見つけた場合は早めに駆除するようにしましょう。