ツツガムシが発生する原因とは?習性を知ってつつが虫病の対策をしよう

ツツガムシが発生する原因とは?習性を知ってつつが虫病の対策をしよう

登山や川でのレジャーを楽しむ中、ツツガムシによる被害が毎年発生しています。ツツガムシは体長が1mm以下と小さく、体に付着してもほとんど気付きません。刺されてしまうと、痛みやかゆみだけでなく頭痛や高熱などの症状を発症することもある危険な害虫です。

危険なツツガムシから身を守るために、ツツガムシが発生する原因や習性を理解しておきましょう。登山や川へ行っても、ツツガムシの被害に遭わないための知識や予防法についてご紹介します。

ツツガムシの生態について

ツツガムシは、ダニ目ツツガムシ科に分類されるダニの一種です。日本に生息するツツガムシ科に属するダニは、約100種類となっています。

ツツガムシが生息する地域は、種類によって異なりますが全国にわたって広く分布しています。

ツツガムシとはどんな虫?

日本に生息し被害を及ぼすツツガムシの種類は、主に3種類です。基本的に草むらの多い山林や河川などに発生します。

アカツツガムシ

生息地域:主に秋田県、新潟県、山形県
主な発生場所:河川敷付近
発生時期:春から初夏

フトゲツツガムシ

生息地域:全国。特に東北、北陸、山陰地方で見られる
主な発生場所:山間部
発生時期:春から初夏、秋から初冬

タテツツガムシ

生息地域:太平洋側の暖かい地域。房総、東海、九州地方で見られる
主な発生場所:山間部
発生時期:秋から初冬

ツツガムシは、主に土の中で生活をしています。土の中で生まれたツツガムシの卵が幼虫となったとき、土から現れて山林や河川にいるネズミなどの動物に寄生します。動物に寄生したツツガムシの幼虫は、くちばしを皮膚に突き刺し、唾液で溶かした体組織を養分として吸って成長します。養分を蓄えたら、また土の中にもぐって成虫へと成長します。

ツツガムシが動物に吸着するのは、幼虫のときだけです。幼虫のときの体長は1mm以下と小さいため、発見は非常に困難です。

ツツガムシの発生に注意する時期

ツツガムシが発生する時期は、主に春と秋の2つの時期になります。注意する時期を地域別でみると次のようになります。

東北・北陸地方

寒い気候に抵抗力があるフトゲツツガムシは、越冬して融雪を経てから活動が活発になるため、春から初夏にかけて発生が多くなります。

関東~九州地方

タテツツガムシ、フトゲツツガムシは、秋から初冬にかけて孵化するので発生が多くなります。

秋田県、新潟県、山形県

3県に生息するアカツツガムシは、春から初夏に発生がみられます。アカツツガムシは、現在ほとんど生息していないと考えられていますが、2008年に秋田県でアカツツガムシによる被害が発生しています。

そのため、アカツツガムシが生息する地域では、春から初夏も注意しなければなりません。

ツツガムシの被害について

ツツガムシの被害について

ツツガムシに刺されると、つつが虫病という感染症になる可能性があります。つつが虫病は、ツツガムシに刺されると必ずなる病気ではなく、「リケッチア」と呼ばれる病原体を持つツツガムシに刺されると発症します。

病原体「リケッチア」を持つツツガムシは、ツツガムシ全体で0.1~3%と言われています。リケッチアを保有するツツガムシの割合は低いのですが、2017年には、全国で439名の患者が報告されています。

つつが虫病は全国で発症

つつが虫病は、毎年約300~500件の被害が報告されています。被害が発生する地域は東北地方から九州地方なのですが、2008年に北海道の北見保健所や沖縄の宮古保健所の管轄区域で被害が発生しました。

北海道や沖縄ではつつが虫病が発生しないと言われていましたが、現在ではどの地域でも注意を呼び掛けている状況です。

つつが虫病の症状

まずツツガムシに刺された直後は、ほとんど自覚がありません。ツツガムシに刺された傷口は、時間が経つにつれて10mm程度の大きさに赤く腫れてきます。

次に、全身に発疹が見られるようになり、リンパ腺が腫れ始めて38℃以上の高熱を発症します。潜伏期間は5~14日程度です。その間、多くの患者は倦怠感や頭痛を訴えます。

つつが虫病の治療が遅れると、「播種性(はしゅせい)血管内凝固」を発症させる危険があります。「播種性血管内凝固」とは、血管内に無数の血栓ができてしまう状態で、悪化すると細い血管が詰まってしまうため血流が悪くなり、腎臓や肺などの内臓障害を引き起こします。内臓障害が悪化すると、場合によっては死亡する可能性があります。

つつが虫病は古典型と新型の2種類ある

つつが虫病は、アカツツガムシが原因となる古典型と、フトゲツツガムシやタテツツガムシが原因となる新型の2種類があります。

アカツツガムシが原因の古典型は、江戸時代から秋田県、新潟県、山形県などを中心に多く発症していました。当初は、発病の原因が分かっていなかったため、死に至る風土病として恐れられていました。

明治になるとアカツツガムシの存在が判明し、「リケッチア」という病原菌が発病の原因だと明らかになったことで対策ができるようになり、現在では古典型の発症はほとんど見られなくなりました。

古典型が減少する一方で、フトゲツツガムシやタテツツガムシが原因となる新型が、戦後間もない1948年に富士山ろくで演習中のアメリカ軍兵士が熱病に倒れたことから発見されました。新型は東北地方で発症が多かった古典型とは違い、九州地方や関東、東海といった本州で多く発症するようになりました。

新型は、死に至ると恐れられていた古典型と比べて、発症しても比較的症状が軽い場合が多いのが幸いです。ただし、間違った処置や対応が遅れてしまうと死に至るケースもあるので十分に注意しなければなりません。

つつが虫病の治療法

つつが虫病は、始めの症状が風邪やインフルエンザ、腎盂腎炎に似た症状なので、自己判断せずに、必ず医療機関で診断してもらうようにしましょう。

つつが虫病の診断をするためには、草むらのある山林や河川に行ったということを医師に伝えることが重要です。ツツガムシに刺された傷を見つけていたら、しっかりと医師に診てもらいましょう。

ツツガムシが発生する原因

ツツガムシが発生する原因

ツツガムシは、山林や河川の草地、畑などに生息します。家や建物といった屋内で繁殖し、被害に遭った事例はまだありません。屋内で発見されない理由は、ツツガムシは土中に卵を産むため屋内での繁殖が困難なためです。ツツガムシが発生する場所は、まず屋外と考えて良いでしょう。

野山や河川の草むらに注意

ツツガムシの幼虫は動物に取り付いて吸着するために、動物が出す炭酸ガスを頼りに集まってきます。草むらや地面に腰を下ろしたり寝そべったりすると、土の中から現れたツツガムシが動物の皮膚に取り付き、くちばしを突き立てて何時間もかけながら唾液で体の組織を消化して組織液を吸います。

組織液を満腹になるまで吸ったツツガムシの幼虫は、地上に落ちて土の中にもぐります。土の中では、トビムシの卵や微小な虫を食べて成虫になります。

ツツガムシの生息地

ツツガムシが生息するためには、卵から成虫になるまでに必要な餌が豊富な場所でなければなりません。幼虫のときには組織液を吸うための動物、若虫や成虫の時期は土の中に微小な虫がいる場所である必要があります。

そのため、ツツガムシが生息している場所の特徴は、ネズミや小動物が生息しやすく、植物が育ちやすい森林や河川の草むら、畑となります。

ツツガムシに刺されないための予防法

ツツガムシに刺されないための予防法

ツツガムシの幼虫は、1mm以下と非常に小さいので発見が難しいのが現状です。ツツガムシの被害に遭わないためには、ツツガムシが生息しそうな草むらに入らないことが一番の予防策です。

予防に必要な装備

ツツガムシが生息していそうな場所に入る場合は、次のような服装や準備をすると良いでしょう。

  • 肌を露出しないように長袖、長ズボン、手袋を着用
  • 足元から侵入されないように、長靴や雨具などで使われるシューズカバーを利用する
  • 地面に座るときは、シートを敷く

まずは、肌を露出させないことが大切です。ほかにも、ツツガムシが袖口などから侵入しないように、袖口を絞れる服を着用したり、カバーをしたりすると良いでしょう。

また、脱いだ上着やタオル、帽子などを地面や草の上に置かないようにしましょう。

帰宅したらするべきこと

帰宅した後は、すぐに衣服を脱いで洗濯し、入浴やシャワーを浴びて身体を洗いましょう。ツツガムシが好む場所は、陰部、内また、わきの下、下腹部といった皮膚が柔らかく湿っている部分なので、入念に洗うようにしましょう。

脱いだものをしばらく放置したり、草むらに入ったままの恰好で家の中をうろうろと歩き回ったりしないようにしましょう。

まとめ

ツツガムシに刺される危険な場所は、森林や河川の草むらなのでむやみに近づかないようにしましょう。森林などに入る場合は、肌を露出しないよう服装に心がけて、上着やタオルなどを地面や草の上に置かないようにしましょう。さらに、帰宅後は衣服の洗濯と入浴をすぐに行うことが大切です。

ツツガムシによる被害は、数が少ないとはいえ毎年発生しています。わずかではありますがつつが虫病による死亡例もあるため注意が必要です。発生場所は九州や本州だけでなく、北海道、沖縄にも広がりつつあります。

しかし、予防策や対処をしっかりと行えばむやみに恐れることはありません。きちんとした準備と帰宅後の対処を行えば、ツツガムシの被害に遭わない予防となります。

もし、刺された傷口を発見した時や発熱、発疹といった症状を発症したら放っておかず、すぐに医療機関へ行き診断してもらいましょう。早期発見と治療が、つつが虫病を悪化させない方法です。

ツツガムシが発生する原因や習性を十分理解して、被害を未然に防ぎましょう。

「For your LIFE」で紹介する記事は、フマキラー株式会社または執筆業務委託先が信頼に足ると判断した情報源に基づき作成しておりますが、完全性、正確性、または適時性等を保証するものではありません。