AI(人工知能)はどこまで進化している?身近な活用事例・メリットを紹介

AI(人工知能)はどこまで進化している?身近な活用事例・メリットを紹介

近年、目覚ましい発展を遂げているAIは、さまざまなサービスで活用されています。私たちが普段使っているスマートフォンや家電などにもAIの技術が活かされているので身近に感じるようになりました。しかし、現在のAIがどのくらい進化しているのかよく知らない方も多いのではないでしょうか。本記事ではAIの身近な活用事例やAIを活用するメリットなどをご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

AIとは

そもそもAIとは何か確認しておきましょう。AIはArtificial Intelligence(人工知能)の略です。人工知能学会によると「知的な機械、特に、知的なコンピュータプログラムを作る科学と技術」とされていますが、定義は研究者によって異なります

AIの学習方法には機械学習とディープラーニング(深層学習)があります。現AIは、ディープラーニングの登場によって精度が大幅に向上しました。機械学習とディープラーニングには、次のような違いがあります。

  • 機械学習…人間が定義した法則や特徴を学習させ、人間と同じように判別させる
  • ディープラーニング…ニューラルネットワークという仕組みで、機械が自力で特徴や法則などを判断します。

AIにできること

AIは具体的にどのようなことができるのか気になる方が多いのではないでしょうか。AIの得意な分野には、おもに次のようなことがあります。

画像認識

画像認識とは画像に写っているものを識別する技術で、おもに顔認証・物体検知・文字認識・異常検知・画像検索システムなどの分野で活用されています。たとえば顔認証は、顔の大きさや輪郭、目・鼻・口などの位置を基に照合されます。身近なところでいえば、スマートフォンの顔認証ロック解除機能もAIの画像認識技術です。

また、クレジットカードの顔認証決済サービスの展開も検討が進められています。顔認証は暗証番号のように盗まれて悪用される心配がないため、セキュリティ強化が期待されます。

音声認識

音声認識

音声認識は、人の音声を認識・理解してテキストへ変換する技術です。音声入力やAIアシスタント、電話対応などの分野で活用されています。身近なところでは、スマートフォンに搭載されているSiriやGoogle音声アシスタント、スマートスピーカーなどが挙げられるでしょう。

また、音声だけで文字入力や漢字変換をしてテキストを作成する技術は、議事録の自動作成などに活用されています。話しかけるだけで文章を入力できるので、手入力よりも格段にスピーディーです。漢字変換の間違いが起これば手動で修正が必要ですが、さまざまなシーンで活用できます。

自然言語処理

自然言語処理とは、人間が使っている言語をコンピューターに処理させる技術です。たとえばGoogle翻訳などは、AIの自然言語処理を活用したものです。また、顧客からの問い合わせに応じるチャットボットもAIの自然言語処理技術が活用されています。

予測

AIには蓄積された大量のデータを基に予測する技術もあります。検索エンジン、株価予測などもAI予測の活用です。AI予測は最適な生産計画を立てたり、利益の最大化につながったりするため、さまざまな業界で導入されています。

AIを活用するメリット

AIはさまざまな分野で幅広く活用されています。AIを活用すれば、おもに次のようなメリットが得られます。

生産性の向上

人間が行なう仕事は、一人ひとりのスキルによって業務の質に差が出ます。また、その日の体調が業務に影響を与えることもあるでしょう。しかし、AIは正確でスピーディーな仕事が持ち味です。人間のように日によって仕事の質に違いが出ることはありません。

また、人間が行なう仕事はミスを完全になくすことは難しいですが、AIは正確性が高いので、人為的なミスによる時間のロスを大幅に削減できます。

人手不足の解消

AIが得意とする作業を人間からAIに置き換えることで、人手不足の解消につながります。たとえば小売業界で導入されている無人レジには画像認識方式とICタグ・RFIDタグ方式があり、セルフレジとは違って消費者が機械を操作する必要はありません。商品を台に置くことで商品を認識して精算できるため、店舗スタッフのサポートが必要なくなり、人手不足の解消に役立ちます。

人件費の削減

これまでスタッフが行なっていた業務をAIに置き換えることで、人手不足の解消とともに人件費の削減も可能です。人員を減らすだけでは、一人当たりの業務量が増えて負担がかかりますが、AIを導入することで仕事の質を保ちながらコストを削減できます。

市場ニーズの予測による利益増加

市場ニーズの予測による利益増加

AIには大量のデータを分析して予測する技術もあるため、市場や顧客ニーズの高精度な予測が可能です。AIの予測を経営戦略に活用することによって利益の増加につながる可能性があります。

AIを活用するデメリット

私たちの生活を便利にしてくれるAI。しかし、AIの活用にはデメリットといえることもあります。

雇用の減少

AIは人手不足の解消や生産性の向上に役立ちますが、将来的に人からAIに取って代わられる仕事があるのではないかと危惧されています。AIが得意とするのは、正確性が求められる仕事です。AIを活用すれば、人間よりも正確でスピーディーに作業をこなせます。

また、AIはルールに従って業務をこなす定型業務も得意分野です。現在は人間が行なっている仕事も将来的にはAIが担う可能性があるでしょう。

一方、AIが苦手とする分野もあります。たとえば定型業務とは対照的であるクリエイティブな仕事や、臨機応変な判断が必要な仕事はAIに難しいと考えられています。

セキュリティの問題

AIを活用すると顧客情報などの機密情報を取り扱うので、情報漏洩のリスクに注意が必要です。セキュリティ対策として専門知識を持つ担当者の常駐が必要になるでしょう。

AIの活用事例

AIは、さまざまな業界で活用されています。身近な例から業界別の活用例などAIの活用事例をご紹介します。

身近な家電

身近な家電

AIは多くの家電に活用されています。たとえば最近のエアコンには人を感知できるセンサーを搭載したタイプが増えました。家族一人ひとりの体感温度を予測して温度調整するなど、リモコンで操作しなくても自動的に快適な温度に調整してくれます。また、センサーによって家具などの障害物を避けながら掃除するお掃除ロボットや、洗い時間・洗い方を自動で判断する洗濯機など、さまざまな家電にAIが活用されています。AIが搭載された家電を利用することで、家事にかかる時間を短縮できるでしょう。

カスタマーサービスにチャットポット

小売業では、カスタマーサービスにチャットポットが活用されています。顧客からの問い合わせが多く、電話などでの対応が追いつかない場合、顧客満足度が低下する恐れがあります。AIの自然言語処理技術を活用したチャットポットを導入することで、顧客が24時間いつでも問題を解決できるようになり、顧客満足度を維持できるようになるでしょう。

飲食店は来店客数の予測に活用

飲食店は来店客数の予測に活用

飲食店では、来店客数の予測にAIの活用事例があります。来店客数の予測は仕入れに関わるので重要ですが、これまでは経験や勘に頼るしかありませんでした。AIを活用することで、過去のデータから精度が高い予測を立てられます。

食材を発注しすぎると食品ロスにつながりますが、反対に食材の発注が少なすぎて足りなくなるとお客さまに料理を提供できなくなります。AIは自動発注や在庫管理にも活用できるため、売上の増加やコスト削減につながるでしょう。

製造業では外観異常の検知に活用

AIは、製造物の外観検査に活用される事例があります。製造業では、製造物の外観に傷などの異常がないか目視の検査が欠かせません。AIの画像認識技術を活用することで、これまで目視で行なっていた検査をAIが担い、精度の高い検査が可能になります。人が行なう場合、検査漏れが起こる可能性もありますが、AIはそのような心配もありません。

農薬散布や自動野菜収穫

農業では、高齢化や人手不足などの課題を解決するためにAIが活用されています。農産物の収穫量を安定させるためには、病害虫対策として農薬散布が必要です。しかし、人の手では偏りが出たり、必要のない場所までまいたりする可能性があります。また、農薬を散布する人の健康への影響も心配です。

AIを活用すれば、ドローンで上空から撮影した画像から病害虫を検知できるため、農薬散布が必要な場所を判断できます。また、自動操縦のドローンで農薬を散布できるため、人手が不要です。

さらに農作物を自動で収穫するロボットの開発も進んでいます。ロボットがカメラで作物を認識し、収穫すべき状態か見極めるためにAIの画像認識技術が活用されています。現在のところ収穫ロボットは、収穫可能な農作物が限られていることや、初期費用が高いことが課題となっていますが、今後の進化に大きな期待が寄せられています。

デンマークでは「人工党」が結成される

デンマークでは2022年5月、政策立案を全面的にAIに委ねる政党「人工党」が結成されて話題になりました。2023年6月の総選挙で候補者擁立を目指しているそうです。同党のAIは、1970年以降に存在したデンマークの小政党の全刊行物を分析。前回の総選挙で約15%の有権者が棄権したのはどの政党にも魅力を感じないからとして、投票を棄権している有権者に働きかけたいとしています。

ただし、来年の総選挙に候補者を擁立するには、2万182筆の署名が必要です。それまでに署名が集まらなければ出馬できません。人工党が議席を獲得できれば、国会議員の仕事とAIを結びつける計画がなされています。

まとめ

今後なくなる仕事があるのではないかという心配はあるものの、進化を遂げるAIは私たちの生活を便利にしてくれます。また、AIはさまざまな業界で活用され、生産性の向上や人手不足の解消に貢献しています。これから先、AIがどのように進化していくのか注目しておきましょう。

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