2022年8月5日 | お役立ち情報
包丁の切れ味が落ちる原因は?見分け方と長持ちさせるコツを徹底解説
料理でほとんど毎日のように使う包丁。包丁は使っているうちにだんだん切れ味が落ちてきます。買ったときはスパッと切れたのに、だんだん切れにくくなってくるのはなぜなのでしょうか。この記事では、包丁の切れ味が悪くなる原因や、包丁の持ちを良くする方法、砥石を使った研ぎ方などをご紹介いたします。
包丁の切れ味が悪くなる理由
たとえ高価な包丁でも、使っているうちに切れ味は落ちてきます。まずは包丁の切れ味が悪くなる理由を確認しましょう。
刃先の摩耗
包丁を使い続けると切れ味が悪くなる理由は、刃先が摩耗してくるからです。よく切れる包丁は、刃先のギザギザが食材に引っかかります。しかし、刃先が摩耗するとギザギザがなくなって丸くなるので、食材の上で滑ってなかなか切れないのです。
サビ
鋼の包丁は丈夫で切れ味がいいことが特徴ですが、濡れたままにしておくとサビが発生して切れ味が悪くなります。鋼の切れ味を保つためには、日頃のお手入れが重要です。使用後はお湯で汚れを洗い流し、乾いた布巾で水気を拭いてから風通しの良い場所に保管しましょう。
また、ステンレスの包丁はさびにくいものの、レモンなどのかんきつ類を切ってそのまま放置しているとサビが発生することがあります。使用後は洗剤で洗い流しておきましょう。
刃こぼれ
硬い素材を無理に切ると刃に負担がかかり、刃こぼれして切れ味が悪くなることがあります。硬すぎる食材を切らないように注意が必要です。刃こぼれした包丁は、刃を研ぐことで切れ味を取り戻せます。
切れ味が落ちた包丁の見分け方
包丁は徐々に切れ味が落ちていくため、切れ味が落ちていることに気づかないかもしれません。切れ味が落ちた包丁の見分け方としては、以下のような状態があります。
- トマトを切るとつぶれて水分が出る
- 長ネギを切ると下まで切れずにつながっている
- 玉ねぎを切ると目にしみて涙が出る
- 鶏皮を切ろうとしても包丁が滑って切りにくい
- 刺身を切ったときに切り口の角が立たない
包丁の切れ味を確認するには、トマトを切ってみるとわかりやすいでしょう。切れ味がいい包丁でトマトを切ると、刃先がスムーズに入るのでつぶれることなくスライスできます。一方、切れ味が落ちた包丁ではトマトの皮に包丁がひっかかるためつぶれてしまい、水分が出てしまいます。
切れ味が落ちた包丁は調理中のストレスとなるだけでなく、食材の旨味を逃してしまいますので、砥石で研いで切れ味を復活させましょう。
切れ味が落ちた包丁のデメリット
切れ味が落ちた包丁で野菜を切ると繊維をつぶして水分が出てしまうため、鮮度低下につながります。スムーズに切れなくて切り幅にばらつきが出てしまうでしょう。また、肉を切ると肉汁が出てしまうため、高価な肉もおいしさを損なってしまいます。
切れ味が落ちた包丁を使うと食材の鮮度やおいしさを損ない、料理の見栄えも悪くなるというデメリットがあります。
包丁を長持ちさせるコツ
包丁の使い方に注意することで、包丁を長持ちさせられます。包丁の切れ味をできるだけ保つために、次のことを意識しておきましょう。
木製のまな板を使う
包丁の刃を磨耗させる大きな原因がまな板です。食材を切るとき、必ずまな板にも刃が当たります。まな板は硬いので食材のように切れませんが、刃先を磨耗させています。
プラスチック製のまな板のメリットは、軽くて扱いやすく、内部に水分を含まないので細菌が繁殖しにくいということです。しかし、木製のまな板に比べて硬いため、包丁を磨耗させやすいのがデメリットです。
包丁を長持ちさせるためには、包丁に優しいまな板を使いましょう。木製のまな板には適度なやわらかさがあるので、包丁が当たったときの感触がよく、刃にダメージを与えにくいです。また、包丁を磨耗させにくいだけでなく、食材を切るときに疲れにくいというメリットもあります。
硬い食材を切らない
冷凍した食材や肉・魚の骨など、硬いものを切ると包丁の刃に負担がかかり、刃こぼれすることがあります。冷凍した食材は解凍して柔らかくなってから切りましょう。
包丁をひねらない
カボチャなどの硬い野菜を切ると、包丁が抜けなくなることがあります。そのようなときに無理にひねると、刃こぼれすることがあります。包丁は前後に動かして切るのが基本なので、横方向に力を加えないようにしましょう。カボチャの場合は電子レンジで加熱して柔らかくしてから切ると包丁に負担をかけません。
強い衝撃を与えない
まな板に刃先が当たる衝撃が強いと刃が摩耗したり刃こぼれしたりする原因になります。叩くように切るのは控えてましょう。
高温で熱しない
包丁を温めると刃が通りやすくなりますが、直火で温めると包丁の寿命を縮めてしまいます。包丁は高温で熱してから冷却し、再び高温で焼き戻すことで硬度が高くなります。直火で熱すると金属の組成を変えてしまい、研いでも元に戻らなくなってしまうのです。ケーキを切るときなど刃を温めたいときは、直火に当てずにお湯を使いましょう。
砥石で研ぐ
包丁の切れ味が悪くなると簡易研ぎ器で研いでいる人も多いのではないでしょうか。簡易研ぎ器は手軽に研げますが、包丁のエッジ部分しか研げないため、一時的に切れ味が戻っても刃が鈍角になります。その結果、エッジ部分が厚くなり、包丁の切れ味が戻りにくくなることがデメリットです。包丁の切れ味が悪くなったときは、砥石を使って研ぐと良いでしょう。砥石の使い方は次章でご紹介します。
包丁を研ぐ方法
使い方に注意すれば、包丁をできるだけ長持ちさせられます。しかし、切れ味が落ちることは避けられません。包丁の切れ味が落ちたと感じたときは、研ぐタイミングです。包丁を研ぐ頻度は使用状況にもよりますが、月に1〜2回が適切といわれています。
砥石の選び方
刃物用の砥石には「荒砥石」「中砥石」「仕上げ砥石」の3種類がありますので、それぞれの特徴を知って使うことが大切です。砥石の粒度は番手という数字で表します。粒度は小さいほど荒く、大きいほど細かいです。
- 荒砥石(♯120〜600)…主に包丁の刃が欠けたときに使うザラザラして研ぐ力が強い砥石です。
- 中砥石(♯800〜2000)…日常的なお手入れに使う砥石です。
- 仕上げ砥石(♯3000〜)…中砥石で研いだ後に使ってさらに切れ味を良くするなめらかな砥石です。
家庭で包丁のメンテナンス用に使う砥石は中砥石だけでもかまいません。切れ味の良さや料理の断面の美しさを追求する人は、仕上げ砥石も持っておくとよいでしょう。包丁の刃が欠けた場合は中砥石で研ぎ直すと大変なので、粒子が荒くて大きく削れる荒砥石の使用がおすすめです。
また、砥石を使うと表面がへこみますので、平らに整える「面直し砥石」も用意しておきましょう。
刃の形状によって研ぎ方が異なる
包丁には表と裏に刃がついている「両刃包丁」と、片面だけに刃がついている「片刃包丁」があります。基本的に三徳包丁・牛刀・ペティナイフなどの洋包丁は両刃包丁、出刃包丁・柳刃包丁などの和包丁は片刃包丁です。
両刃包丁は両面を均等に研ぐ必要がありますが、片刃包丁は刃がついている面だけを研ぎます。刃がついていない面は、反対の面を研いだ際に出るバリを取る程度の処理しか必要ありません。
砥石の準備
包丁を研ぐ前に砥石の準備が必要です。砥石には使う前に水に漬ける必要があるものと、漬けなくてもいいものがありますので、取扱説明書を見て確認しましょう。
水に漬けるタイプの場合、砥石全体が水に浸かる容器を準備してください。砥石の中にはスポンジ状の空洞がありますので、水につけると気泡が出ます。気泡が出なくなるまで10〜20分間は、水に漬けておきましょう。研ぎ台がある場合は砥石をセットします。研ぎ台がない場合は滑らないように濡れ雑巾を砥石の下に敷きましょう。
包丁を研ぐときの注意点
包丁を研いでいるとドロドロした研ぎ汁が出ますが、包丁を研ぐのに必要なので流さずにそのまま研いでください。また、砥石は包丁の滑りを良くして摩擦熱を軽減するために水分が必要です。研いでいる最中に砥石が乾いてきたら水をかけましょう。
包丁が研げたかどうかは刃にかえり(バリ)が出ているかで判断できます。ときどき触ってかえりが出ているか確認しましょう。触る際は怪我をしないように注意してください。
両刃包丁の研ぎ方
両刃包丁を研ぐ手順をご説明いたします。
- 中性洗剤を使って包丁をよく洗います
- 右利きの人は右手で包丁を握り、親指を根本部分に置きます
- 包丁の刃を自分の方に向け、砥石に対して45度の角度で包丁の根本部分を当てます
- 刃の部分だけが砥石に当たるように柄の部分を15度の角度(10円玉が2枚入るくらい)に持ち上げます
- 刃の部分に左手の指を2本添え、押し出すときに軽く力を入れ、戻すときは力を入れずに研ぎます
- 1ヶ所につき20回程度研ぎ、3〜5回に分けて包丁全体を研ぎます
- 裏面を研ぐときは包丁の背が自分の方に向くように持ち替えます
- 表面と同じように3〜5回に分けてかえりが出るまで研ぎます
- 刃元は研ぎにくいので、砥石に対して垂直に構えて研ぎましょう
- かえりが出ている方の歯を軽く2〜3回研いでかえりを取ります
- 包丁を中性洗剤でしっかり洗います
片刃包丁の研ぎ方
片刃包丁は刃がついている面を次の手順で研ぎましょう。
- 中性洗剤を使って包丁をよく洗います
- 右利きの人は右手で包丁を握り、親指を根本部分に置きます
- 包丁の刃が自分の方に向くようにして、砥石に対して45度の角度で包丁の根本部分を当てます
- 刃の部分だけが砥石に当たるように柄の部分を15度の角度(10円玉が2枚入るくらい)に持ち上げます
- 刃の部分に左手の指を2本添え、押し出すときに軽く力を入れ、戻すときは力を入れずに研ぎます
- 1ヶ所につき20回程度研ぎ、3〜5回に分けて包丁全体を研ぎます
- 研いでいない面にかえりが出ているので軽く3回程度研いでかえりを取ります
- 包丁を中性洗剤でしっかりと洗います。
まとめ
どのような包丁でも使っているうちに切れ味が落ちてきます。切れ味が落ちた包丁を使うと切れにくいため、食材のおいしさや断面の美しさを損ないます。できるだけ包丁を長持ちさせるためにも、刃に負担がかからないように使いましょう。
また、包丁のお手入れが不足すると刃こぼれがしやすくなるため、長く使うためには定期的に砥石で研ぐメンテナンスが必要です。包丁に負担がかからないように使いつつ、定期的に砥石で研いで、包丁を長持ちさせましょう。