埼玉県ってどんなところ?埼玉の文化・食べ物・お祭り・県名の由来などを紹介!

埼玉県ってどんなところ?埼玉の文化・食べ物・お祭り・県名の由来などを紹介!写真提供:(一社)埼玉県物産観光協会【複製・再転載禁止】

47都道府県を順にご紹介するシリーズ、今回は「埼玉県」です。かつて武蔵国(むさしのくに)に属し、名高い武将が各地で勢力を争った埼玉県。都心へのアクセスのよさや住みやすさに加え、映画やアニメなどでも話題性が高い埼玉県の魅力を一挙にご紹介いたします。

埼玉県の基本情報

埼玉県の基本情報

はじめに、埼玉県の基本情報をご覧ください。

歴史と産業

県内各地で発掘された遺跡から、5000~6000年前には人々が生活したと考えられています。大和朝廷の時代には有力な豪族が勢力を振るい、大化の改新の後には現在の埼玉県の一部が武蔵国に加わり、15の郡が置かれました。

奈良時代の末期には、各地で荘園(しょうえん)を基盤にした有力者の武士団が誕生。源頼朝(みなもとのよりとも)が挙兵すると、熊谷氏(くまがいうじ)や比企(ひき)氏らが属して鎌倉幕府の礎を築きました。鎌倉時代には、新田義貞(にったよしさだ)と北条高時(ほうじょうたかとき)が小手指が原(こてさしがはら)で戦いを繰り広げます。

室町時代に入ると、太田氏をはじめとする有力な武将が各地に城を築きました。戦国時代は上杉氏や武田氏も競合し、後北条(ごほうじょう)氏が大部分を治めた時期もありますが、豊臣秀吉の天下統一によって滅亡します。

江戸時代には、川越、岩槻(いわつき)、忍(おし)、岡部の4藩を中心とする体制が敷かれました。日光御成(おなり)街道や中山道(なかせんどう)などが整備されると、これらの地域が経済の中心地として繁栄。さらに、荒川・利根川流域の治水や武蔵野台地の新田開発などに着手した結果、農業が大きく進展して河川の交通網も発達しました。

明治4年の廃藩置県で埼玉県と入間(いるま)県が誕生した後、統合や分割を経て同9年に現在とほぼ同じ範囲の埼玉県が確立しました。明治20年、深谷(ふかや)市にレンガの工場が設立され、以後長きにわたり日本の近代化に貢献。同44年には国内初の飛行場が所沢市に開設され、飛行機の製造や技術訓練などがおこなわれました。

大正6年には秩父(ちちぶ)の武甲(ぶこう)山で石灰岩の採掘がはじまり、セメントが関東大震災や戦後の復興に役立ちました。昭和30年代から狭山(さやま)や上尾(あげお)などに工業団地が立ち並び、重化学工業も盛んになります。都心からの高速道路や新幹線の開業も進み、平成13年に大宮・浦和・与野(よの)が合併してさいたま市が誕生しました。

面積と人口

埼玉県の面積は約3,798㎢で、全国では39の広さです。40市・22町・1村から成り、市の数は全国で最多です(令和4年3月現在)。地域は、さいたま市などから成る「中央」、春日部(かすかべ)市などの「東部」、所沢市などの「西部」、熊谷(くまがや)市などの「北部」、秩父市などの「秩父」に分かれます。

県人口は7,332,816人(令和4年2月1日現在)で、全国では5番目です。県内でもっとも人口が多い市はさいたま市(1,327,691人)で、川口市(607,750人)、越谷市(345,487人)と続きます(令和3年4月現在)。

【参考】
埼玉県「埼玉県推計人口」
国土地理協会「2021年4月調査 市町村別 人口・世帯数(日本人住民+外国人住民)」

県の位置と県庁所在地

埼玉県は、東経およそ138~139°、北緯およそ35~36°に位置します。関東地方のほぼ中央にあり、1都6県に囲まれているため海に面していません。面積のおよそ6割が台地と低地で、西側には2000m級の山々が連なります。熊谷などの内陸部は、都市部を通過して暖められた海風やフェーン現象などによる猛暑で知られます。

県庁所在地はさいたま市で、さいたまスーパーアリーナや武蔵一宮(むさしいちのみや)氷川神社などの観光スポットがあります。

県名の由来

平安時代の辞書である「倭名類聚抄(わみょうるいじゅしょう)」では、郡名を「佐伊太末」、郷(ごう)名を「佐以多万」と書いて「サイタマ」と読ませました。また、同時代の歌集である「万葉集」では「前玉」や「佐吉多万」の文字を当てて「サキタマ」としています。

サキタマは「幸魂(さきみたま)」を語源とする説が有力で、人々を守り幸福を与える神の御業(みわざ)を表します。「魂」の字は「玉」の意味ももつことから、埼玉県章のデザインは古代の人々が装飾などに用いた「まが玉」を取り入れました。県名の発祥は行田(ぎょうだ)市の埼玉(さきたま)地域とされ、石碑が建てられています。

埼玉県の文化

埼玉県の文化
写真提供:(一社)埼玉県物産観光協会【複製・再転載禁止】

埼玉県に伝わる文化のうち、主なものをご紹介いたします。

和同開珎(わどうかいちん)

国内で流通した貨幣のひとつで、銀銭と銅銭が製造されました。慶雲(けいうん)5年に、秩父で産出した「ニギアカガネ」と呼ばれる自然の銅を朝廷に献上したことがきっかけで「和銅」の元号が名付けられました。採掘した場所は「和銅遺跡」として保存され、近隣には高さ5mの和同開珎のモニュメントが設置されています。

渋沢栄一

現在の深谷市の出身である渋沢栄一は、明治から昭和にかけて活躍した実業家です。徳川家と関わる一橋(ひとつばし)家に仕えた後に幕臣(ばくしん)として渡欧し、新政権では大蔵省に出仕しました。第一国立銀行を創立し、製紙や紡績、鉄道などをはじめとする大企業の創立にも関与。新1万円札に肖像画が採用され、関連するドラマも話題となりました。

岩槻人形

美しい絹の着物をまとった岩槻人形は、国の伝統的工芸品に指定されています。さいたま市の岩槻区は、かつて城下町や宿場町として栄えました。徳川家光が日光東照宮の造営に向けて全国から優秀な工匠を集めた際、人形作りに関わる者が移り住んで技術を広めたとされます。原料のひとつには、近隣で産出される桐粉(きりこ)を使用しました。

小川和紙

小川町と東秩父村に伝わる手すきの和紙で、ユネスコ無形文化遺産に登録されています。特に楮(こうぞ)だけを用いた「細川紙(し)」の技術は、国の重要無形文化財に指定されています。小川地区では8世紀ごろから和紙が生産され、和歌山県から伝わった細川紙の技術を用い、小川の職人が江戸の商人に向けて製作したと考えられています。

盆栽

さいたま市内の「大宮盆栽村」と呼ばれる地域には、世界中から愛好家が訪れます。大正12年の関東大震災で被害を受けた盆栽の業者が東京から移り住み、同15年に盆栽村を形成しました。最盛期にはおよそ30の盆栽園が開業し、地域には「盆栽町」の町名も誕生。平成元年には世界盆栽大会の第1回が開催され、現在も各種のイベントで盛り上がります。

埼玉県の食文化・食べ物

埼玉県の食文化・食べ物

続いて、埼玉県の主な食文化をご紹介いたします。

野菜類

埼玉県は農業が盛んで、サトイモの収穫量が全国1位、クワイや小松菜の生産は全国2位を誇ります。また、埼玉県はネギの作付面積も全国1位、なかでも深谷市はブランドネギの生産で知られます。さらに、川越とその周辺では江戸時代からサツマイモが栽培され、川を利用して江戸に出荷したことから「川越イモ」が定着しました。

狭山茶

甘みと濃厚な味わいが特徴の狭山茶は、入間市を中心に栽培・製造されています。市内の広大な茶畑は、日本百選や市の景観50選に選ばれました。江戸時代の後期に流行した「蒸し製煎(せん)茶」の技術を習得した人々が、地域で開発に着手したことがはじまりです。明治8年に会社を設立して製茶の保護育成に勤しみ、ブランドを確立しました。

草加(そうか)せんべい

近県のうるち米を使用し、草加市や八潮(やしお)市などで熟練の職人が主に押し瓦(おしがわら)による型焼きで作ったせんべいを指します。現在は機械化が進んでいますが、手焼きや天日干しをおこなう店もあります。草加の周辺では古くから余った米を団子状にして乾燥させた保存食を作る風習があり、後に宿場町で販売したことがルーツです。

川幅(かわはば)うどん

平たく伸ばしたうどんの幅が、最大で10cmに及ぶ川幅うどん。平成20年、鴻巣(こうのす)市と吉見(よしみ)町の間を流れる荒川の川幅(2,537m)が日本一に認定されたことにちなみ、名物が誕生しました。メディアによる紹介や、県内のB級グルメを競うイベントで優勝した経緯などから、全国的に知られるご当地グルメのひとつとなりました。

ゼリーフライ

小麦粉とおから、ゆでたジャガイモやニンジンなどの刻み野菜を混ぜて小判状に成型し、油で揚げてウスターソースにくぐらせた食べ物です。「ゼリー」は「銭」がなまって変化したとされ、行田市のB級グルメとして人気を博しています。日露戦争を経験した市内の店主が、中国の野菜まんじゅうを基に考案したとされます。

埼玉県の伝統行事・祭り

埼玉県の伝統行事・祭り

埼玉県に伝わる主な伝統行事や祭りは、次のとおりです。

秩父夜祭(よまつり)

12月に開催される秩父神社の例大祭で、ユネスコ無形文化遺産に登録されています。日本三大曳山(ひきやま)祭のひとつとして知られ、国の重要有形民俗文化財に指定されている2基の笠鉾(かさほこ)と4基の屋台から成る山車(だし)や花火が見どころです。夜祭は江戸時代から伝わり、武甲山の男神と秩父神社の女神の伝説が関わっています。

川越まつり

10月に川越市の氷川神社を中心に催される祭りで、「川越氷川祭の山車行事」として国の指定重要無形民俗文化財とユネスコ無形文化遺産に登録されています。複数の山車が巡行し、向かい合ってお囃子(はやし)で競演する「曳っかわせ」で盛り上がります。慶安(けいあん)元年、川越藩主が氷川神社に神輿(みこし)などを寄進して祭礼がはじまりました。

戸田橋(とだばし)花火大会

戸田市内の荒川河川敷で8月に開催される大規模な花火大会です。対岸の東京都板橋区による「いたばし花火大会」と同日におこなわれ、両岸の合計でおよそ13,000発の花火を一度に観賞できます。昭和26年に第1回が開催されましたが、昭和25年に戸田町と板橋区の境界の変更が成立したことを記念し、第2回から合同で催されています。

入間航空祭

「晴れの特異日」とされる11月3日に、狭山市の航空自衛隊入間基地で開催されます。航空自衛隊のアクロバットチームである「ブルーインパルス」の曲芸飛行が見どころで、各種の飛行機の展示や飛行、関連グッズの販売などがおこなわれます。入間航空祭は昭和37年にはじまったイベントで、県内外から多くのファンが訪れます。

龍勢(りゅうせい)まつり

10月に秩父市の椋(むく)神社周辺で開催される祭りで、国の重要無形民俗文化財に指定されています。「龍勢」とは松や竹で作った筒に火薬を詰めて周囲を飾り付け、やぐらの上から打ち上げるもので、落下傘も楽しめます。椋神社の例大祭に奉納する神事として天正(てんしょう)3年に打ち上げたことが起源とされますが、年代は定かではありません。

埼玉県の建築物・遺産

埼玉県の建築物・遺産
写真提供:(一社)埼玉県物産観光協会【複製・再転載禁止】

埼玉県の主な建築物や遺産は次のとおりです。

埼玉(さきたま)古墳群

行田市埼玉にある古墳群で、県の特別史跡に指定されています。5世紀後半から7世紀の中期に有力な豪族を埋葬するために築いたと考えられ、8基の前方後円墳と2基の大型円墳、1基の方墳と小円墳群で構成されます。現在は「さきたま古墳公園」として芝生広場やレストハウスなどが整備され、古民家や埼玉県名発祥の碑も見学できます。

住所:行田市埼玉4834
公式サイト:https://sakitama-muse.spec.ed.jp/

川越の町並み

「小江戸」と称される川越市は、長禄(ちょうろく)元年に太田道真(どうしん)・道灌(どうかん)父子が築いた河越城を中心に発展した地域です。明治時代には商業都市として栄え、耐火建築を取り入れた蔵やレンガ、石積みの建物が立ち並びました。川越の町並みは、国の重要伝統的建造物群保存地区と美しい日本の歴史的風土100選に選定されています。

川越市蔵造り資料館
住所:埼玉県川越市幸町7番地9
公式サイト:https://www.kawagoe.com/kzs/index.html

歓喜院聖天堂(かんぎいんしょうでんどう)

歓喜院聖天堂とは熊谷市にある妻沼聖天山(めぬましょうでんざん)の本殿のことで、国宝に指定されています。日光東照宮の陽明門(ようめいもん)に似た豪華絢爛(けんらん)な装飾が特徴です。治承(じしょう)3年に武士の斎藤別当実盛(さいとうべっとうさねもり)が建立したとされ、焼失により本殿は江戸時代の中期に再建されました。

住所:熊谷市妻沼1511
公式サイト:http://www.ksky.ne.jp/~shouden/index.html

旧煉瓦(れんが)製造施設

明治21年から平成18年までのおよそ120年間、日本の近代化に貢献した製造施設で、製造されたレンガは主に東京駅や迎賓(げいひん)館赤坂離宮などに用いられました。「ホフマン輪窯(わがま)6号窯」と「旧事務所」などが国の重要文化財に指定されています。ドイツ人技師のホフマンが特許を得た環状の窯は、全国で4基しか現存しません。

住所:深谷市上敷免28-10
公式サイト:http://www.city.fukaya.saitama.jp/shibusawa_eiichi/bunkaisan/1425344387985.html

スポーツ・イベント施設

「さいたまスーパーアリーナ」は平成9年に設立された大規模なスポーツ・イベント施設で、世界最大級の可動システムを導入。最大22,500席のアリーナモード、または最大37,000席のスタジアムモードに変更可能です。コンサートやイベントなどにも活用され、2020年の東京オリンピックではバスケットボールの試合がおこなわれました。

さいたまスーパーアリーナ
住所:さいたま市中央区新都心8
公式サイト:https://www.saitama-arena.co.jp/arena/

平成13年に設立された「埼玉スタジアム」はアジア最大級で、国内最大のサッカー専用スタジアムです。63,700席のメインのグラウンドに加え、3面のサブグラウンドと2面のフットサルコートが整備されています。メイングラウンドは3種類の芝生を使用し、Jリーグのベストピッチ賞を受賞するほどの高品質な管理が行き届いています。

埼玉スタジアム
住所:さいたま市緑区美園2-1
公式サイト:https://www.stadium2002.com/

埼玉県の県民の日

埼玉県の県民の日

明治4年の11月14日に埼玉県が誕生したことから、100年目に当たる昭和46年、この日を県民の日と定めました。県民の日には各種のイベントやコンクールなどが開催され、県内のレジャー施設、美術館などを無料または割引で利用できます。なお、埼玉県は令和3年に誕生から150年を迎えました。

まとめ

まとめ
写真提供:(一社)埼玉県物産観光協会【複製・再転載禁止】

今回は、埼玉県の概要や各種の文化と伝統行事、建築物などについてご紹介いたしました。都心からの利便性が高く、独自の文化や歴史、豊かな自然も堪能できる埼玉県。激動の時代に思いを馳(は)せながら、のんびり散策する埼玉県の旅に出かけませんか。

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