【月桂樹(ローリエ)の育て方】オリンピックとの関係や花言葉は?

【月桂樹(ローリエ)の育て方】オリンピックとの関係や花言葉は?

月桂樹(ローリエ)と聞くと、料理の香りづけに使用する葉をイメージする方が多いかもしれません。月桂樹は家庭でも栽培が可能で、観賞だけでなく葉や枝をさまざまに活用できます。

今回は、月桂樹(ローリエ)の育て方を中心に、月桂樹の概要と栽培に必要なもの、トラブルと対処法などについてご紹介いたします。

月桂樹(ローリエ)の基礎知識

月桂樹(ローリエ)の基礎知識

はじめに、月桂樹の基礎知識を身につけましょう。

月桂樹とは

クスノキ科ゲッケイジュ属の常緑高木で、仏名の「laurier(ローリエ)」や英名の「bay leaf(ベイリーフ)」「laurel(ローレル)」などと呼ばれます。生育が旺盛で、大きいものは高さ15mくらいまで育ち、4~5月にはクリーム色(黄色)の花を咲かせます。

葉の種類は多く、広い葉や黄色い葉、柳のような葉、斑(はん)入りの葉などがあります。独特の香りは「シネオール」や「リナロール」などの成分によるもので、乾燥させた葉は料理だけでなく虫よけや入浴剤などにも利用できます。

月桂樹の歴史

原産地は地中海沿岸と考えられています。古代ギリシャ・ローマ時代から主に薬用の目的で栽培し、神聖な植物として大切に扱われました。ギリシャ神話に登場する芸術や弓術の神アポロンが神木としたことから、月桂樹で作った冠(かんむり)を優秀な者に贈る風習が生まれたとされます。

国内では、明治38年にフランスから導入。記念樹をきっかけにして、全国に普及しました。月桂樹の名前は、中国の伝説で月に生えるとされる「桂(けい)」の木が関連しています。桂はモクセイの仲間と考えられ、導入時の月桂樹はモクセイに似た木として扱われたことから、伝説にちなんで命名されました。

オリンピックと月桂樹

そもそもオリンピックは、紀元前776年に古代ギリシャのオリンピアで開催された競技祭が起源とされます。オリンピアの競技祭はもっとも格式が高いゼウスの神を祀(まつ)る祭典で、全国から有能なアスリートが集まりました。オリーブが神聖な木として崇められていた当時、勝者を称える冠は、ギリシャ神話の英雄ヘラクレスがゼウスの神殿に植えたとされるオリーブの木で作られました。現在もその風習が残り、オリンピックではオリーブの冠がメダリストに与えられています。

一方、先述した月桂樹の冠は、主に古代ギリシャで開催された芸術祭などで優秀な技能をもつ者に与えたとされ、現在はノーベル賞の授賞者や各種競技会における勝者などに贈られます。月桂樹の花言葉である「勝利」や「栄光」、「栄誉」を見ても、頂点に立つ者を称える授賞式にふさわしい樹木といえるでしょう。

対象分野が異なるとはいえ、オリーブ冠・月桂冠とも素晴らしい技能の持ち主を称えるものであり、栄誉ある賞として長く受け継がれているものといってよいでしょう。

月桂樹(ローリエ)の育て方のポイント2つ

月桂樹(ローリエ)の育て方のポイント2つ

月桂樹の育て方は、次の2点がポイントです。

① 根の扱い

月桂樹は移植を嫌うので、植えつけや植え替えの際は根を傷めないように扱ってください。地植えにするときは、環境を変えなくて済むよう慎重に場所を選びましょう。

② せん定

生育が旺盛な月桂樹は、年に数回のせん定が必要です。下記の方法でせん定をおこない、伸びすぎたり葉が増えすぎたりしないように管理してください。

月桂樹(ローリエ)の栽培に必要なもの

月桂樹(ローリエ)の栽培に必要なもの

月桂樹を栽培するときは、基本的なツールのほかに次のものが必要です。

庭または大きめの鉢

庭に植えるときは広めのスペースを確保し、後に植え替える必要がない場所を選びましょう。基本的には、日当たりと水はけのよい環境が適しています。冬は-8℃まで耐えられますが、冷たい北風が当たる場所は避けましょう。生垣にするときは植える場所のデザインを決め、間隔などを計測してから植えてください。

月桂樹を鉢植えで育てるときは、苗木に合わせて8号以上の鉢を用意し、数年に1度のタイミングでさらに大きい鉢に植え替えるとよいでしょう。鉢植えにするときは、ネットに入れた鉢底石(はちぞこいし)を使用すると便利です。

生垣については、「【生垣の作り方】生垣におすすめの庭木や手入れ方法を解説」の記事を参考にしてください。

月桂樹(ローリエ)の苗木

月桂樹は雄(おす)の木と雌(めす)の木があり、国内で流通するものの多くは雄の木です。苗木のサイズはさまざまなので、植える場所に合わせて選びましょう。一般的には、高さ50~60cmくらいのサイズを選べば植えつけた年から葉を収穫できるようです。葉にツヤがあり、イキイキとした健康的な苗を選んでください。

土や肥料など

月桂樹を地植えにするときは、下準備の際にたい肥や腐葉土(ふようど)、鶏糞(けいふん)を用います。肥料は、粒状の化成肥料を用意してください。鉢植えで育てるときは、市販の草花・花木用の培養土で構いません。植えつけた後や冬のマルチング用として、敷きわらも用意しましょう。

マルチングについては、「園芸におけるマルチングとは?効果や使用方法、注意点をわかりやすく解説」の記事で詳しくご紹介しています。

せん定用のはさみなど

年に数回のせん定が必要な月桂樹には、せん定用または生垣用のはさみを使用すると便利です。大きい木をせん定する作業は手が痛くなることがあるので、軍手なども用意するとよいでしょう。

月桂樹(ローリエ)の育て方

月桂樹(ローリエ)の育て方

それでは、月桂樹の育て方を順にご紹介いたします。

土の下準備

地植えにするときは、植えつける場所の土を深く掘り返し、ゴミや小石などを取り除いてください。日光に当てて消毒してから、たい肥や腐葉土、鶏糞を混ぜます。植えつける1週間ほど前になったら、肥料を加えてなじませましょう。鉢植えの土を再利用するときも、同様に作業して栄養の豊かな土を用意してください。

植えつけの方法

月桂樹の植えつけは、4月または9月ごろが適期です。地植えにするときは、根の周囲の2倍くらいの直径と深さの穴を掘り、さらに底をよく耕します。根をわずかにほぐして穴に置き、苗木の土の表面と地面が同じ高さになるように土を足して深さを調節します。深さが決まったら苗木の周囲に土を入れ、隙間ができないようにしっかりと植えつけましょう。

鉢植えの場合は、鉢底石の上に苗木を仮に置き、苗木の土の表面が鉢の縁より数cm低くなるように土を入れて深さを調節します。深さが決まったら苗木の根を崩さずに置き、周囲に土を入れてください。さらに、割りばしなどを挿して隙間にも土を足しましょう。

どちらも植えつけた後はたっぷりと水を与え、鉢植えは数日ほど日陰に置いて様子を見ます。問題がなければ、徐々に日光に当てる時間を増やしてください。地植えにした月桂樹は、根づくまで株元に敷きわらを敷いて保護するとよいでしょう。

水やりと日々の管理

地植えの月桂樹は、しっかりと根づく2年目までは土の表面が乾いたら水を与えてください。その後は雨水だけで問題ありませんが、猛暑で土が乾燥したときは早朝に水を与えます。鉢植えは年数に関わらず、土の表面が乾いたタイミングで水やりをしましょう。夏の間は、朝と夕の2回水やりをすることもあります。

地植えの月桂樹には、2月に寒肥(かんごえ)として化成肥料を施してください。鉢植えの月桂樹は、3月ごろに肥料を与えます。

せん定と枝の利用

基本的には真冬を避けた4~10月におこない、花の後や夏に入る前、初秋など、年に数回のせん定で形を整えます。内側の余分な枝も切って風を通し、年数の経った月桂樹は6月に新芽を取り除くと葉が増えすぎません。

また、背が伸びすぎて困るときは、メインの幹の頂点を切る「芯止め(しんどめ)」で高さを抑えます。せん定で切った枝はリースやスワッグなどにして室内に飾り、乾燥したら葉を摘み取って料理などに使用しましょう。

なお、若い枝は挿し木(さしき)にして増やすことも可能です。切った枝の下部の葉を取り除き、1時間ほど吸水させてから湿らせた挿し芽用の土に挿します。日陰に置いて、発根するまでは湿度を保ちましょう。新芽が出てきたら鉢に植え替え、少しずつ日光に慣らしながら同様に管理してください。

植え替えの方法

鉢植えの月桂樹の植え替えは、生育期の5月ごろが適期です。先述のとおり移植を嫌う月桂樹は、なるべく根を傷つけないように作業しましょう。植え替えるときは、新しい土とひと回り大きな鉢を用意してください。株を鉢から取り出し、少しだけ根をほぐして土を落とします。黒く傷んだ根があれば切り取り、植えつけと同様の手順で植え替えましょう。

なお、月桂樹は根元から伸びる新芽の「ひこばえ」を利用して増やすことも可能です。ひこばえの根元に土を盛り、発根したら株分けの要領で幹から取り分けて鉢などに植えつけてください。

月桂樹の冬越し

月桂樹には耐寒性がありますが、寒冷地では冬越しの対策をおこないましょう。地植えの場合は、株元に敷きわらのマルチングを施してください。鉢植えは屋内に置き、昼間は日光に当てて管理します。

植物の冬の管理については、「冬のガーデニングで気をつけるポイント」の記事をご覧ください。

月桂樹(ローリエ)のトラブルと対処法

月桂樹(ローリエ)のトラブルと対処法

最後に、月桂樹のトラブルと対処法についてご紹介いたします。

気をつけたい病害虫

月桂樹には、カイガラムシがつきやすいので気をつけましょう。カイガラムシがつくと樹液を吸われて生育が衰えるだけでなく、カイガラムシの排せつ物にカビが発生して葉や枝が黒くなる「すす病」を引き起こすことがあります。

カイガラムシの成虫は駆除が難しいため、初夏に卵や幼虫を見つけて取り除くか、成虫が休眠する冬の間に歯ブラシなどでそぎ落とし、確実に処分して繁殖を防いでください。

雑草の管理におすすめ

月桂樹を植えた庭の通路や家の裏側、駐車場などには、気づかない間に雑草が繁殖します。根の張る一年草や根が残る多年草の雑草には、フマキラーの「根まで枯らす虫よけ除草王プレミアム」をおすすめします。

茎や葉だけでなく、根までしっかり枯らす移行型の除草剤で、周囲の虫よけや殺虫の効果も発揮します。非農耕地用ですので、説明書に従って正しくご使用ください。

月桂樹(ローリエ)の育て方は予想よりも簡単!

月桂樹(ローリエ)の育て方は予想よりも簡単!

今回は、月桂樹(ローリエ)の概要と具体的な育て方、トラブルと対処法などについてご紹介いたしました。月桂樹の育て方のポイントは、根の扱いと年に数回のせん定です。基本的に丈夫な植物なので、育て方を参考にすれば管理はそれほど難しくありません。

ポジティブな花言葉をもつ月桂樹を栽培して、さまざまな用途に活用しましょう。

「For your LIFE」で紹介する記事は、フマキラー株式会社または執筆業務委託先が信頼に足ると判断した情報源に基づき作成しておりますが、完全性、正確性、または適時性等を保証するものではありません。

こちらの記事もオススメです!