食べ物に出る害虫の種類 – 食品害虫への予防と対策

食べ物に出る害虫の種類 - 食品害虫への予防と対策

生き物が生きていくのには食物が不可欠です。昆虫や微生物も何かを食べながら生きています。人間が住まいの中で貯蔵している食品はこれらの虫が食べることもあります。害虫の存在に無頓着でいると、知らない間に害虫だらけの食べ物を食べているかも知れません。

不快な害虫を防除するにはどうしたら良いのでしょうか。まずは害虫の種類と食べる物をご紹介し、最後に害虫を防ぐ方法を解説します。

害虫って何?

害虫って何?

害虫とは、人の居住地に侵入し、衣食住を害する昆虫を言います。反対に害虫を食べるような虫を益虫と言います。人が一方的にそう呼んでいるのであって、全て同じ昆虫ではあるのですが、避けたほうが良い虫、気にしなくても良い虫を分けて考えるために生まれたた呼称です。

人と害虫の歴史

人類の住居は自然界から離れた環境を目指して発展してきました。それによって、地球上のいたるところに人が住むことが可能となりました。しかし、その住環境に適応したのは人間だけではありませんでした。都市化によって、本来の住処を奪われた昆虫類の中にも適応に成功したものがいたのです。

人が住居を発展させている短い間に、昆虫たちは野外から屋内への適応を成功させました。今ではそれらの害虫は人類の文明に依存しながら生きています。一時期だけ屋内に侵入してくるものから、ずっと屋内だけで生活するものまで様々です。

中には、人の住居に生息するお陰で冬という乗り越えがたかった制約がなくなり、寒い地域でも大繁殖しているような昆虫もいます。人の住居は害虫たちにとって、天敵や食物、気候の制約のない楽園であるとも言えます。

害虫の6つのタイプ

一口に害虫といっても様々な生態のものがおり、食べ物も異なります。どのような分類が出来るのでしょうか。以下をご覧ください。

  • 衣類に付く害虫
  • 食品に付く害虫
  • 家具・建材を蝕む害虫
  • 書籍に付く害虫
  • 吸血・刺咬性のある害虫
  • 不快な害虫

上の分類には衣類・食品・家具・建材・書籍といった特定の物が登場します。これらは害虫のえさとなっているのです。したがって、害虫にたかられないように防除をする工夫が必要です。ここでは食品を食べる害虫を詳しく見ていきます。

食べ物に付く害虫

食べ物に付く害虫

人間は広い範囲のものを食べる雑食性ですが、これは多くの昆虫類やダニ類も同じです。そのため、これらの昆虫は人の住居に住み着きやすくなっています。人間の食品を加害するこれらの害虫を総称して、食品害虫と言います。食品害虫は次の4つのタイプに分けて考えられます。

  • 屋外で発生し、成虫のみ餌を求めて住居に侵入する害虫(ニクバエ、キンバエ、クロバエ類など)
  • 屋内で発生しやすく、食品を加害する害虫(ゴキブリ類、貯穀害虫など)
  • 屋外で発生するが、室内でも繁殖が可能な害虫(ショウジョウバエ、イエバエ類など)
  • 食べ物に付着して屋内に持ち込まれる害虫(マメゾウムシ類)

食品害虫は何が害なの?

小麦粉にダニが群がっていたら気持ち悪いですよね。普通は料理に使うことは止めて、廃棄してしまうのではないでしょうか。このように、食品を使えなくしてしまう食品害虫ですが、具体的にはどのような害があるのでしょうか。

食品害虫は、腐敗菌や病原菌を運ぶことがあります。それによって食品が早く腐ったり、食べた人が病気になったりします。ゴキブリやハエは不快ですが、それ以上に病原菌の媒介者としてのリスクの方が大きいのです。

食品害虫の種類

食品害虫の種類

食品害虫としては、O-157や大腸菌、赤痢菌を伝播するハエ、家屋内で発生するゴキブリ、外から運ばれる豆についてくるマメゾウムシ、米に付くコクゾウムシ、コナダニ、チャタテムシなどがよく知られています。

しかし、そのほかにもたくさんの虫が食べ物に害を与えます。気にしていないだけであなたももう出会っていたり、一緒に暮らしたりしているかもしれません。細かい種類はここで紹介するよりももっとたくさんいますので、一部をご紹介します。

コナダニ類

コナダニはダニ目に属するダニの仲間です。害を及ぼす食べ物は穀類、小麦粉、きな粉、パン粉、七味唐辛子、砂糖、干し柿、粉ミルク、チョコレート、ビスケット、煮干、かつおぶし、干しわかめ、味噌など多岐にわたります。

食品だけでなく、人の尿や痰なども食します。コナダニの一種、サトウダニは砂糖と味噌、ホシカダニは乾魚を食べます。その他は穀類から乾魚まで食べます。更にケナガコナダニともなれば畳のわらまで食べます。

コナダニは全ての貯蔵食品、昆虫標本、畳にまで繁殖するため、私たちの身の回りに溢れているといえます。コナダニが繁殖すると、食品の品質が悪くなります。通常は人がコナダニを食べても健康被害はありません。しかし、気持ちが悪いので目視で存在が確認できれば食べないことが多いです。

ゴキブリ類

ゴキブリ目の総称であるゴキブリ類は全世界に28科4000種が確認されています。実はそのほとんどが野外に生息するもので、害虫となるものはごく一部です。国内で有名な種にはヤマトゴキブリ、クロゴキブリ、ワモンゴキブリ、トビイロゴキブリ、チャバネゴキブリ、キョウトゴキブリなどがいます。

ゴキブリは夜間にひそみ場所から出て食べ物をあさり、水を飲むという習性があります。多くが多湿の場所を好みます。雑食性で食品は勿論、書籍なども食べます。ゴキブリの害は食害だけでなく、サルモネラ菌、赤痢菌、小児麻痺ウイルス、スタフィロコッカス、ペスト菌、レプラ菌などを運ぶことも挙げられます。

ハエ類

環縫亜目(かんぽうあもく)に属するものの総称をハエ類と呼びます。顎はほとんど退化していて、上唇と下唇、舌状体で舐めるように物を食べます。脚にも味覚器官があるため、常に汚れをこすり落としてきれいにしています。

多くの種は糞尿、動物の死骸、ごみなどから発生します。代表的な種であるイエバエは台所や居間にあるデンプン質の食物、牛乳などによくたかります。

ヒメイエバエは便壺、ごみ、畜舎、堆肥、鶏舎、動物の死骸のほかにも漬物桶からも発生します。クロショウジョウバエはビール瓶内の残液で幼虫が育つことから、ビール工場で大発生することがあります。

ヒラタムシ類

ヒラタムシ類はコウチュウ目、ヒラタムシ科およびホソヒラタムシ科に属する昆虫の総称です。体長2~3mmのこの扁平な虫は多くが野外性で、一部のみが穀粉の害虫となります。

ノコギリヒラタムシは倉庫などの隅に溜まったごみによく見られます。穀粉を用いた菓子に混入することがよくあります。江戸時代では、干菓子がこの虫の被害に度々遭ったそうです。

サビカクムネヒラタムシはごみや砕米で見られ、備蓄した小麦に大発生し、発熱を伴うこともあります。

ゴミムシダマシ類

ゴミムシダマシ類はコウチュウ目、ゴミムシダマシ科に属する昆虫の総称です。小型から大型まで様々なものがいます。多くは枯れた植物、腐敗した種子、獣糞を食べます。

コクヌストモドキはオーストラリア原産で、穀粉害虫としては最もよく目にする種です。成虫の体長は3~4mmで、赤褐色ににぶい光沢があるのが特徴です。ビスケットやチョコレート、インスタントラーメンの袋の中から見つかることもあります。

コメノゴミムシダマシは目に付きやすい黒褐色の大型種で14~18mmの体長です。穀粉、ぬか、デンプン含量の多い乾燥した食品や家畜の餌も食べます。

ガイマイゴミムシダマシはその名の通り、外国からの輸入米に多く見られ、港湾地区の倉庫や工場でよく発見されます。

リュウキュウゴミムシダマシは食性が広く、穀類のほか、乾果、薬草、香料、生野菜、乾魚、乾肉まで食べます。日本では本州以南に生息していて、強壮剤としても有名です。

コクヌスト類

コクヌスト類はコウチュウ目、コクヌスト科に属する昆虫の総称です。大部分は野外性の捕食者で、樹皮の下に生息しています。コクヌストは体長6~10mmで体は濃褐色か赤褐色をしています。

成虫・幼虫ともに穀類や他の穀類害虫を食して生息します。他の害虫を食べることから益虫かのようにも思えますが、食物に与える害は意外と大きく、あなどれません。

コクゾウ類

コクゾウ類はコウチュウ目、オサゾウムシ科に属する昆虫です。コメ、ムギ、トウモロコシの害虫として世界中に知られています。

平均体長は2.3mm~3.5mmで成虫・幼虫ともに穀粒を食害します。多数のコクゾウに寄生された穀類は発熱が起こります。

カツオブシムシ類

カツオブシムシ類はコウチュウ目、カツオブシムシ科に属する小型の昆虫です。衣類の害虫としても知られていますが、乾燥動物性食品を害する虫でもあります。

ハラジロカツオブシムシは成虫の体長が9~10mmで黒褐色をしています。成虫・幼虫ともにかつおぶし、フカヒレ、煮干、乾肉などのほかに蚕の繭も食べます。

シバンムシ類

シバンムシ類はコウチュウ目、シバンムシ科に属する昆虫のことを言います。樹木を穿つ虫で室内に住むものは建材、書籍、植物質の乾燥食品の害虫としても知られています。

ジンサンシバンムシは体長2.5mmの赤褐色で雑食性の種です。貯蔵穀物や穀粉、パン、ビスケットなどの他、薬味、香辛料、薬草、乾果、シイタケ、ソバを食害します。また、きわめて強い解毒能力を持ち、猛毒を持つトリカブト類の乾燥球根でも食べてしまうことができます。

マメゾウムシ類

マメゾウムシ類はコウチュウ目、マメゾウムシ科に属する小甲虫の総称です。マメ科植物の種子を寄主とするものが多く、食用豆類を食害します。成虫が豆粒や豆のサヤに産卵すると、ふ化した幼虫が豆の内部にもぐり込み、そこで豆を食べて生育します。

豆の内部でサナギになったら、豆の表皮に穴を開け、成虫として羽化して脱出します。畑に植わっている生きた豆に産卵するタイプと貯蔵豆の中でも育つタイプがあります。

ヨツモンマメゾウムシは体長3mmで、赤褐色または黒褐色です。アズキ・ササゲ・リョクトウなどの貯蔵豆に害を与えます。

アズキゾウムシはアズキに、インゲンマメゾウムシは貯蔵インゲンを食害します。そのほかにもエンドウゾウムシ、ソラマメゾウムシもいます。

メイガ類

メイガ類はチョウ目に属するガの仲間ですが、貯蔵害虫が多く存在しています。

ノシメマダラメイガは穀類をはじめ、乾燥した果物、野菜、小麦粉、菓子類、木の実、チョコレート、鳥のえさなどに寄生します。一般家庭でもコクヌストモドキと並んでよく発見される害虫です。菓子の中で発見されるものの多くは小売店に並んだ際に産卵されたものです。周辺で産卵され、卵からふ化した幼虫が包装を破って侵入しているのです。

スジコナマダラメイガはお菓子ではなく、精米、精麦、製粉、飼料工場で見られる害虫です。スジマダラメイガは食害よりも糸をはくことによる被害の方が厄介だと言えます。

キバガ類

キバガ類はキバガ科に属する小型のガの総称です。農作物や樹木の害虫のほかにも貯蔵害虫もいます。時に大量発生して甚大な被害を与えることもあります。

バクガは成虫になると野外のムギやイネ科の雑草に産卵したり、貯穀類で増殖したりします。

チャタテムシ類

一般家庭によく見られるチャタテムシ類の中にも、動・植物食品や標本を加害するものがいます。

ヒラタチャタテはコナチャタテ科の虫でほとんど全ての貯蔵食品を食害します。消化管内にカビの胞子を多量に持ち、中には発がん性のあるカビも含まれています。

アリ類

アリ類はハチ目、アリ科の昆虫の総称です。アリの中にも屋内性のものがいます。

イエヒメアリはアフリカ原産で、日本では港湾の建物などに見られます。昼夜問わず食べ物を探索します。

ヒメアリは通常は野外性ですが、食べ物を求めて屋内にも入り込みます。雑食性で砂糖、菓子類、乾魚、乾肉を餌とします。

防除するにはどうしたらいいの?

防除するにはどうしたらいいの?

代表的な食品害虫を紹介してきました。ダニ、ゴキブリ、ハエ、甲虫、ガ、アリなど実に様々な種類の虫が食品を食べたり、生育に利用したりしていることがわかりました。

虫が湧いた食品は基本的には使えませんし、細菌を運ぶ虫であれば、除菌も必要になってくるでしょう。これらの厄介な害虫を防ぐにはどうしたらいいのでしょうか。

食べ物を室内に放置しない

包装がしてあっても袋に産卵して、幼虫を侵入させてしまうようなメイガもいましたが、基本的には食べ物は外気に触れる時間を短くして、しっかり密閉させておくことが肝心です。

落とした食べ物なども虫の目にとっては大きなものとなりますので、こまめに掃除することが欠かせません。

食べ物はすぐに食べてしまう

食べ物はすぐに食べてしまう

害虫の発生を防ぐ最もシンプルな方法は新鮮なうちに食べ物を全て食べてしまうことです。えさがなければ害虫はつくことはありません。また、大きな袋で買わずに、一回分が少ないなど量の工夫も大事です。

大量に買うと、その分保存期間が長くなり、害虫が湧くリスクが高まります。

外から持ち運ぶ物には注意する

虫の屋内への侵入経路のひとつに、人間が運び入れてしまうということがあります。鉢植えや外で飼っているペット、庭で取れた豆類などを室内に取り入れるときは、充分に土や泥を払ったり、確認したりしましょう。

ダニやゴキブリ、マメゾウムシなどがこの経路で侵入可能です。

コナダニを防除するには

コナダニを駆除するには、高温・低温処理、低湿度処理あるいは殺虫剤が有効です。一般家庭用の冷蔵庫くらいの温度では生き残ることが出来てしまいます。そのため、冷蔵庫に入れればダニが湧かないという風説がありますが、既に湧いたものが冷蔵庫の中で生き残ることもあるということです。

とはいえ、開封したばかりのものであれば、すぐに冷蔵庫に入れることで防除が出来るでしょう。

コナダニを放置すると、これを食べるツメダニというものが発生することがあります。このツメダニは人を咬むことがあるので、この理由によってもコナダニを放置することはお勧めしません。

マメゾウムシを防除するには

豆は必要なものだけを買うことをお勧めします。もしも長期保存するのであれば、脱酸素材と一緒にびんに密封しておきましょう。

虫が付いてしまった豆や米は日光に晒すと、虫が逃げていきます。また、虫が付くと中が空洞になるため水に浸すと浮かびます。浮いたものだけ取り除けば選別が出来ます。

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