コガネムシが発生する原因とは?コガネムシの対策と駆除方法について

コガネムシが発生する原因とは?コガネムシの対策と駆除方法について

「コガネムシは金持ちだ~」という童謡の一節でもおなじみのコガネムシ。漢字では「黄金虫」と書くことから、黄金色をした虫だと思っている方も多いのではないでしょうか。

日本に生息するコガネムシは、きれいな光沢をまとったものを含め、多くが緑色をしています。見た目がきれいで、体型もずんぐりとかわいいコガネムシですが、バラなどの植物の葉を好んで食べてしまうことから、大切な花木が被害にあうことがあります。

また、ガーデニングで土いじりをしていたら、土の中からカブトムシの幼虫に似た小さな虫がたくさん出てきたという経験のある方もいるのではないでしょうか。それはコガネムシの幼虫である可能性が高く、土の中にいるこの虫を放っておくと、作物の根をかじってダメにしてしまうこともあります。

今回は、コガネムシの生態や特徴、駆除や予防の方法について解説いたします。

コガネムシの生態と特徴

コガネムシの生態と特徴

コガネムシは、甲虫目(鞘翅目)コガネムシ科に属する昆虫です。コガネムシは、日本では約360種、世界では約3万種が確認されています。子どもに大人気のカブトムシも、コガネムシ科に属します。

生態

幼虫として土の中で越冬したコガネムシが成虫になると、春の終わりから夏にかけて活発に活動します。本州、四国、九州をはじめ、種類によっては北海道や沖縄、奄美など国内に広く分布します。おもに雑木林やその周辺に生息していますが、住宅街で見かけることもあり、庭木に害を与えることもあります。

成虫は食葉性で、サクラ、ケヤキ、クヌギ、シイノキなど広葉樹の葉を好み、大豆などマメ科の植物の葉、ブドウや柿、栗の葉などを食べる種類もあります。これに対して、幼虫は地上に出ることなく、土の中を垂直移動しながら植物の根などを食べて成長します。

成虫は越冬できないため、コガネムシが孵化してからの寿命は通常約1年です。しかし寒い地方では、幼虫のまま1~2年を過ごすこともあります。

特徴

コガネムシは全体的にずんぐりとした体型ですが、種類によって体長や体色などが異なります。ここでは、日本に生息する代表的な種類として、コガネムシ、アオドウガネ、ドウガネブイブイ、ヒメコガネ、マメコガネを例に説明いたします。

コガネムシ

体長約17~24mm。体は全体的に光沢のあるきれいな緑色です。本州、四国、九州に分布し、サクラやクヌギなど広葉樹の葉を好んで食べます。

アオドウガネ

体長約18~25mm。体は全体的にやや光沢のある緑色で、腹部の端には長い毛が生えています。本州、四国、九州、沖縄に分布し、さまざまな植物の葉を食べます。

ドウガネブイブイ

体長約17~25mm。体は全体的にやや光沢のある銅色です。北海道、本州、四国、九州、沖縄に分布し、ブドウなどさまざまな植物の葉を食べます。

ヒメコガネ

体長約12.516.5mmと小柄で、体はやや光沢のある赤茶から緑色のものまでさまざまです。北海道、本州、四国、九州、奄美に分布し、ブドウや栗の葉、マメ科植物などさまざまな植物の葉を食べます。

マメコガネ

体長約9~13mmと小さく、頭部や胸部は光沢のある緑色、前翅は茶色です。北海道、本州、四国、九州に分布し、活動期間も長く、人家でもよく見かける種類です。クヌギの葉やマメ科植物など、さまざまな植物の葉を食べます。

活動時期

コガネムシの多くは6~9月に活動が活発化します。なかでもマメコガネは510月と、他の種よりも長く活動します。

 

よく似た虫との見分け方

よく似た虫との見分け方

コガネムシによく似た、カナブンやハナムグリという虫がいます。すべてコガネムシ科の虫で、特にカナブンは同じような色・光沢のため、ひと目で区別するのは至難の業といえます。

わかりやすい見分け方として、頭部と翅の間(付け根)にできる形の違いで区別する方法があります。頭部と翅の付け根には三角形を逆さまにしたような形がありますが、Vのように下が尖った形なのがカナブン、Uのように下が丸みを帯びているのがコガネムシと見分けます。

ハナムグリも形はコガネムシに似ていますが、体に光沢のない種類が多く、翅に白い斑点があるので、カナブンより容易に見分けられます。

また、コガネムシが葉をエサにするのに対し、カナブンはカブトムシのように樹液を好み、ハナムグリは花の蜜をエサにしています。

コガネムシによる被害

コガネムシの被害

見た目にはかわいいコガネムシですが、ガーデニングで花や野菜などを育てている人にとっては、花の美しさや生育を妨げるやっかいものです。ここでは、コガネムシが害虫と呼ばれる被害の実態について説明いたします。

植物の葉だけでなく根まで食害する

コガネムシの成虫は食葉性で、さまざまな植物の葉をエサとしますが、幼虫は土の中で植物や作物の根っこを食べます。つまり、成虫(葉を食害)と幼虫(根を食害)の両者で、植物に大きなダメージを与えてしまうのです。

幼虫

幼虫は地中で植物の根などをエサにしています。根が食害されると花や実に栄養が行き届かなくなり、植物の生育に悪影響が出て、最悪の場合は枯れてしまいます。鉢植えの植物がグラグラする場合、土の中に幼虫がいるおそれがありますのでチェックしてみましょう。

もし幼虫が大量発生した場合、樹木を枯らしてしまうこともあります。早めの対策を心がけましょう。

成虫

植物の葉を好む成虫は食べっぷりがよく、葉脈だけを残してほとんど食べ尽くしてしまいます。そのため葉で光合成ができなくなり、植物が枯れてしまいます。

被害に遭いやすい植物

コガネムシは、サクラ、ケヤキ、クヌギ、シイノキなどの広葉樹の葉や、大豆などマメ科の植物の葉、ブドウや柿、栗の葉などをエサとします。

身近な植物としてはバラや芝生などが被害に遭いやすく、特にバラの葉を好んで食べてしまいます。自宅の庭などでバラを大切に育てている人にとって、その被害は深刻です。また、きちんと手入れをしているはずの芝生が茶色く変色していたら、コガネムシの仕業かもしれません。

コガネムシの駆除・予防方法

コガネムシの駆除・予防方法

大切な植物や作物をコガネムシから守るために、駆除や予防の方法についてご紹介いたします。

見つけたらすぐに取り除く

庭の樹木やガーデニングの草花にコガネムシを見つけたら、手などで捕まえて駆除しましょう。刺されたり咬んだりされる心配もなく、動きも素早くないので簡単に捕まえられます。

殺虫剤を使用する

コガネムシ対策に殺虫剤が手元にあると安心です。フマキラーの「カダン お庭の虫キラーダブルジェット」は100種以上の虫に効くので、1本用意してあるとコガネムシ対策だけでなく役に立つシーンが多いでしょう。

超速効殺虫成分イミプロトリンの働きで、虫をすばやく退治します。また、植物にかかっても枯れにくく、庭木や花だんの近くでも使えるのも安心できるポイントです。

葉にフンがついていたら取り除く

葉にコガネムシのフンがついていたら、すぐに取り除くようにしましょう。葉にフンが残っていると、フェロモン臭によって別のコガネムシの成虫が集まってきてしまいます。

また葉に黒い塊がついていると見た目にもよくないので、フンを見つけたら速やかに取り除きましょう。

幼虫の場合は見つけにくい

成虫の姿は見当たらないのに植物の生育が悪い場合、土の中に幼虫が生息しているおそれがあります。しかし成虫に比べて、土の中にいる幼虫を見つけるのは簡単なことではありません。ここでは、コガネムシの幼虫を発見する方法や、幼虫がいたときの対策についてご紹介いたします。

早期発見のポイント

大切に育てている植物や作物をコガネムシの被害から守るためにも、早期の発見と対応がポイントです。プランターや鉢植えに次のような症状が見られたら、土の中にコガネムシの幼虫がいないか疑ってみましょう。

  • 植物に元気がない
  • 土が柔らかくふかふかしてきた
  • 水を与えても元気が回復しない
  • 株がグラグラしてきた
  • 土が鉢底から漏れ、土の量が減ってきた
  • 鉢に生えていた雑草が急に枯れ始めた

もし幼虫がいたら

植物の状態が気になったら、鉢から植物をやさしく取り出して、土の中を確認してみましょう。土の中に幼虫がいたら、すぐに駆除します。地中に卵などが残っているおそれもあるので、できれば根についた土をすべて丁寧に取り除き、新しいものに入れ替えましょう。

不織布や防虫ネットを活用する

コガネムシが飛来して植物や作物に害を与えないように、植物や作物の上から不織布や防虫ネットをかけて侵入を防ぎます。

マルチシートで覆う

コガネムシは、エサとなる植物の近くの地中に卵を産みつけます。マルチシートで地面を覆うことで成虫は土の中に潜れず、コガネムシが産卵できない環境にすることができます。

農薬を使用する

コガネムシ幼虫から栽培している植物を守るためには、ダイアジノン粒剤を植え付け前に土壌混和するか、オルトラン粒剤を株元に散布するなどで対処してください。

※農薬は各種農薬ラベルをよく読んで使用してください。

まとめ

コガネムシは、光沢のあるきれいな色と愛嬌のあるずんぐりとしたかわいい姿で、飼育する人もいるほど人気の昆虫です。しかし大切な花や作物を食害されている人にとっては、やっかいもの以外の何者でもありません。

特に、幼虫の時期も成虫になってからも植物を食害することから、対応に手を焼いている方も少なくありません。早期の発見と対応を心がけて、大切な花や作物をコガネムシから守りましょう。

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