2020年7月28日 | 虫
チカイエカが発生する原因とは?チカイエカの習性を知って対策しよう
チカイエカは、その名の通り、都市部の地下(地下浄化槽など)で1年中発生する蚊です。冬なのに蚊に刺されたという人は、ほぼチカイエカの仕業に間違いありません。
チカイエカは通気口などから侵入し、主にビルの地下街や地下鉄の構内などで生息しています。暑い時期のイメージが強い蚊ですが、このチカイエカは1年を通して対策が必要な少々やっかいな存在なのです。
そこで今回は、チカイエカの生態や習性などを見ながら、予防と対策について紹介していきます。
チカイエカの生態
チカイエカは、1年を通して地下に生息し、主に夜間に吸血するイエカ(家蚊)の仲間です。同じイエカのアカイエカは約20度~30度の気温を好んで活動しますが、冷房が効いたビルなどに生息するチカイエカは、10度くらいでも吸血活動を行います。
チカイエカの特徴として、「寒さに強い」ことや、冬でも屋内に生息するため「冬眠をしない」こと、「1回目は吸血しなくても産卵できる」ことなどが挙げられます。
蚊が人を刺すのは、産卵のために必要な高タンパクな栄養源として血を吸うため。つまり、吸血するのは産卵を控えた雌だけで、雄は吸血せずに花の蜜などを吸っています。雌の蚊は産卵に備えて吸血しますが、チカイエカは最初の産卵だけは吸血せずに行えるという特徴があります。
また、イエカ類の産卵の特徴として大量発生することも。ヒトスジシマカなどのヤブカ類が数個~数十個の卵を1個ずつ産みつけるのに対して、チカイエカなどのイエカ類は、数百個の塊として水面に卵を産みつけます。
その数の卵からいっせいに孵化して十数日で成虫になるため、大量発生することも。こうしたことから、チカイエカはとても繁殖能力が高い蚊であることがうかがえます。
特徴や形態
成虫の大きさは5.5mmほど。体の色は灰褐色~赤褐色で、よく見ると腹部背面に白い横帯が見られます。見た目はアカイエカによく似ています。
分布
世界では北半球に広く分布し、国内では日本全国に生息しています。
生息場所
チカイエカは主に都市部のビル街で生息しています。ビルの地下水槽、排水槽、地下鉄の構内、古井戸など地下の水場に卵を産みつけ、そこで成虫となり発生します。マンションの雨水槽などにも発生することから、マンションにお住いの人は家の中にも侵入する恐れがあります。
活動時期
主にビルの地下などに生息しているため、チカイエカは季節を問わず一年中活動しています。
生涯サイクル
卵を産みつけてから1~2日後に孵化。幼虫(ボウフラ)として5~10日過ごしたのち蛹に。およそ2日後羽化して成虫になり、およそ30日生きます。
チカイエカの被害
チカイエカは、都市部のオフィスや商業施設、マンションなどにも発生します。チカイエカがもたらす被害には、人を刺す(刺されたところがかゆくなる)ことはもちろん、マンションにお住いの人は、自宅に侵入する恐れもあります。
また、感染症の媒介蚊となる可能性もゼロではないため、注意するに越したことはありません。
アレルギー反応によるかゆみ
頻繁に起こる蚊の被害は「かゆみ」です。蚊に刺された箇所がかゆくなるのは、吸血時に血が固まることを防ぐ「抗凝血作用物質」を含んだ唾液を人間に注入するため。
この蚊の唾液がアレルギー反応を起こして、かゆみの原因となります。しばらくすればかゆみは治まりますが、かゆみが我慢できずにかき壊してしまうと、傷口から細菌が入り込んで「とびひ」になったりするため、小さなお子さまは特に注意が必要です。
フィラリアを媒介する可能性がある
犬や猫を飼われた経験のある人なら分かると思いますが、動物病院で「フィラリア」の予防接種や薬を処方してもらいます。フィラリアは昔からある感染症で、あの西郷隆盛もフィラリア症(陰のう水腫)にかかっていたそうです。
フィラリアは「バンクロフト糸状虫」という体長5~8cm(成虫)の細長い線虫類で、リンパ系組織に寄生して4~10年生き続けます。同じイエカ類のアカイエカが、このフィラリアの最も強力な媒介蚊とされていることから、チカイエカもフィラリアを媒介する可能性があると言えます。
ウエストナイルウイルスを媒介する恐れも
2018年にアメリカで2,647名の発症者が出て、167名の死者が確認された「ウエストナイル熱」のウイルスを媒介したのが、同じイエカ類のアカイエカで、日本では2005年にカリフォルニアから帰国した日本人が国内初のウエストナイル熱の患者と診断されました。
ウエストナイル熱は、発熱、頭痛、筋肉痛、関節痛、食欲不振などの症状が現れますが、安静にしていれば7日ほどで回復します。こうした発症が現われるのは感染者の20%と言われ、1%未満の確率で重症の脳炎、髄膜炎を引き起こすことが確認され、激しい頭痛、高熱、方向感覚の欠如、震え、麻痺、昏睡などを引き起こし、死に至ることもあります。
また、アカイエカの仲間であり、一回り小さいコガタアカイエカは、日本脳炎を媒介することで知られるなど、イエカ類の蚊が感染症のウイルスを媒介することから、今後チカイエカが媒介する可能性がないとは言い切れません。
チカイエカが発生する原因について
蚊は水たまりから発生します。チカイエカに限らず、すべての蚊は卵から蛹までの10~15日ほどは水の中で生活し、成虫になると15日~1ヵ月ほど生きます。
チカイエカが発生する原因は、産卵に備えて高タンパクな栄養源を求めて、人の血を吸いにやってくるため。人の体温や息を吐くときに出る二酸化炭素や、汗に含まれる乳酸などの成分を感知して近づいてきます。
チカイエカに刺されないために
蚊に刺されないためには、蚊が生息している場所に近づかないのがいちばん。ところが、チカイエカの場合、ビルの中や地下鉄の構内など、都市部の生活圏で生息しているため、避けて通るのはなかなか至難の業。
それでも、いそうな場所を知っておくことで刺される被害を回避できる可能性は高まります。ここでは、チカイエカに刺されないためのポイントをご紹介します。
チカイエカがいそうな場所になるべく近づかない
チカイエカは、ビルなどの地下にある湧水槽や排水槽で多く発生するため、地下の水場は要注意です。湧水槽や排水槽の通気口などからビルの施設内に侵入。地下街や地下鉄の構内、オフィスビルなどにも生息しています。
屋内への浸入源を塞ぐ
オフィスなどにチカイエカが発生する場合は、屋内への侵入源である隙間をなくすようにしましょう。マンションにお住まいの人は、窓や玄関から家の中に侵入する恐れがあります。ドアを開け閉めする際に、蚊が入らないように注意しましょう。
専門の駆除業者に相談する
湧水槽や排水槽でチカイエカが発生しているお困りの場合は、専門の駆除業者に相談しましょう。湧水槽や排水槽に入ることは大変危険です。
虫よけ剤を使用する
オフィスや地下鉄など毎日利用する場所で、チカイエカの被害に遭う場合は、虫よけ剤を使用しましょう。
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殺虫剤を使用する
個人オフィスや小さな店舗などで、チカイエカの被害に遭う場合や、マンションにチカイエカが発生した場合には、殺虫剤で駆除するのがおすすめ。屋内にいるチカイエカは、ヒトスジシマカに比べて活動時間が長いという特徴があるため、室内などの仕切られた空間に薬剤を拡散する方法が効果的です。
フマキラーの「おすだけベープ スプレー」は、1回押すだけで薬剤が瞬時に広がり、すばやい効果を発揮します。小さくて軽い粒子が長く空間に漂い、床や壁についた蒸散性の高い薬剤が再蒸散することで、優れた効果が長時間続きます。
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まとめ
ビルの中に発生するチカイエカは、当然オフィスに発生することもあります。仕事中にチカイエカがまわりを飛び回っていたら、気が散って仕事どころじゃなくなってしまうかもしれません。
チカイエカは、高度経済成長で急速に発展した都市部の環境に順応した都市型の蚊として、個性的な特徴を持っています。オフィスや地下街、地下鉄など公共の施設に多く生息するチカイエカから、身を守るには、虫よけが効果的。
お出かけ前のひと塗りを習慣にして、気持ちのいい一日をお過ごしください。