2020年7月28日 | 園芸・ガーデニング
【さわやかな香り】ミントの育て方やコツをご紹介
ミントと聞けば、スッキリとしたさわやかな香りを連想する人も多いでしょう。ミントは種類がとても多く、古くから医療やポプリなどに利用されてきました。
今回は、ミントの基礎知識と育て方のポイント、ミントの栽培に必要なものや具体的な育て方、トラブルと対処法についてご紹介します。ミントは育て方が簡単なので、初心者の方もぜひ挑戦してみてください。
ハーブの代表格!ミントの基礎知識
はじめに、ミントについての基礎知識を深めましょう。
ミントの分類と歴史
ミントはシソ科ハッカ属に分類されるハーブで、和名では「薄荷(ハッカ)」とも呼ばれます。ミントの多くは毎年芽を出す多年草で、一年を通して落葉しない常緑の品種もあります。清涼感がある香りは、料理やお茶、お菓子だけでなく、リースやサシェ(香り袋)、ポプリなどのクラフトのほか、成分を抽出した精油や医薬品などに用いられます。
ミントの原産は種類によって異なり、地中海沿岸やヨーロッパ、日本を含むアジア東部などの広範囲にわたります。古代ギリシャでは防腐用や医療用として使用され、2000年以上前に中国から日本へ伝来した品種もあります。国内では江戸時代に本格的な栽培が始まり、1930年代には北海道北見市で世界シェアの7割のミントを生産しました。
ミントに含まれる栄養
ミントの中でも代表的なペパーミントには、ビタミンAやB類、Cのほか、カリウムやカルシウム、鉄分、食物繊維などを多く含みます。香りの主な成分は、キリっとしたイメージのペパーミントが「l(エル)-メントール」、やや優しいイメージのスペアミントが「l-カルボン」によるものです。
ミントの品種によっては、カルボンやリナロール、シネオールなどの成分も含まれます。
ミントの種類と注意点
ミントは品種が混ざった交雑種も合わせると1,000種類以上もあり、品種として認められたものがおよそ100種、原種は25~40種とされています。ミントは大きく「ペパーミント系」と「スペアミント系」に分けられます。
店頭でよく見かけるものはペパーミントやスペアミントのほか、アップルミントやパイナップルミント、ペニーロイヤルミント、バジルミント、クールミントなどがあります。なお、成分の関係からペニーロイヤルミントは飲食用に適さない上、妊娠中や授乳中は香りの使用も避けてください。
また、キャットミント(キャットニップ)やヤグルマハッカなどはミントやハッカの名が付いていますが、本来のミントとは属が異なるため、食用にできないので気を付けましょう。
そのほかのハーブについては、「ハーブを楽しむ!栽培からハーブティーの楽しみ方まで」「ハーブ栽培は庭やベランダの虫よけにも最適!」の記事も参考にしてください。
ミントの育て方のポイント2つ
ミントは育て方が簡単ですが、次の2つのポイントを押さえておきましょう。
① 鉢やプランターで育てよう
ミントは生育が旺盛な植物なので、地植えにするとどんどん繁殖して広がります。特に初心者の方は、鉢やプランターで育てることをおすすめします。
② 摘芯(てきしん)と切り戻し
ボリュームを出すには、茎の先端をカットする「摘芯」をして脇から伸びる芽を育てましょう。また、茎が伸びすぎたときは、半分くらいの高さにまで切り戻してください。
ミントの栽培で準備するもの
ミントを育てるときには、下記のもののほかに基本的なツールを用意しましょう。近年では、タネと容器などがセットになった栽培用のキットもあります。
土と肥料など
ミントを栽培するときは、市販の野菜用か一般的な園芸用の土で構いません。畑の土は、念のため前年にシソ科の植物を育てたものを避けてください。土の改良用として、石灰やたい肥、腐葉土(ふようど)を用意しましょう。
ミントを食用にするときは、植物や魚の粉などを原料にした有機質肥料を使用し、観賞用には化成肥料をおすすめします。土の乾燥を防ぐときは、敷きわらなどで根元にマルチングをほどこします。
鉢またはプランター
先述したように、ミントは繁殖力が強い植物なので、初心者の方は鉢やプランターで栽培しましょう。管理する場所や栽培したい量に合わせて、好きなサイズを選んでください。植え付ける鉢などの底には、軽石や黒曜石などの素材で作られた鉢底石(はちぞこいし)を敷いて排水性をよくしましょう。
タネまたは苗
ミントはタネから育てられますが、管理が難しいため初心者の方は苗の購入をおすすめします。ミントなどのハーブの苗は、4月頃から店頭に並び始めます。苗は茎が太くてしっかりしたものを選び、ポットの下から根が見えるか確認してください。タネや苗はインターネットでも購入できるので、早めにチェックしましょう。
【初心者の方必見!】ミントの育て方
それでは、一般的なミントの育て方を順にご紹介します。
土の下準備
市販の新しい土を使うときには、特に下準備の必要はありません。畑やプランターの土を再利用するときは、前もって石や古い根、茎などを取り除き、日光に当てて消毒します。植え付けのおよそ2週間前には、石灰をまいて酸性の土壌を中和します。
その後、たい肥や腐葉土を混ぜてなじませましょう。植え付けの1週間ほど前に肥料を加えれば、土の下準備は終了です。
種まきの方法
ミントの品種にもよりますが、タネまきは3~4月頃、または9~10月頃を目安に行います。タネはとても小さいので、扱いに気を付けてください。園芸用のポットで育てるときは、土を入れてから中央にパラパラとタネをまき、手で軽く押さえます。
鉢やプランターに直接まくときは、6~7号の鉢(直径が約18~21cm)には中央に、60~65cmのプランターは20cmほど空けた3カ所の位置にまきます。静かに水やりをして、発芽するまでは乾燥しないように新聞紙などをかぶせましょう。発芽の適温は15~20℃くらいですが、品種によっては発芽までに時間がかかるものもあります。
発芽後は、混み合ったところや生育が悪い芽を抜き取る「間引き(まびき)」をして、最終的に元気な1本を残します。ポットの苗は、本葉が4~5枚くらい出るまで育ててから植え付けましょう。
植え付けの注意点
苗を植え付けるときは、同様に6~7号の鉢は中央に1株、60~65cmのプランターは3株が適当です。なお、1つの鉢などに異なる品種のミントを植えると、花粉が混ざって交雑種が生まれることがあります。また、ミントは繁殖力が強いので、ほかの植物との寄せ植えはおすすめしません。
夏の育て方
鉢やプランターは土の表面が乾いたら水やりをし、夏の間は朝と夕の2回水を与えましょう。土の乾燥が激しいときには、敷きわらなどで根元にマルチングをします。真夏の強い日差しで葉が弱る場合は、数時間だけ日が当たる半日陰の場所に移動してください。
肥料は2カ月に1回くらいのペースで与えますが、生育がよいときは必要がありません。ボリュームを出すときには、茎の先端を摘芯して脇から出る芽を育てます。カットした若い芽を水や土に挿す「挿し芽(さしめ)」をすれば、増やすことが可能です。
夏の間に草の丈が高くなったり、下の部分の葉が枯れてきたりしたときは、半分くらいの高さまで切り戻しましょう。しばらくすると新しい芽が出て、再び伸び始めます。
収穫のポイント
ミントは、春から秋にかけて長い期間の収穫が可能です。葉が茂って混み合った部分や伸びすぎた部分は、収穫も兼ねてどんどんカットしましょう。花が付くとミントの香りが弱くなるので、春から夏の間はつぼみが付いた茎も取り除いてください。
食用にしないときには、切った茎を束にしてスワッグなどにすると香りが楽しめます。保存用に収穫するときには、つぼみが付いた茎を地面に近い部分からカットして束にし、通しがよい場所につるして乾燥させます。完全に乾いたら、茎から葉を取って密閉できる容器に入れて保管します。
タネを収穫する場合は、秋に咲いた花を残して実を付けさせ、茶色くなったらカットします。実から小さなタネが出てくるので、通気性がよい袋に入れて保管しましょう。ただし、家庭菜園で採取したタネから育った株は、やや香りが弱くなる傾向があります。
株分けや冬越しなど
生育が旺盛なミントは、根もどんどん生長しています。夏が終わったら、1~2年ごとに株分けや植え替えをしましょう。鉢やプランターからミントを丁寧に取り出し、中央から2つに分けて新しい鉢に植え替えます。株分けをしないときには、ひと回り大きな鉢やプランターに植え替えてください。
冬の育て方は、土の表面が乾いたタイミングで水やりをするだけです。ミントは寒さに強いハーブなので、特に保温の必要はありません。ただし、霜が降りるときや寒冷地では、敷きわらを敷いたり不織布(ふしょくふ)をかぶせたりして保温をしてください。春になると活動を再開し、新しい芽が出てきます。
ミントの水耕栽培
ミントは、水耕栽培用のセットか容器とスポンジを用意すれば、室内でも栽培できます。スポンジを十分に湿らせてからタネをまきますが、発芽には時間がかかる場合があります。発芽するまでは、新聞紙などをかぶせて保護しましょう。スポンジが乾燥しないように、毎日水を追加してください。
発芽したら日当たりがよい場所に置き、同様に混み合った部分を間引いて元気な芽を残します。容器の水は毎日入れ替え、中を清潔に保ちましょう。ある程度生長したら、ハイドロボールを入れた容器に移し替えられます。水だけで栄養が足りないときは、水耕栽培用の液体肥料を与えてください。
タネからの栽培が難しいときは、外で育ったミントの若い芽を挿し芽にして発根させましょう。その後ハイドロボールに移し替えれば、水耕栽培でもミントを楽しめます。
室内での野菜の栽培は、「【簡単でおしゃれ!】キッチン菜園におすすめの野菜と育て方をご紹介」の記事も参考にしてください。
ミント栽培のトラブルと対処法
最後に、ミントを栽培する際に起こりやすいトラブルと対処法をご紹介します。
香りが弱い
ミントは、花が付いたときや肥料が多すぎるときは香りが弱くなります。初夏から夏の間は、花の芽を摘み取って管理しましょう。生育がよいときには、追加の肥料は与えません。また、交雑種や家庭菜園で採取したタネから育てたミントは、香りが弱い傾向があります。
ミントの病害虫
ミントは病気の心配はほとんどありませんが、まれに「さび病」にかかることがあります。さび病は、葉の裏に付いた淡い色のはん点が、後にオレンジ色に盛り上がる症状が特徴です。害虫は、アブラムシやヨトウムシ、ハッカムシなどが付きやすいので注意しましょう。病害虫を発見したら早急に取り除き、まん延を防ぐことが大切です。
なお、害虫の被害に遭ったときには、フマキラーの「カダンセーフ」がおすすめです。カダンセーフは、食品成分由来の膜が病害虫を包んで退治。害虫は呼吸ができずに窒息死し、病原菌も栄養を得られず死滅します。屋内での使用や、お子様・ペットのいるご家庭でも安心してご使用いただけます。また活力成分の天然アミノ酸とAO(アルギン酸オリゴ糖)を配合していますので、病害虫対策だけでなく植物の生育もサポートする優れものです。
ミントの育て方を覚えて優雅なリラックスタイムを
今回は、ハーブの代表格であるミントの育て方をご紹介しました。ミントは鉢やプランターで管理し、夏は水分の不足に注意すれば、さほど育て方は難しくありません。伸びすぎたときは、摘芯や切り戻しをしてください。
ミントのさわやかな香りは、気分転換にぴったり。お茶やお菓子だけでなく、スワッグやサシェなどにして存分に香りを楽しみましょう。