2020年3月21日 | お役立ち情報
エイプリルフールとは?その由来・語源などをあわせて紹介!
「嘘は泥棒のはじまり」などと「嘘=いけないこと」と教わった子ども時代、堂々と嘘をつける4月1日(エイプリルフール)が楽しみだったという人も多いのでないでしょうか。「今日いきなりテストがあるらしいよ」とか「●●ちゃんがお前のこと好きだって」などと、友達を騙したり、騙されたり。
ところで、このエイプリルフールの風習はどこからはじまったのでしょうか。そして、なぜ「エイプリルフール」と言われ、その日が4月1日になったのか。今回は「嘘をついていい」ということ以外はあまり知られていないエイプリルフールについて、いろいろと解説していきます。
エイプリルフールとは
エイプリルフール(April Fool’s Day)とは、毎年4月1日には嘘をついてもいいという風習のこと。西洋にはじまり、そこから世界へと広がっていき、日本には大正時代に伝わり浸透してきたと言われています。日本ではエイプリル(4月)フール(馬鹿)を直訳して「四月馬鹿」と、嘘をつかれた人を指す言葉も使われています。ちなみに、中国では万愚節(ばんぐせつ)や愚人節(ぐじんふし)、フランスではプワソン・ダヴリル(4月の魚)とも呼ばれています。
エイプリルフールの由来・起源
いつ、どこで、何のために誕生したのか。エイプリルフールについては諸説あるものの、実ははっきりとしたことはわかっていません。そこで、ここでは数ある説のなかで有力とされているものについて紹介していきます。
由来 その1
1つ目は、フランスで起こったとされる説です。その昔、ヨーロッパでは3月25日を新年として、4月1日まで春の祭りが開催されていましたが、1564年にフランスのシャルル9世が1月1日を新年とするグレゴリオ暦を採用。これに反発した人々が、4月1日を「嘘の新年」として馬鹿騒ぎをはじめたことに由来するというものです。
由来 その2
2つ目は、インドで起こったとされる説です。インドの仏教徒は春分の日から3月末まで修行を行います。ところが、せっかく修行をしても4月1日になるとその修行が嘘だったかのように俗人になってしまうことから、4月1日を「揶揄節(やゆせつ)」と呼んでからかったことに由来するという説もあります。
由来 その3
3つ目は、イギリスの王政復古の記念祭である「オークアップルデー」が元になっているという説です。国王に忠誠を誓うこの風習は、当時の国王であるチャールズ2世が敗走中にオーク(かし)の樹に隠れて難を逃れたという故事から、オーク(かし)の小枝やオークアップル(虫こぶ)などを身につけて王政への忠誠を誓ったとされ、それを守らなかった者を笑いものにしたそうです。
由来 その4
4つ目の説は、これもフランスで起こったとされる説です。フランスではエイプリルフールのことをプワソン・ダヴリル(4月の魚)と言い、子どもたちが紙に書いた魚の絵を人の背中にこっそり貼り付けるといういたずらがありました。この4月の魚とはサバのことで、ちょうどこの頃にサバがよく釣れるためこう呼ばれるようになったと言われています。
その他の由来
エイプリルフールは、旧約聖書に出てくる「ノアの方舟(はこぶね)」に由来するという説もあります。これは、大洪水の予言を受けたノアが大きな方舟をつくり、家族やたくさんの動物たちと乗り込み、大洪水の難を逃れたという話。大洪水がおさまったあとも方舟のまわりに水が引かなかったことから、ノアは鳩を飛ばして陸地の存在を確認しようとしますが(陸地があれば鳩が木の実をもってくるか、そこに住み着いて帰ってこないはず)、鳩は陸地を見つけられずに戻ってきてしまいます。この日が4月1日で、無駄な意味のない日であったということから「嘘をつく日」になったと言われています。
ほかにも、キリストの命日を4月1日とし、ユダに裏切られたことを忘れないためにつくられたとする説などもあるようです。
エイプリルフールのルールやマナー
嘘をついて、それが嘘だというタイミングを逃してしまい、本当のことが言えなくなってしまった。そんな経験がある人もいるのではないでしょうか。いくら堂々と嘘をついていい日だからといって、相手を傷つけるような嘘や、嘘を信じ込ませたままにしておくのはNG。季節のイベントのひとつとして、エイプリルフールをみんなで楽しめるように、なんとなく定着したルールやマナーについて紹介していきます。
4月1日は、不義理を詫びる日だった
エイプリルフールが日本に伝わってきたのは大正時代、エイプリルフールを直訳した「四月馬鹿」として広がりました。実はそれまで4月1日は、中国伝来の風習で「不義理の日」とされ、ご無沙汰してしまっている(義理を欠いてしまっている)人たちに手紙などであいさつをして日頃の不義理を詫びるための日とされてきました。
嘘をついていいのは午前中だけ?
エイプリルフールの由来が諸説あるように、その解釈についてもさまざまあるようです。そのひとつとして、「嘘をついていいのは、4月1日の午前中だけ」というルールがあるのをご存知でしょうか。これは先述したイギリスの「オークアップルデー」と関係があるようです。オーク(かし)の小枝やオークアップル(虫こぶ)などを身につけて王政への忠誠を示し、それを守らなかった者を笑いものにするというものですが、この風習自体が午前中に行われていたことから、エイプリルフールの「午前中だけ嘘をついていい」というルールの元になったようです。
午前中に嘘をついて、午後にはネタばらし
エイプリルフールに嘘をついていいのは午前中だけだったのか、と改めてそう思った人も多いのではないでしょうか。ですが、嘘であることに一日中気づかずにいると、だました側も罪悪感がつのりますし、嘘を信じて思わぬ事態に発展してしまう恐れも…。そのため、午前中に嘘をついた場合、午後にはネタばらしをすることがエイプリルフールにおけるマナーのひとつになっているようです。
世界を驚かせたユニークな嘘たち
エイプリルフールという大義のもと、堂々と嘘をついていい4月1日にどんな嘘をつくか。だます側のセンスが問われます。学校や職場でたわいのない嘘をついた(あるいは嘘をつかれた)人は多いと思いますが、世界には大勢の人をだましたスケールの大きい嘘(ジョーク)が存在します。ここでは、そのいくつかを紹介します。
イギリスの時計台「ビッグベン」がデジタルになる?
ビッグベンといえばイギリスを象徴するシンボルのひとつで、首都ロンドンにあるウェストミンスター宮殿(英国国会議事堂)に付属する時計台の大時鐘(だいじしょう)の愛称のこと。このビッグベンにまつわる嘘を、BBC(英国放送協会)が1980年のエイプリルフールに放送し、世界を驚かせました。その内容とは、ビッグベンの時計をアナログからデジタルに変更することを発表。さらに、不要になった時計の針を希望者にプレゼントするというもので、この嘘の報道を真に受けて、海外では実際に新聞やテレビで報道された国もあったとか。予想以上の反響にBBCはのちに謝罪を行ったそうです。
スパゲッティが豊作?
続いてはBBCが1957年のエイプリルフールに放送した、いまの時代ならすぐに嘘とわかるニュースを放送しました。その内容とは、今年はスパゲッティが豊作というニュースを3分間のドキュメンタリー映像として紹介したもの。当時のイギリスではスパゲティが一般的ではなく、実際にスパゲッティを木に吊るした映像を見て、スパゲッティは木から収穫されると信じた人たちから、栽培方法などについて問い合わせが殺到したとか…。
イギリスは紳士の国とも呼ばれ、少々お堅いイメージを持たれている人もいるかと思いますが、国営放送であるBBCがエイプリルフールに仕掛ける嘘を見てみると「ジョークも紳士のたしなみのひとつ」とばかりに、堂々たるジョークに驚かされます。
白黒テレビがカラーになる?
白黒テレビにあることをするだけでカラーになるとしたら、嘘だと思っていてもぜひその方法を試してみたくなりますよね。これは1962年のスウェーデンのテレビ番組が報じた嘘の話で、ストッキングのような網目のあるものを白黒テレビにかぶせるとカラーに見えるというもの。実際にテレビの技術者が紹介したこともあり、この日たくさんの人たちが試したようですが、当然のごとくテレビはカラーにならずに、たくさんの家庭でストッキングが無駄になったようです。
日本の競馬にシマウマが登場?
エイプリルフールのおもしろいネタは、日本だって負けていないようです。2007年の東京新聞には、人気が低迷する地方競馬の復活を夢見て、レースにシマウマが登場するという記事を掲載。騎乗したジョッキーのコメント(サラブレッドより速い)に、競馬ファンの期待も高まったようです。すぐにエイプリルフールの嘘であることがばれてしまったようですが、実際に出走馬のなかにシマウマがいる場面を想像すると、思わず笑ってしまいますね。
嘘か真実かの新聞広告
続いては2015年のエイプリルフールに、BMWニュージーランドが打ち出した新聞広告を紹介。これは、エイプリルフールの特別クーポンを持って車で指定の店舗に行くと、1番目の人の車を新車のBMWに交換してくれるというもの。エイプリルフールのジョークと思いつつも、実際にクーポンを持って行った最初の来店者には本当に新車がプレゼントされ、当人はもちろん、たくさんの人たちを驚かせたようです。
センスのいい嘘で、このユニークな風習を大いに楽しみましょう!
最近のエイプリルフールは、SNSでユニークな投稿をあげて楽しまれている人も多いようです。なかには企業発信の投稿も多く、昨年は企業間コラボで企業ロゴと企業カラーを入れ替えるといった新しい発想のジョークも話題になりました。
嘘も方便。上手に使えばコミュニケーションのひとつになることもあります。だますことを目的とせずに、ジョークとして場を和ませたり、相手が信じ込んでいたら、きちんとネタバレして「なーんだ」とみんなで笑い合いましょう。さあ、今年のエイプリフール、みんながハッピーになれるセンスのいい嘘を今から準備しておきませんか。