大人も子どもも楽しめる「お正月遊び」を紹介

大人も子どもも楽しめる「お正月遊び」を紹介

羽根つき、凧揚げ、福笑いなど、子どもの頃、こうした伝統的なお正月遊びを楽しんだ人も多いのではないでしょうか。家族や親戚たちが集まって、みんなで夢中になったお正月遊び。実はそれぞれの遊びには、さまざまな思いが込められていたことをご存知でしょうか。

お正月遊びには、アナログならではのゲーム性はもちろん、親子代々伝えていく喜びがあります。遊びといえばもっぱらデジタルゲームという今の時代、こうした遊びに触れる機会はめっきり少なくなってしまいましたが、だからこそ味わえる楽しさや喜びに出会えるはず。そこで今回は、大人も子どももいっしょに楽しめるお正月遊びを、その意味や由来と合わせて紹介していきます。

お正月遊びは由来もあわせて楽しもう

日本人にとってはおなじみの遊びも、名前の由来や遊びに込められた意味を知ることで、「なるほど」や「え、そうだったの」という驚きや新しい発見に出会えるはずです。

福笑い

福笑い

目隠しをして、顔の輪郭が描かれた紙の上に、眉・目・鼻・口といった紙のパーツを置いていき、どんな顔になるかを楽しむゲームです。見えていないため、できあがる顔はたいてい滑稽な顔になり、それを笑って楽しみます。

「笑う門には福来る」

こうしたことわざにもあるように、みんなで大笑いできる「福笑い」は縁起がいい遊びとされ、明治時代からお正月遊びとして親しまれてきたと言います。

遊び方・ルール

面白い顔を作ってみんなを笑わせたほうが勝つのか、それとも顔のパーツをいい位置に置いて正確な顔を作ったほうが勝つのか、楽しみ方は自由です。

おかめ・ひょっとこ

シートに描かれた顔は、女性版は「おかめ」や「お多福」、男性版は「ひょっとこ」が定番。家族や友達の似顔絵など、自分たちでオリジナルの福笑いを作って遊ぶのもおすすめです。

凧揚げ

凧揚げ

竹ひごなどで作った骨組みに和紙を張った「凧(たこ)」を、風の力を利用して空高くに浮かべる遊びです。凧に取り付けたヒモを引っ張ってコントロールします。

「祈りや願いを凧にのせて天に届ける」

江戸時代、凧揚げは男の子の出生を祝って行われていました。祈りや願いをのせて天に届けるという思いを込めて凧を揚げていたそうです。また、「立春の季に空に向くは養生のひとつ」と言われたことから、立春に凧揚げするようになったとも言われています。

遊び方

単独で凧を揚げるだけでなく、凧の遊び方には、相手の凧を攻撃して落としたり糸を切ったりする「喧嘩凧」や「凧合戦」といったものもあります。

種類

凧にはいろいろなカタチをしたものがありますが、よく見かけるのは、長方形をした「角凧」や、奴が描かれた「奴凧」。奴凧の奴(やっこ)とは江戸時代の武家の下僕を指す言葉で、身分が低い者が大名屋敷などを見下ろすという、庶民のささやかな仕返しだったという説があります。他にも、小さい凧を連ねた「連凧」や、昭和の時代に大流行したビニール製の「カイト」などさまざまな種類があります。

羽根つき

羽根つき

羽子板で羽根を打ち合う「羽根つき」は、中国から伝わってきました。中国には羽根に硬貨をつけたものを蹴るという遊びがあり、それが少しずつ形を変えて、羽根をつけたものを木の板で打ち合う遊びへと変化しました。

「1年の厄をはね、子どもの健やかな成長を願う」

羽根をつくのは厄をはらうという意味があり、縁起の良い遊びとして親しまれてきました。羽根の先についている黒い玉は無患子(むくろじ)という木の実で、「子どもが患わない」という意味から用いられています。また、羽根が模しているのはトンボの羽根で、そこには「病気を媒介する蚊の天敵であるトンボを飛ばして厄をはらう」という意味も込められていると言います。

遊び方

2人で交互に羽根を打ち合う羽根つきのことを 「追い羽根」と言い、1人で何回突けるかを競う遊び方を「突き羽根」や「あげ羽根」と言います。ちなみに、打ち損じた場合に、顔に墨を塗るのは魔除けのおまじないとされています。

いろはかるた/百人一種

いろはかるた/百人一種

読み札と絵札を使った「かるた」には、いろは歌を用いた「いろはかるた」や、百人一首を用いた「百人一首かるた」があります。

「子どもが遊びながら字やことわざを覚えられるように」

いろはかるたは、「犬も歩けば棒にあたる」などのことわざを用いたもので、子どもが遊びながら学べるようにと江戸時代後期に考案されました。

平安時代に作られた和歌を「かるた」に

百人一首(かるた)は平安時代に作られたさまざまな和歌集をもとに、鎌倉時代に藤原定家が選んだ「小倉百人一首」でできています。上の句が書かれた読み札を読み、下の句が書かれた取り札をとるといった難易度が高いかるたです。

双六(すごろく)

双六

サイコロをふって、出た目の数だけ駒をすすめてゴールをめざす、今で言うボードゲームのような遊びです。おなじみの双六は「絵双六」と言われているもので、はじめは「極楽浄土への道筋」を描いたものだったとか。それが東海道五十三次などの「道中双六」や、人の世の「出世双六」などに変わっていき人気となったそうです。

「今年1年の運試しに」

家族団らんで楽しめる双六ですが、昔は運次第で誰でも勝てることや、勝敗が分かりやすいということから賭博に用いられていました。すっかり賭博の要素は薄れていますが、勝敗は運次第ということもあり、「その年の運を試す」という意味もあるようです。

名前の由来

双六はもともと、奈良時代に中国から伝わった「盤双六(ばんすごろく)」が変化したものです。この「盤双六」は、将棋盤のような双六盤をはさんで向かい合い1対1で対戦。2つのサイコロをふって出た目の数だけ駒を進め、すべての駒を先に相手の陣地に入れたほうが勝ちとなります。2つのサイコロの六と六が最高の出目となり、2つの六という意味から「双六」という名前になったと言われています。

コマまわし

コマまわし

お正月の歌にも出てくる「コマまわし」は、まさにお正月のイメージが強い遊びのひとつですね。平成の時代、プラスチック製のコマのオモチャが大流行しましたが、木製のコマにヒモを巻き、上手にまわせるかを競うコマまわしは、簡単にはまわせない技の習得も醍醐味と言えます。

「物事が円滑に回る」

クルクルと小気味よく滑らかに回転するコマは、その様から「物事が円滑に回る様子から縁起が良い」とされてきました。

名前の由来

コマまわしの起源は、なんとエジプト。世界最古のコマはエジプトで発見された紀元前2000~1400年頃のもので、木を削って作られたシンプルなものでした。日本には奈良時代に高麗を経て伝わってきたと考えられています。高麗はかつて「コマ」と呼ばれていたことから「コマ」という名前になり、「独楽」という字が用いられるようになりました。

だるま落とし

だるま落とし

だるまの下に積み重ねた段(薄い円柱)を小槌で叩いてひとつずつ抜いていき、最後までだるまが落ちなければ成功。叩く加減やバランスを考えながら行い、崩れそうで崩れない、ハラハラドキドキする展開もこの遊びの魅力です

「1年間転ぶことがない」

通常、だるまは転んでも起き上がるものとされていますが、だるま落としのだるまは、転んでも(落ちても)起き上がりません。そのため、転ばない(落とさない)ようにしなくてはならず、最後までだるまを落とさなければ「1年間転ぶことがない」という願掛けができると言われています。

だるまのモデルは禅宗の祖、達磨大師

だるま落としの起源については分かっていませんが、描かれているだるまは禅宗の祖、達磨大師(だるまだいし)がモデルとなっています。達磨大師は壁に向かって9年も座禅を行ったことで、手足が腐ってしまったと言われ、その為だるま落としのだるまには手足がないデザインになったと言われています。

お手玉

お手玉

きれいな模様の布袋に小豆などを入れた手玉を複数個用意し、すばやく1つずつ投げてはキャッチ。これを繰り返し、手玉の数を増やしたり、いろいろな技をはさんだりして楽しむ「お手玉」は、子どもの頃、おばあちゃんやお母さんに教えてもらった人も多いのではないでしょうか。

脳を刺激して集中力アップ

手先を使うことで脳を刺激して集中力も増すため、子どもの頃からお手玉に親しむことで日本人の手先の器用さに貢献してきました。現代では、お年寄りの脳トレアイテムとしても注目されています。

起源

お手玉の起源は、古代ギリシャで羊の骨を使ったものだったと言われています。日本では奈良時代に中国から「石名取玉」という水晶でできたものが伝来。これは法隆寺に残っていて、聖徳太子が遊んだという説もあるとか。平安時代には石を使ったもの、そして、江戸時代に入り、布袋に小豆や大豆、栗、稗(ひえ)などを入れたお手玉になったそうです。

けん玉

けん玉

穴のあいた球体に「けん先」と呼ばれる棒をさしたり、大小の皿に球を乗せたりして、技を競い合い遊ぶ、日本の代表的な玩具です。現代ではさらに技が進化し、「けん玉」は球技種目としてスポーツ分野にまで発展。世界各国にファンを拡大しています。

失敗したらお酒を飲む?

けん玉の元になったとされる遊びが、江戸時代にシルクロードを通じて入ってきましたが(発祥の地はフランス、ギリシャ、中国と諸説あります)、それは、鹿の角に穴をあけそこに玉をヒモで結びつけたもの。玉をのせることに失敗するとお酒を飲むという記述が、江戸時代の百科事典にあることから、大人の遊び道具だったと考えられています。

昭和初期に大ブームに

今のような形になったのは大正時代。玉を太陽(日)に、浅い皿を三日月に見立てて、「日月ボール」と呼ばれ、昭和初期に大ブームとなりました。

めんこ

めんこ

厚紙でできた丸型や長方形のめんこを床に置き、それをめがけて自分のめんこを打ちつけ、風圧などを利用して相手のめんこを裏返したり、台から落としたりして、勝ち負けを決める遊びです。負けためんこは相手に渡し、最終的に枚数が多いほうが勝ちとなります。

江戸時代は粘土だった

紙のめんこの元となる遊びは、江戸時代にはじまったと言われています。当時のめんこは粘土で人の顔(面)をかたどった「泥面子(どろめんこ)」というもので、直径2cm程度の円形の泥面子を、おはじきのようにぶつけて遊んだそうです。

大正時代に紙のめんこに

明治時代には粘土に代わって、鉛のめんこが登場します。そして、大正時代になると紙のめんこが主流に。丸いめんこは「丸めん」、長方形のめんこは「角めん」と呼ばれ、当時人気だった力士や野球選手、漫画のキャラクターなどが印刷され、男の子に大人気の遊びになりました。

日本伝統のお正月遊びで、家族団らんのひとときを

これまで知らなかった遊びの起源や、名前の由来など、驚きや新しい発見とともに、家族団らんで楽しんだお正月遊びを懐かしく感じた人もいたのではないでしょうか。子どもの数が減ったり、子どもたちの遊びもデジタル化しパーソナルで楽しむことが多くなっている現代、アナログなシンプルな遊びが、かえって新鮮に映るのでは。

ぜひこの機会に、伝統のお正月遊びで家族団らんの豊かなひとときを過ごしてみませんか。

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