【特定外来生物】アルゼンチンアリの生態・被害・対策について

【特定外来生物】アルゼンチンアリの生態・被害・対策について

1993年、広島県廿日市(はつかいち)市で初めて発見され、その後、岡山、山口、徳島、兵庫、大阪、京都、岐阜、愛知、神奈川、東京、など、11都道府県(静岡でも発見されていたが2019年に根絶が確認されています)で生息が確認されているアルゼンチンアリ。廿日市市には輸入木材の受け入れ港があり、輸入木材の中に巣食っていたアリたちが上陸した可能性が高いと考えられています。

アルゼンチンアリは、果樹を食べ荒らしたり、攻撃性が強く先住生物を追い出したり生態系にも多大な影響を与えるほか、人への攻撃性もあるやっかいな存在。そこで今回は、生活圏でも遭遇する可能性が十分にあるアルゼンチンアリについて、その生態や特徴・駆除方法などについて解説いたします。

アルゼンチンアリとは?

アルゼンチンアリとは?

アルゼンチンアリはブラジル南部からウルグアイ、パラグアイ、アルゼンチン北部にわたる地域を原産地とするアリ。アルゼンチンアリ(Argentine Ant)と呼ばれていますが、アルゼンチンだけが原産というわけではなく、アルゼンチンではブラジルアリ(Brazilian Ant)と呼ばれています。

日本国内では農作物や生態系、人への被害などが報告され、外来生物法の「特定外来種」に指定されています。

特定外来種とは…

もともと日本にいなかった外来生物の登場によって、地域の生態系や人々の健康、農林水産業などに被害を及ぼす、あるいは及ぼす恐れのある外来生物を「特定外来生物」として指定し、その飼育、栽培、保管、運搬、輸入などについて取り扱いを規制しています。

【参考】環境省 特定外来生物等一覧

生態

アルゼンチンアリは、ハチ目アリ科カタアリ亜科に分類されるアリの一種。攻撃性が強く、他種のアリの巣を襲い、巣の中にいる幼虫や成虫をエサにしたり、時にはハチの巣や鳥の巣まで襲うこともあります。一般的なアリと異なり、アルゼンチンアリはひとつの巣に複数の女王アリがいる多女王性。通常の巣では、働きアリ1,000匹に対して女王アリ8匹程度ですが、大きな巣では何百もの女王アリがいて、なかには1,000を超える数の女王アリがいるケースもあると言われています。

食性は雑食性ですが中でも砂糖や花蜜などの甘味成分を好み、特にアブラムシやカイガラムシが分泌する甘露が好物。その他、果実や種子、昆虫やミミズなどの死体、空き缶に残った汁、犬の糞などにたかり、屋内では砂糖や菓子類はもちろん、生ゴミや調理具の洗い残しなどにも群がることがあります。

女王アリは1日に約60個の卵を産み、約2ヵ月で成虫の働きアリに成長します。女王アリは6月頃に羽化しますが、結婚飛行(交尾のために空中に飛び立つ)はせずに巣内に留まり、巣内で交尾・産卵を開始します。女王アリ、雄アリともに、羽化時には羽を有していますが、結婚飛行を行わないため、この羽が使用されることはありません。働きアリの寿命は約1年。女王アリは約10~12ヵ月生きると言われています。

特徴・形態

体長は働きアリで約2.2~2.8mm程度の小型種で、女王アリはその2~4倍の大きさをしています。体色は淡褐色~褐色で、触覚や脚が長いことが大きな特徴となります。行動スピードが速く、その速さは日本在来種のアリの4倍近いスピードで動くといい、人目につくときはたいてい多数の個体からなる行列をなして行動します。

肉眼では在来種との判別が難しく、実際に地域住民から寄せられる問い合わせでは、ルリアリ、アミメアリ、トビイロシワアリ、オオズアリなどが送られてくることが少なくないようです。アルゼンチンアリであるかどうかを判断するポイントは、「在来種に比べて体が細長いこと」「触覚が長いこと」「動きが非常に素早いこと」などが挙げられます。

生息場所

生息場所

アルゼンチンアリは在来種のように地中深くに巣穴を掘ることはなく、植木鉢やプランターの下、家の壁の隙間や床下、ブロック塀やコンクリートの隙間や割れ目などに生息しています。

他にも、人工芝や玄関マットの下、倒木や石の下、側溝蓋の下、放置された古タイヤの中、積まれた落ち葉の下、立ち木や雑草の根の隙間、畑地や空き地に放置された肥料袋、シート、板、ダンボールなどの下や、空き缶の中など、比較的人手の入った環境を好む傾向にあります。

活動時期・温度帯

アルゼンチンアリの活動温度帯は5~35℃と広く、在来種のように冬眠はせず、ほぼ一年中活動しています。そのため、真冬でも屋外で姿を見かけることは珍しくなく、積雪の上を歩行する姿も観測されています。広島地方では例年3月下旬より繁殖活動が盛んになり、9~10月初旬にかけて個体密度が最大となります。

アルゼンチンアリによる被害

強い攻撃性を持ち、特定外来種にも指定されているアルゼンチンアリは、どんな恐ろしい被害をもたらすのでしょうか。ここでは、さまざまな被害について見ていきます。

生態系への被害

アルゼンチンアリは、その強い攻撃性で他種のアリの巣を襲い、在来種のアリを駆逐してしまいます。過去の例を見ると、フランスのラングドックルション地方で、アルゼンチンアリがすべての在来のアリを排除したほか、カリフォルニアのサクラメントバレーで在来種27種のうち16種を排除。日本国内でも、広島県廿日市市周辺ではアルゼンチンアリ以外のアリを見かけることはほとんどないと言われるほど生態系への被害が懸念されています。

不快害虫としての被害

アルゼンチンアリは、集団となって家の中に侵入し、食べ物にたかったり部屋中を徘徊したりして住人に不快感を与えます。地域によっては極めて大きな集団となり、連日のように侵入を繰り返すため、住人にとっては大きなストレスになります。

農業害虫としての被害

農業害虫としての被害

アルゼンチンアリは、農作物の害虫とされるアブラムシやカイガラムシと共生関係を結んでいます。アブラムシやカイガラムシが分泌する甘露をもらう代わりに、外敵から彼らを保護することで結果的に農作物への被害を助長してしまっています。こうした共生関係は在来のアリでも見られますが、繁殖力が強いアルゼンチンアリの場合、その個体数の多さが、この関係性を見過ごすことのできないものにしています。

実際、廿日市市周辺で家庭菜園や畑を持つ方の話によると、アブラムシやカイガラムシによる被害が急増。また、アルゼンチアリ自身が農業害虫として、果物、柑橘類、イチジク、コーヒー、サトウキビ、トウモロコシ、綿などの芽、花、実などを直接的に加害していると言います。

人への被害はあるの?

アルゼンチンアリは毒針を持っていないため、刺されることはありませんが、とても攻撃的な性質をしているため、小さな大顎で盛んに咬んでくることがあります。咬まれてもチクリと軽い痛みを感じる程度ですが、肌の弱い人や体質によっては、咬まれた跡が赤くなったり痒みが残ったりすることがあります。

アルゼンチンアリの天敵は?

攻撃性が強く、他種のアリの巣を襲い、巣にいる成虫や幼虫を丸ごとエサにするアルゼンチンアリに天敵などいるのでしょうか?実はアルゼンチンアリの天敵は、原産地にも日本にもいないとされ、アリを好んで食べる鳥やトカゲさえもアルゼンチンアリを好んでは食べないと言われています。

アルゼンチンアリへの対策

アルゼンチンアリの被害にあわないためには、まずはアルゼンチンアリに近づかない・近づけさせないのがいちばん。ここでは、アルゼンチンアリの予防や駆除する方法について紹介していきます。

巣を作りそうな場所をチェック

家のまわりにアルゼンチンアリが生息しているか、まずはアルゼンチンアリが巣を作りそうな場所をチェックしてみましょう。

<家のまわりで巣を作りそうな場所>

  • プランターの下
  • コンクリートの割れ目
  • ブロックの隙間
  • 人工芝や玄関マットの下
  • 置きタイヤの中

など

家のまわりに巣を作らせない

アルゼンチンアリを近づけないためには、家のまわりを巣が作りにくい環境にしておくことが大切です。

地面に直接モノを置かない

アルゼンチンアリは、植木鉢やプランターなどの下に入り込んで営巣するため、植木鉢やプランターなどを置く場合、地面に直接置かず、フラワースタンドなどを使用することで巣を作りにくくすることができます。

割れ目や隙間をなくす

ブロックやコンクリートの割れ目や隙間などにも入り込んで巣を作ったりするため、家のまわりにこうした割れ目や隙間を見つけたら、シーリング剤などで塞ぐようにしましょう。

家の中もしっかり対策を

家の中もしっかり対策を

アルゼンチンアリはエサや水を求めて家の中にも侵入してきます。食べ物を放置していたり、食べカスをこぼしたままにしていると、アルゼンチンアリが集まる要因となるため注意しましょう。

食べカスを落とさない・食べ物を放置しない

食べカスをこぼしたらそのままにしておかないこと。食べ物は密閉できる容器や袋に入れて、可能であれば冷蔵庫で保管するようにしましょう。わずかな洗い残しや焦げ付きにも集まってくるので、食器やフライパンの保管にも十分な注意が必要です。

食べ物のゴミは直接捨てない

残飯などの生ゴミは必ず密封して捨てること。また、ペットボトルや牛乳パック、肉魚のトレーなどの容器は内側をきれいに洗ってから捨てるようにしましょう。

家の中でアルゼンチンアリを見つけたら

家の中でアリの行列を見たら、すぐさま対処すると思いますが、1匹2匹のアリがウロウロしているレベルだと、つい見過ごしてしまうこともあるのではないでしょうか。ですがご注意を。こうした迷いアリは決して迷っているわけではなく、実はエサを求めて徘徊している「偵察アリ」なのです。この偵察アリを放置しておくと、翌朝には大勢の仲間を連れて戻ってくる可能性があるため、迷いアリ(偵察アリ)を見かけたらすぐさま駆除することも、アルゼンチンアリを家の中に侵入させないポイントとなります。

駆除・退治方法は

次にアルゼンチンアリを駆除・退治する方法を紹介します。

殺虫剤を使用する

アルゼンチンアリの駆除に有効な殺虫剤について紹介します。

<アルゼンチアリ 巣ごと退治液剤>

フマキラーのアルゼンチンアリ 巣ごと退治液剤は、アルゼンチンアリの行列や巣に直接かけて使用します。「フィプロニル」の連鎖殺虫効果で、巣の奥のアリまでまるごと駆除。体を舐めあうアリの習性を利用し、巣の中のアリにも効果が広がります。ゆっくり効く薬剤なので、2~3日で効果が巣全体に行き渡ります。植物にかかっても安心です。

※アリに直接かけてください。アリがいない場所にかけても効果がありません
※一箇所だけでなく、できるだけ多くの行列と巣に同時に処理すると効果的です

<アルゼンチアリ ウルトラ巣ごと退治>

フマキラーのアルゼンチンアリ ウルトラ巣ごと退治は、「アルゼンチアリ 巣ごと退治溶剤」とあわせて使用することで優れた効果を発揮します。目に見える行列や巣を「アルゼンチアリ 巣ごと退治溶剤」で退治した後、本剤によって目の届かない場所にいるアリを退治します。

使い方は敷地内(屋内・屋外)全体にまんべんなく置くだけ。アリの好みを知り尽くしたエサで超・強力誘引。「バリアフリー設計」の容器で侵入しやすく、「フィプロニル」の連鎖殺虫効果で、家中の巣を全滅させます。

※1箱分を一度に全部設置。いろいろな場所に置くことでアリとの遭遇率がアップし、効率よく駆除できます(約70坪(敷地面積)あたり20個が目安です)

※地域全体に行列や巣がつながっている特性があるため、敷地をぐるりと取り囲むように置くと効果的です。

その他の製品もチェック ⇒ フマキラー【殺虫剤】アルゼンチンアリ 製品一覧

まとめ

毒針を持っていないことから人への被害はそれほど大きくはないものの、その驚異の繁殖力で農作物や生態系への被害が拡大しているアルゼンチンアリ。生息が確認された広島県廿日市市周辺において在来種のアリをほとんど見なくなったと言われるほど、その存在は脅威です。こうしたことからも、アルゼンチンアリを根絶させることはとても困難を極めます。

アルゼンチンアリの被害が広がらないように、早期の発見と早期の防除が重要です。アルゼンチンアリと思われるアリを見つけたら自治体に連絡をするようにしましょう。生息地域の拡大を防ぐためにも、地域で協力して早期に対応することが望まれます。

「For your LIFE」で紹介する記事は、フマキラー株式会社または執筆業務委託先が信頼に足ると判断した情報源に基づき作成しておりますが、完全性、正確性、または適時性等を保証するものではありません。