【見た目はまるでクモ?】ザトウムシの生態や被害の有無、駆除方法について

【見た目はまるでクモ?】ザトウムシの生態や被害の有無、駆除方法について

「ザトウムシ」と聞いてすぐその姿が浮かんだ方は、かなり虫好きな人かもしれません。あるいは、あの足の長い不気味な姿に遭遇した際に気になって、調べたことのある方ではないでしょうか。

ザトウムシは見た目が似ているためクモの仲間ととらえる方も多く、どことなく不気味な風貌から、毒を有したり噛んだり刺したりなど、人間に危害を加えるのではないかと考える方も少なくないようです。

このように、その正体についてはまだあまり知られていないザトウムシ。今回は、ザトウムシの生態や被害の有無、駆除方法などについてご紹介いたします。

ザトウムシの画像をご覧になりたい方はこちらから ⇒ ザトウムシ|ナショナルジオグラフィック日本版サイト

ザトウムシとは

ザトウムシとは

ザトウムシは足の長いクモによく似た姿をしています。分類学上は、鋏角亜門・クモガタ類のザトウムシ目に属する節足動物の総称です。クモと同じく8本の足をもっていますが、クモよりもダニの仲間に近いとされています。

「座頭虫」という漢字表記のとおり、ザトウムシは盲目に近く、長い足で周囲を探りながら歩いています。化石記録にはおよそ3億年以上前のものがあり、はるか昔からこの地に生息していたにもかかわらず、いまだに謎の多い生き物なのです。

生態

ザトウムシは、森林など自然の豊かな環境に多く生息し、日陰で湿気のある場所を好んで暮らしています(種によっては、乾燥地帯や海岸の岩陰などに生息するものもあります)。夜行性で、夜になると動きが活発になります。天敵に襲われると、臭腺から忌避物質(臭い液)を分泌したり、動きを止めて死んだふりをしたり、トカゲのしっぽのように自分で足を切り離したりすることがあります(ただし、トカゲのしっぽのように再生はしません)。また、ザトウムシはクモガタ類のなかでは例外的に雄がペニスを有し、真の交尾を行います。

特徴

ザトウムシの姿は、種によってさまざまです。「ヒゲザトウムシ亜目」に分類される種は、長い足が特徴です。そして「アカザトウムシ亜目」の種は小型で、ヒゲザトウムシ亜目の仲間と比べると足が短いのが特徴です。

ザトウムシの体は前体(頭胸部)と後体(腹部)からなり、クモ類のような腹柄はありません。前体の背甲と後体の背板が分かれている種もあれば、後体前方の体節の背板が、前体の背甲に癒合している種もあります。前体(頭胸部)は先節と付属肢を有する6つの体節からなり、背面はキチン質の丈夫な背甲におおわれています。

ザトウムシの多くは背甲の中央近くに一対の単眼がついていますが、盲目に近いため明暗でしか認識できず、視覚としてものをとらえることはできません。なかには眼が退化し、どこに眼がついているのか判別できない種もあります。長い足のなかでも第二脚が特に長く、この足が昆虫の触覚のような器官として地面などを探る重要な役割を担っています。体の前脚には鋏状の鋏角があり、これはエサをつかんで引き裂くのに使ったり、他の付属肢を清掃したりするのに使われます。

活動時期

種によって異なりますが、おおよそ春から秋にかけて活動します。

ザトウムシはクモの仲間なの?

その見た目からクモの仲間と思っている方も多いようですが、クモとは明らかに違う点がいくつかあります。

[ザトウムシとクモの違い]

  • クモは頭胸部と腹部の間にくびれがありますが、ザトウムシはこの部分が密着しており、全体的に楕円形のようなカタチをしています。
  • クモとは異なり、ザトウムシは糸を出しません。
  • クモの眼は8個あるのに対してザトウムシの眼は2個。
  • 繁殖の際、クモは直接交尾をせず精子の入った袋(精包)を口で雌に渡しますが、ザトウムシは直接交尾します。

種類

ザトウムシの仲間は、世界で約6,400種、日本には約80種いることが確認されています。ここでは、日本に生息するザトウムシの一例をご紹介いたします。

オオナミザトウムシ

ヒゲザトウムシ亜目・マザトウムシ科・スベザトウムシ亜科。体と足が黒い大型のザトウムシ(体長は6~12mm)です。足が長く、その長さを加えれば大人の手のひら以上の大きさになります。北海道・本州・九州に分布し、活動時期は8~11月。虫類をエサとしています。

ヒラスベザトウムシ

ヒゲザトウムシ亜目・マザトウムシ科・スベザトウムシ亜科。オレンジ色の鮮やかな体から黒い足が伸びた、大型のザトウムシ(体長は約6mm)です。北海道・本州の中部地方以北に分布し、活動時期は8~11月。生物の死骸などをエサとしています。

モエギザトウムシ

ヒゲザトウムシ亜目・マザトウムシ科・カワザトウムシ亜科。薄茶色の丸っこい体から細い足が伸び、体長は3~4mmとやや小型のザトウムシです。北海道・本州・四国・九州と日本全土に分布。暗く湿った場所に複数で集まっていることが多く、小さい虫をエサとしています。活動時期は4~11月。

オオナガザトウムシ

ヒゲザトウムシ亜目・マザトウムシ科・フジザトウムシ亜科。黒褐色で細長く大型のザトウムシ(体長は6~12mm)です。足は比較的短めで、腹部背面前方に1本の棘があります。本州・四国・九州に分布し、活動時期は7~10月。小さい虫をエサとしています。

ゴホントゲザトウムシ

ヒゲザトウムシ亜目・マザトウムシ科・マザトウムシ亜科。黒~茶褐色をした体にある5本の赤いトゲと、やや足が短いのが特徴です。神奈川以西の本州・四国・九州・対馬に分布し、活動時期は5~7月。小さい虫をエサとしています。

ニホンアカザトウムシ

アカザトウムシ亜目・アカザトウムシ上科・アカザトウムシ亜科。赤~茶褐色の体は頭胸部左右に黄紋があり、鎌のような触肢をもっています。体長は3.5~4.0mmと小型で、この種のザトウムシは足が太く短いのが特徴です。本州の南西部・四国・九州に分布し、活動時期は3~11月。小さい虫やキノコなどをエサとしています。

ザトウムシの食性

ザトウムシの食性

多くは雑食性で、昆虫やミミズ、虫の死骸などをエサにしています。種によってはキノコを食べたり、飼育下ではビスケットなどのお菓子を食べたりします。

ザトウムシの危険性

見た目の不気味さから不快害虫とされています。しかし毒は有さず、刺したり噛んだりもしないため、人への被害はありません。そのため、放っておいても特に問題はないといえます。

ザトウムシの予防・駆除方法

ザトウムシの予防・駆除方法

主に森林など自然のなかで生息するザトウムシですが、自然の豊かな環境下では、家の中に侵入することもあります。特別害がないとはいえ、家の中に現れるとさすがに不快に感じる方もいるかもしれません。そこで、ザトウムシの予防対策や見かけたときの駆除方法をご紹介いたします。

部屋をこまめに掃除する

ザトウムシは雑食性のため、家の中はこまめに掃除するようにしましょう。常にきれいな状態にしておくことで、ザトウムシのエサを減らし、出現を防ぐことに繋がります。

湿気のたまりやすい場所に注意する

湿度の高い場所を好むため、家では湿気対策として換気や除湿を心がけましょう。庭は雑草や落ち葉をなくし、風通しをよくしておくことが大切です。

殺虫剤を使用する

ザトウムシの動きはゆっくりで体も頑丈ではないため、ホウキなどで外に掃き出すのも容易です。しかし、自分で対処するのには抵抗があるという方は、殺虫剤をお試しください。

フマキラーの「カダン お庭の虫キラーダブルジェット」は、100種類以上の虫に効く不快害虫駆除剤です。超速効殺虫成分「イミプロトリン」の働きで嫌な虫をすばやく退治。ザトウムシの現れそうな場所にあらかじめスプレーしておけば、住みつきを約1ヵ月間予防できます。植物にかかっても枯れにくいので、庭木や花壇の近くでも安心してお使いいただけます。

まとめ

まとめ

キャンプや釣りで渓流を歩くとよく見かけるザトウムシですが、普段の生活圏ではあまり目にする機会はありません。そのためはじめてザトウムシを見ると、その不気味(不思議)な姿に驚くことが多いようです。しかし、ザトウムシは無害な生き物であるため、庭や家の中に現れたときも落ち着いて対処しましょう。

虫好きな人のなかには、あのゆったりのんびりした動きに癒しを感じるという方も多く、飼育するほどの愛好家もいるようです。なかには、黒うさぎの顔をしたキャラクターのようにかわいい種やきれいな色をした種など、個性豊かなものも多数生息します。気になった方は、ぜひ調べてみてはいかがでしょうか。

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