有頂天の金太郎を目覚めさせたのは「あの虫」の一刺しだった?!

有頂天の金太郎を目覚めさせたのは、あの虫の一刺しだった?!

やさしい母の愛情と足柄山の動物たちの友情に育まれ、すくすくと、小生意気に育った金太郎は、今日も熊の熊吉と相撲をとっていました。

「どおりゃーーー!」と得意の上手投げで熊吉を豪快に投げ飛ばした金太郎は、行司を務める猿の申衛門から勝ち名乗りを受けると、おもむろに取り出した手帳にメモしながら「これで今年ちょうど100勝目。生涯通算成績3052勝無敗かー、ふんっ」と大きく鼻息を鳴らし、満足そうな表情を浮かべるのでした。

年々ひどくなる、オレオレ流

年々ひどくなる、オレオレ流

ちょっと待ったー!

「ちょっ、ちょっと待ってください、金太郎さん。今年に入って僕2回勝ってますよね?通算成績にしたら100回以上勝ってますよね?」と、金太郎が生まれる前までは足柄山の英雄と称えられた熊吉が、少しでもメンツを保とうと必死に食い下がります。

それを鼻で笑いながら、「それって年明けに、俺が誤ってマサカリでじん帯切っちゃったときと、半年前インフルエンザで45℃の熱出してたときだよね?あの状態で相撲とりましょう!って言われたときはマジひいたわー」と熊吉に白い目を向ける金太郎。「通算100回以上勝ってるって、まさか俺が幼稚園児だった頃のことまでカウントしてるってこと?」とにらまれ、もはや下を向くしかない熊吉なのでした。

カミングアウト

金太郎が帰ったあと、丸太に腰を下ろした熊吉はいつものように丸太のウロにしまっている古い一枚の写真を取し出し、目を細めています。それは金太郎がまだヨチヨチ歩きをしている頃、つまり、まだまだかわいいさかりの金太郎を熊吉が肩車して、仲良しの動物たちに囲まれている写真です。

「この頃は本当にかわいかったっすよね」と、申衛門も熊吉のとなりに腰を下ろすと、一呼吸おいてから「実は…」と神妙な面持ちで熊吉に切り出すのでした…。

聞くと、これまでのきわどい判定はすべて金太郎に軍配を上げていたそうで、それどころか、金太郎の足が堂々と土俵を割ったときなども、見て見ぬふりをしてきたことをカミングアウトしたのです。

神頼み

そのことは熊吉も薄々気づいていましたが、このあと申衛門の告白に背筋が凍る思いをするのでした。

「うちの家の支柱部分に大きな切り跡があるのを気づいてました?」熊吉にこう問いかけると、申衛門は半年前、我が身に降りかかった恐ろしい出来事について語り始めました。

その日は金太郎がインフルエンザにかかっていた日。しかし、その取り組みは45℃の熱があるとは思えないほどの大接戦でした。5分を超える死闘の末、金太郎が熊吉を上手投げで投げ飛ばした際、わずかに金太郎の足が俵を割っていたのです。

熊吉に軍配を上げた際、金太郎に思いっきりにらみつけられた申衛門は、その夜、深夜になってもなかなか寝つけずにいました。

すると突然「ガコーン!」という轟音とともに、家が激しく揺れました。申衛門が恐る恐る家の窓から木の下を見ると、なんと金太郎が申衛門の家をマサカリでなぎ倒そうとしていたと言うのです。

「恐っ!」という熊吉も、この頃は「やれ肩揉め!」だの「代わりに畑仕事しとけ!」だの、エスカレートする金太郎の横暴ぶりに嫌気がさしていました。でも、相手はあの金太郎。二人はただただ金太郎に天罰が下ることを祈るばかりなのでした。

天罰、そして新たなる刺客

天罰、そして新たなる刺客

俺って無双!

今年100勝目を上げた金太郎はその帰り道、「俺って無双!」と絶好調。そして、余りあるパワーで1本の木に張り手を見舞うと、運悪く、その木には巨大なスズメバチの巣があったのです。

「ブブブブブブブブブー」と突然スズメバチの大群に襲われる金太郎。「痛っ!」「痛たたたー!」、なんとかスズメバチを振り切った金太郎でしたが、その顔は何ヵ所も大きく腫れ上がってしまいました。

「ハチにやられるなんて俺様もまだまだだな」とつぶやく金太郎…、とその前に見たことのない動物が現れるのでした。

初めての惨敗

長いしっぽが特徴の動物に突然対決を申し込まれた金太郎。その動物に関する情報は一切なかったものの、体格は173cmの金太郎と同じくらい。日頃2m・200kg超えの熊吉を投げ飛ばしている金太郎にとっては楽勝とも思える相手でした。

ところがいざ勝負が始まると、相手は強力なジャンプ力で金太郎のまわりをピョンピョンと逃げ続けます。「くそー、ちょこまかと逃げ回りやがってー」と金太郎がその動物を捕まえようとした瞬間、「バシッ」と右の頬に強烈な痛みを覚えました。続けて左の頬にも一発、ボディに一発、とどめは強烈なアゴへの一発で金太郎は崩れ落ちました。

金太郎が目を覚ますと、山の生き字引であるフクロウ博士が、「あやつはカンガルーじゃな。あの戦い方はボクシングじゃ」と教えてくれました。

ついに、このときが!

「金太郎さん、ど、ど、どうしたんですかー、その顔は?」

翌日、金太郎の姿を見た、熊吉と申衛門は驚きました。そして、ハチに刺され、カンガルーという動物にやられたことを金太郎は涙ながらに話しました。その告白を受け、二人はとても胸が痛みましたが、金太郎の「俺はもっともっと強くなりてぇ!」という申し入れに、「ついにこのときが来た!」と思うのでした。

金太郎の強さは、熊吉も申衛門も十二分に認めるところでしたが、練習嫌いで、すぐ天狗になる悪いクセが…。しかし、その金太郎が心を入れ替えて、真の強さを求め始めている。このことは二人にとって、この上ない喜びでした。そしてここに、監督は申衛門、コーチは熊吉という真の「チーム金太郎」が結成されたのです。

チーム金太郎、始動

チーム金太郎、始動

練習の虫

練習初日、ボクシングについて一晩ネットで調べまくった申衛門は、一羽のニワトリを連れてきました。そして、金太郎にこのニワトリを素手で捕まえるよう言いました。

金太郎は「俺をバカにしてるのか?」と申衛門に食ってかかりましたが、申衛門がスマホを操作するフリを見ておとなしく従うことにしました。どうやら昨日、金太郎が大泣きした様子を申衛門に動画で撮られ、言うことを聞かないとそれを拡散しますよ、と弱みを握られていたのでした。

金太郎は来る日も来る日もニワトリを追いかけ、マサカリで丸太を輪切りにし、熊吉が構えるミットめがけてパンチを繰り出しました。走ることが大嫌いだった金太郎も、今ではとなりの山まで往復20kmのロードワークは日課。夜明け前から走り始めると、途中からリスやウサギ、キツネやタヌキなど山じゅうの動物たちが金太郎と一緒に山頂を目指します。そして、山頂で朝日に向かってガッツポーズする金太郎。さぁ、カンガルーとのリベンジマッチはいよいよ明日です。

リベンジ成功!

足柄山にゴングが響くと、カンガルーは前回のようにピョンピョンとジャンプで金太郎のまわりを逃げ回ります。しかし、ニワトリを追いかけ脚力を強化した金太郎はその動きにしっかりとついて行きます。さらに、金太郎には秘策がありました。それは以前やられたハチの動きを参考にしたもので、鋭く相手の懐に入って攻撃をみまうというもの。

動き続けるカンガルーを目がけて、ハチのごとくいっきに距離をつめパンチを繰り出す金太郎。そのスピードにカンガルーはついていけません。ハチのように刺しては、すかさず相手のパンチが届かない位置に戻るヒット&アウェイ戦法で主導権を握った金太郎。最後は必殺の「マサカリトルネード」で見事リベンジを果たしたのでした。

試合後、「俺って何かって言うと、すぐマサカリ出すよね」と、名づけ親の申衛門に向かって言うと、すかさずスマホを取り出す申衛門。それを見て「いや、冗談、冗談」と慌てる金太郎。

順調な滑り出しを見せたチーム金太郎でしたが、熊吉は妙な胸騒ぎを感じていました。

ラスボス登場!

金太郎を中心に山の動物たちが取り囲み、歓喜の輪がしばらく続きました。

すると突然、木にとまっていた鳥たちがいっせいに羽ばたいたかと思うと、「バキバキッ!」と山の木が次々となぎ倒される音が近づいてきました。そして、その音はだんだんと大きくなり、ついに金太郎たちの前に、黒い巨体が姿を現しました。

となりにいた小柄な猿(と言っても申衛門とは見た目が異なり、全身を黒い毛で覆われています)が申衛門に近づき、何やら話を始めました。

10分後、申衛門が大きくうなずき、紙にサインをすると、黒い大小の二人組は不敵な笑みを浮かべて静かに去って行きました。

弱気の虫

「あの巨体はゴリラ、その横の猿はチンパンジーじゃな」とフクロウ博士が教えてくれました。

その横で、申衛門は「総合格闘技」についてスマホで調べていました。

「なるほど…」と、総合格闘技についてルールを理解した申衛門は金太郎と熊吉に向かって、今から1ヵ月後、あのゴリラと何でもありのルールで対決することを告げました。

「いやいやいや、無理っしょ!素手で木をなぎ倒す奴に勝てるわけないじゃん」と金太郎。その様子を見るやすかさずスマホを取り出す申衛門でしたが、金太郎は「いいよもう、拡散したけりゃ、すればいいさ!あんなのと戦うよりはマシさ!」と逆ギレするのでした。

その様子に慌てる申衛門。実はこのビッグマッチには巨額のファイトマネーが用意されていたのです。あのチンパンジーはゴリラのプロモーターで、話し合いの際、申衛門は彼からファイトマネーの一部を前金として受け取っていたのでした。

手ごたえ

無謀な戦いにも思えましたが、熊吉だけは今の金太郎なら互角に戦えることを肌で感じていました。それもそのはず、あの練習嫌いだった頃とは違い、毎日20kmのロードワークをかかさず、100kgの特製マサカリを軽々と振り、熊吉と20ラウンドのスパーリングをこなす金太郎の体は、愛嬌のあるポッコリお腹は見る影もなく、まさに「超人」と呼べるほど筋肉が隆々としていました。

そのため、トレードマークだった前かけはすっかり小さくなり、カンガルー戦からは赤地に金色で「金」と書かれたTシャツに、白い短パンが金太郎の戦うコスチュームとなりました。背中には「足柄山」とスポンサーロゴも入っていました。

パワーなら互角。問題はスタミナと戦術でした。ボクシングと違い、総合格闘技では相手と密着して戦うことが多いため独特なスタミナ配分が必要となります。そこで、熊吉はフクロウ博士に相談することにしました。

いっぽうの申衛門は、「金太郎さん、日本一!いや世界一!」「当日は金太郎さんのファンもたくさん集まるかもしれませんね!」と、一生懸命、金太郎の機嫌をとっているのでした。

秘策

「虫というのはな、外敵から身を守るために特殊な能力を身につけている者が多いんじゃ」と、フクロウ博士は、ダンゴムシから相手の猛攻を防ぐヒントを教えてくれました。

「それから金太郎、そこに舞っている蝶を捕まえてみるんじゃ、やさしくじゃぞ」。山で唯一頭が上がらないフクロウ博士に諭され、しぶしぶ参戦を決めた金太郎がさっそく蝶を捕まえようとすると、寸前のところで蝶は身をひるがえして金太郎の手をすり抜けていきます。

相手から逃げすぎてはこちらの攻撃も当たらない。蝶のように紙ひとえでかわすことで、いっきに攻撃にも転じられる。なにより、優雅に舞うことで体力を温存させることができる。

「金太郎、蝶のように舞い、ハチのように刺し、ダンゴムシのような鉄壁のガードで相手のスタミナを奪い、必殺の一撃を決めるのじゃ!」

フクロウ博士から、とっておきのアドバイスをもらった金太郎たちは、ひたすらトレーニングに打ち込みました。

最終決戦

最終決戦

誤算

「おれのファンなんてどこにもいないじゃんか」と、あたりをキョロキョロ見回す金太郎は、ゴングが鳴ったことにすら気づいていません。

油断した様子を見て、猛烈にタックルにいくゴリラ。しかし、それを蝶のようにヒラリとかわす金太郎。そして、ハチのような踏み込みでゴリラの顔面に右ストレートがヒット。グラつくゴリラに左右の連打を浴びせます。

ここで、勝負をあせった金太郎はついにゴリラに捕まってしまったのです。

「しまったー!」、熊吉と申衛門が声をそろえて言った瞬間、得意の上手投げでゴリラを倒し、ゴリラの腹部に馬乗りになった金太郎は、上から強烈なパンチを浴びせると、ダンゴムシのように身をまるめたのはなんとゴリラのほうでした。

チンパンジーからタオルが投げ込まれ、試合終了。「勝者、金太郎!」

この試合をたまたま通りがかりの将軍様ご一行が観戦していました。そして、金太郎の強さに惚れ込み、ワシの用心棒として一緒に江戸に行こうとスカウトされたのです。

かわりに、将軍様から金太郎の実家に新しい住まいが約束され、足柄山に10年分の米俵チケットが贈られました。そして多額のファイトマネーを受け取りウハウハの申衛門は、かくして、マサカリかついだ金太郎をかつぐことに見事成功したのでした。

皆さんがよく知っているおとぎ話の「金太郎」。その強さの陰には、さまざまな虫たちとのエピソードがあったのかも知れませんね。

めでたし、めでたし!

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