「かまくら」は雪国の伝統行事

東北地方や北陸地方の積雪の多い地域では、冬の風物詩として雪を集めてドーム型の形をつくり、その中をくり抜いて雪室を作る「かまくら」という行事があります。

かまくらは子どもたちの雪遊びのように思われていますが、水神様を祀って感謝する意味もあり、地域によっては数百年も続いている歴史的な伝統行事でもあるのです。

今回は、かまくらの由来や語源などについてご紹介します。

かまくらの起源と由来

かまくらは鎌倉時代の初期、公家や武家が小正月(1月15日~20日頃)に、四角い雪の箱の中でしめ縄などを燃やして豊作を祈願する「左義長(さぎちょう)」と呼ばれる火祭りが起源と言われています。

また当時の商人が雪室の正面に水神様を祀って家内安全や商売繁盛、五穀豊穣を祈願したことや、農民が水や火に感謝する正月の行事が融合したことがその由来となったという説があります。現在のようにかまくら祭りとして定着したのは江戸時代初期と言われています。新潟県の魚沼地方では、「ほんやら洞」というかまくら祭りと同様の伝統行事も行われています。

かまくらの語源

「かまくら」の語源には諸説あります。

「竈(かまど)」説

昔はかまくらの原型はかまど型でした。形ばかりでなく、この中で正月用のしめ飾りなどを焼いたことから「竈(かまど)」を語源とする説。

「鎌倉大明神」説

左義長といわれる行事に「鎌倉大明神」が付帯しており、古い書物にかまくらの側に鎌倉大明神の旗が立てられている絵があり、鎌倉大明神を祀ったと書かれていたことから、「鎌倉」を語源とする説。

神座(かみくら)説

雪室は神様の御座所(おまわしどころ)、即ち神座であることから、この神座がかまくらに変化したという説。

「鎌倉権五郎景政(かまくらごんごろうかげまさ)」説

後三年の役で、弱冠16才で勇敢に戦った鎌倉権五郎景政を祀って信仰したことから、かまくらとなったという説。

「鳥追い歌の歌詞」説

子どもたちが鳥追いをしながら歌う歌の中に、「鎌倉殿」という歌詞があることからかまくらとなったという説。

全国のかまくら祭り

横手かまくらまつり(秋田県)

日程:2020年2月
会場:横手市役所本庁舎前道路公園/二葉町かまくら通り/羽黒町武家屋敷通り
横手公園
水神様を祀るために行われる450年以上続く小正月行事です。市内にはかまくらが100基ほど設置され、子どもたちが「はいってたんせ(かまくらに入ってください)」、「おがんでたんせ(水神様をおがんでください)」といいながら、甘酒や餅を振る舞います。火が灯ったかまくらが立ち並ぶ様子はとても幻想的です。

六郷のカマクラ(秋田県)

日程:2020年2月11日~15日
会場:美郷町
「六郷のカマクラ」は昭和57年に国の重要無形民俗文化財に指定され、豊作祈願の火祭として700年余りの歴史がある貴重な小正月行事です。この行事は、京都御所で行われていた正月の火祭“左義長(さぎちょう)”の吉書焼きの遺風をうつしたものであり、鎌倉初期に二階堂氏が六郷の地頭となり、鎌倉幕府の“吉書初め”の行事をもたらしたものと言われています。

【公式サイト】
https://www.town.misato.akita.jp/kamakura/2574.html

山谷・坪野ほんやら洞まつり(新潟県)

日程:2020年2月8日(予定)
会場:新潟県小千谷市山谷(旧山谷小学校グラウンド)
平成4年からスタートした、ほんやら洞まつり。冬季休眠する畑と雪を活かし、雪原に約5,000個もの小さなかまくら(ほんやら洞)がずらりと並びます。夜には、各ほんやら洞にキャンドルが灯ります。

【公式サイト:新潟県観光協会】
https://niigata-kankou.or.jp/event/14470

湯西川温泉 かまくら祭(栃木県)

日程:2020年1月31日~3月1日
会場:湯西川温泉
日光市の湯西川温泉で行われる冬の風物詩「かまくら祭」。沢口河川敷ミニかまくら会場の「ミニかまくら」は、「日本夜景遺産」にも認定されています。

【公式サイト:日光市観光協会】
http://www.nikko-kankou.org/event/1210/

かまくらの作り方

秋田県横手市のかまくらまつりでは、昭和34年にモデルかまくらが作られてから、横手市観光協会では次のように作り方を指導しています。

1.雪を積み上げる
かまくらの大きさを印す円を書き、その中に雪を積み、踏み固めながら積み重ねていく。高さは3mぐらい。

2.穴掘り
正面入口部分に印をつけ(縦1.3m 横0.7m)、そこから掘り始める。
壁の厚さを50cm位残し、内部を大きく掘り上げる。

3.仕上げ
内側と外側の壁になる部分を滑らかにまるく仕上げる。
最後に内部の正面に神棚を作って出来上がり。

雪国では冬の風物詩となっているかまくらは、子どもたちの単なる雪遊びではなく、豊作祈願や火や水への感謝を表した伝統的な行事として、長い間継承されてきました。

名前も見た目の形も親しみやすいものですが、そこにはその地域の人々の思いが込められているのです。雪が積もった日には、自分流のミニかまくらを作ってみるのも楽しいと思います。

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