停電したらどうする?停電したときの対処法を解説

停電したらどうする?停電したときの対処法を解説

あらゆる電気製品が一瞬にして使えなくなる停電は実際に経験するとパニックに陥る方も多いです。しかし、停電というのはパニックな状態で対処すると思わぬ二次災害を引き起こすこともあります。

停電に関する基本的な知識や対処法を身に付けておくと、万が一の停電時でも冷静な精神状態で適切な対処を施すことができます。今回は停電が起きたときに備えて、停電の原因や対処法、注意点などを把握しておきましょう。

停電の原因

停電の原因

停電が起きたときの対処法をご紹介する前に、まずは停電が起きる原因を解説します。停電が起きる原因や理由は複数あります。

電線に鳥獣などが接触

空を見上げれば必ずといっていいほど目に入る電線は電気エネルギーを輸送する役割を担っています。発電所で発電された電気は電線を通って変電所に送られ、そこで所定の電圧に下げることで、電気として使用することができます。

しかし、時々この電線にカラスなどの鳥獣が巣を作ってしまうことがあります。カラスは巣を作る材料に針金ハンガーなど、電気が流れやすいものを使うことがあります。

そのため、巣を作る場所によっては針金ハンガーに電気が流れることになり、これによって停電が起きるようになります。また過去には木登りなどを得意とするハクビシンが送電線を噛み切って停電を起こしたという事例もあります。

大雨や台風

記録的な豪雨や台風が日本列島を横断すると「○○万戸が停電から復旧しない状態が続く」という報道をよく目にします。これは大雨や台風の影響によって発生した強風などが大きく関係しています。

人が立っていられないほどの強風はトタンを吹き飛ばしたり、最悪の場合は樹木の倒壊や山崩れなども引き起こします。これらの自然災害は容易に電線を切ったり、電柱を倒す力があるため、大雨や台風などの日は停電が起きやすくなっています。

このような自宅とは関係ない場所で起きる送電設備の破損は一般の人では解決することができないため、電力会社が動くことになります。しかし、被害が広範囲に渡ると復旧までの時間も長くなるため、数時間から数日間は電気が使えない状況に陥ることもあります。

地震

地震も停電を引き起こす代表的な原因です。地震によって電柱が倒壊するシーンは報道などでもよく目にしますが、これは家屋倒壊の影響や地面の液状化現象が関係しています。

液状化現象とは地震による強い揺れによって、地面が液体状になることです。私たちが普段歩く地面は強い(固い)ものだと考えられがちですが、ゆるく堆積した砂地盤などは地震の強い揺れにさらされると、一時的に液体のようにやわらかくなります。

このように地盤がやわらかくなってしまうと、その地盤は物を支える力を失うため、建物や電柱の倒壊を引き起こす可能性が高くなります。液状化現象が起きやすい場所は地下水の水位が高く、水分を多く含む砂でできたやわらかい地盤などです。

具体的には大きな河川や埋め立て地などが該当します。また日本の都市部などはもともと河川から運ばれてきた砂が堆積する平野に位置していることが多いため、地震の影響を強く受けやすいとされています。

大雨や台風同様に、ライフラインに甚大な被害を与える大地震だと停電からの復旧に数日要することもあります。ちなみに2011年に起きた東日本大震災では8日で約94%の停電を解消したという記録が残っています。
【参考サイト】内閣府「3月11日の地震により東北電力で発生した広域停電の概要」

落雷

電柱などに雷が落ちると、そこには巨大な電気エネルギーが発生します。この力によって電柱の変圧器(電圧の高さを変化させる装置)を保護するヒューズが切れたり、変圧器そのものの故障を引き起こすことになります。

また漏電ブレーカーの誤作動も停電を引き起こす原因です。漏電ブレーカーは電気的ノイズに弱いという特徴があるため、落雷のときに発生する高周波によって誤作動を起こすことがあります。

この誤作動は製造年月日が古いものほど、起きやすいともいわれています。その他、落雷が発生するのは雨の日などが多く、建物内部に雨水が入り込みやすいです。

これによって雨水が屋内の電気配線までたどり着き、漏電を引き起こすため、漏電ブレーカーが作動することもあります。この場合は漏電ブレーカーが正常に作動した結果といえます。

降雪量が多い地域では雪の日にも停電を引き起こすことがあります。雪は一片(ひとひら)だと重量は大したことはありませんが、それが積み重なるとかなりの重さになります。

この重たく積み重なった雪が電線に付着し、そこに強風が吹きつけると電線が大きく揺れます。そしてこの際に電線同士が接触するため、停電が発生することになります。

また電線の近くにある高い樹木に多くの雪が積もると、雪の重みに耐えきれなくなった枝や幹が電線に倒れてくることがありますが、これも停電を引き起こす原因に該当します。

2009年末から2010年初頭にかけて新潟県内で5万世帯が停電するというケースがありましたが、これも湿った雪と暴風雪が原因でした。ちなみに大雪の影響で電線が揺れ、複数の電線が接触することを「ギャロッピング現象」と呼びます。

停電したときの基本的な対処法【在宅時】

停電したときの基本的な対処法【在宅時】

ここからは実際に停電が起きたときの基本的な対処法を解説します。まずは在宅時の停電対処法をケース別に見てみましょう。

家の一部だけ電気が消えたとき

家の一部の部屋だけ電気が消えるときがあります。このようなときはまず分電盤でブレーカーのつまみの状態を確認してみましょう。ここでブレーカーが「切」になっていたら「入」に戻してあげることで、電気は正常につくようになります。

この際の注意点ですが、必ず電気が消えた部屋のコンセントからプラグを抜いたあとにブレーカーのつまみを「入」にしましょう。ブレーカーが「切」になるのは電気の使いすぎ、漏電、雷などが主な原因です。

電気をよく使う家庭でブレーカーが頻繁に落ちる場合は、電気工事店に配線の増設を相談するのもおすすめです。ブレーカーを「入」にして正常に電気がつけば問題はありませんが、つまみが「入」の状態で電気がつかない場合は管轄の電力会社に連絡しましょう。

家中の電気が消えたとき

家中すべての電気が消えたときも、ブレーカーのチェックを最初に行います。電気製品を一度に多く使うことで、契約アンペアを超えたため、アンペアブレーカーが切れた可能性が高いです。

この場合は使っている電気製品の数を減らし、アンペアブレーカーのつまみを「入」にしてください。ちなみに近年急速に普及しているスマートメーターで契約アンペアを設定している場合などは、アンペアブレーカーの取り付けが行われていない可能性があります。

このようなケースではスマートメーターのアンペアブレーカー機能によって、10秒後に自動で電気がつく仕組みになっています。

もし、10秒以上経過しても電気がつかない場合は漏電遮断器が切れている可能性があります。漏電遮断器が切れているときの基本的な操作方法を以下にまとめましたのでご覧ください。

  1. 漏電遮断器と配線用遮断器をすべて「切」にする
  2. 漏電遮断器を「入」にする
  3. 配線用遮断器をひとつずつ「入」にする
  4. 悪い箇所を「入」にすると漏電遮断器が切れる
  5. 再度、配線用遮断器をすべて切り、漏電遮断器を入れる
  6. 悪い箇所以外のブレーカーを「入」にする

悪い箇所は漏電している可能性があるため、切ったままの状態にします。漏電は火災などの大きな事故にもつながりますので、電気工事店へ相談するようにしましょう。

近所の家の電気も消えたとき

家の電気だけではなく、ご近所の電気も消えている場合は自力での解決は難しいかもしれません。というのもこのように近所一体が停電するのは大雨、台風、落雷などの影響で電力会社の設備が故障した可能性が高いからです。

このケースで最初に行うことは電力会社への連絡です。電力会社は連絡が入り次第、速やかに復旧作業を始めてくれます。このようなケースに陥っても慌てないように、事前に電力会社の電話番号を携帯に登録しておくことをおすすめします。

ちなみに電力会社の設備故障による停電は被害の範囲や程度が不明なため、復旧まで時間を要する可能性もあります。

停電したときの基本的な対処法【外出時】

停電したときの基本的な対処法【外出時】

続いては外出時に停電が起きたときの対処法を解説します。停電は自然災害同様、人の都合に関係なく、突然起きるものですから、どのようなケースでも落ち着いた行動を取れるような体制を整えておきましょう。

信号機が消えてしまったとき

停電によって信号機が消えることもあります。このようなシーンに陥ったときに、最も注意しなければならないのが交通事故です。停電が長時間に及んだ場合などは、警察官が交差点で交通整理を行なっていることがあります。

この場合は警察官の指示に従って、進行するようにしましょう。交差点に警察官がいないケースでは、交差点の前で必ず一時停止、もしくは徐行を行うようにし、周囲の歩行者や車を確認した上で進行するようにします。

エレベーターなどに閉じ込められてしまったとき

停電の影響でエレベーターなどの密室空間に閉じ込められる可能性も決してゼロではありません。密室空間に閉じ込められたときの恐怖感は計り知れないものがありますが、大切なのは「決して慌てないこと」です。停電でエレベーターに閉じ込められたときの主な対処法は以下のとおりです。

  • 速やかにすべての階のボタンを押す
  • 緊急ボタンを押す
  • 携帯電話で外部と連絡を取る

エレベーター会社にもよりますが、近年のエレベーターは停電灯や自動で最寄りの階までエレベーターを動かし続ける装置が装備されています。

そのため、エレベーターに閉じ込められても真っ暗闇になることはありませんし、長時間に渡ってエレベーターの中で救助を待つ必要もありません。

また緊急ボタンを押すことで、エレベーターの保守会社と連絡を取ることができたり、携帯を使って外部と連絡を取ることもできます。

このように現在はひと昔前と比較すると、エレベーターの安全度は高くなっているため、生命の危機を起こす状態を招く可能性は低下しています。

ただし、古いエレベーターの場合は自動で最寄りの階まで誘導するシステムなどが導入されていないこともあります。この場合は緊急ボタンや携帯を使って速やかに外部へ連絡するようにしましょう。

停電時の注意点

停電時の注意点

停電は単に電気が消えるだけだと思われがちですが、ケースによっては命の危険にさらされることもあります。そのため、停電時にとるべき適切な行動をしっかりと把握しておきましょう。ここでは停電時の注意点をまとめましたのでご覧ください。

夏季の熱中症

夏場など暑い季節のときの停電はエアコンや扇風機といった家電製品が使えなくなるため、熱中症には十分に注意しなければなりません。

特に停電が長時間に及ぶ場合は、室内の温度も上昇するため、暑さの影響で体調を崩す可能性も高くなります。窓を開けて風通しを良好にし、室内環境をできるだけ正常な状態に保つことを心がけましょう。またこまめな水分補給を行うことも忘れてはなりません。

固定電話・IP電話の利用不可

停電が起きると大半の固定電話やIP電話は利用不可能となります。そのため、停電時の外部との連絡は携帯電話などを活用するようにしましょう。

また家電量販店でもバッテリーやUPS(無停電電源装置)といった予備電源製品が販売されていますので、これらを利用するのもおすすめです。停電時の固定電話やIP電話に関する詳細は総務省のホームページでも確認することができます。
【参考サイト】総務省「停電時の固定電話・IP電話の利用について」

火災

夜間に停電が起きると室内が暗くなるため、ろうそくなどを使って明かりを確保する家庭も多いです。この場合はろうそくを転倒させないようにしっかり固定するなど、火災を防ぐ対策をしっかり施すようにしましょう。

また停電からの復旧時に発生する「通電火災」には十分に注意してください。通電火災とは停電前までスイッチが入っていた状態の電気製品が通電時に発火することで起きる火災です。

通電火災は破損した電化製品や電気配線、漏電などが原因であり、主に地震に伴う停電によって引き起こされる火災です。

通電火災を回避する方法はとても簡単で、コンセントから電源プラグを抜くだけです。停電復旧後に余計な災害が起きないように「停電→電源プラグを抜く」という意識を強く持っておきましょう。

一酸化炭素中毒

石油ストーブ、七輪、カセットコンロなどは閉めきった場所で換気を行わずに長時間使用すると一酸化炭素中毒を引き起こす恐れがあります。

一酸化炭素中毒になると「目がチカチカする」「気分が悪い」といった症状が起きます。万が一、停電中にガス機器などを使用してこのような状態になったら、すぐに使用を中止して、窓を開けるといった換気対策を施すようにしましょう。

もしもの停電に備えて、基本的な知識を身につけておこう

もしもの停電に備えて、基本的な知識を身につけておこう

今回は停電の原因や対処法などを解説しました。停電は今まで当たり前のように使えていた電気が一瞬にして使用できなくなるため、パニックに陥る方も少なくありません。

しかし、パニック状態に陥ると余計な二次災害を引き起こす可能性もあります。停電時の対処法はケースによって異なりますが、どのような状態になっても「停電したらコンセントから電源プラグを抜くこと」を意識しておきましょう。

これだけで復旧時にもたらされる可能性があるさまざまな危険を回避することができます。停電時の適切な対処法がわからないと悩む方はぜひ参考にしてください。

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