2018年10月15日 | 虫
ヨトウムシ(夜盗虫)が発生する原因とは?ヨトウムシの退治方法と予防対策
家庭菜園を楽しむ方が増える中で、ヨトウムシによる被害で悩む方が数多くいます。せっかく育てた野菜や植物の葉を食い散らかして枯らしてしまうヨトウムシ。プロの農家でも注意しなければならない害虫です。
そこで、家庭菜園初心者の方でも分かりやすいように、ヨトウムシについての生態や予防法、駆除の仕方をご紹介します。ヨトウムシでお困りの方にとって役立つ情報をまとめました。
ヨトウムシの画像をご覧になりたい方はこちらから ⇒ ヨトウガ|Wikipedia
ヨトウムシの生態について
ヨトウムシとは、夜行性の蛾の幼虫のことをいいます。主な種類は、ヨトウガ、シロイチモジヨトウ、ハンスモンヨトウです。ヨトウムシは成虫となった蛾と同じように夜行性です。昼は地中に潜んでおり、夜になると地中から出てきて植物の葉や実を食べてしまいます。
ヨトウムシの名前の由来は、夜に植物の葉や実を食い荒らすことから「夜盗虫(ヨトウムシ)」と名づけられました。
ヨトウムシとはどんな虫?
ヨトウムシと呼ばれる3種類の幼虫の主な特徴は、次の通りです。
ヨトウガ
若齢幼虫(幼虫になってから、あまり間もない時期)…体の色は淡い緑色で、頭が黒褐色
老齢幼虫(蛹になる前あたりの時期)…体の色は灰色がかった黄色や黒色で、頭が黄褐色。体長は50mmほどまで成長
シロイチモジヨトウ
若齢幼虫…体の色は淡い緑色
老齢幼虫…淡い緑色や褐色。体長は30mmほどまで成長
ハンスモンヨトウ
若齢幼虫…淡い緑色
老齢幼虫…褐色や黒褐色で、頭に2つの黒い紋がある。体長は40mmほどまで成長
ヨトウムシは土の中にいる
ヨトウムシは夜行性なので、日中は土の中にいます。体長が小さい若齢幼虫の時期は、日中に活動することがあるようですが、30~50mmに成長した老齢幼虫になると、日中は活動せずに、夜の暗い時に動き回ります。
植物の葉や実が食い荒らされているのに、原因である虫を見つけられないときは、土の中にヨトウムシが潜んでいる可能性が大きくあります。
ヨトウムシの被害について
ヨトウムシの食欲は旺盛です。放っておくと、せっかく育てた植物の葉を食べられてしまいます。ヨトウムシは、新しい葉を求めて行動範囲を広げていくので、被害に遭ったときには確実に駆除しましょう。
ヨトウムシによる被害の特徴
ヨトウムシによる被害の特徴は、葉脈を残してほとんど葉を食べ尽してしまうことです。新芽も好むので、ヨトウムシの被害に遭った植物はほとんど枯れてしまいます。
ヨトウムシは一回の産卵で、およそ数十~数百個の卵を産み付けます。卵を産み付けられたことを見逃してしまうと、植物はあっという間に食い荒らされてしまうので注意が必要です。
ヨトウムシが発生しやすい植物
ヨトウムシが好む植物の種類は広範囲です。雑食性なので、野菜だけでなく花、果樹にも被害を及ぼします。被害に遭う主な植物は次の通りです。
野菜 | 白菜、キャベツ、レタス、ホウレンソウ、春菊といった葉物野菜や、なす、トマト、キュウリ、ピーマン、ゴボウ、ニンジン、大根など |
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花 | 菊、ケイトウ、カーネーション、パンジー、葉牡丹、トルコギキョウなど |
果樹 | ブドウ、モモ、柑橘系の果樹など |
老齢幼虫になると被害増大
若齢幼虫のときの活動範囲は狭いのですが、成長するにつれて範囲を広げていきます。活動範囲は限りなく大きく広がってしまうため、卵は早めに見つけなければなりません。
ヨトウムシの発生について
ヨトウムシが活動する時期は、幼虫の種類によって違います。ヨトウムシの主な3種類の発生時期は次の通りです。
ヨトウガ | 年2回発生。発生時期は5~6月ごろ、8~10月ごろ |
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シロイチモジヨトウ | 年5~6回発生。発生の多い時期は8~10月ぐらいまで |
ハンスモンヨトウ | 年5~6回発生。発生時期は6~10月ぐらいまで |
ヨトウムシの産卵は複数回あるので、しっかり駆除した後でも安心できません。何度も卵を産み付けるので注意しましょう。
産卵する場所や数
ヨトウムシが卵を産み付ける場所は、主に葉や葉の裏です。産卵は、複数回に分けて行います。一回で数十~数百の卵を産み付けて、1匹あたり1000~3000個もの卵を産みます。
卵から成長したヨトウムシは、辺りの葉を食べ尽した後、土の中で蛹になります。夏に蛹となったヨトウムシは秋には成虫である蛾となり、秋に蛹となったヨトウムシは冬を越して春に成虫となります。
予防の方法について
ヨトウムシの予防で一番の対策は、普段から植物の様子をチェックすることです。ヨトウムシの産卵は、複数回に分けて行われます。産卵期は、初夏から秋にかけて長く続くので安心できません。
昼だけでなく夜も監視
ヨトウムシによる被害を見つけたら、昼だけでなく夜も監視するようにしましょう。夜ではなく明け方にまとめて監視する方法も良いのですが、すでに地中に戻っているヨトウムシがいる可能性があるので、時間帯を変えながら夜の監視を行うのが重要です。
蛾を侵入させない
植物を頻繁にチェックすることが難しければ、防虫ネットが効果的です。植物全体に防虫ネットやビニールを被せて、夜にやってくる蛾を侵入させないようにします。
防虫ネットは、畑で使用するものだけでなく、プランターやベランダ用のネットも販売しています。購入方法は、ホームセンターなどで購入できます。
土を耕すときに見つける
畑を耕すときは、ヨトウムシの幼虫や蛹がいないかチェックしながら行いましょう。ヨトウムシの蛹が土の中にいるのは、春または秋の季節です。春に種をまくときや、収穫を終えて土を休ませるときに、畑を耕してチェックすると良いでしょう。
また、栽培中に土の中を割りばしやシャベルなどで掘り起こしてチェックすると良いでしょう。すでにヨトウムシに葉を食べられてしまったときは、土の中もチェックしましょう。
草木灰を撒く
ヨトウムシの予防に、藁などを燃やした「草木灰(そうもくばい)」を使用する方法があります。草木灰とは、文字通り草や枝を燃やして残った灰のことです。草木灰を使うと、ヨトウムシの予防だけでなく、酸性に偏った土壌にアルカリ性の成分を与える効果があり、カリウム、リン酸といった栄養分を追肥できます。
使い方は、植物や土に薄く振り撒きます。使用量は、1坪あたり100~150グラム程度が目安です。あまり撒き過ぎると、土壌がアルカリ性に偏り、カリウムが多くなるとマグネシウムやカルシウムなどの吸収ができなくなるので注意しましょう。
また、化成肥料と同時に使わないようにしましょう。化成肥料に含まれるアンモニアと草木灰が混ざると、化学反応を起こしてガスが発生する可能性があります。
草木灰は草や木を燃やした灰ですが、たき火や野焼きは自治体によってルールがあります。草木を燃やせないときは、ホームセンターなどで購入しましょう。
防虫剤の撒き方
防虫剤は、葉の表側だけでなく裏側にも散布しましょう。ヨトウムシの成虫は、卵を葉の裏側に産卵するので、防虫剤を葉の裏側にも撒くことが大切です。また、防虫剤を使用する時期は、産卵期である初夏から秋にかけて行うと効果的です。
駆除の方法について
ヨトウムシの卵を見つけたら、すぐに産み付けられた葉を取り除いて処理しましょう。葉を処理するときは、しっかりと卵を潰すなどして駆除しましょう。ただ葉をちぎって土に埋めただけでは、再び発生する可能性があります。
卵のうちに駆除
ヨトウムシの駆除は、早めに卵を見つけることが肝心です。できるだけこまめに、葉の状態や葉の裏をチェックして、植物の様子を見守るようにしましょう。葉が白くなっていたら、葉裏に卵や幼虫がいる可能性が高いので要注意です。
【参考】シロイチモジヨトウなどヨトウムシ類に注意|一般社団法人 農協協会
トラップを仕掛けて駆除
ヨトウムシが発生してしまったら、米ぬかを使ってトラップを仕掛ける方法があります。ヨトウムシは米ぬかが好きなので、食害に遭っている植物の近くに仕掛けておくと効果的です。
米ぬかトラップの作り方
- 準備するもの
米ぬかと、底が5センチ以上ある少し深めの容器。例えば、お惣菜屋さんにあるパックの容器やイチゴなど果物を入れている容器など。
- 設置の仕方
容器いっぱいに米ぬかを入れたら、食害に遭っている植物の株元に容器の縁と土の高さが同じになるように埋める。
米ぬかトラップを仕掛けておくと、植物を狙ってやってきたヨトウムシが米ぬかに集まり、朝まで米ぬかを食べています。明るくなったころには、そのまま米ぬかの中に隠れようとしているので、駆除が簡単です。
まとめ
ヨトウムシは、野菜だけでなく花や果樹にも影響を及ぼす厄介な害虫です。夜中にやってきた蛾が葉に卵を産み付けるので、広い畑だけでなく住宅地のベランダやプランターにもやってきます。
ヨトウムシは1匹あたり1000個以上の卵を産み付けるので、大量に発生してしまいます。成長するにつれて活動範囲を広げていくので、放っておくと被害が限りなく拡大していきます。家庭菜園を行う畑を借りている場合は、自分の畑だけでなく他の方の畑にも被害を及ぼしてしまうので気を付けましょう。
一番の予防策は、卵を幼虫に成長させないように植物をこまめにチェックすることが大切です。対策は早ければ早い方が効果的です。もし、被害に遭った場合は葉や葉の裏だけでなく土の中も確認しましょう。
ヨトウムシは厄介な害虫ですが、栽培している植物を日々楽しく育てていれば、すぐに対応できます。過剰な心配をせずにじっくりと取り組みましょう。