報連相の基本とは?仕事(ビジネス)にしっかり役立てる方法と目的を知る

報連相の基本とは?仕事(ビジネス)にしっかり役立てる方法と目的を知る

社会人になると「報連相(ほうれんそう)」の重要性を何度も教えられてきたという方もいるかもしれません。たしかに報連相は仕事(ビジネス)を行う上で大きな効果をもたらし、人も会社も成長させてくれます。

しかし、残念ながら報連相の意味を正しく理解できず「何となく」という気持ちで実践している方もいます。なぜ報連相はそこまで大事なのか?今回は社会人の基本でもある報連相の意味や目的、基本的なやり方などをご紹介します。

報連相(ホウレンソウ)の意味

報連相の役割や重要性を解説する前に、あらためて報連相の基本的な意味をおさらいしておきましょう。報連相とは「報告(ほうこく)」「連絡(れんらく)」「相談(そうだん)」の略語であり、主に職場(ビジネスシーン)などで使用されています。

ちなみに報連相(ほうれんそう)は報告、連絡、相談をわかりやすくするために、野菜のほうれん草と掛けた言葉でもあります。

なお、報連相という言葉は山種証券社長の山崎富治氏の著書「ほうれんそうが会社を強くする」がベストセラーになったことで、一般社会に広く知られるようになりました。山崎富治氏は報連相を社内キャンペーンで始めたことで知られる人物でもあります。

報告・連絡・相談の定義を解説

報告・連絡・相談の定義を解説

報連相の意味を知らない社会人は少ないと思いますが、ここであらためて報連相(報告・連絡・相談)の定義を解説します。

報告

報告とは基本的に部下が上司に対して、発生した事実や上司から受けた指示や業務命令に対する経過や結果を伝えることです。

具体的には「先週から始めている新しいプロジェクトですが、現在は順調に進んでいます」「○○部長から指示を受けた書類作成の件ですが、現在1/3まで完了しております」などがあります。

報告で知らせる内容については「事実」「途中経過」「結果」のみであり、自身の感情や推測が含まれた「感想」や「私見」などは報告時には不要とされています(上司から意見を求められたときはこの限りではありません)。ちなみに報告は上司から部下へ入ることもあります。

連絡

連絡は発生した事実を関係者全員にしっかりと伝えるという目的があります。前述の報告と似ている点もありますが、連絡もあくまで「事実」を伝えることが目的であり、個人的な意見や感想などは求められることはありません。

「来週の木曜日は休暇をいただきます」「得意先の担当者が来月から変更になります」などが連絡業務に該当します。

相談

相談とは自分だけでは判断に迷うときなどに上司、先輩、同僚に意見を求め、アドバイスをもらうことを指します。仕事をしていると作業方法や顧客への対応の仕方など、1人ではわからないことが必ず出てきます。

特に経験値が少ない新人や若手社員は、最初は判断に迷う場面が多々訪れます。「私は今回の業務が初めてなのですが、どのような手順で進めればよろしいでしょうか?」「先日、顧客から○○の要望がありましたが、どうすればよろしいでしょうか?」などは相談の良い例です。

仕事(ビジネス)で報連相が重要視される理由

仕事(ビジネス)で報連相が重要視される理由

報連相は人生で生きていく上でも必要になるものですが、特にビジネスシーンでは重要視されています。なぜ仕事(ビジネス)を行う上で報連相が重要視されるのでしょうか?

報連相をスムーズに行うと作業効率のアップ、作業ミスの減少、品質向上(クオリティアップ)など、会社全体のパフォーマンスアップにつながります。

たとえばですが、顧客から「上司と一緒に謝罪に来てほしい」というクレームがあったことを報告しない社員がいるとします。もちろん上司は報告を受けていないわけですから、この事実に関してはまったく知りません。

そしてその1週間後、顧客から再び連絡があり「いつまで待たせるんだ」「対応が雑すぎるからもう御社とは契約をしない」と、契約を打ち切られてしまいました。上司はこのときに初めて顧客からのクレームがあったことに気付きましたが、時すでに遅しの状態。

最初に顧客からクレームがあったことを報告しておけば、契約継続の可能性も十分にありました。

また打ち合わせ時間の連絡を忘れたなどの場合は、メンバーが全員集まらず、後日打ち合わせに参加できなかったメンバーにもう一度打ち合わせ内容を伝えなければならないという手間が発生します。

相談不足も作業効率や品質(クオリティ)を落とす原因になります。初めて行う作業、経験が少ない業務を行う場合は、ベテランの上司や先輩に一言相談すれば、的確なアドバイスをもらえるため、大きな失敗に陥ることは少ないです。

しかし、わからないことを相談もせずに進めた場合は業務やり直しの可能性や品質低下により、上司の責任問題に発展する可能性もあります。

このように報連相はどれかひとつでも欠けてしまうと、作業効率や社内全体のパフォーマンスが著しく低下することになります。

社内全体のパフォーマンスが悪化すると最悪の場合、社内存続の危機にも陥る可能性があります。このような理由からビジネスの世界では、報連相が非常に重要視されています。

報連相のコツを解説~報告編~

ここからは「報告」「連絡」「相談」の3つにわけて、報連相の基本的なコツを解説します。まずは報告のコツからご覧ください。

適切なタイミングで報告する

報告が苦手な社員は上司に求められたときだけ報告をするという特徴があります。もちろんこれも間違いではありませんが、さらに業務の効率性などを上げるなら適切なタイミングで適切な報告をするようにしましょう。報告のタイミングには以下のようなものがあります。

  • 指示を受けた業務が完了したとき
  • 完成までに長期間を要する業務の中間報告
  • 作業方法などに変更点があったとき
  • 新規の情報が入ってきたとき
  • ミスをしたとき

上司から指示を受けた業務が終わったときに報告するのは、おそらく多くの方が実践できていることだと思います。しかし、完成までに長期の期間を要する業務のときなどに、中間報告をする人は少ないのではないでしょうか。

中間報告は作業やり直しなどを防ぐ上でも大事になりますし、何より業務を管理する上司も安心します。

また仮に業務が順調に進まない場合も上司に報告しておくことで、人員を増やしてくれたり、効率性アップのアドバイスをくれる可能性もあります。

このように作業の進歩状況をこまめに報告しておくと、上司も適切な対応を施すことができます。自身が行っている作業を楽にするためにも、適切なタイミングで報告する癖を身に付けておきましょう。

簡潔に報告することを意識する

報告を長々、ダラダラ行ってしまうと、報告を受ける相手にも迷惑がかかる場合があります(仕事が忙しいときなど)。そのため、報告は要点だけをしっかりまとめ、簡潔に伝えるようにしましょう。相手に物事を簡潔に伝えるコツは「結論を先に持ってくる」ことです。

上司から「○○君、例の件どうなった?」と聞かれると「はい、例の件ですが先日お客様のところにお伺いしまして、話を聞きました。お客様は○○を○○してほしいとおっしゃっており…」といった、前置きが長い報告をしてしまう方は多いです。

このような前置きが長い報告は受ける側も、理解するのに時間がかかったり、もどかしさを感じやすいです。

「例の件ですが、結果は○○でした」のように、結論を先に持ってくることで、簡潔な報告になりやすいです。前置きや途中経過などは、結論の後に述べる、相手から求められたときだけ述べるといったことを意識しておきましょう。

適切な報告手段を知る

報告をする際は「口頭」「記述(メールなど)」の2つの手段がありますが、これも報告内容やシーンによって使い分けるのが好ましいです。たとえばですが報告内容が簡単なものならば、口頭で伝えても相手は理解しやすいでしょう。

また報告する内容が緊急を要するときは、文字を打っているヒマはありませんから、口頭の手段を用いるようにします。そして記述での報告に適しているのは、報告内容が複雑なときです。

会議や打ち合わせには必ず複数枚の書類が用意されており、打ち合わせ内容や重要事項が記載されています。これは会議や打ち合わせでは一言聞いただけでは把握できない内容が数多くあるためです。

通常の社内業務においての報告でも内容が複雑化しており、口頭では伝わりにくい、覚えにくいときは文章を残しておくことで、後から再度内容の確認を行うことができます。

また報告する人数が多い場合も記述での報告がおすすめ。「1人、1人に報告していたら日が暮れちゃうな」というときは、メールの一斉送信機能や文書のコピーを活用して、報告するようにしましょう。

報連相のコツを解説~連絡編~

続いては連絡の基本的なコツを解説します。連絡ミスで社内の仲間がパニックにならないようにするためにも、連絡の基礎を学んでおきましょう。

連絡する内容を正確に把握しておく

連絡ミスによって大切な取引先との商談に遅れてしまったり、顧客からのクレームにつながることがあります。このようなミスは社内での評判だけではなく、社外での評判も著しく低下してしまうため、連絡は正確かつ確実に行うようにしましょう。

連絡の基本は「伝える内容を正確に把握しておく」ことです。待ち合わせ時間、商談時間、訪問時間などは正確に伝えておかないと、相手の信頼も失う原因になります。

「伝える情報は間違っていないか?」「伝える人は間違っていないか?」といった点を連絡前にもう一度チェックし、万全な状態で連絡をするようにしましょう。

できる限りスピーディーな連絡を心がける

連絡することがある場合、できるだけ早めに相手に伝えておくようにしましょう。たとえばですが、有給休暇をとったことを休暇前日に仕事仲間に伝えたとします。

この場合、当然仕事仲間は「聞いてないよ!」「明日の配置変更しなきゃ!」となり、バタバタしてしまうでしょう。

連絡が遅くなればなるほど、相手に迷惑がかかる可能性が高くなります。連絡を受けたほうも準備や心構えを整える必要があります。相手のことも考えた連絡を心がけるように意識しておきましょう。

適切な連絡手段を知る

報告と同様、連絡をする際にも用途によって連絡手段を変更するようにしましょう。連絡する相手が少ない場合や連絡内容が簡単なものなら口頭ベース、人数が多い場合や内容が複雑なときは記述ベースがおすすめです。

また文章にしても理解するのに時間がかかる、内容を把握するのが難しい場合はグラフや表を用いて連絡する方法も有効です。相手も「○○さんの連絡はわかりやすくて、相手のことをよく考えてくれている」といった気持ちになるでしょう。

報連相のコツを解説~相談編~

報連相のコツを解説~相談編~

最後に相談のコツをご紹介します。会社の仕事は基本的に1人だけですべて完結するのは難しいので、相談する癖をしっかりと身に付けておきましょう。

自分1人では作業が進まない場合はすぐに相談する

作業経験が少ない新人社員や若手社員の場合、最初はわからないことだらけです。そのため、ちょっとした疑問点や不明点などが出てきたら、すぐに上司や先輩に相談するようにしましょう。

わからないことを相談せずに、勝手に作業を進めてしまうと、後で「方針と違う」「やり方が間違っている」などといわれ、やり直しの作業が発生する可能性もあります。

また場合によっては会社に大きな打撃を与えてしまう可能性もゼロではありません。このような理由から自分1人ではわからないこと、判断に迷うときは、すぐに社内の関係者に意見やアドバイスを求めるようにしましょう。

責任感が強い人や周囲に迷惑をかけたくないという優しい気持ちを持っている人は、上司や先輩への相談をためらってしまうことがあります。

しかし、相談をすることで大きなミスを防げる可能性は高くなるため、結果的に会社のためにもなります。自分で努力することも大切ですが、相談しないと先に進まないケースなどでは積極的に周囲にアドバイスをもらうようにしましょう。

相手がアドバイスしにくい相談内容にしない

相談をするときは、相談される側が的確なアドバイスを投げかけることができるような配慮をしてみましょう。たとえばですが「営業が上手くいかないのですが、どうしたらよいですか?」という相談を上司にしたとします。

この場合、営業が上手くいかない原因などがわからないため、上司もどのようにアドバイスしたらよいか悩んでしまいます。単に「上手くいかない」だけではなく、上手くいかない原因も伝えることで、相手も問題を解決できる答えを返すことができます。

「自分は笑顔が苦手なことが原因で営業が上手くいきません」と伝えれば、上司は「今から付き合ってやるから笑顔の練習をしてみようか」「鏡で自分の顔を見ながら笑顔の練習をしよう」など、正確性のあるアドバイスを返すことができます。

相手からのアドバイスが「そういうことを聞きたいのではなく…」「ちょっと違うな…」と感じたときは、自分の相談内容に不備がないか確認するようにしましょう。

アイデアや改善案の提示は根拠となるデータなどをまとめておく

仕事をしていると「もっとこうしたほうが上手くいくのでは?」「○○をすれば生産性も上がるのでは?」と感じることがあります。

このようなときには上司に相談してから、変更や改善をすることになりますが、単なる思いつきでアイデアや改善案の提示をしても、受け入れられる可能性は低いです。そこでおすすめなのが根拠となるデータなどを一緒に提出することです。

具体的には「○○を変更した結果、作業時間が○○時間短縮できました」「先月から作業方法を工夫した結果、定時で帰宅できるようになりました」など、何かしらのデータを示すことで上司も「それは素晴らしい」「うちの部署でも検討してみよう」という気になります。

会社は自分1人で動いているわけではないため、自分のやりやすいような環境を作るのは難しいですが、相手を説得できるような根拠を示すことで、周囲も納得してくれやすくなります。

報連相が気軽にできる環境にするために意識しておきたいこと

報連相が気軽にできる環境にするために意識しておきたいこと

最近は報連相ができない社会人が増えているともいわれています。報連相は仕事をスムーズに進めるためには、非常に大切なことです。そのため、報連相ができない人は「仕事ができない人」という方もいるでしょう。

しかし、本当に報連相ができない人間だけが悪いのでしょうか?たとえばですが会社で報連相が気軽にできる環境が整っていないということはありませんか?

具体的には報告、連絡、相談をしても「今、忙しいから後にして」「そんなこともできないのか?少しは自分で学ぶ癖をつけろ」といった言葉が上司から返ってくるなどが挙げられます。

上司がこのような状態だと、その下で働いている部下は報連相を行うのをためらってしまいます。「報告したらまた怒られる」「相談してもしっかりしたアドバイスをくれない」といった気持ちが強くなると、適切な報連相ができなくなる可能性は高くなります。

正しい報連相ができる環境にするには、社内の人間すべてが「報連相歓迎」という気持ちを持って仕事に取り組むことです。

相手が気軽に声をかけられるように笑顔を意識したり、普段から積極的にコミュニケーションをとっておくと、報連相がスムーズにできる環境も整うでしょう。

「あの人に報告、連絡、相談するの嫌だな…」という気持ちが社内全体に蔓延すると、最悪の職場環境に陥る可能性が高くなります。社内全体の業績アップを目指すためにも、報連相が身近にある環境を整えていきましょう。

積極的な報連相で自分、仲間、会社のレベルアップを図ろう

報連相は「社会人であれば誰でもできる」といわれますが、実際にはスムーズな報告、連絡、相談が苦手な人も多くいます。このような方たちは単に報連相の基本的なコツや方法などを知らないだけで、決して人が嫌いなわけではありません。

正しい報連相の知識ややり方を身に付けると、自分自身はもちろんのこと、会社全体の業績アップにもつなげることができます。

また報連相を通じて社内の人とコミュニケーションを図ることもできるため、会社内の雰囲気も良くなる可能性が高くなります。自分、仲間、会社がレベルアップするためにも積極的な報連相を意識していきましょう。

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