2019年2月21日 | お役立ち情報
「じゃばら」ってどんな果実?成分のナリルチンなどを紹介!
健康に良い果実として一躍話題となっている「じゃばら」。じゃばらは、ユズやカボスの仲間となる柑橘系の果実です。栽培している地域が少ないのであまり見かけない果実ですが、じゃばらに含まれている「ナリルチン」という成分が注目を集めています。
この記事では、大人気のじゃばらやそれに含まれているナリルチンについて解説し、効果的な食べ方や美味しいレシピまでをご紹介します。
話題の「じゃばら」とはどんな果実?
じゃばらは、直径7、8センチぐらいの柑橘類の果実です。ユズやカボスと同じように酸味が強いため、お酢の代わりとして使われたり、水などで割ってジュースとして楽しまれたりしています。
小さな村から生まれた「幻の果実」
じゃばらの栽培は、和歌山県北山村で発見された1本の木から始まります。じゃばらは、この北山村周辺に分布するユズや九年母(くねんぼ)というみかん科の果実などとの自然交配で生まれました。じゃばらの原木が発見されたとき、世界でも北山村だけで自生する珍しい果実だったことから「幻の果実」とも言われています。
じゃばらが発見された北山村は、人口430名ほどの村で紀伊半島の山の中にあります。和歌山県の村でありながら、三重県と奈良県に囲まれていて和歌山県のどの市町村とも隣接していない全国で唯一の飛び地になっています。東西20キロ、南北8キロほどある村の面積の97%が山林です。昔から良質な杉に恵まれた土地で林業が栄えていました。
じゃばらは、この山あいに住む農家の裏庭で発見されました。1本の原木から少しずつ増やしていき、今では北山村を支える特産品にまで発展しています。
北山村では、じゃばら発祥の地であることをアピールするため「邪払(じゃばら)神社」を建立しました。毎年じゃばらの収穫時期になる11月中旬には、「じゃばらの里の収穫祭」を行い、たくさんの人たちとじゃばらの収穫を祝っています。
「邪気を払う」縁起物の果実
じゃばらの名前は、邪気を払うほど酸っぱいという意味を込めて「じゃばら(邪払)」と名付けられたと言われています。じゃばらの発祥地である北山村では、縁起の良い果実として珍重され、正月料理にも使われています。
ユズやカボスのような味わい
直径7、8センチにもなるじゃばらは、ユズやカボスのように強い酸味があることから、お酢の代わりとして愛用されていました。酸味だけでなく心地よい苦味もあることから、果汁を水で割って飲んだり、果皮も含めて甘く煮詰めたりして食べられています。
北山村で収穫されるじゃばらは、村営の加工場でほぼ余すところなく利用されています。じゃばらに関連する商品は、果汁を瓶に詰めたものや果汁や果皮を生かしたお菓子、ジュース、ジャムなどが販売されています。
まだまだ少ない収穫量
じゃばらを栽培する地域は、北山村がある和歌山県を中心に、三重県、愛媛県、静岡県、高知県で育てられています。北山村で栽培を始めてから、徐々に生産地域が増えており2010年の総収穫量は119.3トンとなりました。
しかし、他の柑橘系の果実と比べるとまだ収穫量は少なく、同じ年のユズの収穫量は21326.3トンと大きな差があります。まだまだ収穫量が少ないことでも「幻の果実」と言えます。
じゃばらに含まれている「ナリルチン」とは?
ナリルチンとは、野菜や果物、豆類などに含まれるフラボノイドの一種です。フラボノイドとは、植物の葉や茎、幹などに含まれる水溶性の色素、苦味、辛味成分になります。
フラボノイドには様々な種類と効能があります。有名なフラボノイドの種類と言えば、大豆やきな粉に含まれるイソフラボン、緑茶や抹茶、ココアに含まれるカテキン、ゴマに含まれるセサミンなどが挙げられます。
ナリルチンは柑橘系の果実に含まれていて、果汁や果皮を食べると感じる苦味の成分の一つです。ユズやカボス、グレープフルーツ、みかんといった柑橘系の果実全般に含まれています。
じゃばらについてさまざまな角度から研究を行い正しい知識を広めることを目的に2015年2月18日日本じゃばら普及協会は設立されました。
和歌山県北山村産のじゃばらを使用し、条件に合致する製品に対して公認マークの使用を認めています。
【日本じゃばら普及協会 公認マーク】
じゃばらの成分を生かす効果的な食べ方
酸味が強いじゃばらは、お酢の代わりに使われることが多いのですが、果汁だけでなく果皮にも健康に役立つ成分がたくさん含まれています。じゃばらは、捨てるところがない果実なので、余すところなくじゃばらの成分を生かすための使い方をご紹介します。
ナリルチン含有量が高い「じゃばら」
ナリルチンを含んでいるユズやカボス、スダチといった柑橘系の果実の中で、含有量がトップレベルなのがじゃばらです。特に、じゃばらの果皮にナリルチンが多く含まれているので、果汁だけでなく果皮も一緒に食べたほうが良いでしょう。
果実は完熟させた方がいいの?加熱しても大丈夫?
じゃばらの果実を手に入れたとき、気になるのがナリルチンの含有量の変化です。
農林水産省が平成29年に発表した「健康な食生活を支える地域・産業づくり推進委託事業」にある「流通段階での機能性成分含量の確認」を見ると、未完熟と完熟の違いや保存した時の変化、加熱前と加熱後の違いなどについて、次のような分析結果がありました。
分析に使われたじゃばらは、11月に収穫した未完熟の果実と1月に収穫した完熟の果実です。果汁と果皮に分けて、それぞれが含むナリルチンの量を比べています。
図表「機能性関与成分(ナリルチン)の含有量」
※果汁と外果皮の単位は、100グラムの果汁と外果皮に含まれるナリルチンの量を表しています。
検体No | 検体の内容 | 果汁(g/100g) | 外果皮(g/100g) |
---|---|---|---|
検体1 | 11月(※1)に収穫した未完熟じゃばら(和歌山県広川町産) | 0.49 | 1.41 |
検体2 | 11月に収穫した未完熟じゃばらを2月20日まで保存したもの | 0.46 | 1.39 |
検体3 | 1月に収穫した完熟じゃばら | 0.46 | 1.04 |
検体4 | 1月に収穫した完熟じゃばらを2月20日まで保存したもの | 0.37 | 1.35 |
検体5 | 1月に収穫した完熟じゃばらを100℃で加熱(※3)したもの | 0.35 | 0.65 |
参考1 | 11月に収穫した未完熟じゃばら(和歌山県北山村産) | 0.45 | 1.15 |
参考2 | 12月(※2)に収穫した未完熟じゃばら(広川町産) | 0.50 | 1.25 |
【参考サイト】農林水産省食料産業局 「健康な食生活を支える地域・産業づくり推進委託事業」より
※1 11月は和歌山県北山村のじゃばら収穫期
※2 12月は和歌山県広川町のじゃばら収穫期
※3 沸騰水で1時間加熱処理メニューや加工食品の開発
【分析結果】
- 未完熟のじゃばらの方が完熟したじゃばらよりもナリルチンの含有量が多い。
- 未完熟のじゃばらを3ヶ月ほど保存すると、わずかだがナリルチンの含有量は減る。
- 完熟したじゃばらを1ヶ月ほど保存すると、わずかだがナリルチンの含有量は増える。
- 完熟したじゃばらを100℃で加熱すると、ナリルチンの含有量は減る。
分析結果を見ると、100グラム中のナリルチンの含有量の変化はわずかです。じゃばらに含まれたナリルチンを一番効率良く摂取するには、未完熟のじゃばらを果汁と果皮を加熱せずに一緒に食べるようにした方が良いことが分かります。
ただし、酸っぱさや苦味がどうしても慣れないようであれば、自分好みの味で楽しんだほうが良いでしょう。あまりナリルチンの量を気にしてしまうよりも、自分好みの味で長く続けられる方が大切です。
毎日少しずつでも継続していき、効果があまりないようであれば、摂取する量や食べ方を工夫することをおすすめします。
お酢代わりに美味しく使う
じゃばらの果汁をそのまま飲むのが苦手だったり、果皮の苦味が好みでなかったりした場合は、お酢の代わりとして使ってみましょう。毎日の食事に出てくるお肉や魚といったおかずにかけて食べれば、飽きずに楽しめます。
果汁だけでなく果皮も苦みのアクセントとして加えてみるのもナリルチンを摂取しやすい効果的な食べ方です。好みの味があるので、無理に加える必要はありませんが、できれば果皮も食べられるようにしましょう。
じゃばらのおすすめレシピ集
果汁だけでなく果皮にも健康に有効的な成分を含んでいるじゃばら。できれば丸ごと食べられればいいのですが、強い酸味や苦味が苦手という方には難しい食べ方です。そこで、毎日食べていても飽きずに楽しく味わえるレシピをご紹介します。
はちみつ漬け
はちみつ漬けは、名前の通り、じゃばらをはちみつに漬けるだけでできてしまうカンタンなレシピです。はちみつに漬けたじゃばらをそのまま食べてもいいですが、夏は冷たい炭酸、冬は暖かいお湯で割って飲むのも美味しいです。
【材料】
- じゃばら 適量
- はちみつ 適量
【作り方】
- じゃばらは皮を良く洗ってから拭く
- じゃばらの果皮ごとそのまま輪切りにする
- 熱湯で5~10分ほど煮沸消毒した瓶に輪切りにしたじゃばらを入れる
- お好みの量のはちみつを、じゃばらの上に注ぐ
- 軽く混ぜたあと、蓋をして日が当たらない涼しいところで保存する
- 4日~5日ほど寝かせれば完成
じゃばらとはちみつの量は、お好みで決めると良いでしょう。甘い味が好きでしたら、はちみつの量はじゃばらが浸る程度まで入れます。
マーマレード
マーマレードは果汁を絞って作るので、はちみつ漬けよりも食べやすく、他の料理にも合わせやすいメニューです。果皮もしっかり使っているので、じゃばらに含まれた成分を逃さずに食べられます。
【材料】
- じゃばら 5つ
- 砂糖 大さじ8杯
- 水 適量
【作り方】
- じゃばらは良く洗って水気を拭き取る
- じゃばらを半分に切って果汁を絞る
- 残った果皮を細切りに刻む
- 刻んだ果皮を鍋に入れ、果皮が浸るまで水を入れて弱火で煮る
- 果皮がしんなりと柔らかくなったら、砂糖と搾り汁を入れてさらに20分煮込む
- 煮込んでいる最中は、こまめに灰汁を取る
- とろみが出てきたら、煮沸消毒した瓶に詰めれば完成
じゃばらと砂糖の量は目安です。砂糖の量は自分の好みに合わせて調節してください。
ポン酢
本格的な手作りのポン酢を作れば、我が家の食卓に欠かせない逸品となります。好きなものにかけて美味しくいただきましょう。
【材料】
- じゃばら 適量
- しょうゆ 適量
- みりん 適量
- かつおぶし 適量
- 昆布 適量
※じゃばら、しょうゆ、みりんの割合は「5(じゃばら):5(しょうゆ):1(みりん)」が目安です。少し酸っぱいようであれば、みりんの量を増やして調節してください。
※かつおぶしと昆布の量は、お好みで構いません。量を増やすと旨味が強くなります。目安としては、じゃばら、しょうゆ、みりんの総量が1.2リットルに対して、かつおぶしは60グラム、昆布は12センチ程度の長さを使います。
【作り方】
- ボールに、じゃばら、しょうゆ、みりんを入れて混ぜる
- 同じボールに、かつおぶしと昆布を入れて自然に沈むのを待つ
- ボールにラップをして、夏場は冷蔵庫に入れて、冬場はそのまま24時間保存する
- かつおぶしや昆布を取り出して、煮沸消毒した容器に入れて1週間ほど寝かせれば完成
手作りポン酢は、寝かせれば寝かせるほど美味しくなります。2ヶ月頃が食べごろという方や、5ヶ月寝かせたポン酢が美味しかった、という方など様々です。毎日の食卓に使える調味料なので重宝します。
じゃばらを毎日の食事に加えてみよう!
甘いはちみつ漬けやマーマレード、酸味や苦味が効いたポン酢など、我が家の食卓にじゃばらを加えて楽しい食事を演出してみるのはいかがでしょうか。自分の好みに合わせた味を見つけて、長くじゃばらを食べ続けることをおすすめします。
じゃばらの力で快適な毎日をサポート!
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<<じゃばら説明動画(大阪薬科大学 馬場名誉教授)>>