2020年11月25日 | 虫
ショウジョウバエが発生する原因とは?ショウジョウバエの習性を知って対策しよう
蚊や蜂と違って刺される心配はないものの、家事や食事の際近くを飛び回られるとうっとうしく感じるコバエ。「コバエ」とはハエの種類の名前ではなく、小さいハエの総称です。今回は、コバエのなかでもっともよく見かけるショウジョウバエについて解説いたします。
ショウジョウバエは腐った果物を好むことから、欧米ではfruit fly(フルーツフライ)と呼ばれます。また、漢字表記「猩猩蠅」の「猩猩」とは、顔や足が人間似で赤くて長い髪をした、中国の想像上の生き物です。「猩猩」は大酒飲みであり、ショウジョウバエも赤い目をしていて酒に集まることから、この名がついたとされます。
ショウジョウバエの生態
ショウジョウバエは、ハエ目(双翅目)、ショウジョウバエ科に属するハエの総称です。キイロショウジョウバエやオナジショウジョウバエ、クロショウジョウバエなどさまざまな種があり、世界で約3000種、日本では250種以上が確認されています。
フンにたかることがないため、通常病原菌を運ぶおそれはないと考えられています。ここではまだよく知られてはいないショウジョウバエの生態についてご説明いたします。
特徴や形態
ショウジョウバエは、一般的にキイロショウジョウバエを指すことが多く、黄色っぽい色の体に赤い目が特徴です。体長はほとんどが約2~3mmと、コバエのなかでも平均的なサイズです。
ショウジョウバエは染色体の数が少なく、かつ体色も薄いため、研究をする上で扱いやすいとされ、遺伝の実験によく使われています。
分布
ショウジョウバエは、アフリカか東南アジアの熱帯に起源を有すると考えられています。そこから分布を広げ、現在では南極と北極以外の全世界に生息します。日本でも都市部から山奥まで広く分布し、固有種も100種近くが確認されています。
生息場所
ショウジョウバエは、人家やその周辺に生息する「人家性種」と、自然に生息する「野生種」に分けられます。人家性種はおもに生ゴミが入ったゴミ箱や、キッチンの三角コーナー、出しっぱなしの果物などに集まってきます。
活動時期
一般的に、コバエが多く現れるのは4~11月です。なかでも、ショウジョウバエをよく見かけるのは春と秋で、真夏は暑すぎるため活動が少し鈍るようです。
ちなみに「五月蠅」と書いて「うるさい」と読みますが、これは5月に飛び回るハエの騒々しい様子を由来とする当て字です。万葉集などに用いられた「五月蠅(さばえ)」という表記を、明治時代に夏目漱石が「うるさい」の当て字として使いはじめたといわれています。
産卵から約10日で羽化する
ショウジョウバエは、産みつけられた卵からおよそ1日で幼虫となり、幼虫(4~5日)、蛹(約4日)の段階を経て、卵からおよそ10日で成虫になります。成虫になると1日に30~50個程度の卵を産みつけます。成虫の寿命は30~60日で、死ぬまでに数千個の卵を産みます。
ショウジョウバエの被害
ここでは、ショウジョウバエの被害についてご説明いたします。
不快感を与える
ショウジョウバエは人を刺したり咬んだりしないため、人間に直接危害を加えることはありません。しかし、生ゴミなどを好む不衛生な存在として敬遠されています。食材や料理、食器などにたかる姿を目の当たりにして、「ここに飛んでくる前はきっと不潔な場所にいたのだろう」と考えると、とても不快な気持ちになるのではないでしょうか。
仮に飲食店などで店内にショウジョウバエを発見した場合、風評被害を受けることがあります。こうなると、経済的な損失を被るおそれもあります。
食材への異物混入リスク
食品の中に虫が入っていたために、自主回収を呼びかけるニュースが報じられることがあります。ショウジョウバエは食品工場などでも発生するため、果汁や酒、醤油、味噌などのニオイに誘われて食品に混入するリスクも否定できません。
病原菌などは媒介しない
反面、フンにたかることのないショウジョウバエは、病気の原因となる菌を運ぶおそれはないと考えられています。
ショウジョウバエが発生する原因
ショウジョウバエと遭遇しないためにも、まずは見かける原因を知っておきましょう。
生ゴミを求めて
ショウジョウバエは、熟した果物や腐りかけの野菜を好みます。このため、キッチンの三角コーナーやゴミ箱など、生ゴミのあるところに集まります。
発酵物に集まる
自然界に生息するショウジョウバエは、熟した果物や樹液およびそこに生育する天然の酵母を食料とします。このため、ワインや酒、酢、醤油、味噌などの発酵食品に集まるという習性があります。またバナナをキッチンに出しっぱなしにしておくと、ショウジョウバエがたかることがありますが、これはバナナが腐敗したニオイに誘引されたものです。
成長の早さと産卵回数の多さ
卵からわずか10日で成虫になる成長の早さと、一度に30~50個程度の卵を繰り返して産むという2点が、ショウジョウバエの大量発生を助長していると考えられます。
ショウジョウバエの対策
ショウジョウバエの発生を防ぐには、予防と駆除の2つの対策法があります。
予防対策
まずはショウジョウバエの発生原因となるものをなくしましょう。
こまめに掃除する
ショウジョウバエを近づけさせないためには、家の中を清潔に保つことが重要です。食べカスなどが落ちていると、ショウジョウバエを誘引する原因となるので、こまめな掃除を心がけましょう。
ニオイの原因となる生ゴミや食べ残しを放置しない
キッチンの三角コーナーや排水口には、生ゴミや食材の切れ端などが特にたまりやすいものです。そのまま放置しておくと腐敗が進み、ショウジョウバエを誘引するニオイが強くなります。そこで、生ゴミは袋の上部をしっかりと縛り、捨てる際には新聞紙などにくるんでゴミ箱へ入れましょう。
こうすることで、ニオイの発生を抑えることができます。ニオイを抑えるという意味では、フタ付きのゴミ箱が理想的といえるでしょう。食べカスもニオイの原因となるので、排水口のカゴなどにたまることのないよう、常にきれいにしておきましょう。
酒やジュースの空き缶や容器を洗う・密封する
ショウジョウバエは、アルコールやジュースなどにも好んで集まります。飲み終えたお酒やジュースの空き缶・空き瓶・ペットボトルなどの容器は、中身をしっかりと洗って乾燥させましょう。
飲食店のビールサーバーやドリンクサーバーなどの周囲も、常にきれいにしておく必要があります。特にサーバーの注ぎ口は、しっかりと洗浄するようにしましょう。
果物を出しっぱなしにしない
果物もショウジョウバエが好むもののひとつです。そのまま出しっぱなしにせずにフタをするか、戸棚の中などにしまうようにしましょう。
駆除の方法
ショウジョウバエは放っておくとどんどん数が増え、大量発生するおそれがあります。見つけたら放置せずに、殺虫剤や捕獲器などですぐに駆除しましょう。
殺虫剤を使用する
ショウジョウバエの駆除には、フマキラーの「コバエワンプッシュ プレミアム 60回分」がおすすめです。ゴミ箱などに群がるコバエに向かってワンプッシュすれば、羽ばたき防止効果ですぐさま落下。ゴミ箱や三角コーナーなどにスプレーしておけば、コバエの発生を約2週間予防します。配合された腐敗菌抑制成分で、ニオイの原因菌もしっかり抑えます。
捕獲器を使用する
キッチンなど食材や食器類を扱う場所には、捕獲型タイプがおすすめです。フマキラーの「コバエ超激取れキューブ」は、徹底研究した「カタチ・香り・色」でコバエを誘引する、画期的な捕獲器です。
上へ上へと登る習性を利用した「マレーズトラップ」を応用。そして「特撰醸造酢」と「酒」を配合した強力誘引処方で、飛んできたコバエをキャッチ。さらにコバエを引き寄せる緑色と黒のツートーンカラーで、捕獲効果をさらに発揮します。
まとめ
人に対して直接的な害を与えないとはいえ、調理の際や食事時にショウジョウバエが食べ物のまわりを徘徊するのは、気分のよいものではありません。
ショウジョウバエは、アルコールなどの飲み残しや料理の食べ残し、腐りはじめた果物や食材、生ゴミなどのニオイにつられて集まります。そして産卵を繰り返すことで、次々と大量発生するおそれもあります。
しっかりとした予防策をとり、家の中で見つけた場合は早めの駆除を心がけましょう。