2025年6月16日 | お役立ち情報
静電気と仕組みと特徴!発生することによるデメリットは?
空気が乾燥する冬は、静電気が発生しやすくなります。ドアノブをれた瞬間に「パチッ」と音がして指先に痛みを感じた経験がある方もいるのではないでしょうか。静電気は痛みだけでなく、衣類のまとわりつきや電子機器への悪影響など、さまざまな不快感やトラブルを引き起こすこともあります。
本記事では、静電気が起こる仕組みを解説し、日常でできる静電気を防ぐための対策を紹介します。ぜひ参考にしてください。
静電気とは?
あらゆる物質は電気を持っていて、電気のプラスとマイナスが均衡して存在しています。この時点では、物質は電気的に中性の状態です。しかし、物質同士が衝突すると、片方の物質からもう片方へマイナスの電気(電子)が移動することがあります。
この結果、プラスの電気を帯びた物質(プラスに帯電した物質)とマイナスの電気を帯びた物質(マイナスに帯電した物質)ができます。電気的に中性の状態が崩れ、プラスまたはマイナスに帯電した状態が「静電気」です。
帯電列|物質によって静電気の発生しやすさが違う
物質によって、静電気の発生しやすさが異なり、また、プラスに帯電しやすいか、マイナスに帯電しやすいかも異なります。帯電のしやすさを順番に示したものが「帯電列」です。帯電列表での距離が離れているほど、物質同士が接触・剥離したときに静電気が発生しやすい傾向があります。
帯電のしやすさ | 物質 |
---|---|
プラスに帯電しやすい
↑
↓ マイナスに帯電しやすい |
+ |
空気 | |
人毛・毛皮 | |
ガラス | |
雲母 | |
人間の毛髪 | |
ナイロン | |
ウール | |
紙 | |
木綿 | |
0 | |
木材 | |
レーヨン | |
ポリエステル | |
アクリル繊維 | |
塩化ビニル | |
- |
静電気が発生する仕組み
プラスとマイナスが不均衡な状態の物体が他の物体に触れると、不均衡を取り戻そうとして電流が流れます。この現象が「放電」です。もし、人間の体の一部が他の物体と接触して放電した場合、急激に電流が流れることで軽い痛みを感じることがあります
日常会話で「静電気が発生」という表現は、正確には静電気によって電流が流れる(放電する)現象のことを指します。
静電気発生のデメリット
静電気は人間に不快感を与えるだけでなく、災害や思わぬ火災・事故の原因になる可能性があります。
人体への影響|痛みと不快感
冬にドアノブを触った時に静電気が発生し、痛みを感じたイヤな経験は誰にもあるでしょう。この程度の静電気であれば、静電気自体が人体に悪影響を与えることはありませんが、急な放電にビックリして転倒などの二次災害が発生する可能性があります。
車の運転中に静電気が発生し、そのショックで運転操作を誤ると、事故を起こす危険性もあるため注意が必要です。
日常生活への影響|ホコリの付着
テレビやモニター画面の表面にホコリが吸着するのも静電気のしわざです。食品用ラップを使用するときにひっついてしまうのは、ラップフィルムを芯からはがすときに静電気が発生しているからです。
火災・爆発
可燃性の高い環境では、静電気が発生したときに発生する火花が原因で、火災や爆発につながる危険性があります。
セルフのガソリンスタンドで給油をするときは静電気が発生しないように十分注意してください。ほとんどのセルフ式ガソリンスタンドには、静電気対策として静電気タッチシートが準備されています。給油をする前には必ず、静電気タッチシートで体にたまった静電気を放電するようにしましょう
産業への影響|機器の誤動作・品質不良
産業界では、静電気がさまざまな分野に応用されています。例えば、コピー機はトナーの粉を紙に転写させて印刷していますが、トナーを用紙に吸着させているのは静電気の力です。
逆に、この作用が悪影響を及ぼすこともあります。半導体は、静電気によって損傷する可能性があり、塗装の不具合や汚れの付着の原因にもなるため、工場などの製造現場では静電気防止対策が必須の課題です。
落雷による災害
実は、カミナリ(落雷)も静電気が関係する現象です。雲の中にできた微小な氷の粒が擦れあい、静電気が発生します。樹木に雷が落ちて火災・倒木の原因になったり、人体に落ちると命を落としたりする危険性もあります。
静電気が発生しやすいのはどんな人?
同じような行動をしても、静電気が発生する人としない人がいます。この項では、静電気が発生しやすい人の特徴を紹介します。
肌や髪が乾燥している人
水分は、静電気の発生のしやすさに大きく関係しています。水は電気を通しやすい性質があるため、静電気が発生してもすぐに放電し、大量の静電気が蓄積することはありません。
肌が乾燥しやすい体質の人は、体表面の水分が少なく、静電気がたまりやすくなります。逆に、汗をかきやすい人は、静電気が発生しにくい傾向にあります。
静電気がたまりやすい素材を身に着けている人
水とは逆に、電気を通しにくい物質があります。人が身に着けるものでは、ゴム底や厚底の靴が電気をあまり通しません。ゴム底・厚底の靴を履いていると人間の体にたまった電気が靴を通して地面に逃げにくいため、静電気がたまりやすくなります。
また、天然素材の繊維は吸湿性が高いため、あまり静電気が発生しません。逆に、合成繊維は静電気を発生しやすい素材です。
衣服が擦れる動作をする人
静電気は、モノ同士が接触して電子の移動が起こることで発生します。衣服が擦れやすい動作をする人は、静電気が発生しやすいといえるでしょう。
例えば、歩くときにすり足だったり、振った腕が体の側面をこすったりする人は、静電気に要注意です。「車から降りる際にドアを触って静電気が発生する」という経験がよくある人は、車の降り方に問題があるかもしれません。
降りるときに座席とお尻をこすり合わせているために、静電気が発生する可能性があります。
ストレスで静電気が発生しやすいってホント!?
「ストレスがたまると、体のイオンのバランスが崩れて静電気が発生しやすくなる」という話を聞くことがあります。この話の真偽のほどはわかりません。
しかし、ストレスが肌の代謝に悪影響を与え、肌荒れ、肌のバリア機能の低下、乾燥など、さまざまなトラブルを起こす原因となることはよく知られています。
ストレスによって肌が乾燥し、その結果、静電気が発生しやすくなることは十分考えられるでしょう。
静電気対策 ①|静電気を発生させない
静電気対策には、「静電気を発生させない」ことと「発生した静電気を逃がす」ことの両方が重要です。この項では、静電気をなるべく発生させないための対策をご紹介します。
静電気が発生しやすい環境は?
静電気は、おおむね気温25度以下、湿度20度以下で発生しやすくなるといわれています。人間が快適に過ごせる湿度は、40〜60パーセントです。静電気対策のためにも、快適な生活のためにも、適切な湿度管理が重要です。
湿度が低いと、インフルエンザウイルスなどの感染症も発生しやすくなります。
部屋を加湿する
冬は湿度が低下して静電気が発生しやすくなるため、加湿器などで乾燥対策をすると良いでしょう。
暖房器具にも注意が必要です。エアコンは温風で部屋を暖めるため、乾燥しやすくなります。ガスファンヒーターや石油ファンヒーターは、燃料を燃やして暖めます。燃焼時に水(水蒸気)が発生するので部屋が乾燥しにくい暖房器具です。
肌の保湿対策をする
乾燥肌になりやすい人は、保湿クリームなどを利用して肌の保湿対策をしましょう。睡眠も肌の状態に影響を与える重要な要素です。睡眠を十分にとり、ストレスのない生活を心がけてください。
ドアノブに触れるときの静電気が気になる場合は、ハンドクリームを塗ると良いでしょう。ハンドクリームには保湿成分が含まれているため、静電気対策として一定の効果が期待できます。
衣服の素材を工夫する
天然素材の繊維は吸湿性が高いため、静電気が発生しにくく、逆に化学繊維は静電気が発生しやすい傾向があります。衣服の組み合わせにも工夫が必要。帯電列で離れたもの同士を組み合わせると、静電気が発生しやすくなるので注意が必要です。
例えば、ポリエステルのコートは、帯電列で離れた位置にあるウールのセーターと組み合わせると静電気が発生しやすく、木綿のシャツと組み合わせると発生しにくくなります。
柔軟剤を使って洗濯する
柔軟剤に含まれる界面活性剤は、空気中の水分子と結合するため、衣類に電気をたまりにくくする性質を持っています。さらに、衣類が柔らかくて摩擦が起こりにくくするのも、静電気の発生を抑えることにつながります。
静電気対策 ②|静電気を逃がす
物質はすべて電気を持っているため、静電気の発生を完全に防ぐことはできません。したがって、静電気が起きやすい環境では、モノを触る前にたまっている静電気を逃がすことが重要です。
ドアノブを触る前に壁・地面を触る
人間の体はプラスに帯電しやすい傾向にあり、金属製のドアノブは、電気を通しやすいのが特徴です。静電気がたまった手で金属製のドアノブ触れると、触れた部分にドアノブのマイナスの電荷が一気に流れ、放電して「パチッ」と音がしたり、痛みを感じたりします。
ドアノブに触る前に壁や地面などの電気を通しにくい素材に触れると、電気がゆっくりと逃げるので痛みを感じません。
ドアノブとの接触面積を大きくする
静電気が発生するときに、物質同士が接触する面積が小さいと一気に放電が起こります。接触する面積が大きければ流れる電気が分散されるため、放電による衝撃をかなりやわらげることが可能です。
指先で、恐る恐るドアノブを触るのは逆効果。手のひら全体で触るような工夫をしてください。
金属製のアイテム(カギなど)があれば、そのアイテムをしっかり握ってドアノブに接触させます。静電気が発生するのは、カギとドアノブが接触している部分のため、人体への衝撃はありません。
静電気対策グッズ
静電気を予防したり逃がしたりするために、さまざまなタイプの静電気対策グッズが販売されています。
スプレータイプ
静電気による衣服のまとわりつきを防ぐスプレータイプのグッズが販売されています。お出かけ前にスプレーするだけなので、外出時の静電気を手軽に防ぐことが可能です。
除菌効果や花粉の付着を防止する効果などの付加価値のある製品も販売されています。
シートタイプ
ドアノブに触れるときに発生する静電気を防ぐのであれば、シートタイプが便利です。ドアに触る前に、シートに触って静電気を逃がすだけ。ドアノブの近くに貼るだけなので、使い方も簡単です。
キーホルダータイプ
車や自宅ドアの静電気をまとめて予防したいならキーホルダータイプが便利。手で触る前にキーホルダーを当てるだけで電気が逃げます。放電するときにランプが点灯するタイプもありますが、たいていの場合一瞬で放電するため、ランプで確認するまでもないでしょう。
ブレスレット・リングタイプ
素肌に直接装着するだけで、体にたまる静電気を逃がしてくれます。さまざまな種類が発売されているので、気に入ったデザインのものを選ぶと良いでしょう。
まとめ
静電気の発生を抑えるには、適度な水分が必要です。服を脱ぐときの静電気が気になる場合は、衣類の組み合わせを見直してみましょう。
ドアノブの静電気は、触る前に他の部分を触って静電気を逃がすことで防げます。さまざまな静電気対策グッズも販売されているため、必要に応じて利用すると良いでしょう。