2024年8月10日 | 園芸・ガーデニング
きゅうりの種類・品種は?栽培方法や手入れ方法を解説
キュウリは家庭菜園でも人気の野菜です。しかし、キュウリにはさまざまな種類があり、栽培にもちょっとした工夫が必要です。
当記事では、最新のものも含めてさまざまな種類のキュウリを紹介し、栽培方法についてもわかりやすく解説します。キュウリを家庭菜園で栽培したいとお考えの方はぜひ参考にしてください。
一般的なキュウリの特徴
まずはキュウリに関する基礎知識や特徴を紹介します。
キュウリの基礎知識
キュウリは、ウリ科に属するつる性の一年草で、原産地はインド北部・ヒマラヤ山麓周辺です。
キュウリが日本に伝わったのは6世紀ころといわれています。当初は薬として利用されていましたが、江戸末期以降品種改良が重ねられ、人気の野菜になりました。
キュウリに含まれる栄養素
キュウリの実の95~96%は水分です。キュウリに含まれる主な栄養素は、カリウム、ビタミンC、ビタミンK、食物繊維など。水分含有率が高いので低カロリーですが、ミネラル類やビタミン、食物繊維を豊富に含んでいます。これらの栄養素は高血圧やむくみを予防し、便秘の解消にも効果が期待できます。
キュウリにはイボがある
キュウリには表面にイボがある品種とイボがない品種があります。イボのあるものは、さらに白いイボの「白イボ系」と「黒イボ系」に分かれます。店頭でよく見かけるものの多くは白イボ系の品種です。
キュウリのイボは野生時代のトゲの名残と考えられています。動物に食べられないようにトゲ(イボ)で身を守っていたようです。
イボがしっかりしている方が一般的には新鮮だといえます。生で食べるときなどにイボが気になるという理由で、最近ではイボのない品種も数多く開発されています。
キュウリは病気に弱い野菜
キュウリは病気にかかりやすい野菜です。キュウリがかかる代表的な病気に「べと病」と「うどんこ病」があります。
べと病は葉に発生する病気で、病原菌によって引き起こされます。白っぽい黄色の斑点が葉にでき、時間の経過とともに、色が黄褐色に変わるのが特徴です。放置すると株全体の葉に広がり、やがては株の枯れ死につながるので注意しなければなりません。高温多湿の環境で発生しやすい傾向にあります。水に濡れると葉がべとべとになるのでべと病と呼ばれています。
うどんこ病は、葉に白いうどんこ(小麦粉)を振りかけたような白く小さな斑点が現れる病気です。時間が経つと斑点が広がり、キュウリは光合成が出来なくなって枯れ死します。湿度が高く冷涼な気候のときに発生しやすい病気です。
「冬春キュウリ」と「夏秋キュウリ」
キュウリは、収穫時期によって冬春キュウリと夏秋キュウリに分かれます。
冬春きゅうりは12月から6月が収穫期で、夏秋きゅうりは7月から11月までが収穫期です。キュウリは本来夏の野菜ですが、収穫期をずらして栽培が行われているので一年中食べられます。
代表的な種類のキュウリ
キュウリが本格的に栽培されるようになったのは昭和初期からですが、それ以前にも薬用などで使われており、さまざまな品種改良が加えられてきました。
ここでは、現在市場に流通する代表的な品種のキュウリを紹介します。
白イボキュウリ
白イボキュウリは、もっとも多く市場に出回っているキュウリです。白イボ系キュウリにもたくさんの品種がありますが、ここでは多くの白イボキュウリに共通する特徴を紹介します。
濃い緑色の皮で、全体に白い小さなイボがあるので白イボキュウリの名がつきました。
皮が薄く、シャキッとした歯切れの良さが特徴です。果肉はみずみずしくて柔らかいため、生食をはじめさまざまな料理に向いています。
夏すずみ
夏すずみは病気に強い品種です。キュウリの代表的な病気であるべと病・うどんこ病に対して耐性があります。気温の上がる真夏でも安定した栽培が可能なので、秀品率が高い(不良品ができる割合が低い)のも大きな特徴です。
夏すずみを育てやすく改良した品種に「VR夏すずみ」があります。
加賀太(かがふと)キュウリ
加賀太キュウリは名前のとおり石川県の特産品で、ほかのキュウリよりも太いのが特徴です。直径は6~10cmくらいにまで成長します。果肉は柔らかく、独特の風味があります。
調理方法もほかのキュウリとは大きく異なります。皮が分厚いため、最初に皮をむき、種を取り出さなければなりません。
生で食べるよりもあんかけをはじめとする煮物やオイスター炒めなどの炒め物に適しています。長期間の保存も可能です。
大和三尺(やまとさんじゃく)
大和三尺は奈良県で古くから栽培され、品種改良が重ねられてきました。
収穫時の長さは30〜40cmですが、成熟すると90cm以上にもなります。種が少なく、柔らかい皮と歯切れの良い食感が特徴です。
一般のスーパーや青果店に出回ることはほとんどありません。主に奈良漬け用に栽培されています。
Vシャイン
Vシャインはタキイ種苗が開発した品種で、べと病やうどんこ病などの病気に強いのが特徴です。ウイルス病にも強いので、減農薬で育てることも可能です。葉が小さく密集しないので風通しと日当たりがよく、管理や収穫が比較的簡単にできます。
栽培初期からたくさんの実がなり、後半まで高い秀品率が期待できる品種です。
つや太郎
べと病・うどんこ病に耐性があり、暑さにも強いのが特徴です。枝はゆっくりと成長するので管理の手間や収穫作業が軽減できます。実の形が安定するのも大きな魅力です。
四葉(すうよう)キュウリ
白イボ系キュウリの一種で、触ると痛いほどのイボを持っています。さらに表面にしわが寄るのが特徴です。通常のキュウリの1.5倍程度まで成長しますが、25〜30cm程度の時期に収穫するのが最もおいしいとされています。暑さに強く丈夫なため、育てやすい品種です。
フリーダム
フリーダムはイボなしキュウリの代表種です。直径は約3cm、実の長さは一般種よりも少し短めで17~19cm、重さは約100g。味は渋みや青臭さが少なく、すっきりとした甘みがあります。
うどんこ病にも強く、減農薬や無農薬栽培も可能なので家庭菜園でもよく利用されます。
新しい種類のキュウリ
キュウリは現在でも品種改良が活発に行われています。最近育成されたキュウリの中からいくつかを紹介します。
ネクスター1号改良・ネクスター2号改良
「ネクスター1号改良」と「ネクスター2号改良」は、久留米種苗園芸が開発した新品種です。
国内のキュウリでは唯一、褐斑病、うどんこ病、黄化えそ病、退緑黄化病の4つの病気に対して複合的な耐性を持っています。ネクスター2号改良は、ネクスター1号改良よりも低温耐性があるため、冬場の栽培に適しています。
スック
スックは生育が早く、実の形が安定し秀品率に優れています。枝の成長が早く栽培期後半まで樹勢を維持できるのが特徴です。
うどんこ病・褐斑病・べと病に耐性があります。
緑夏(りょっか)
緑夏は、黄化えそ病に対して抵抗力があるキュウリです。黄化えそ病はウイルス性の病気で、一度発病すると治療はできません。感染すると葉などが変色し、実がモザイク状になるなどの症状を引き起こします。
関東以西のキュウリ産地で黄化えそ病により深刻な被害が発生していることから、農研機構と埼玉原種育成会が共同で開発しました。
一般的なキュウリの栽培方法
キュウリは種を植えて栽培する方法と苗を購入して栽培する方法の2通りの方法があります。
家庭菜園では一般的に苗から育てるため、ここでは苗の植え付けからの栽培方法を解説します。
苗の植え付け
苗を購入する際には、節の詰まったしっかりしたものを選ぶとよいでしょう。植える時期は5月上旬から6月中旬ころまで。植える前には苗にたっぷりと水を吸わせます。
苗を植える際には、支柱を立てます。風で苗が動かないように麻縄などでしっかりと支柱に固定してください。
肥料と水やり
キュウリは成長が早いため、たくさんの肥料が必要です。ひとつめの実が成長し始めたころに最初の肥料を与えます。その後は、2週間に1回程度の追肥を行います。
キュウリは乾燥に弱いので、植えた後もこまめな水やりを心がけましょう。土壌の水分量が足りないと、果実が十分大きくならなかったり変形したりする可能性があります。
病害虫対策
キュウリは病害虫に弱い作物です。病気の予防と早期発見・早期対策を心掛けなければなりません。
まずは適度な肥料を含んだ水はけのよい土づくりが病気の予防にはたいへん重要です。病気の兆候は、たいていの場合、葉に現れます。栽培している植物をよく観察し、変色したり変形したりしている葉があれば直ちに除去してください。
また、アブラムシやコナジラミなどの害虫にも注意が必要です。見つけたらすぐに取り除かなければなりません。
フマキラーの「カダンプラスDX」は、病気と害虫の両方に対策できます。さらに予防効果と駆除・治療効果を兼ね備えているので、これ1本でキュウリの病害虫対策が可能です。
(※べと病には効果がありません)
収穫
キュウリは花が咲いて1週間から10日ほどで収穫できます。とても成長が早く、あっという間に大きくなるのでこまめにチェックして早めの収穫を心掛けましょう。大きくなりすぎた実は味が落ちたり、ほかの実の生育に悪影響を与えるので注意しなければなりません。
キュウリのお手入れ方法(摘芯)
キュウリは適切に手入れすることによって病気の発生を予防したり、収穫量を上げたりできます。
ここで、家庭菜園用に販売されている節なりタイプの苗のお手入れ方法を解説します。
まず株元から4〜5節目までの子づる(わき芽)はすべて取り除きます。最初にできた実は除去。こうすることによって、株全体が成長します。5〜6節目以降は子づるを伸ばして実をつけさせてください。
実がついた箇所から2枚の葉を残してその先はカットします。孫づるが出てきたら、子づると同様に2枚の葉だけを残してその先を取り除きます。親づるは支柱の先まで到達するとカット。親づるをカットすることで、子づるや孫づるの生育が促進されます。
古くなった葉は、取り除いて通気性をよくしましょう。
まとめ
キュウリはみずみずしくシャキッとした食感が魅力の野菜です。スーパーなどでも購入できますが、家庭菜園で育てた取れたてのキュウリの味は格別です。
栽培には少しコツが必要ですが、慣れればそれほど育成は難しくありません。ほかの野菜よりも成長が早いため、毎日育っていく姿を観察するのはキュウリ栽培の大きな楽しみです。
水やりと病害虫対策をしっかりと行って、立派なキュウリを育ててください。