2022年12月10日 | 動物
【ネズミよけ対策】ネズミを家に寄せつけない方法を解説
家のまわりでネズミを見かけたとき、退治するのは難しそうだとか、処理に手間がかかって大変ではないかと考える方も少なくないことでしょう。そこで今回は、「ネズミよけ」の対策法をご説明いたします。
ネズミの種類や生態、ネズミのエサや嫌いなにおいなどを解説し、ネズミを家に寄せつけない工夫や、ネズミにとって住みにくい環境づくりについて考えていきましょう。
家まわりに出るネズミ
ネズミはたいへん種類が多い動物で、哺(ほ)乳類のうちで一番大きなグループを形成しています。大別すると、屋外で暮らす野ネズミと、人家に入り込む家ネズミがあります。
日本の家ネズミ3種
家に住みつく種としては、以下3種のネズミが知られています。
- クマネズミ
- ドブネズミ
- ハツカネズミ
人間の近くで生きる家ネズミ
雑食性で穀類などを好むネズミは、米や小麦、野菜、果物など人間の食料をエサにして繁殖してきました。かつて戦後の日本では、都市化が進むにつれてドブネズミが増えました。しかし、デパートやスーパーマーケットのように食料品売り場やフードコート・食堂街を擁するビルが増えるにつれ、豊富なエサと巣を営む安全な場所を求めてクマネズミが徐々に増加。今では、住宅街でもクマネズミが増えてきています。
ネズミ退治が難しい理由
ネズミは繁殖する速度が速いため、一匹を駆除することはできても、全体を退治するのは簡単なことではありません。この項では、ネズミ対策をする前に知っておきたい「ネズミ退治が難しい理由」についてご説明いたします。
ネズミは繁殖が早い
ネズミは成長が早く、多産な動物です。家まわりで主に見かける家ネズミ3種については、以下のように繁殖します。
ドブネズミ
- 繁殖可能になる時期 生後3ヵ月ごろ
- 妊娠期間 21日
- 平均的に産む子の数 6~14匹
クマネズミ
- 繁殖可能になる時期 生後3ヵ月ごろ
- 妊娠期間 21日
- 平均的に産む子の数 2~8匹
ハツカネズミ
- 繁殖可能になる時期 オス:生後1ヵ月ごろ、メス:生後2ヵ月ごろ
- 妊娠期間 20日
- 平均的に産む子の数 4~6匹
ネズミには学習能力がある
繁殖の早さのほかに、ネズミ退治が難しい理由のひとつに、「危険な場所やものを覚える能力をもつこと」が挙げられます。危険な目に遭ったことを覚えていて、以後はその場所を避ける習性があることから、捕獲を考える場合には器具の設置場所を工夫する必要があります。
ネズミは警戒心が強い
体が小さいネズミは、しばしば他の動物に捕食されます。自然な状態では、タカやワシなどの猛禽類、キツネやイタチ、ヘビといった動物に襲われることがあるため、ネズミは周辺の気配を警戒しながら過ごしています。音やにおいなどにも敏感に反応します。
殺鼠剤に対して耐性をもつことがある
都市に生きるネズミの場合、住宅地などで繰り返し駆除がおこなわれることにより、殺鼠剤に対して耐性をもった事例もあります。耐性を持つネズミは、一般的な殺鼠剤が効果を発揮しづらくなる可能性があります。
また、ネズミの種類や住んでいる場所によって食べるエサが異なるため、対象のネズミにどういう毒エサが効果的なのかは環境によって違うことがあります。
捕獲した場合は処分する必要がある
ネズミが苦手な人にとって気が重いのは、ばね式のわなやネズミ捕りかごなどを使って捕まえた場合、器具からネズミをはずして駆除しなければならないことです。「ネズミを見るのもいや」という場合は、心理的な負担を考えて他の方法を検討したほうがよさそうです。
【参考】
「ドブネズミ」日本大百科全書(ニッポニカ)、小学館
「クマネズミ」日本大百科全書(ニッポニカ)、小学館
「ハツカネズミ」日本大百科全書(ニッポニカ)、小学館
駆除より先にできるネズミ対策
それでは、ネズミが家に入り込まないようにすることはできないのでしょうか。できるとしたら、どのようにすればよいのでしょうか。
ネズミはどのような環境を好むのか
ネズミは、次のようなものを求めて人家に侵入してきます。
- 温かい環境(とくに、気温の下がる秋・冬)
- 豊富なエサ
- 繁殖のための安全な巣
ネズミが好む環境を作らない
裏返せば、上記の諸条件をなくすことができれば、ネズミが家に入ったとしてもそこに住みつく機会は減るでしょう。次項では、そのための対策をご紹介いたします。ネズミの習性については、「ネズミが発生する原因とは?ねずみの習性を知って対策しよう」の記事でご説明していますので、対策する際の参考にしてください
ネズミを家に寄りつかせない
ネズミが好む環境を作らないことと同時に、ネズミが外から屋内に侵入する道をふさぐことも大切です。ネズミが家に寄りつかなければ駆除の必要もないわけですから、可能なところにはネズミよけの工夫をしておきましょう。次項で具体的な対策をご説明いたします。
ネズミよけ対策
自然の中で生きる野ネズミに比べて、家ネズミは寒さや乾燥に弱い性質があるといわれています。巣にエサをたくさん蓄えたり脂肪をつけて太った体にしたりすることなく、人間の作った環境を巧みに利用して生活しているわけです。ここでは、ネズミを寄りつかせないために、ネズミにとって快適でない、言い換えればネズミの巣やエサ場にならない環境を作る要点を挙げてみます。
エサになるものを置かない
ネズミは昔、田畑や米俵を置く穀倉・米びつのまわりによく姿を現しました。プラスチック製の密閉容器が普及した現代、米びつよりも袋で保管している食品や生ごみに注意を向けたほうがよいのかもしれません。
ネズミは嗅覚の鋭い動物です。とくに台所には、ネズミが引き寄せられるものがいろいろあります。
- 料理の入った鍋やボウル
- 洗っていない使った皿
- テーブルの上に残ったおかず
- 三角コーナーの野菜くず
- ごみ箱に捨てた果物の皮
- 開封したままのお菓子
- 食品がついたラップやトレイ
- 食品貯蔵庫
開封したまま放置してあるお菓子の袋や、台所の三角コーナーに入れたままの野菜くず、ふたのないごみ箱に捨てた果物の皮も、ネズミには格好のエサとなります。
巣になる材料を放置しない
エサ場のほかに、ネズミにとって人家が魅力的なのは、安全な繁殖のための巣づくりができる点です。家具を配置するときには、人の手の入らない隙間をできるだけ作らないようにし、戸棚や冷蔵庫の後ろなどもよく掃除するようにしましょう。また、ネズミが巣作りに使う材料になりそうな木の板や段ボール、古いマットなどは家のまわりに置いたままにせず、片づけておきましょう。
屋内への道を封じる
ネズミはとても体が小さいので、ちょっとした隙間からでも家の中に入り込みます。
- ドアや窓を開け放したままにしない
- 通風口や配管などには、金属製の網や格子を取り付ける
- 壁を伝って入れるような場所にものを置かない
これらの対策を講じると、ネズミの侵入を防ぎやすくなります。通風口や配管については、「空気や水を通してもネズミや虫は入り込まない状態」にする必要があります。また、ネズミは壁の亀裂や雨戸の戸袋にも入り込みます。外からの通路になる部分がないかどうか、屋外から点検するとよいでしょう。
ネズミが嫌う忌避剤を使う
寄りつきを防ぐ方法として、ネズミの嫌う成分を利用した忌避剤を用いる方法があります。一般的にはトウガラシの辛み成分のカプサイシンを利用して、ネズミの食害を防ぐといったものです。また、ネズミにとって不快なにおいのする天然ハーブや精油を使った製品もあります。
ネズミが家に入り込んでしまったら
もしもネズミが家に入り込んでしまったら、できるだけ早く追い出したいものです。そのようなときにおすすめなのが、フマキラーの「ドラ ネズミバリア 強力忌避剤」です。本製品はネズミが天敵に対して感じる〈恐怖〉(※1)を利用した有効成分で、ネズミを強力に追い出します。ニオイ慣れしにくく、最長2.5ヶ月(※2)定着を防止します。
※1 人に恐怖を与える成分ではありません。
※2 ふたを上げた状態。季節や使用環境により変動します。
まとめ
短期間で急速に繁殖するネズミは、いったん人家に入り込んでしまうと厄介な小動物です。今回はネズミ対策に効果的な忌避剤をご紹介いたしました。ネズミ対策で肝心なのは、「ネズミを家に寄せ付けないようにする」ことです。
家やそのまわりをネズミに好まれない環境に整え、その状態を維持できるよう心がけましょう。
【参考】
田中生夫編『住環境の害虫獣対策』日本環境衛生センター、2000年
谷川力編『写真で見る有害生物防除事典』オーム社、2007年