シロアリが発生する原因とは?シロアリの退治方法と予防対策

シロアリが発生する原因とは?シロアリの退治方法と予防対策

マイホームの購入や建設を考えるとき、災害対策同様、考えなくてはいけないシロアリ対策。日本国内において害虫と呼ばれる虫の中で被害が甚大で、経済的にも大きな打撃を与えると言われています。

シロアリと言うと木造・床下というイメージがわきますがシロアリ被害は木造・床下にとどまりません。被害場所、発生原因、発生ルートはさまざまであり被害の特徴もシロアリの種類によって違うことがあります。

シロアリの生態や種類、発生原因をよく知りシロアリ対策や予防に努めましょう。

シロアリの画像をご覧になりたい方はこちらから ⇒ シロアリ|Wikipedia

シロアリの生態・分布について

シロアリの生態・分布について

床下から建物を食害することで知られるシロアリは、実はアリではなくゴキブリの仲間(昆虫綱ゴキブリ目シロアリ科)です。

社会性を発達させ、コロニーと呼ばれる巣単位で大きく活動することから蜂・クロアリ同様社会性昆虫の代表的存在でもあります。

女王アリ・兵隊アリ・働きアリで1つの巣が構成されており、その一部が羽アリとなって巣立ちます。

現在、国内で被害が大きく確認できるシロアリはヤマトシロアリ、イエシロアリ、外来種であるアメリカカンザイシロアリ(乾材シロアリ)の3種類です。種類によって分布、巣の特徴、特性、羽アリの外見や群飛時期も違います。

また奄美大島以南、小笠原諸島などにはダイコクシロアリというシロアリも存在しています。

シロアリの気配や被害は羽アリの群飛で気付くことも多いため、それぞれ確認しておきましょう。


ヤマトシロアリ

分布 北海道の一部を除く全国
羽アリの体長 4~8ミリメートル
羽アリの特徴 胴体部分は淡い黒で・羽は薄茶色
羽アリ群飛時期 4~5月にかけての日中
巣(コロニー) 活動場所=巣であり、主に床下で活動する。1つの巣につき、数万単位生息。
被害特徴 巣のある床下からの被害多数、湿気で腐った木材を好む。住宅の基礎を加害していき、住宅内の木材家具などに加害エリアを広げることもある。

イエシロアリ

分布 千葉以西・温暖地域
羽アリの体長 7~10ミリメートル
羽アリの特徴 足と背中の一部が黄色・羽は半透明で薄い黄色
羽アリ群飛時期 5~7月の日が落ちてから
巣(コロニー) 50~100万単位で構成する大きな巣を土の中に作り、活動範囲は住宅全般。
被害特徴 水を運ぶ習性があるため、乾いた木材であっても自分たちで湿らし加害する。巣を構成する膨大な数や攻撃性の高い性格のせいか、被害は最も大きいとされる。

アメリカカンザイシロアリ

分布 宮城以西
羽アリの体長 6~8ミリメートル
羽アリの特徴 背と頭の一部が赤・羽は半透明で淡い黒
羽アリ群飛時期 3~11月の日中
巣(コロニー) 加害した木の中に巣を作る。数十匹~数百匹の構成。
被害特徴 活動場所は家屋全般。水分がなくても活動が可能なため、住宅の基礎・柱・家具などあらゆる場所が被害に遭う可能性が高い。

シロアリ被害について

シロアリ被害について

シロアリ被害は火災被害を上回り、全国で数千億円を超えると言われています。人に直接危害をくわえることはほとんどありませんが、建物の基礎や柱などを食害することで建物の資産価値を失わせる経済被害、建物倒壊で住んでいる人を命の危機にさらします。

シロアリによる建物・家財道具への加害

シロアリによって建物の資産価値が大きく失われる可能性があります。

被害に遭うのは建物素材としての木材だけではありません。室内に被害が及んだ事例も数多いです。木製家具・畳・フローリング・紙など、シロアリにとってエサとなるものは室内にも多数存在します。また、雨漏りや水漏れが原因で建物が傷み、そこからシロアリが侵入、発生するパターンも多いようです。

シロアリ被害でリフォーム・建て替え

全国の被害総額が示す通りシロアリ被害に遭い、リフォームや建て替えを迫られることも珍しくありません。

シロアリは柱などの木材を加害しながら、蟻道という通り道を作っていきます。一見無事に見える柱も確認してみれば中身は空洞、皮一枚で建物を支えていたということは珍しくないと言います。建物の資産価値が下がるどころか、倒壊する危険があり、住んでいる人間は危険に晒されます。被害に気付いたときには既に大規模な修繕工事、リフォーム、建て替えが必要だったというケースも存在します。

マンション・RC造でもシロアリ被害

RC(鉄筋コンクリート)造・鉄骨コンクリート造のマンションや建物はシロアリ被害に遭わない、という認識は間違いです。シロアリ被害に遭いにくい、というのが正しく、シロアリの被害に遭わない建築構造ではありません。

残念ながら日本において、シロアリリスクがゼロと呼べる建物や基礎、住宅素材は存在しないのです。

シロアリは経年劣化したコンクリートの隙間や亀裂から住宅内に侵入することもあり、巣立った羽アリが外から侵入することもあります。外来種であるアメリカカンザイシロアリは輸入家具などに付着して住宅内に入り込むことが多いようです。

マンションの建物自体に木材は使用されていなくても、住宅内には木製の家具や畳、フローリングがあります。RC造や鉄骨コンクリート造であってもシロアリには十分な警戒と注意が必要です。

【参考】シロアリ被害実態調査報告書|国土交通省

シロアリの発生原因について

シロアリの発生原因について

シロアリの発生原因はさまざまです。発生原因を知っておくと、予防や対策に役立てることができます。屋内だけではなく、庭やベランダ、ウッドデッキなど屋外でもシロアリ発生のリスクはありますので、自宅周りの発生ポイントをしっかりチェックしておきましょう。

シロアリが好む環境と条件

シロアリに限らず、ゴキブリやハエ、ムカデといった害虫はエサが豊富な場所に集まります。シロアリの好物は水分を含んだ柔らかく、かじりやすい木材です。特に腐朽菌(ふきゅうきん)と言われる菌が繁殖し、腐った木材は大好物。

その他、木材を原料としている紙や、湿気で柔らかくなった畳など、わたしたちの生活圏に存在し住宅や家具の素材、身近で必要としているものばかりです。

屋内のシロアリ発生エリア

玄関

多くの場合、コンクリートやタイルで覆われているためシロアリ被害を食い止められると思いがちですが、実はドアを囲む枠木(わくき)と呼ばれる部分はコンクリートに挟まれているだけで土に面してる構造のものが多く、シロアリの餌食になりやすいと言われています。

ご自宅の玄関周りを確認してみましょう。意外にも玄関は木材を使用している部分が多いです。住宅内のシロアリ被害事例として多数確認もされています。

畳は古くから湿気を吸い部屋の湿度や温度を調整する役割がありますが、水分を吸って柔らかくなったい草は、シロアリにとってエサとなります。

また、畳にシロアリが到達するということは、既に畳下の板、床下の木材は大きく加害されている可能性が高いです。畳がシロアリに加害されているのを確認したら、住宅内の徹底したシロアリ調査が必要でしょう。

家具

木材家具もシロアリ被害に遭いやすいです。畳同様、家具に被害が及んでいればフローリング、床下は大規模な被害が広がっている可能性も高く、建物が危険にさらされているかもしれません。シロアリ被害を見つけ次第、シロアリ調査を行いましょう。

また、外来種であるアメリカカンザイシロアリは輸入家具に付着している場合も多いため、床下だけではなく家具が発生原因になることも十分考えられます。

水場

意外かもしれませんが、風呂場・洗面所もシロアリ被害の事例が多い場所です。風呂場は経年劣化したタイルの隙間や亀裂から侵入しているケースが多く見られます。

風呂場の洗い場はタイルやコンクリートがありますが、下は土壌であることが多くシロアリにとっては意外と侵入が簡単な場所。建物の取り壊しを行うと水場にシロアリ被害が見られたというのは珍しいことではないようです。

屋外のシロアリ発生エリア

ベランダ・庭

ベランダは雨漏りから二次被害でシロアリが発生した事例が多いです。2階やマンションであっても水はけが悪い、素材に木材が使われているところは特に要注意。また、ベランダや庭で木枠のある花壇を使って、そこからシロアリが発生したケースも。

通販などで届いた段ボールなどを溜めこみ、ベランダや庭に放置し、そこにシロアリが集まっていたという声も聞かれます。

ウッドデッキ

近年人気のウッドデッキは、雨ざらしになることが多く、こまめにメンテナンスを行わないとそれ自体がまるごとエサとなり、シロアリを呼び寄せて発生の原因となってしまうことがあります。

設置するメーカーや業者によっては設置時に対害虫用の薬品を塗料してくれるようですが、雨ざらしになるため薬品の効果が持続しないところが厄介です。

シロアリ対策・防除について

シロアリ対策・防除について

発生原因や発生しやすい場所を把握したあとは対策です。シロアリを呼び寄せないため、住宅環境を整え、建物周りの整理整頓をしましょう。シロアリのエサとなるものを作らない、放置しないのが基本です。

シロアリを寄せ付けないためのシロアリ予防方法

住宅の風通しを良くする

湿気は住宅にとってあらゆるトラブルを呼び込むと言いますが、シロアリも同様です。シロアリは湿気自体を好むわけではなく、湿気を吸って柔らかくなった木材・紙・い草を好みます。十分な換気をして、湿気を取り除きましょう。

風呂場も使用したらドアを開けっ放しにせず、浴室換気扇をつける、窓を開けるなど意識して換気に努めてください。

住宅周りを改善する

外に段ボールや剪定を行った枝、DIYで使用した木材などを放置しているご家庭は多いです。捨てるタイミングが難しいのでどうしても置きっぱなしになってしまうこともありますが、できるだけ置いておく時間を短くするように調整・工夫しましょう。

また、伐採して根を抜いていない庭木がある家庭もご注意ください。切り株が腐り、シロアリが発生することもあり得ます。

雨漏り・水漏れ対策にも努める

雨漏りや水漏れが二次被害としてシロアリを呼び込んでしまうことも多いです。天井や床、濡れた家具などが腐りシロアリのエサとなってしまうことは十分考えられます。

水回りはメンテナンスを怠らず、雨漏りは兆候が見つかれば早期修繕や修理を行いましょう。また結露が溜まったサッシや窓周りもこまめに水分を取り除いてください。

【参考】シロアリ防除について | 公益社団法人 日本しろあり対策協会

自分で駆除するためのシロアリ退治方法

自分で駆除するためのシロアリ退治方法

シロアリ被害は自ら被害状況を確認するのが難しいですが、とりあえず発見したシロアリ、羽アリをなんとかしたい、自分で巣を発見してしまった場合などは殺虫剤を使用して駆除しましょう。

家庭用のシロアリ殺虫剤も、ドラッグストアやネット通販、ホームセンターなどで簡単に入手できます。以前はシロアリ殺虫剤の有毒性が問題になっていましたが、近年は業者用も含め環境や人畜への影響の少ないものが主流。安全に使用できることがメーカーからも約束されています。

しかし毒性がゼロとは言えません。小さなお子さんやペット、アレルギー症状のある方への配慮は欠かさず行いましょう。

また、殺虫剤はまいておくとシロアリ予防にもなります。

どうしても殺虫剤を使用したくないという方には『ベイト工法』と呼ばれるシロアリの習性を生かし薬剤を巣全体に行きわたらせて全滅させる方法がありますが、こちらは長期戦であり、専門知識を要するためDIYで行うのはかなり難しいとされています。

被害が大きい場合はシロアリ駆除業者

被害が大きい場合は、羽アリや目に見える住宅内に侵入してきたシロアリの駆除にとどめ、無理をせずシロアリ業者へ依頼しましょう。

新築の場合はシロアリ予防を行った方が賢明です。基本的にシロアリ予防は薬剤散布で行われます。前述のとおり、環境や人畜への配慮から以前主流だったものより殺虫効果は弱くなっているため、効果はおおよそ5年。

5年置おきにメンテナンスとして薬剤散布するのがおすすめです。多くの業者が掲げる保証5年は、薬剤の効果期間でもあります。

まとめ

普段は人の目につかないところで活動しているシロアリは、他の害虫と違って身近に感じられない方も多いですが実は被害が甚大で、私たちの生活に大きく影響します。

大切な財産のため、家族やご自身のためにも予防に努め、しっかりと住宅のメンテナンスを行いましょう。気配が見られたらすぐに対策を行ってください。早期発見・早期対策が被害を広げないための最も大きなポイントです。


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