2022年8月24日 | 園芸・ガーデニング
【初心者向け】芝生の育て方を解説!手入れするときの注意点は?
誰でも一度は憧れる、芝のある庭は、足にも優しく、子どもの遊び場やドッグランにも最適です。
そこで今回は、芝生を育てようと思われた人へ、芝生の育て方をゼロから解説します。芝生の張り方や手入れのポイントを押さえることで、初心者でもきれいな芝を育てられます。
憧れの芝の庭!基礎知識
はじめに、芝の基礎知識について解説します。
芝生とは
芝生とは、芝草が絨毯のように密集して生えている状態のことを指します。芝草はイネ科シバ属の多年草で、定期的に芝刈りをすることで密集した状態を保つことができます。
芝生は日本でも西洋でも古くから庭に敷き詰めるグランドカバーとして利用されてきました。庭だけでなく、公園や運動場でも欠かせない存在です。
芝生の種類
庭に植える芝は大きく日本芝、西洋芝に分かれます。西洋芝はさらに暖地型、寒地型の2種類に分かれます。日本芝の主な種類は野芝、高麗芝、姫高麗芝があり、西洋芝には暖地型のバミューダグラス、ティフトン、寒地型ではベントグラス、ブルーグラスなどがあります。
日本芝は日本の気候に適した芝で、暑さに強く、春から秋にかけて青々とした葉を茂らせます。しかし冬になると地上部の葉は枯れ、休眠します。
西洋芝の暖地型は日本芝と同じように、夏に茂り冬に枯れます。やわらかな葉で見た目は美しいのですが、生育が早く芝刈りの頻度が上がるので注意が必要です。寒地型は寒さに強く、秋から春にかけて青く茂りますが、22度以上が60日以上続くと夏枯れを起こします。
芝生の選び方
はじめて芝生を育てる場合、日本の気候に合った日本芝がおすすめです。日本芝の中でも暑さ、湿度、病気、乾燥にも強い高麗芝がいいでしょう。
西洋芝は上手に育てると一年中緑の庭を楽しめますが、日本の夏の暑さや梅雨時期の長雨に弱く、育てるのが難しい場合があります。夏に気温が30度を超す地域は枯れてしまいます。また、日本芝よりも生育が早く芝刈りの頻度も多いので、上級者向きといえるでしょう。
芝生の育て方ポイント4つ
芝生を育てるポイントを4つ紹介します。芝生の手入れの中でも特にこの4つをしっかり押さえることが、きれいな芝生を作る秘訣です。
芝刈り
芝生を育てる一番重要なポイントは芝刈りです。芝刈りをすることで、しっかりした芝生へと生長を促します。芝は葉を刈られるとランナーをのばし、密度を上げていく性質があるためです。
雑草対策
雑草はこまめに除去しましょう。手で抜き取るのが一番いい方法です。雑草を取りながら芝生の状態を細かくチェックできるので、害虫の早期発見にもつながります。芝刈り機である程度は取り除くこともできますが、雑草の種が散らばってしまうリスクがあります。日本芝の場合、芝生用の除草剤を使用することもできます。用法を守って使用しましょう。
水やり
芝生の水やりは時間をかけてたっぷりと与えましょう。きれいに育った芝生は密度があり、土もしっかり締まっています。水をかけても、表面を流れてしまい根の奥まで行き渡るのに時間がかかります。
肥料
きれいな芝生を保つため、春から夏の生育期間は肥料が必要です。芝生用の肥料を使用しましょう。
芝生の手入れに必要なもの
芝生の手入れには基本的なガーデニング用品に加え、専用の道具が必要です。芝生用でないもので代用はできますが、芝用の道具だと効率が良くなりますので、揃えることをおすすめします。
芝刈り機
芝生のお手入れで最も重要な芝刈りのために、芝刈り機を用意しましょう。リール式、ロータリー式、バリカンの3種類があります。動力も手押し式、電動式、エンジン式とあり、庭の環境に合わせて選ぶとよいでしょう。
平均的な家の庭の大きさなら、手押し式の芝刈り機をおすすめします。夏の間は頻繁に使用することになり、手押し式が手軽に使えてメンテナンスも楽です。
広い庭の場合や、手押し式が重いと感じる場合は力のあまりいらない電動式を、もっと広い庭ならエンジン式の芝刈り機をおすすめします。
レーキ(熊手)
芝を刈った後の刈り草を除去するためや、目土をならすための地ならし用と、芝生の手入れにはレーキが必要です。芝生を傷めにくい形状のものを選びましょう。
ローンスパイク
ローンスパイクは、芝生に穴を開けて空気や水、肥料の通りをよくするエアレーションという作業に使う道具です。足で踏みこみ使用します。芝生を張った直後は土が柔らかいため必要ありませんが、数年たち土が固く締まってきたら必要になる作業です。
【初めてでもできる】芝生の植え方
それでは、芝生を植える方法を説明します。
芝生苗での植え方
芝生を植えるなら、マット状の芝生苗を張るのが一般的です。初期生育も早く育てるのも簡単です。1辺30cmほどの四角形に切ってある苗を植えていきます。
用意するもの
芝生苗を植えるときは、以下のものを準備します。
- 芝生苗
- 芝生用砂
- 芝生用肥料
- トンボ
- スコップ
- レーキ
- 板
- 水平器
- ターフカッターか包丁
- ふるい
整地方法
芝生を張る前に、排水の傾斜を取りながら平らに固める整地作業をします。凹凸が残ってしまうと水たまりができ、その部分だけ芝が枯れてしまうためしっかり水平を取りながら整地していきます。
まず、芝を張る場所に芝用の肥料を散布し、スコップで耕します。水はけが悪いようなら砂を追加します。ふるいを利用し小石なども取り除きましょう。
全体的に水平よりも2cm低く、排水する方向へ緩やかに傾斜をつけながらトンボやレーキで整地していきます。その後は、板やローラーを使って土の表面を固めます。
芝生苗を敷く
芝を張る前にしっかり水やりをします。その後、芝生苗を並べていきます。
3cmほど間隔を空けながら敷き詰める目地張りと、隙間なく敷き詰めていく平張りの2種類の貼り方があります。芝生苗を揃えて並べると目地が十字になり、隙間から砂が流れてしまうので、レンガを積むイメージでずらしながら並べていきます。
小さな部分はターフカッターや包丁を使って芝生苗を切り、隙間なく敷き詰めます。
目土を入れる
敷き詰めた芝生苗の上から、ふるいを使って目土用の砂をかけていきます。芝生の葉先が隠れない程度にしっかり目土をかけましょう。全体に砂が行き渡ったら、レーキやほうきで苗の隙間に砂を埋め込みます。その後、板を使って踏み固め、芝生苗を密着させます。
最後にしっかり水やりをしましょう。
種撒きでの芝生の植え方
西洋芝は生育が早く、種撒きでも簡単に育てることができます。日本芝、特に高麗芝は発芽率が悪く種撒きには向きません。
用意するもの
種から芝生を育てる際は、以下のものを準備します。
- 芝生の種
- 散布機(種や肥料を撒くのに使用)
- 芝生用砂
- 芝生用肥料
- トンボ
- スコップ
- レーキ
- 板
- 水平器
- ふるい
整地方法
整地方法は芝生苗を使用する場合と同様に行います。その後、種を植える穴として、地面にレーキなどで溝を掘っていきましょう。
種を撒く
散布機を使って、まんべんなく種を撒きましょう。同時に芝生用肥料も撒くのがおすすめです。種を撒いた後、レーキを使い、最初に掘った溝と直角になるように優しくひっかいていきましょう。そうすることで、種を土で覆えます。
目土を入れる
種の上に土が5mmほどかかるよう目土をかけていきます。目土は芝生用砂を使い、ふるいなどを使い均一に撒いていきます。
その後、ローラーや板を使って鎮圧します。撒いた種が動かないようにしっかり踏み固めていきます。
水やり
土が乾かないよう、発芽するまでは毎日水やりをしましょう。水が流れて土が動くと発芽が悪くなります。やわらかなシャワーを使って優しく水やりをします。
追い撒き
種から芝生を育てる場合、むらがでる場合があります。その場合は追い撒きをしましょう。ムラになっている部分に種を撒き、その上から目土をふるいでかけます。板を使って踏み固めてから優しく水やりをします。
【初心者向け】芝生の手入れ
ここでは主に高麗芝の手入れ方法について説明していきます。
水やり
芝生を育てるのに水やりは欠かせません。目安としては春と秋は3日に1回、夏は毎日、冬は1週間に1回の頻度で水やりをします。湿気があり過ぎてもうまく育たないので、芝生を植える場所の気温、日当たりなどから水やりの回数を調整してください。
水やりは朝か夕方に、地中の根までしっかり水が行き渡るようたっぷりと与えます。
肥料
芝生を密集させるためには肥料が欠かせません。肥料は市販の芝生用肥料を使いましょう。芝生が成長し始める3月ごろから8月ごろにかけて施肥します。粒状の肥料を使用する場合は芝生の葉の隙間に入り込みやすい小さなものを選びましょう。
雑草対策
美しい芝を保つため、雑草はこまめに除去しましょう。見つけたらすぐに手で抜き取るのが一番いい方法です。
手で取りきれない場合は定期的に芝生用の除草剤を使用しましょう。雑草の発芽を抑えるタイプの土壌処理剤と、生育した雑草を枯らす茎葉処理剤の2種類があります。土壌処理剤の方は生えている雑草には効果がありませんが、効果時間が長く、春と秋の雑草が茂りだす前に使用すると効果があります。
芝刈り
夏の間は週1回以上芝刈りをするようにしましょう。芝刈りは芝の手入れでは最も重要な作業です。葉を切ることで、根が伸びてしっかり密度のある芝生へと生長していきます。
芝生には葉や茎が増える生長点があります。芝生の生長点は地表近くにあり、それを切らないよう芝刈り機は2~5cmの刈り高に設定し刈っていきます。
芝刈り機の刃が届かない壁際などははさみやバリカンで整えましょう。通路など芝生が生えてほしくない部分はエッジ処理をします。エッジカッターや使用しなくなった包丁を使い、はみ出した芝生をカットし取り除きます。
目土
目土入れとは、芝生に5mmほど薄く土をかける作業です。目土入れをすることで、芝の凹凸を修正したり、芝生の生長を促進させたりする作用があります。
目土入れを毎年続けていくと地面の高さが上がるデメリットもあるので、基本的には数年に一度、凹凸の気になる部分や芝を修復した時などに行うといいでしょう。春や秋が適期です。
エアレーション
エアレーションとは、芝生に穴を開け、根に酸素が行き渡るようにする作業です。芝生は一度植えてしまうと耕せないので、時間がたつと土が固まり、通気性が悪くなってしまいます。そのため、ローンスパイクなどの道具を使い、芝生に穴を開けていきます。穴を開けることで、土壌のバクテリアを活発化させる効果も期待できます。年に一度はエアレーションして、きれいな芝生を保ちましょう。
エアレーションは芝が伸びる3月から9月の時期に行います。作業後は見た目も悪くなりますので、新芽が生え揃う前の3~4月ごろがおすすめです。
サッチング
芝刈りの削りかすや冬に枯れた葉、根のことを「サッチ」といいます。それらは土の表面に薄く層になって堆積しています。新しい芝生の生長を促すために年に一度はサッチングし、取り除いていきましょう。レーキやほうきを使って枯れたサッチを集めます。
サッチ分解剤やサッチングマシンを使用する方法もあります。サッチ分解剤は微生物を使ってサッチを分解するので、安全で簡単です。分解されたサッチは土壌改良にもなります。サッチングマシンには専用マシンや芝刈り機のアタッチメントがあり、楽にサッチを回収できます。庭が広い場合は、あると便利です。
サッチングすると芝が少し傷みます。回復を促すため冬や真夏は避け、春か秋に行いましょう。春先に行うと、冬枯れの葉や茎も取り除けるためおすすめです。
芝生の病気
夏の初めや秋には「さび病」が、春には「春はげ病」が出ることがあります。サッチングやエアレーションを定期的に行い、肥料を適切に施肥することで元気な芝生を育て、病気の発生を防ぎましょう。病気が発生している場所は見つけ次第取り除きます。病気が広がり殺菌剤などの農薬を使用する場合は芝生用のものを使い、葉の裏までかかるようしっかり散布しましょう。
害虫対策
芝生が変色したり、枯れていたりする場合は害虫の可能性もあります。芝生の害虫はおもに地中に生息するため発見するのが難しい場合が多いです。
代表的な害虫はシバツトガです。幼虫が地際に生息し、夜に芝の新芽を食べます。食害の痕跡として、幼虫の巣が残っているのが特徴です。
コガネムシは幼虫が土の中で芝の根を食べます。芝が枯れて浮いてきているところを掘ると下にコガネムシの幼虫がいることがあるので、見つけ次第捕殺します。
タマヤナガ(ネキリムシ)やヨトウムシも芝の葉や茎を食べる害虫です。地際に生息しているため発見が難しいですが、被害をうけ枯れた部分を取ると周辺から見つかることがあります。大きくなるにつれ食害する量も増えてくるため、被害も大きくなります。
害虫は取り除くことが困難ですので、芝用の殺虫剤を使用しましょう。既定の量で希釈し、じょうろを使ってまんべんなく散布します。
スジキリヨトウやコガネムシ類幼虫の対策には、フマキラーの「カダンパワーガード粒剤」をおすすめします。薄める必要がなく、土にまくだけ、まぜるだけ(※)で、殺虫と肥料の効果を発揮します。
※対象作物や使用方法は適用表をご確認ください。
憧れの芝生をあなたの庭にも
今回は、芝生の育て方、手入れの方法を紹介してきました。芝生の手入れは4つのポイントを押さえることで、初心者でもきれいな青い芝を育てられます。
<4つのポイントおさらい>
- 芝刈り
- 雑草対策
- 水やり
- 肥料
手間はかかりますが、その分愛着のある庭になるでしょう。ポイントを押さえ、ぜひ芝生の庭を手に入れてください。