鳥取県ってどんなところ?鳥取の文化・食べ物・お祭り・県民の日、県名の由来などを紹介!

鳥取県ってどんなところ?鳥取の文化・食べ物・お祭り・県民の日、県名の由来などを紹介!

47都道府県を順にご紹介するシリーズ、今回は「鳥取県」です。ユネスコ世界ジオパークに認定されている山陰海岸は、美しい海岸線と貴重な動植物の生息で著名な、日本有数の景勝地です。中国山地の山々は山岳仏教の聖地として知られ、現在も人々の来訪が絶えません。今回は、雄大な自然と独特の文化が息づく鳥取県をご案内いたします。

鳥取県の基本情報

鳥取県の基本情報

はじめに、鳥取県の基本情報をご覧ください。

歴史と産業

鳥取県では、縄文・弥生時代の遺跡や古墳、大陸の石器などが多く発見されています。7世紀には「因幡国(いなばのくに)」と「伯耆(ほうきのくに)」が置かれ、奈良時代以降は複数の荘園(しょうえん)が存在しました。

平安時代、中国山地の大山(だいせん)寺や三佛(さんぶつ)寺を霊場とした山岳仏教が盛んになります。14世紀には、伯耆の豪族である名和長年(なわながとし)が島根県の隠岐島(おきのしま)に流刑となった後醍醐(ごだいご)天皇の脱出に協力し、功績をたたえられました。

室町時代の因幡・伯耆は、守護大名の山名氏(やまなうじ)が治めます。応仁の乱の後は、出雲国(いずものくに)の尼子氏(あまごうじ)や安芸国(あきのくに)の毛利氏(もうりうじ)などのほか、羽柴(はしば)秀吉(後の豊臣)が支配した時代もありました。

寛永9年、鳥取城主池田光政(みつまさ)と領地の交換を命ぜられた岡山城主池田光仲(みつなか)が、因幡・伯耆を支配。嘉永3年には池田慶徳(よしのり)が最後の鳥取藩主になります。

明治4年の廃藩置県で因幡・伯耆・隠岐が合併、鳥取県が誕生しました。明治9年に島根県と併合しますが、明治14年に因幡・伯耆のみを鳥取県として分離。やがて県内では綿花に代わって桑の栽培や養蚕、製糸業が盛んになり、明治37年から二十世紀梨の栽培がはじまります。

明治45年には山陰線が全線全通。昭和6年の満州事変を機に、境港は貿易港、弓ヶ浜は空港としての役割を担います。戦後は電機産業や繊維工業が発展し、昭和41年の都市計画によって水力発電や工業団地などの整備にも着手。現在は食品や液晶などの企業間のつながりを強め、独自のブランドを産み出す「コリドール構想」を掲げています。

面積と人口

鳥取県の面積は約3,507㎢で、中国地方ではもっとも小さく、全国では41位の広さです。4市14町1からなり(令和3年7月現在)、地域は「東部」「中部」「西部」の3つに分かれます。

鳥取県の推計人口は550,305人(令和3年6月1日現在)で、全国では47番目です。県内でもっとも人口が多い市は鳥取市(188,740人)、次いで米子(よなご)市(147,667人)、倉吉(くらよし)市(46,943人)です(令和元年10月1日現在)。県内の複数の小島は、いずれも有人ではありません。

【参考】
鳥取県公式「統計課」
鳥取県公式資料「人口・世帯」

県の位置と県庁所在地

鳥取県は東経約133~134°、北緯約35°に位置し、東西の距離は約120km、南北が約20~50kmと細長い形をしています。北部は白い砂と松が続く海岸で、東部には国内最大規模を誇る「鳥取砂丘」が広がります。

県の面積の7割以上は林野が広がり、中国山地から流れる3つの河川に沿って市街が発展しました。県庁所在地は鳥取市で、鳥取砂丘や「鳥取城跡」、「白兎(はくと)神社」などの観光スポットがあります。

県名の由来

かつて湿地帯が多かった鳥取平野には、水辺の鳥などを捕らえる狩猟民族が暮らしていました。国内最古の歴史書「古事記(こじき)」によると、4~7世紀ごろに権力を振るった大和(やまと)朝廷は、捕獲した鳥を税として納めるように命じたとされています。

大和政権下では、鳥取平野の狩猟民族が「鳥取部(ととりべ)」に属しました。鳥取部は因幡国の鳥取郷(ととりごう)に置かれ、後に鳥取城が築かれたことから鳥取県の名前が誕生しました。

鳥取県の文化

鳥取県の文化

鳥取県に伝わる文化のうち、主なものをご紹介いたします。

因幡の白兎(いなばのしろうさぎ)

古事記で紹介されている神話のひとつで、ワニザメをだまして因幡国に渡ろうとした白兎が登場します。うそがばれて皮をはぎ取られた白兎が、大国主命(おおくにぬしのみこと)の兄の意地悪な提言で苦しんでいたところ、大国主命に救われ恩を返したという話です。鳥取市内の白兎神社には、神話にちなんだ白兎神(はくとしん)が祀(まつ)られています。

童謡・唱歌(どうよう・しょうか)

「春の小川」や「ふるさと」などを作曲した岡野貞一(おかのていいち)は鳥取市の出身で、東京音楽学校(現:東京芸術大学)の教授も務め、音楽教育の発展に貢献しました。また、「きんたろう」や「うらしまたろう」などを作曲した田村虎蔵(たむらとらぞう)は岩美郡岩美町の出身で、音楽教育の先駆者として知られます。

因州(いんしゅう)和紙

国の伝統工芸品に指定されている因州和紙。とくに全国で使われる書道や水墨画などの和紙(画仙紙)においては、約半分の生産量を誇ります。植物の「三椏(みつまた)」を中心に、「楮(こうぞ)」や「雁皮(がんぴ)」などを使用し、伝統的な製法で1枚ずつ漉(す)き上げます。平安時代の書物「延喜式(えんぎしき)」には、因幡国の和紙を朝廷に献上した記述があります。

出雲石灯籠(いずもいしどうろう)

境港(さかいみなと)市などで生産される石灯籠は、きめが細かくて加工しやすい「来待石(きまちいし)」を原料にしています。耐熱・耐寒性に優れ苔(こけ)がつきやすく、切り出した当初の青灰色は年月を経ると灰褐色に変わります。石灯籠の起源は奈良・平安時代とされ、江戸時代には盛んに生産されました。

弓浜絣(ゆみはまかすり)・倉吉絣(くらよしかすり)

弓ヶ浜で織られる弓浜絣は、藍(あい)と白のコントラストとざっくりとした風合いが特徴の綿織物で、「弓ヶ浜絣」や「浜絣」とも呼ばれます。倉吉市の倉吉絣は、亀甲や麻の葉などの模様を同様の2色で表現する綿織物で、万国博覧会に出品されたこともあります。どちらも江戸時代からはじまった綿花の栽培がきっかけで作られました。

鳥取県の食文化・食べ物

鳥取県の食文化・食べ物

近年、コーヒーショップが増えたことでも注目を集めた鳥取県の、主な食文化をご紹介いたします。

二十世紀梨

もともとは千葉県松戸市で発見された品種で、「新世紀の王者」たることを願って名づけられました。明治37年から鳥取県で栽培がはじまり、現在の卸売数量は全国1を誇ります。明るい黄緑色の表皮と、酸味・甘みのバランスがよく果汁も多い点が特徴です。ジュースや菓子などの加工品も販売されています。

松葉ガニ・紅ガニ

山陰地方では、成長した雄のズワイガニを「松葉ガニ」と呼びます。ずっしりと重く甲羅に黒いはん点が多いほうがよい味とされ、刺身のほかにゆでたり焼いたりして食べます。水揚げ量が全国1位のベニズワイガニは「紅(べに)ガニ」とも呼び、さまざまな料理に使用されるほか、殻は「キチン」や「キトサン」の原料に用いられます。

砂丘らっきょう

らっきょうの出荷量は全国1位を誇り、とくに福部(ふくべ)村は全国でも屈指の産地です。生育旺盛ならっきょうは砂地でも育ち、夏に植えると秋に開花し、冬を越して初夏に収穫できます。甘酢漬けのほか、塩や赤ワイン、しそなどに漬け込むタイプもあります。江戸時代、参勤交代の際に東京の小石川植物園から持ち帰ったとされています。

とうふちくわ

中部・東部の名産品で、木綿豆腐と白身魚のすり身をおよそ7:3の割合で混ぜて成型し、蒸し上げたものです。そのままか焼いて食べるのが一般的で、普段の食事だけでなく冠婚葬祭などの席でも供されます。まだ魚が貴重品だったころ、池田光仲が代用品に豆腐を推奨したことから作られました。

呉汁(ごじる)

根菜や豆腐などが入ったみそ汁の上に、ゆでた大豆をすりつぶした「呉」をのせる郷土料理です。かつてはすり鉢で呉を作りましたが、現代ではミキサーを使用する場合もあります。呉の起源については不明で、漢字は当て字とされています。野菜類と呉を和える「呉和え(ごあえ)」は、西部の日南(にちなん)町に伝わる郷土料理です。

鳥取県の伝統行事・祭り

鳥取県の伝統行事・祭り

鳥取県に伝わる主な伝統行事や祭りは、次のとおりです。

麒麟獅子舞(きりんじしまい)

因幡と兵庫県但馬(たじま)地方の伝統行事で、「国の記録作成等を講ずべき無形の民俗文化財」に指定されています。平和な世の象徴とされる「麒麟」の頭がついた赤い衣装に、大人2人が入って獅子舞を踊ります。池田光仲が鳥取東照宮を建立した際、祭礼に麒麟獅子舞を取り入れたことが起源とされます。

もちがせの雛(ひな)送り

紙で作った男女の雛人形と桃の小枝などをわら製の俵のふたに乗せ、千代川(せんだいがわ)に流す行事です。県の無形民俗文化財に指定されており、旧暦の3月3日(現在の4月)に、1年間の無病息災(むびょうそくさい)を願っておこなわれます。人形に災いを移して海や川に流す風習は、平安時代が起源とされています。

因幡の傘踊り

100個の鈴などで装飾した傘を回転させて踊る夏の伝統芸能で、県の無形民俗文化財に指定されています。大阪万博を機に結成された保存会が、現在も世界中で踊りを披露しています。江戸時代の大干ばつの際、農夫が傘を振り回して雨ごいをしたことが起源とされ、賭博(とばく)に代わる娯楽として明治時代に完成しました。

鳥取しゃんしゃん祭

「しゃんしゃん」とは鈴の音色と温泉が沸く様子のことで、短冊や鈴などで飾った竹製の傘を鳴らしながら踊ります。平成26年の50周年には、「世界最大の傘踊り」としてギネス世界記録に認定されました。昭和36年にはじまった「鳥取祭」を盛り上げるため、因幡の傘踊りをベースに市民が参加できる踊りを考案したことがきっかけです。

みなと祭

7月に開催される境港の祭りで、大漁と海上の安全を祈願する「大漁祈願祭」からスタートします。神輿(みこし)や太鼓を載せた約60隻(せき)の船が境水道(さかいすいどう)を運行する「海上パレード」や、市民によるパレード、各種のイベント、花火大会などで盛り上がります。戦後の昭和21年、地域の復興を祈願してはじまりました。

鳥取県の建築物・遺産

鳥取県の建築物・遺産

鳥取県の主な建築物や遺産は次のとおりです。

鳥取県の日本遺産

「日本遺産(Japan Heritage)」とは、国内の文化や伝統をまとめた100のストーリーを文化庁が認定する制度で、鳥取県では3つの遺産が認定されています。

三徳山(みとくさん)・三朝(みささ)温泉

「六根清浄と六感治癒の地~日本一危ない国宝鑑賞と世界屈指のラドン泉~」として、国内初となる認定を受けました。三徳山三佛寺は標高899.9mに建てられた寺で、急斜面にそびえる「投入堂(なげいれどう)」などの国宝が有名です。また、三朝温泉は850年以上の歴史を誇る世界でも屈指のラドン温泉で、新陳代謝を活発にして自然治癒力や免疫力を高める効果が期待できます。

三徳山三佛寺
住所:鳥取県東伯郡三朝町三徳1010
公式サイト:https://mitokusan.jp/

三朝温泉
住所:鳥取県東伯郡三朝町三朝
公式サイト:https://misasaonsen.jp/

大山

「地蔵信仰が育んだ日本最大の大山牛馬市(ぎゅうばいち)」のストーリーで、大山町と伯耆町、江府(こうふ)町、米子市が認定されました。大山は日本最古の神が宿る山で、大山寺に祀(まつ)られた地蔵菩薩(ぼさつ)は万物を苦しみから救うとして、今も多くの信仰を集めます。平安時代の末期から牛や馬の健康を願う人々が集い、江戸時代には「大山牛馬市」が開かれました。往来が盛んだった大山道沿いには、当時の面影や風習が色濃く残ります。

住所:鳥取県西伯郡大山町大山9
公式サイト:http://daisenji.jp/

鳥取砂丘

『日本海の風が生んだ絶景と秘境-幸せを呼ぶ霊獣・麒麟が舞う大地「因幡・但馬」』として、鳥取市と6つの町が認定されています。日本海からの季節風による国内最大級の砂丘で、一部は山陰海岸国立公園の特別保護地区および国の天然記念物に指定されています。

砂丘の風紋(ふうもん)や数々の奇岩(きがん)、砂を産み出す中国山地の杉林と豪邸、源流にほど近い岩窟(がんくつ)の古堂(こどう)といった一連の風景のなか、先述した麒麟獅子舞が人々の幸せを呼ぶというストーリーが登録されました。

住所:鳥取市福部町湯山2164-971
公式サイト:https://www.sakyu-vc.com/jp/

鳥取城跡

16世紀半ば、因幡山名氏または但馬山名氏によって築かれた鳥取城は、国指定史跡に選定されています。豊臣秀吉の「兵糧攻め(ひょうろうぜめ)」の舞台でも知られ、立地や眺望のよさから「日本(ひのもと)にかくれなき名山」と評されました。大正時代に「久松(きゅうしょう)公園」として整備され、現在も復元が進められています。

住所:鳥取市東町2丁目
公式サイト:https://www.city.tottori.lg.jp/www/contents/1432278469689/index.html

白兎神社

ご紹介した神話「因幡の白兎」の白兎神をまつる神社で、大国主命と白兎の像が建てられています。また、白兎が大国主命への恩返しに八上姫(やがみひめ)との縁を取り持ったことから、恋人の聖地としても人気を集めています。神社の創建は定かではなく、天正9年の焼失後に何度も再興され、明治時代に入って現在の社殿が建立されました。

住所:鳥取市白兎603
公式サイト:https://hakutojinja.jp/

倉吉白壁土蔵群

玉川沿いに軒を連ねる白壁土蔵群は、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。土蔵は赤い「石州瓦(せきしゅうがわら)」と白い漆喰(しっくい)の壁、黒い「焼き杉」の腰板が特徴で、多くは江戸から明治時代にかけて建てられました。現在は、主にショップやカフェ、工房などに利用されています。

住所:倉吉市新町1丁目、東仲町など
公式サイト:https://www.kurayoshi-kankou.jp/

鳥取県の県民の日

鳥取県の県民の日

現在の鳥取県が誕生した明治14年の9月12日にちなみ、平成10年にこの日を「とっとり県民の日」と制定しました。条例では、県民がふるさとへの理解と関心を深め、愛する心を育み、力を合わせて自信と誇りの持てる鳥取県を築くことを目的としています。

県民の日は各種のイベントや施設の割引、無料開放などをおこない、学校給食には県民の日のメニューが用意されます。

まとめ

まとめ

今回は、鳥取県の概要や歴史、数々の文化や遺産などについてご紹介いたしました。日本海と中国山地が産み出す大自然を背景に、歴史や文化を守りつつ進化する鳥取県。山陰地方の独特な美しさと住みやすさを備えもつ鳥取県は、移住先としても人気があります。この機会に、鳥取県の魅力を再発見する旅に出かけませんか。

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