2021年1月13日 | お役立ち情報
おにぎりとおむすびの違い。呼び方の歴史、呼び分けなどを解説!
子どものころからよく食べていた「おにぎり」。「おむすび」という呼び方もあり、どちらの言い方が正しいのか気になったことのある方もいるのではないでしょうか。実際、コンビニやスーパーでチェックしてみると、「手巻きおにぎり」や「塩むすび」など商品名もそれぞれです。こうした呼び方の違いは、どうして起こったのでしょうか。
今回は、ふたつの呼び方が生まれた理由を、おにぎりの歴史にも触れながらご紹介いたします。
おにぎりとおむすびの違い
「おにぎり」と呼ぶ人や、「おむすび」と呼ぶ人、ときにはその両方を使い分ける場合も。さらには、ご飯を握って作る「握り飯」という呼び方もあります。いずれも一般的に使われる言葉なのに、なぜ異なる呼び方をするのでしょうか。ここでは、その理由として考えられる説についてご紹介いたします。
語源の違い
おむすびの語源のひとつには、日本の歴史書「古事記」に登場する農業の神様「神産巣日神(かみむすびのかみ)」に由来するという説があります。神産巣日神が稲に宿ると信じられていたことから、「おむすび」という名前がついたといわれます。ちなみに、産巣日(むすび)の産巣(むす)には生み出すという意味があり、息子や娘という言葉もこの産巣(むす)が語源になっています。
一方、古事記などに「握飯(にぎりいい)」という言葉が記されていることから、おにぎりの語源はご飯を握る動作からきているという説があります。また、「鬼を切る」という言葉に響きが似ていることから魔除けの効果があると考えられていたようで、鬼退治に握り飯を投げつけるといった民話もあります。
形状の違い
神様に由来すると考えられていた「おむすび」は、お供え物として用いられました。三角の形状は、神が宿るとされる山のカタチを真似しており、それを口にすることで健康を保とうとしたといわれます。実際に、鋭い三角形をした日本最古のおむすびの化石が、石川県で見つかっています。こうしたことから、三角形に握られているものを「おむすび」の定義とする説がある一方で、「おにぎり」には特に定められたカタチはないようです。
また、形状は地域によっても異なり、関東では三角形、関西では俵型がポピュラーだともいわれます。関西で俵型が多いのは、味付け海苔を巻くことが多く、海苔が巻きやすいという理由によるようです。
地域による呼び名の違いはあるのか
東日本では「おむすび」、西日本では「おにぎり」と呼ぶことが多いという説があります。しかし、コンビニなどの商品にも両方の呼び名があり、どちらも一般的呼称として浸透しているいま、地域による明確な呼び名の違いを示すことは難しそうです。ただし、九州や沖縄では「にぎりめし」や「にぎり」と呼ぶことが多いようです。
ちなみに「おにぎり」と「おむすび」それぞれの呼び名を検索してみると、「おにぎり」のほうが圧倒的に多いことがわかります。
コンビニの商品にみられる違い
「おにぎり」と「おむすび」。これまで特に意識しなかったのに違いが気になりだした方や、改めて考えると自分でも普段どちらの呼び方をしているかわからなくなった方もいるのではないでしょうか。普段何気なく買っているコンビニのおにぎりも、お店によって呼び方が異なります。
ローソンやミニストップでは「おにぎり」、ファミリーマートやデイリーヤマザキでは「おむすび」と呼ぶようです。またセブンイレブンでは、最初から海苔が巻かれているものや海苔を使っていないものは「おむすび」、食べる直前に海苔を巻くものは「おにぎり」と使い分けているようです。
おにぎりの豆知識
遠足や運動会のお弁当、忙しいときの食事や夜食など、子どもから大人まで広く日本人のソウルフードとして親しまれているおにぎり。ここでは、おにぎりにまつわる豆知識をご紹介いたします。
おにぎりの歴史
私たちが子どものころから食べてきたおにぎりは、いったいいつ生まれ、どのように日本の食文化に定着していったのでしょうか。ここではおにぎりの歴史についてひもといていきます。
そもそも日本にイネが伝わったのは、縄文時代中期(紀元前6000年ころ)といわれます。そこから時代が下って稲作がはじまり、日本最古のおにぎりが作られたのは弥生時代の中期から後期(紀元1世紀)。この歴史を裏付けるのが、先述したおにぎりの化石です。1987年、石川県の鹿西(ろくせい)町(現在の中能登町)にある2000年ほど前の遺跡から、蒸したご飯が真っ黒な炭となって固まったものが見つかりました。表面に握った人の指のあとがついていたことから、日本最古のおにぎりと考えられるようになりました。これは、神様へのお供え物として用いられたものといわれます。
現在のおにぎりのもとになったものは、平安時代(794~1185年ころ)に登場する「屯食(とんじき)」と考えられています。蒸したもち米を握り固めて大きな楕円形にし、宴の際貴族が従者にふるまったといわれます。鎌倉時代初期(1221年)に起こった承久の乱の際には、東国(鎌倉幕府側)の武士に梅干し入りのおにぎりが配られ、鎌倉時代末期(1300年ころ)になると、うるち米を使用した今のおにぎりに近いものが作られるようになりました。江戸時代に入るとおにぎりをお弁当にする人が増え、アサクサノリの養殖がはじまった元禄時代(1688~1704年)には、海苔巻きおにぎりが発明されます。こうしておにぎりは、日本の食文化に定着していきました。
今では当たり前となった、ご飯と海苔がくっつかないようにフィルムで分けられたおにぎりが登場したのは昭和53年(1978年)。セブンイレブンが発明し、今では各コンビニで人気の商品となっています。
おにぎりの日・おむすびの日
「おにぎり」と「おむすび」には、それぞれ記念日があるのをご存知でしょうか。「おにぎりの日」は6月18日。日本最古のおにぎりの化石が見つかった地を、「おにぎりの里」として地域起こしする一環として制定されました。石川県鹿西(ろくせい)町の「ろく」をとって6月、さらに毎月18日の「米食の日」にちなみ、6月18日がおにぎりの日となりました。
一方、「おむすびの日」は1月17日。1995年のこの日は、阪神淡路大震災が起きた日です。寒い時期に避難生活をおくる人たちを支えたのが、ボランティアの人たちの励ましであり、1人ひとりに配られた炊き出しのおむすびでした。これを機に、お米やご飯の大切さを見直そうと設立されたのが、「ごはんを食べよう国民運動推進委員会」です。この委員会によって、震災を忘れないようにと「おむすびの日」が制定されました。
おにぎりの具、何が人気?
お店のおにぎりコーナーには、定番の味やユニークな新作などいろいろな商品が並んでおり、どれにしようかと悩んでしまう方も多いことでしょう。実際のところ、おにぎりの具は何が人気なのでしょうか。
おにぎりといえば、海苔。その老舗のひとつである株式会社山本山が、2019年にネットユーザーを対象におこなったアンケート調査の結果をみると、次のようになっています。
総合ランキングのトップ10
- 1位:鮭(21.6%)
- 2位:明太子(13.3%)
- 3位:梅干し(12.7%)
- 4位:昆布・昆布佃煮(8.9%)
- 5位:たらこ・焼きたらこ(8.6%)
- 6位:ツナマヨ(7.4%)
- 7位:すじこ(5.4%)
- 8位:おかか(3.5%)
- 9位:塩のみ(3.4%)
- 10位:梅おかか(3.3%)
やはり上位陣には定番中の定番が、そして全体的にもおなじみの具がランクインしています。ちなみに男女別ランキングのトップ5は下記の結果になりました。
女性人気ベスト5
- 1位:鮭
- 2位:明太子
- 3位:梅干し
- 4位:ツナマヨ
- 5位:すじこ
男性人気ベスト5
- 1位:鮭
- 2位:明太子
- 3位:昆布・昆布佃煮
- 4位:梅干し
- 5位:おかか
こうしてみると、鮭の人気が高いことがわかります。20代から70代までの年代別ランキングをみると、20代以下では2位(1位はツナマヨ)だったものの、他すべての年代で鮭が1位を独占しています。
また、地区別ランキングでも、北海道、関東、信越、中部、関西、中国、四国で鮭が1位。惜しくも1位を逃した東北(1位:すじこ)、北陸(同:昆布)、九州(同:明太子)、沖縄(同:ポーク卵)のいずれの地域でも、鮭が2位という結果になりました。
具材がユニークなご当地おにぎり
食べ物にはそれぞれ各地の特色を活かしたものがありますが、おにぎりにも個性豊かなご当地おにぎりがあるのをご存知ですか。日本各地にあるローカルなコンビニには、全国展開する店舗とはひと味違った、その地域ならではのおにぎりがあるようです。
富山県のローカルコンビニ「立山サンダーバード」にあるのは、熊の肉を使った「くま」というおにぎり。地元の猟師から仕入れた熊肉をじっくりと煮込んで仕上げ、富山県産のコシヒカリで握った濃厚な味わいのおにぎりです。このほか、青森県産のホタテを使用した大きな丸型のおにぎり、沖縄のソウルフード「ポークたまごおにぎり」など、各地にはユニークな具材のおにぎりがあるようです。
おにぎりは菌の繁殖に注意しましょう
おにぎりをお弁当にする方も多いと思いますが、時間が経つと傷みが出るおそれもあります。特に夏場は食べ物の傷みが早いため、注意したいところです。フマキラーの「食品用アルコール除菌フードキーパー」は、おにぎりなど食品に直接スプレーするだけで傷みを抑え、生鮮食品の鮮度を保ちます。アルコールとGSE(グレープフルーツ種子エキス)、有機酸の力で細菌やウイルスを99.99%除去。食品成分100%なので、お口に入っても安心です。
「おにぎり」も「おむすび」も、昔から愛される日本人のソウルフード。
「おにぎり」と「おむすび」、言葉の成り立ちには違いがありますが、現在では呼び方が異なるだけで明確な区分けはないようです。
今回は、おにぎりの歴史についてもご紹介いたしましたが、おにぎりが誕生した背景に壮大なロマンを感じた方もいるのではないでしょうか。もしも昔の人が現代の進化したおにぎりを目の当たりにしたなら、フィルムの開け方やバラエティに富んだ具材に、さぞ驚いたことでしょう。
「おにぎり」も「おむすび」も、昔から愛される日本人のソウルフードです。これからもいろいろな味を楽しみたいものですね。