ナチュラルクリーニングの基本と掃除方法

ナチュラルクリーニングの基本と掃除方法

天然成分を使って掃除する「ナチュラルクリーニング」。環境や人に優しいイメージもあり、ナチュラルクリーニングを実践したいという方は多いのではないでしょうか?しかし、ナチュラルクリーニングには種類があり、汚れに合わせて使い分けなければ効果を発揮できません。

そこで本記事では、ナチュラルクリーニングの種類と特徴、汚れや悩み別の掃除方法についてご紹介します。

ナチュラルクリーニングとは

ナチュラルクリーニングとは、化学薬品を含んだ洗剤でなく、自然界にある物質や食品由来の素材を使った掃除のことです。自然由来の成分であっても、汚れの性質に合ったアイテムを使うことで、十分な洗浄力を発揮します。

ナチュラルクリーニングの基本

家の中の汚れには、酸性のものとアルカリ性のものがあります。ナチュラルクリーニングは、基本的に汚れを中和させて落としますので、汚れと反対の性質のアイテムを使うのが基本です。つまり酸性の汚れにはアルカリ性のアイテム、アルカリ性の汚れには酸性のアイテムを使って中和させます。ナチュラルクリーニングを実践するにあたり、そろえておいた方がよいものをご紹介します。

重曹

ナチュラルクリーニングを代表する必須アイテムが「重曹」です。正式名称は「炭酸水素ナトリウム」ですが、ベーキングソーダとも呼ばれ、料理ではお菓子作りのふくらし粉として使われたり、野菜のあく抜きに使われたりします。

重曹はアルカリ性の性質を持つため、酸性汚れの掃除が得意です。たとえばキッチンの油汚れ、リビングの手垢、お風呂の皮脂汚れなど、酸性の汚れを中和して落とします。

重曹は水に混ぜて重曹水としても使えますが、水に溶けにくいので粉のまま使うことが多いです。また、研磨効果がありますので、クレンザーとしても使えます。

クエン酸

クエン酸

クエン酸は、柑橘類や酢などに含まれる酸味成分で、弱酸性の性質があります。そのためアルカリ性の汚れを中和して落とすのが得意です。家の中でアルカリ性の汚れといえば、水回りに発生する白い水垢や尿の汚れなどがあります。クエン酸の代わりに酢を使ってアルカリ性の汚れを落とすこともできますが、酢を使った場合は特有のツンとしたニオイが残ります。クエン酸はニオイが強くないので、掃除後もニオイが気になりません。

水回りで使うことが多いクエン酸ですが、塩素系漂白剤と一緒に使うと危険です。酸性のクエン酸とアルカリ性の塩素系漂白剤を併用すると、有毒な塩素ガスを発生します。塩素系漂白剤には、衣類やキッチン用の漂白剤、カビ取り剤などがありますので注意してください。

セスキ炭酸ソーダ

セスキ炭酸ソーダは「セスキ炭酸ナトリウム」のことで、トロナ鉱石より産出されます。重曹と同じアルカリ性の性質を持ちますが、重曹よりアルカリ性が強いので、重曹では落としきれないベタベタした油汚れや皮脂汚れを落とす効果があります。

また重曹とは異なり、水に溶けやすいのが特徴です。そのためスプレー液を作りやすく、洗濯にも使えます。

過炭酸ナトリウム

過炭酸ナトリウムは自然由来の漂白剤で、水に溶かすと酸素の泡が発生し、漂白・除菌・消臭効果があります。塩素系漂白剤とは違い、ツンとしたニオイはありません。使った後は炭酸ナトリウム・酸素・水に分解しますが、炭酸ナトリウムは食品添加物としても使われますのでキッチンでも安心して使えます。

【汚れ・悩み別】ナチュラルクリーニングの方法

ナチュラルクリーニングのコツは、汚れの性質に合うアイテムを選ぶことです。汚れや悩み別の掃除方法をご紹介します。

蛇口・シンクの水垢

蛇口・シンクの水垢

蛇口やシンクの水垢汚れはアルカリ性の汚れなので、酸性のクエン酸で中和すれば落とせます。蛇口に白い水垢がついたものは、水道水に含まれるカルシウムなどのミネラルが結晶化したものです。スポンジで擦ってもなかなか落ちませんが、クエン酸を水に溶かしてスプレーし、少し放置してから擦ると落とせます。それでもなかなか落ちにくい場合は、クエン酸パックをしてみましょう。クエン酸水に浸したキッチンペーパーでパックし、30分程度置いておくと汚れが落ちやすくなります。

ガスレンジの油汚れ

ガスレンジのベタベタした油汚れは酸性の汚れなので、重曹で掃除をしましょう。鍋に1Lあたり大さじ1杯の重曹を入れて沸騰させ、外した五徳を入れて5分ほど加熱します。火を止めたらお湯が冷めるまで放置しておきましょう。スポンジで擦って油汚れを落としたら、水でよくすすいで乾かします。

天板には粉状の重曹を振りかけます。重曹は油を吸収しますので、15分ほど放置したら、濡らして固く絞った雑巾で汚れを擦り取るように拭きましょう。重曹がきれいに拭き取れないときは、クエン酸スプレーやレモン汁など酸性のアイテムで中和させると拭き取りやすいです。

鍋やフライパンの焦げつき

鍋やフライパンの焦げつき

頑固な焦げつきは、擦ってもなかなか落ちません。焦げは酸性なので、重曹の力できれいに落としましょう。

焦げついた鍋やフライパンに水を張り、大さじ1~2杯の重曹を入れ、弱火で加熱します。沸騰したらそのまま10分ほど加熱して火を消し放置します。粗熱が取れたらゴム手袋をして、スポンジで焦げを擦り落としましょう。最後に重曹が残らないよう、きれいにすすいでください。

ただし、鍋の素材によっては重曹が不向きなものもあります。アルミはアルカリ性に弱いため、重曹を使ったお手入れは向いていません。変色や腐食の恐れがありますので、アルミ素材には使わないようにしましょう。

洗濯槽のカビや雑菌、汚れ

衣類を清潔に洗うための洗濯機ですが、洗濯槽は放っておくとカビが繁殖してしまいます。清潔に洗濯するためにも、定期的に洗濯槽の掃除をしておきたいものです。

ナチュラルクリーニングで洗濯槽の掃除をするときは、酸素系漂白剤の過炭酸ナトリウムを使いましょう。洗濯槽には皮脂汚れや垢汚れなど酸性の汚れがつきやすいので重曹を使いたくなるかもしれませんが、重曹は雑菌やカビまで落とす効果はありません。また、水に溶けにくいという性質を持っていますので、溶け残ったものが洗濯槽の穴に詰まってしまう可能性もあります。

過炭酸ナトリウムならカビや雑菌と、洗濯槽に残った汚れをまとめてきれいにできます。わざわざ洗濯槽専用の洗剤を買わなくても、過炭酸ナトリウムがあれば洗濯槽をいつでも清潔に掃除できるでしょう。

洗濯槽の掃除の手順ですが、まずは洗濯機に水をためます。できれば汚れが落としやすいように40~50度のお湯を使うと効果が上がります。水10Lに対し50~100gの過炭酸ナトリウムを入れ、撹拌してから2~3時間放置しましょう。汚れが浮いてきますので、ネットですくってから、洗濯機を1回運転させてください。もし洗濯槽を掃除するのがはじめてなら、汚れもたまっているでしょうから、放置時間を長めにした方がよいでしょう。

排水溝のぬめり

キッチンや浴室の排水溝は、すぐにぬめりが発生してニオイも気になります。ドロドロした汚れの排水溝を掃除するのが苦痛という方もいるでしょうが、重曹とクエン酸を使って掃除をすれば簡単にきれいになります。

なぜ重曹とクエン酸の両方を使うかというと、この2つを混ぜることで泡が発生し、汚れを浮かせて剥がす効果があるからです。

まずフタやゴミ受けにたまったゴミや髪の毛を取り除いておきましょう。それから1/2カップの重曹を振りかけます。その上から大さじ2杯程度のクエン酸をふりかけ、お湯を注ぎます。お湯を注ぐと重曹とクエン酸が反応して発泡しますので、少し放置してから洗い流しましょう。ゴミ受けなど細かい部分は歯ブラシで掃除するときれいになります。

トイレの尿石

トイレの尿石による黄ばみには、重曹とクエン酸で掃除をしましょう。クエン酸だけでもいいように思えるでしょうが、尿石にはアルカリ性以外も含まれていますので、重曹とクエン酸の合わせ技が効きます。

便器の水がたまっている部分に尿石がついている場合は、まず水を減らしておきましょう。尿石が気になる部分にクエン酸スプレーを吹き付け、その上から重曹を粉末のまま振りかけます。泡が発生しますので、30分ほど放置してからトイレ用ブラシで擦り落としてください。

尿石をためないためには、小まめな掃除がおすすめです。尿石は他の汚れに比べて落としにくいので、できるだけ汚れをためないようにしておきましょう。

カーペットの黒ずみ

カーペットの黒ずみ

カーペットは裸足で歩くと足裏の皮脂がつきますので、だんだん黒ずみが目立ってきます。汚れが気になっても気軽に洗えるものではないのでお困りの方も多いでしょうが、重曹でカーペットの掃除ができるので試してみてください。皮脂は酸性汚れなので、弱アルカリ性の重曹が中和して落とします。

まずは重曹スプレーを作りましょう。スプレーボトルの中に40度くらいのぬるま湯1カップを注ぎ、その中に小さじ1/2の重曹を入れて溶かします。カーペットに吹きかけたら、固く絞った雑巾で拭いてください。

小さなお子さんがいる家庭なら、カーペットをハイハイすることもあるでしょうから、自然由来の重曹を使った掃除なら安心感があります。カーペットを清潔に保つためにも、定期的に重曹を使って掃除をしてはいかがでしょうか。

まとめ

ご紹介したナチュラルクリーニングの4アイテムがあれば、家中のさまざまな汚れの掃除に対応できます。「お風呂用」「トイレ用」といったように、場所別に洗剤を買いそろえる必要はありません。汚れの性質に合わせて酸性汚れには重曹、ひどい酸性汚れにはセスキ炭酸ソーダ、アルカリ性汚れにはクエン酸、漂白や除菌には過炭酸ナトリウムというように使い分けてください。

ナチュラルクリーニングのアイテムは、ほとんど100円ショップで手に入ります。クエン酸水などに使うスプレーボトルも気軽にそろえられるでしょう。安全で環境にも優しいナチュラルクリーニングをぜひ実践してみてはいかがでしょうか。

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