形にも意味がある?スポーツのボールの形や由来を紹介

形にも意味がある?スポーツのボールの形や由来を紹介

日本中が沸きに沸いたラグビーワールドカップ。屈強なラガーマンたちがぶつかりあう迫力、流れるような華麗なパスワーク、敵陣をめざし疾走する姿に熱狂するなか、あっちヘこっちへ転がるボールを見て、「なぜラグビーのボールってあんな形をしているの?」と思った方もいるのではないでしょうか。

ラグビーに限らず、それぞれのスポーツで使用する「モノ=道具」として、普段当たり前のように見ているボールですが、今日のスポーツの盛り上がりは、こうした道具などの進化とともにあったと言えます。そこで今回、スポーツで使用するボールの形や由来について解説。そこに隠された意味などを紹介していきます。

ボールにはそれぞれ由来がある

ボールにはそれぞれ由来がある

スポーツにおける道具の進化(変化)は、選手のパフォーマンスを高めたり、それによってプレースタイルが大きく変わったりと、選手たちにとって大きなターニングポイントにもなります。

サッカーボールを例にとると、それまで五角形(黒)と六角形(白)の多数の革を縫い合わせていたサッカーボールを、縫い目を減らし凹凸を少なく真球に近づけたことで、蹴ったときに空気抵抗が少なく、ボールが不規則に変化する「無回転シュート」が、かつて話題となりました。

昔のボールとは…

いっぽう過去に目を向けると、今では当たり前のように、おなじみの形や大きさをしているボールも、そのスポーツの起源が誕生した時代には「動物や人間の頭蓋骨」などが使われていたと言われています。

あらゆる球技の起源とされるスポーツ「ラ・シュール」

12世紀頃、フランスではじまった「ラ・シュール」というスポーツは、あらゆる競技の起源とされています。この競技は2チームで足や手、棒などを使い敵陣にある2本の杭の間にボールを通すゲームで、その戦いぶりは激しく死傷者が出るほど。この「ラ・シュール」がイギリスに渡り、ボールを敵陣地内のゴールまで運ぶ「ストリート・フットボール」へと発展しますが、このスポーツで使用されていたボールは、牛や豚の直腸や膀胱(ぼうこう)であったと伝えられています。

ボールの形や由来

スポーツの起源「ラ・シュール」から何世紀もの時間のなかで、数々の球技へと変化し、今日のスタイルを確立してきました。今では当たり前のようにとらえているボールは、かつてどんな姿をしていたのでしょうか。さっそくスポーツ別にみていきます。

ラグビー

ラグビー

数ある球技に使用されるボールは、ほとんどが丸い形をしているのに、なぜラグビーのボールは楕円形をしているのでしょうか。それは、ラグビーというスポーツの誕生に大きく関係しています。

サッカーの試合が起源

ラグビーはもともとサッカーの試合中に、ウィリアム・エリスという人物がボールを抱えて相手ゴールに走り出したことがキッカケでした。サッカーの試合で手を使うことは当然反則ですが、「ボールを手に持って走るのも面白い」ということになり、ラグビーが生まれました。

軽量化から生まれた形

「持って走るにしては重い」という声から、ボールの軽量化をめざして試行錯誤が重ねられるなか、豚の膀胱に着目。これを膨らませると楕円形になり、その上に牛の革を張り合わせることで、今のラグビーボールの原型ができあがったと言われています。

野球

野球

野球のボールと言うと、プロ野球や高校野球、メジャーリーグなどで使用されている硬式球がおなじみです。これは、コルクやゴムの芯に糸を巻きつけていき、2枚の牛革で覆って縫い合わせたもので、この縫い目の数は1球あたり108個とされています。

1878年にスポルディング社が製造

今の硬式球の元となるボールは、1878年にアメリカのスポルディング社によって作られました。メジャーリーグでは1878~1976年まではスポルディング社、1977年からはローリング社製のものが使われています。

それ以前のボールは?

それ以前の野球のボールは、自分たちで作った手製のものや、靴に使用するゴムのかけらで作られていました。最初の野球ボールの中核もゴムで、それに糸を巻きつけ、革で覆ったものであったと言います。

サッカー

サッカー

サッカーボールと聞けば、ほとんどの人が白黒のボールを思い浮かべるのではないでしょうか。これは、五角形のパネル(黒)12枚と、六角形のパネル(白)20枚で構成されたもので、1959年以降、サッカーボールの代表的なデザインとなりました。

昔のサッカーボールは?

サッカーの起源については諸説ありますが、イングランドの説によると、8世紀頃、戦争で勝利した兵士たちは、敵国の将軍の首を切り落とし、その生首を蹴り合い勝利を祝ったと言います。

その後、豚の膀胱を膨らませ、それを革で包んだボールが誕生。ラグビーボールよりは丸かったようですが球形ではなく、湿気が多い気候ではすぐ浸水して重くなりケガも多かったとか。その後、1836年に加硫(かりゅう)ゴムが発明されたことで、1855年に最初の加硫サッカーボールが製造されました。

白黒になった理由は?

サッカーボールの色はもともと茶色でした。理由は、サッカーボールが誕生した1800年代は茶色の革が一般的だったため、そのまま茶色の革が使用されました。サッカーボールが白黒になった背景には、テレビの普及があります。当時テレビは白黒で茶色いボールは、白一色になって見えにくいため、識別しやすいように白黒のサッカーボールが誕生。1968年のメキシコオリンピックから使用されるようになりました。

ゴルフ

ゴルフ

ゴルフボールと言うと、小さくて硬くて表面にはディンプルという無数のくぼみがあいたボールのことで、その「飛び」を競って各メーカーから多数の商品が発売されています。規定によると、ボールの重さは45.93g以下、直径は42.67mm以上とされ、硬さや柔らかさは規定されていません。

はじまりは、石ころだった?

スコットランドの羊飼いが棒で石ころを転がして穴に入れて遊んだことが、ゴルフのはじまりとも言われていますが、ゴルフの起源にも諸説あり、どれが本当なのかは分かっていません。ちなみにゴルフという言葉が文献に登場したのは、1457年にスコットランドのジェームス2世が出した「ゴルフ禁止令」と言われています。

木から毛状、羽毛、天然ゴムへ

木製のボールを使用していた時代もあるようですが、ゴルフボールとしては1486年~1618年にオランダで作られた毛状(藁や牛の毛など)のものが一般的でした。その後、鳥の羽を使用したボールが誕生。1848年には樹脂性天然ゴムのボールが誕生したことで、ボール性能が飛躍的にアップし、1912年頃にはボールの表面にディンプルがつけられるようになったと言います。

テニス

テニス

テニスボールは、表面が黄色いフェルトで覆われています。黄色である理由は、テレビで観やすくするためで、正式には「optic yellow=蛍光イエロー」が採用されています。

もともとの色は、黒または白

国際テニス連盟によると、テニスボールの規定はもともと黒か白で、コートの色(芝や土)によって、よく見えるほうを使用していたそうです。テニスが初めてテレビ(白黒)放送されたのは1937年のウィンブルドン大会。ボールは芝生に映える白でした。ところが、カラーテレビが登場すると事情が一変。「ボールがよく見えない」という視聴者の報告を受け、1972年に蛍光イエローが採用されることになりました。

テニスの起源は?

テニスの起源は、12世紀頃、フランスの修道院の回廊で貴族たちが、手のひらで球の打ち合いを楽しんだはじまりで、フランス語で「手のひら(paume)の遊び」を意味する「ジュ・ド・ポーム」と呼ばれていました。

バスケットボール

バスケットボール

1891年にアメリカで考案されたこのスポーツでは、天然皮革、合成皮革、ゴムなどで作られたボールが使用されます。一般公式球は7号球で、周囲が75~78cm、重さ600~650g。ボールの下端が1.8mの高さから落とした際、上端が1.2~1.4mの範囲で弾むように空気圧が調整されます。

もともとはサッカーボールを使用

バスケットボールが誕生した当時は、専用のボールがなく、サッカーボールを使用していました。バスケットボールを考案したネイスミス博士は、「球技の難しさは、使用するボールの大きさに反比例する」という理論を持っていたことから、サッカーボールのサイズが適していると考えたそうです。

数年後に専用のボールを開発

1894年、アメリカの自動車製造会社が専用のボールを開発。その後、改良が重ねられ、現在のボールの原型が作られました。

バドミントン

シャトル

前後左右への激しい動きから、見た目以上にタフなスポーツと言われるバドミントン。ラケットで打ち合うのはボールではなくシャトルと呼ばれる、水鳥の羽根を合わせて、その先にコルクをつけたもの。1個のシャトルには、16枚の羽根が使われています。

シャトルのもとになったのは?

シャトルのもとになったのは?

バドミントンの起源には諸説ありますが、有力とされているのが1820年頃、インドの「プーナ(poona)」という地で行われていた「革でできたボールをラケットで打ち合う遊び」で、その地の名前から「プーナ」と呼ばれていました。

当時のインドはイギリスの植民地であったため、プーナを知ったイギリス人が自分の国にも紹介しようとしますが、その際、ボールの代わりにシャンパンの栓に鳥の羽根をさしたものを使ったことから、シャトルへと変化していったと言います。

バドミントンの由来は?

イギリス人がプーナを紹介した場所が、イギリス・グロスターシアのバドミントン荘という邸宅であったことから、バドミントンという名がついたと言われています。また、プーナが伝わる以前から、英国には「バドルドーアンドシャトルコック」という、シャトルに似た球を打ち合う遊びがあり、その性質や名前などから、「バドルドー…」が次第にバドッミントンに変化していったという説もあります。

起源や由来を知ることで、スポーツの見方がさらに面白く!

今では当たり前のように見たり、触れたりしているボールですが、今の姿に至るまでに、先人たちの知恵と情熱によって引き継がれてきたのですね。このように、スポーツの起源や道具の歴史を知ることで、より奥深い視点でスポーツを楽しむことができます。スポーツを応援しはじめて日が浅い「にわかファン」の人でも、ボールに関するうんちくを披露したら、周囲から一目置かれる存在になるかもしれませんね。

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