2019年4月10日 | 虫
タカラダニが発生する原因とは?タカラダニの退治方法と予防方法
タカラダニという小さな赤い虫を見たことはありませんか?タカラダニは、毎年5月ごろから7月にかけて日本各地で大量に発生します。主にビルの外壁やブロック塀などの上を這いまわるので、人々に不快な思いや嫌悪感を与えます。タカラダニはなぜ外壁やブロック塀にいるのでしょうか?また人を刺したりするのでしょうか?
この記事ではタカラダニが発生する原因や退治方法、予防方法についてご紹介します。
タカラダニの生態について
タカラダニは夏場の3カ月間をピークに、コンクリートの壁面や屋上などに、ある日大量に発生します。日当たりのよいゴツゴツとしたところを活発に這いまわり、この時期を過ぎるとパッタリと姿が見られなくなります。
成虫は約1mm、体色は赤褐色で鋏角(きょうかく)と呼ばれる口のハサミが長く、体内に出し入れできるようになっています。ダニとしては大きく肉眼で確認できるので、色や形からしてもあまり遭遇したくはないですね。
タカラダニってどんなダニ?
タカラダニは40種類以上いると言われており、幼虫は卵形で大きさは0.5mm前後、小さな虫やクモなどに寄生しています。昆虫などの体液を十分に吸うと、幼虫でも成虫と同じ1mmほどの大きさになります。成虫になるとコケや花粉などを食べるようになります。前年にコンクリートのすき間などに産んだ卵が、春に成虫になると考えられられますが、あまり詳しい生態はわかっていません。
タカラダニは他のダニと同様に、卵、幼虫、若虫を経て成虫になります。若虫には第1、第2、第3期があり、このうち第1、第3期の若虫は土の中に入って静止期という状態になります。幼虫はセミ、アブラムシ、バッタ、カミキリムシ、ガ、クモなど多くの節足動物に寄生し、体液を吸って満腹になると寄生を離れ、地中に落ちて脱皮して若虫になります。
正式の学名はカベアナタカラダニBalaustium murorum(Hermann)といい、オスが発見されたことはまだないため、メスだけの単為生殖と考えられています。
これまでは「タカラダニ」とタカラダニ科の「ハマベアナタカラダニ」は同じとされていましたが、これは別の種類であることが最近の研究でわかってきました。
とても謎めいたタカラダニですが、名前の由来についても面白い話があります。子どもたちがセミを捕ったときに体に赤い小さなものが付いているのを見て、それがたくさんついているとお金持ちになれるというので「宝ダニ」と呼ばれるようになったそうです。(※諸説あります)
タカラダニはどんなところにいる?
北海道から沖縄の各地にかけて、春先になるとどこでも出没します。春の陽気に誘われるように、日当たりがよく、岩上や石ころだらけで草や苔があるような場所を好みます。
人の目には見えないのですが、コンクリートやベンチの上には、無数の花粉が落ちています。それを目当てに、成虫になるとコンクリートの壁やブロック塀をよじ登って屋上にもやってきます。住宅、アパート、ホテル、病院、工場などの壁、窓、プールサイド、ベランダにも大量に発生します。
タカラダニの被害について
タカラダニは基本的に人には無害ですが、衣類や寝具に付着したり住居の壁などに大量に発生するため不快に感じる人も多いです。そのため、発生期間の5〜7月になるとタカラダニの被害についての問い合わせが、保健所や関係機関に多数持ち込まれます。
体長が1mmとダニとしては比較的大きく、体の色が赤色で人目につきやすいことから、不快な生物として苦情の対象になりやすいのでしょう。実際のところ、専門家の間でもこのダニの被害について、まだよくわからないところがあります。
人を刺したり、アレルギーの原因になるのか?
タカラダニが人を刺すことはありません。ただしつぶしたりして、その体液が皮膚に付着すると皮疹することがあります。
公園などでコンクリートの椅子に気付かずに座って、服にタカラダニの赤い色がついてしまうこともあります。この体液がアレルギー反応を誘引する可能性があるので、絶対つぶさないように注意してください。
タカラダニが発生する原因について
タカラダニが発生してしまう原因にはどのようなものがあるのでしょうか。
活動する時間帯や場所を把握しておきましょう。
活動時間
タカラダニの行動は、春先になると日中の日当たりのよい乾いた場所で活発に這いまわります。活動時間は主に日中で、気温の高いところを好みます。また、夏の暑さにも強いとされています。
生態場所
北海道から沖縄まで日本全国の各地の山間部から都市部に生息しています。成虫は、岩石やコンクリートに付着した苔や花粉をエサとして食べていることが確認されています。
また、ビルの壁の裂け目などでは這い上がっていく外敵がいないので生息場所としています。わずかの壁のすき間に卵を産みやすいとも考えられます。
タカラダニの予防対策、駆除について
これまでの研究で、タカラダニはビル屋上やコンクリートの粗面に多く、ウレタン防水材などの加工が施されたツルツルとした壁面にはいないということがわかっています。その理由は、エサとなる苔がないところや産卵場所となるコンクリートの裂け目がない場所には寄り付かないからです。また水に弱いことが考えられるため、放水での駆除も効果的です。
それぞれ見ていきましょう。
壁面に防水材を塗る
タカラダニはウレタン防水材などのツルツルした壁面が嫌いなようです。このため、ビルや住宅の壁面に防水材を塗布すると予防対策になります。防水材には耐候性をはじめ、かび、苔、汚れを防ぐ効果があるので、数年間は高い効果が期待できます。
外壁の裂け目や基礎の目地継ぎ目亀裂など気になるところがあれば、この機会に壁面のメンテナンスもかねて防水材を試してみるのもいいのではないでしょうか。
防水材の塗り方は?
部屋のペンキ塗りと同じ要領で手の届く範囲ならローラーを使うとDIY感覚で簡単に塗ることができます。
コンクリートの表面がひび割れて粉っぽくなっていたり、色あせていたりしたら塗替えの時期です。塗る面の汚れや苔などを取リ除いてから、穴やへこんだ部分に補修材を埋め、ローラーを使って防水材を丁寧に塗ります。
ペンキと同様に塗るタイプのほか、さっと一吹きするスプレータイプの防水材もあります。また、防水補修テープといったものもあるので補修の程度に応じて使用すようにしましょう。
ホースで水をまく
タカラダニは乾燥した日当たりの良い場所を好むため、水に弱いと考えられます。このため発見したら、放水して流してしまうのが一番効果的です。
苔を除去する
屋外のブロック塀やコンクリート基礎の部分に苔などが生えていたら、すぐに取り除きましょう。タカラダニは雑食で花粉や苔をエサにしてるため、苔を取り除くと寄り付きにくくなります。
殺虫剤を使用する
タカラダニの動きまわっている姿が目に入って、ゾッとした経験をしたことがあるという人も多いのではないでしょうか?すぐに駆除したい場合は殺虫剤を使用しましょう。製品によっては速効殺虫効果だけでなく、スプレーするだけで虫よけ効果が数日間続くものもあります。春先には、ご家庭に1本用意しておくことをおすすめします。
フマキラープレミアムは、タカラダニはもちろんのこと、アリやムカデ、クモなど何と100種類以上も虫に効く殺虫剤です。また速効殺虫だけでなく空間虫よけ効果もあり、ヤブなどにスプレーすれば、バリア効果で最大24時間(※1)も虫を寄せ付けません。さらに地面にスプレーすれば、付着した持続予防成分〈シフルトリン〉により、待ち伏せ殺虫効果が最大1ヵ月(※2)も持続します。
※1)ユスリカ。強風時、低温時、使用環境によっては効果が得られないことがあります。
※2)雨がかからない条件でのムカデ、クモ、アリに対する待ち伏せ殺虫効果。
まとめ
タカラダニをつぶしてしまうとアレルギーを誘引することがあります。もし服などに付着してしまったら、つぶさず軽く払い落とすようにしましょう。
駆除する場合は、水をまいたり殺虫剤を使用してください。また次に発生しないように外壁やコンクリートには防水材を塗布すると良いでしょう。