2019年10月23日 | お役立ち情報
日本人に佐藤さんが多いわけ
日本には20万種類以上もの名字があると言われています。それは、例えば「あべ」という字が安倍、阿部、安部、安陪のように読み方は同じでも漢字が違うことから種類が多くなっています。
その中でも日本人に多い名字の上位と言えば、佐藤さん、鈴木さん、高橋さん、田中さん、伊藤さん、渡辺さん、山本さん、中村さんで、最も多いのは佐藤さんです。
また東日本と西日本では多い名字はそれぞれ異なっているようです。
今回は、日本に多い名字や最も多い佐藤さんのルーツなどについてご紹介します。
日本に多い名字
全国で多い名字の上位は、どの調査結果を見ても大体同じような傾向となり、ベスト3には佐藤さん、鈴木さん、高橋さんが入っています。
佐藤さん 約200万人
鈴木さん 約180万人
高橋さん 約150万人
4位から10位は田中さん、渡辺さん、伊藤さん、中村さん、小林さん、山本さん、加藤さんが入り、
以下20位までは、吉田さん、山田さん、佐々木さん、山口さん、松本さん、斎藤さん、井上さん、木村さん、林さん、清水さんとなっています。
東日本は鈴木さん、西日本は田中さん
全国的に見て多い名字の上位は佐藤さん、鈴木さん、高橋さんですが、東日本と西日本では少し違うようです。
東日本
1位:鈴木さん
2位:佐藤さん
3位:高橋さん
4位:渡辺さん
5位:伊藤さん
西日本
1位:田中さん
2位:山本さん
3位:中村さん
4位:井上さん
5位:松本さん
東日本と西日本で多い名字に違いがあるのは、歴史上の人物や信仰の影響、地名や地形などの違いと言われています。
東日本に多い鈴木さんのルーツは紀伊半島にあり、この地域では稲藁(いなわら)を干すために積み上げたものを「すずき」と読んだことに由来し、
平安時代に熊野信仰を司った一族が共通の名字として鈴木氏を名乗り、熊野信仰の拡大とともに全国に広がっていったと言われています。
西日本に多い田中さんは地形が由来となり、水田の中に家を構えたのが田中さんで、田中さんのルーツは全国各地にあるようです。
また、江戸時代以前の米の産地は西日本だったため、田中さんは西日本に多いと言われています。
佐藤さんの由来
佐藤さんのルーツは、平安時代の藤原氏にあると言われ、「佐藤」と名字を初めて名乗ったのは藤原一族の藤原公清(ふじわらのきみきよ)と言われています。
その当時藤原氏が栄えていたため「藤原」を名乗る人が多くなり過ぎ、新しく考え出された名字が「佐藤」だったのです。
この「佐藤」の由来には諸説ありますが、有力な3つの説をご紹介します。
①「左衛門尉(さえもんのじょう)」の藤原説
藤原公清は、朝廷の官位である「左衛門尉(さえもんのじょう)」という重要な役職に任命されていたことから、「左衛門の藤原」を意味し、役職の「左」が後に「佐」へと変化し、「佐藤」と名乗るようになったとする左衛門尉説。
②下野国の佐野の藤原という地名説
藤原公清が下野国(現在の栃木県あたり)の佐野という場所に住んでいたことから、「佐野の藤原氏」ということで「佐藤」を名乗るようになったという説。
③佐渡の藤原説
藤原公清が佐渡(新潟県)の国司の職にあったことから、「佐渡の藤原氏」ということで「佐藤」を名乗るようになったという説。
他にも数々の説があるようですが、藤原公清が藤原氏の子孫であったことから、藤原から佐藤が派生したということのようです。
明治から佐藤さんが増えた
佐藤さんが増えたのは、明治維新の後、明治新政府により従来の身分制度の再編が図られ、1870年(明治3年)に「平民苗字許可令(へいみんみょうじきょかれい)」が公布され、華族および士族に属さない平民に「苗字」の使用が許可されました。
ところが中々名字の普及が進まなかったため、1875年(明治8年)に改めて名字の使用を義務づける「平民苗字必称義務令(へいみんみょうじひっしょうぎむれい)」が公布され、すべての国民に苗字(名字)を名乗ることを義務付けたのです。
その時に政府が例として紹介した中に「佐藤」や「鈴木」があり、多くの人がその例にあった「佐藤」を選んだためと言われています。
また、北関東や東北地方に佐藤さんが多い理由としては、平泉を中心として東北の一大勢力として栄えた奥州藤原氏の影響が地理的な背景となり、多くの人が名字を選ぶ際に佐藤を選んだことから佐藤さんが増えたとも言われています。そのため佐藤を名乗る人が全員藤原氏一族の子孫かと言うと、そういう訳ではないようです。
江戸時代までは公的に名字を使用することを許されたのは、公家や武士などの支配階層に限られ一種の特権とされていましたが、今は誰にでも名字があります。
今回、日本人に佐藤さんの名字が多い理由をご紹介しましたが、20万種類以上もあると言われる名字には、それぞれ由来や歴史的な背景があると思います。あらためてご自分の名字のルーツを探ってみると、意外な発見があるかも知れません。