2018年3月15日 | 虫
クモ(蜘蛛)が発生する原因とは?クモの習性を知って対策しよう
見た目に迫力があり、その形状や他の虫を捕食している姿から害虫として取り扱われることも多いクモ。実は一部を除き人には無害であることはあまり知られていません。
しかし、大半のクモが無害だからといって、家でよく見かけるという場合、安心はできません。クモのエサはわたしたちの生活を脅かす本当の“害虫”だからです。
また、一般的に「クモの巣」と呼ばれている捕食用の網は住宅周りにあると清潔感を損ないます。
今回はクモについて習性や生態、発生原因を知って対策を講じましょう!
クモの習性・生態について
日本にはさまざまなクモが生息しています。
まずは習性、生態、そしてクモが何をエサにするのかということを知りましょう。習性や生態を知ると、対策を行いやすくなります。
クモには造網型と徘徊型がある
クモの巣と呼ばれるエサ捕獲用の網を張るというイメージが大きいですが、実はクモの捕食は2つのタイプがあることをご存知ですか?
- 徘徊型……クモの巣を張らず、徘徊しながらエサを捕食するクモ
- 造網型……クモの巣を張り、エサを捕えるクモ
屋内でよく見るのは徘徊型です。
人家を活動場所とする害虫をエサとするクモが徘徊型であることが多いからです。
身近なクモの種類
ハエトリグモ
海外では『ジャンピングスパイダー』と呼ばれるほど跳躍力のある徘徊型のクモです。目がいくつもあり、視力が発達しているのが特徴と言われています。体長は10ミリ前後のものが多く、足は短め。ハエトリと名前の付く通り、ハエ類を含む小型の虫を捕食します。
アシダカグモ
アシダカグモはゴキブリを主食とするクモとして有名です。足が長く、全長は100ミリ前後。大きくて迫力がある見た目のため、苦手という声もあります。ハエトリグモと同じく、巣を張らず徘徊しながらエサとなる虫を捕食する徘徊型のクモです。
コガネグモ
コガネグモは、ここまで紹介してきた徘徊型ではなくクモの巣を張る、いわゆる造網性のクモです。大きな特徴は黄色と黒のカラーリングと足の太さです。よくジョロウグモと混合されることが多いようですが、カラーリングと足の特徴で判別できます。
ジョロウグモ
夏から秋にかけてクモの巣を張るジョロウグモは、コガネグモより細かい網を造り、カラーリングは黄色と青、胴体が楕円型という特徴があります。オスとメスの違いが大きく、メスがおおよそ15~30ミリに対し、オスはその半分です。
ほとんどのクモは人には無害
映画のヒーローやモチーフとして人気のクモですが、実際には苦手な方も多いです。
迫力ある見た目を怖いと感じる方や、人の生活や健康を脅かす害虫と勘違いされる方もいらっしゃいます。しかし日本に分布する多くの種類は、ゴキブリやハエなどの衛生害虫を捕食することから益虫とされています。
ゴキブリを主食とするアシダカグモは、ネットの一部で軍曹とユニークな呼ばれ方をしているようです。
ムカデとは違い、一部を除き人に咬みつくこともほとんどありません。
毒グモ・外来種セアカゴケグモ
多くのクモは人に無害ですが、日本で有毒性のあるクモとして警戒しなくてはいけないのがセアカゴケグモです。本来日本にはいなかった種類のクモで、1990年代に西日本で発見されて以来日本に定着した、いわゆる外来種と呼ばれる海外生まれのクモ。
現在、北海道を含む日本全国に分布していると言われ、各自治体のホームページなどでも注意を呼びかけています。
胴体が丸く、中心に赤いひし形が縦に2つ並んだ模様が特徴です。
徘徊するダンゴムシやアリなどを主食としますので、セアカゴケグモも徘徊型。公園や植物の多い場所にいることが多いです。小さなお子さんがいる方は十分注意してください。
セアカゴケグモについては「【特定外来生物】セアカゴケグモの生態・被害・対策について」でも詳しく解説しています。合わせてご覧ください。
クモ被害について
クモに触り、感染症を媒介(ばいかい)されるといった例は、2018年現在報告がありません。クモ被害は主に、クモの外見が影響する心理的害と、クモの巣による不快感、毒グモによる咬みつき被害です。
不快害虫としてのクモ
不快害虫とは、心理的な害を与える虫のことを言います。
どういった虫を不快・怖いと思うかは人それぞれですが、一般的にクモは不快害虫として取り扱われることが多いです。確かに苦手な方にとっては家にクモが徘徊しているのは良い気分ではなく、できるだけ視界に入れたくないと思う方が多数です。
特にアシダカグモは害はありませんが、卵を抱えて動く習性があり知らずに刺激してしまうと自宅で一気に孵化してしまうというケースもあるようです。
クモの巣による不快感
クモの巣も基本的には害があるものではありません。誤って口に入ってしまった場合も、網にかかっている他の虫が口に入ったということがない限り、問題ないとされています。
しかし室内や庭などに張られた場合は清潔感も損ないます。近隣の方の目が気になる方もいるでしょう。小さなお子さんや、訪れたお客様が引っ掛けてしまう可能性もあります。捕獲用の網ですから他の害虫が引っ掛かっていることもあり、衛生的に心配な面もありますのでできるだけ駆除しておくことを推奨します。
毒グモによる健康被害
外来種セアカゴケグモのメスは、毒を持っています。あまり攻撃的な性格ではありませんから直接指で触れたり、刺激するということがない限り咬まれる心配はないでしょう。しかし近くにいることに気付かず誤って触れてしまい、咬まれてしまったという事例はいくつも報告されています。
毒もそれほど強くはありませんので、国内では現在まで重篤(じゅうとく)な症状は出ておりませんが、咬まれてしまった場合はすぐに医療機関に相談しましょう。
クモ・クモの巣の発生原因について
クモの発生原因とクモの巣ができやすい場所についてです。
クモの習性と生態でご想像がついた方もいらっしゃるかもしれませんが、クモの発生=エサの発生です。クモのエサは習性と生態の項目で見ていただいた通りですので、発生原因となる害虫の方が大きな問題と言っても過言ではありません。
クモのエサとなる害虫の発生
クモに限らず、虫を含むほとんどの生物はエサのある場所で巣造りをします。住宅でよく見かけるクモの主食は、ゴキブリやハエといった衛生害虫として扱われる害虫です。
クモをよく見かけるというご家庭は、クモよりも他の害虫被害の方が心配でしょう。
【参考】クモの生態と防除方法|千葉市
クモの巣ができやすい場所とは
クモの巣は美観や清潔感を損ないます。
また、他の害虫がかかっているのは見ていて気持ちの良いものではありませんし、衛生的に良くない場合もあります。
クモの巣が出来る条件は主に……
- クモの巣が張れる足場がある
- エサとするものがいる
- 網が壊されにくい場所
です。
屋外は植物や出っ張りに引っ掛けて作っている場合が多いようです。
屋内であれば、天井の角部分などです。また、古い建物や人の住んでいない家に造られるイメージですが、人が住んでいても、新築でもクモの巣は関係なく作られます。
クモ・クモの巣対策について
クモ・クモの巣の対策、駆除についてです。クモ発生の予防法から、クモやクモの巣を駆除するときのポイントについて詳しくみていきます。
クモのエサとなる害虫対策を先に
クモをよく見かける・駆除しても室内に入り込んでくるという場合、エサとなる害虫が発生している可能性が高いというのは発生原因で述べた通りです。
クモがエサとしてる害虫の方が生活や衛生、健康被害が大きいと考えられます。クモに対しての対策を行うことより、他の害虫対策を行うことが根本的解決であり、生活面・衛生面からもおすすめです。
家屋で徘徊するクモの主食であるゴキブリやハエは感染症を招き、クモだけではなくムカデなどの他の害虫を招く恐れもあります。住宅を清潔に保ち、侵入口を塞ぐなどの工夫をしましょう。
エサがいなければ、クモが営巣することはありません。
ゴキブリ対策
食べカス、皮脂や髪の毛、爪などの蛋白源をエサとします。
ゴキブリの対策は清潔にすること・ゴキブリが潜むスペースを作らないことです。他にも住宅の隙間を塞ぐ、ゴミや段ボールを放置しないなど、基本的なことを徹底して行いましょう。
ハエ・コバエ対策
動物の糞や腐敗した植物性のものをエサとするハエやコバエもゴキブリ同様、生活周りを清潔に保つことが大切です。また、バナナなど熟すと匂いの強くなるものを居間などに放置するのはやめましょう。トイレは特に清潔に保つことを意識してください。
クモ・クモの巣駆除
クモの駆除
外に逃がしても問題ありませんが、触れないという方も多いでしょう。
クモの駆除は殺虫剤で行います。クモは殺虫剤に強い虫というわけではありません。クモ用と書いてある殺虫剤であればすぐに駆除が可能です。
セアカゴケグモを見つけた場合は、速やかに自治体に連絡しましょう。
クモの巣の駆除
できてしまったクモの巣の駆除は物理的にからめとるしかありません。ほうきや長い棒を使ってクモの巣を取り除いてください。
一度クモの巣が作られたということはそこがクモにとってクモの巣を張りやすいということです。放っておくとまた巣を作られる可能性が高いです。アフターケアとして殺虫剤を撒いておくと忌避や予防にもなりますのでおすすめです。
屋外の場合、雨などで薬剤が流され効果が薄れてしまう場合があります。こまめに殺虫剤を撒いて徹底的に予防しましょう。
まとめ
一部を除き、人間に害を与えないクモですが、クモの巣の清潔感やクモの外見からやはり嫌だという方も多いです。根本的な対策として他の害虫対策を行えば自然とクモの発生予防にもなりますし、安全で衛生的な生活が送れます。クモがいるということは、他の害虫に生活を脅かされているサインです。
やむ終えずクモを駆除する場合は殺虫剤を用いるのがおすすめです。近年は、クモ専用だけではなく他の不快害虫にも使える殺虫剤がありますので、一年を通してご家庭に一本置いておくと便利かもしれません。
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