【今日から使える!】虫にまつわるさまざまなことわざや慣用句

【今日から使える!】虫にまつわるさまざまなことわざや慣用句

「一寸の虫にも五分の魂」「泣きっ面に蜂」など、日本には古くからたとえに虫を用いたことわざや慣用句がたくさんあります。こうしたことからも、昔の人たちは生活の中で虫を身近に感じ、虫たちから多くを学んでいたことがうかがえます。そこで、今回は虫を引用した数々のことわざや慣用句を虫別に分類して、解説も交えて紹介していきます。

日本人と虫との関係

日本人と虫との関係

日本ならではの文化

稲作をはじめ農業が盛んな日本においては、虫は作物に被害を与える存在にもなりうる一方で、田んぼや野山にいる虫と触れ合い、季節の虫を観賞したり音色を楽しんだり、昔から虫との深い関わりを持って暮らしてきました。

今でも、セミやトンボを捕まえたり、カブトムシやクワガタを育てたり、虫捕りや飼育・観察は、日本ではおなじみの光景ですが、海外ではあまりこうした文化がなく、虫を捕まえたり家の中で飼うことに驚く人もいるようです。

虫の日

昔から虫との関わりが深い日本には「虫の日」という記念日があります。6(ム)4(シ)のごろ合わせで6月4日。人間だけでなく虫たちにとっても住みやすい環境づくりを願う日として、自ら虫好きだった偉大なる漫画家、手塚治虫氏の呼びかけで1988年に制定されました。

虫を使った言葉

虫の生態や習性などをヒントに生まれたもの、決して長くは生きられない虫たちの儚さや命の尊さなどを引用したもの、虫を不快に感じる様子を表したものなど、日本には虫を身近に感じる独自の視点で切り取った数々のことわざや慣用句が存在します。

虫の生態などから生まれたとされることわざ・慣用句

生態や習性など虫を身近に観察することで生まれたことわざや慣用句を紹介します。

蓼(たで)食う虫も好きずき

蓼(たで)という苦味のあるものを好んで食べる虫がいるように、人の好みはさまざまであるということ。蓼とは柳蓼のことで茎や葉に苦みがある植物。蓼を食べる虫は蓼虫と呼ばれ、ホタルやハムシなどの甲虫を指します。

飛んで火にいる夏の虫

明るさにつられて飛んできた夏の虫が、火に飛び込んで命を落とすことから、自分から進んで災いの中に飛び込むことのたとえ。

虫の息

小さな虫のかすかな息。転じて、今にも死にそうな弱々しい呼吸のこと。

一寸の虫にも五分の魂

どんなに小さな虫にも魂があり、命の尊さを表す慣用句。体長わずか一寸(約3cm)の虫でさえ、その半分にあたる五分の魂があるということ。転じて、小さくて弱い者でも、それ相応の意地や根性があるため、どんな相手でも侮ってはならないという例えのこと。

体内に虫が住んでいるという考えから生まれたことわざ・慣用句

体内に虫が住んでいるという考えから生まれたことわざ・慣用句

虫の何にでも入り込む性質から「体の中に虫がいる」というユニークな発想から生まれたことわざや慣用句を紹介します。

腹の虫がおさまらない

気分を害し、イライラする様子を、実際にはいないお腹の中の虫「腹の虫」のせいにして例えたもの。

その昔、病気の原因は「鬼」のせいとされ、祈祷師による祈祷が病気治療の中心でした。このままでは活躍の場が少ないと思った医師たちが、病気の原因は鬼ではなく「虫」であるという考えを打ち出し、その考えが人々に浸透。医師たちは、病気が起こるのは「腹の虫」のせいだとして、「針聞書(はりさきがき)」という書物をまとめました。これはその名の通り「針治療」の書物で、患部に生息する(とされる)63種類ものユニークな虫たちが描かれ、病気の原因である虫たちを退治するためにはどこに針を打ったらいいかを示したもの。この書物は織田信長が活躍した戦国時代に書かれたと言います。

【参考】収蔵品ギャラリー『針聞書』九州国立博物館

腹の虫がおさまる

怒りや癇癪(かんしゃく)がおさまること。

塞ぎの虫

気分が塞ぐ(ふさぐ)ことを虫のせいにしたもの。

弱虫

気の弱い人や臆病な人、いくじのない人を指す言葉。

虫を不快に感じる様子から生まれたとされることわざ・慣用句

虫を好意的にとらえるいっぽう、虫を苦手とする人もたくさんいます。虫に対する悪いイメージから生まれたことわざや慣用句を紹介します。

虫酸(むしず)が走る

「虫酸」とは、胸がむかむかしたときに逆流してくる胃液を、虫が出した酸っぱい液体と表現したもの。この虫酸が口に出てくるほど不快な様子を表したもの。

虫が好かない

その人に対して、なんとなく好感がもてないこと。

虫がいい

自分の都合ばかりを考え、身勝手でずうずうしい様子のこと。

クモに関することわざ・慣用句

クモは不快害虫でありながらも、家の中のゴキブリなどを捕食してくれる益虫でもあります。そんなクモにまつわることわざや慣用句を紹介します。

蜘蛛の子を散らす

蜘蛛の子を散らす

大勢でいた人々がバラバラに逃げていく様子を表した言葉。

夜の蜘蛛は親に似ていても殺せ

「殺せ」とは物騒な物言いですが、夜に見るクモは、不吉なことが起こる前ぶれと考えられていたことから「殺したほうがいい」と言われるようになった言葉です。反対に朝にクモを見ると「良いことがある」「お金が入る」「縁起が良い」と考えられ、「朝のクモは金」という言葉が生まれています。

平蜘蛛(ひらぐも)のよう

平蜘蛛がぺったりと座って両手をつき、頭を低く下げているように見えることから、平身低頭する際に用いられる言葉。

蜘蛛の巣に朝露がかっていると晴れ

早朝、クモの巣に朝露がついているのを見かけたことはありませんか。朝露がついていたら、前の日の夜はよく晴れたという証。そのことからその日は朝から日中にかけ、天気が持つだろうと言われています。

ハエに関することわざ・慣用句

ハエは不潔な印象がする不快害虫ですが、おそろしい感染症やウイルスを運んでくる衛生害虫でもあります。そんなハエにまつわることわざや慣用句を紹介します。

顎で蠅を追う

ハエを手で追い払う元気もなく顎を動かして追い払うことから、やせ衰えて元気がない様子を表したもの。「頤(おとがい)でハエを追う」という言い方もあります。

頭の上の蠅も追われぬ

自分の頭にたかるハエさえ追い払うことができないことから、自分自身のことさえ満足にできないことのたとえ。

己の頭の蠅を追え

自分自身のことは棚にあげて他人の世話ばかりしたがる人に対して、「人の世話を焼くよりも、まずは自分自身のことを始末せよ」という例え。同じ意味を持つ言葉に、「人の蠅を追うより己の蠅を追え」がある。

蠅が手をする、足をする

かの有名な俳人・小林一茶の句、「やれ打つな、ハエが手をする足をする」の一部ですが、たたかれそうになったハエの手を擦り合わせる動きが、まるで命乞いをしているかのように見えたことから生まれた言葉です。

ハチに関することわざ・慣用句

お尻に針を持つハチは、とかくその攻撃性が特徴とされ、スズメバチなどの毒針に刺されると命の危険が脅かされることも。そんなハチにまつわることわざや慣用句を紹介します。

泣きっ面に蜂

泣いて顔がむくんでしまっているのに、さらにハチに刺されてしまうということのたとえ。すでに不幸にあっているのに、その上さらに別の不幸が重なる様子を表したもので、類語として「踏んだり蹴ったり」「弱り目に祟り目」「一難去ってまた一難」などがあります。

蜂の巣をつついたよう

ハチは防衛本能が高く、巣や身をまもるために攻撃をしてくる習性があります。ハチの巣をつつくと、いっせいに中からハチが飛び出してきて大群となって襲い掛かってきます。その様子を表した言葉。

虻蜂とらず

クモの巣にアブとハチの両方がかかり、それを見たクモが、アブをとりに行こうとするとハチが逃げようとし、ハチをとりに行こうとすると今度はアブが逃げようとする。そうこうしているうちに、結局どちらも捕まえることができずに逃してしまうことの意味。

蝶のように舞い、蜂のように刺す

かつての偉大なるボクサー、モハメド・アリのファイトスタイルの代名詞。ヘビー級でありながらも華麗なフットワークで相手の攻撃をかわし、一瞬のスキをついて強烈なパンチで仕留めるさまを表した言葉です。

その他の虫に関することわざ・慣用句

クモ、ハエ、ハチ以外にも、虫が登場することわざや慣用句を紹介します。

ナメクジに塩

ナメクジに塩をかけると縮んでしまうことから、苦手なものによって委縮してしまうことの例えとして使用されます。

カゲロウの命

寿命が短い虫の中でも特に短いカゲロウを用いて、儚い命を表す言葉。

蚊の食うほどにも思わぬ

まったく影響を受けない様子。

蚊の涙

きわめて量が少ないことのたとえ。

蚊の脛(すね)

蚊の足のように細く、やせた脛を指して言う言葉。

蚊の鳴くような声

蚊の羽音のようなかすかな音のこと。

蚤(のみ)の夫婦

蚤は雌のほうが雄よりも大きいことから、妻が夫より大柄な夫婦のこと。

蚤の息も天に上がる

小さなものやとるに足りない者でも、努力をすれば望みは叶えられるということのたとえ。

蝶よ花よ

子どものことをとても愛し可愛がるさま。

蛍二十日に蝉三日

寿命が短い虫の中でも特に地上での寿命が短い、ホタルとセミの寿命を用いて、物事の盛りの短さを表したもの。

セミの寿命は1週間ほどというイメージをお持ちの方は多いと思いますが、現在は種によっては一ヶ月程度生きるセミもいるということがわかってきています。

オケラの水渡り

地中に暮らし、動きも決して速くないオケラは水を渡ることができないように、何かの真似をしても成し遂げることができないことのたとえ。

ミミズののたくったような字

ミミズののたくったような字

下手な筆跡で字が字として読めない様子を、ミミズが体をくねらせて様子を重ねた言葉。

まとめ

今回は「虫」を使ったことわざや慣用句と題して、すでにおなじみのものから、こんな虫を使った表現があったのかと思えるものまで紹介してきました。こうした言葉の成り立ちから、改めて昔の人々の生活が虫たちと深い関わりを持っていたことがわかるとともに、それぞれの虫の特徴をユニークな視点で切り取った、先人たちの観察力や発想力にも驚かされますね。

こうした言葉はまだまだありますから、皆さんもこの機会に調べてみてはいかがでしょうか。

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