2024年12月9日 | フマキラーの取り組み お役立ち情報
和歌山県の上富田町はどんな町?文化やフマキラーとの関係性も解説
皆さんは、和歌山県の「上富田町(かみとんだちょう)」をご存じでしょうか。自然が豊かで世界遺産に登録された観光スポットが存在する上富田町は、フマキラー株式会社とも深い関係があります。今回は、風光明媚(ふうこうめいび)な上富田町の概要と歴史、観光スポットのほか、フマキラーとの関係性についてご紹介いたします。
上富田町の概要
和歌山県西牟婁郡(にしむろぐん)上富田町は、和歌山県の南西に位置する人口がおよそ15,700人の町です。近年では、世界遺産に登録された「熊野古道(くまのこどう)」の一部として知名度が高まりました。黒潮の影響で気候が温暖な上富田町は、温州(うんしゅう)みかんやヤマモモ、スモモなどの果樹や、梅干しなどの生産が盛んな地域です。
また、上富田町は和歌山市まで、鉄道または有料道路で1時間ほど、隣町の南紀白浜空港から飛行機を利用すれば東京まで1時間ほどの立地にあります。上富田町の中央には富田川(とんだがわ)が流れ、豊かな自然の中にスーパーや病院、学校や保育所・幼稚園、スポーツセンターや文化会館、図書館やカフェといった生活環境が充実しています。
さらに、上富田町は人口が増加している町として注目されています。上富田町は近隣からの転入者や県外からの移住者が多く、少子高齢化が進む和歌山県内でも若い世代の比率が高い地域です。近年では、地域住民・民間企業・行政の協働による地方創生の取り組みも盛んで、人口減少・高齢化社会に対する地域づくりにも力を入れています。
上富田町の文化と歴史
かつて和歌山県は「紀伊国(きいのくに)」と呼ばれたことから、上富田町は南側の「紀南(きなん)」に属します。上富田町は後述する熊野詣(くまのもうで)に向かう中辺路(なかへち)街道の入り口に存在するため、「口熊野(くちくまの)」の呼び名で栄えました。
12~13世紀には、熊野詣で修行する修験者(しゅげんじゃ)が、熊野古道沿いに存在する複数の神社を「熊野九十九王子(くまのくじゅうくおうじ)」として構成し、儀礼をする場所に指定したとされています。
富田川は舟による物資の運搬や農業用水などに活用され、文化や経済の発展に欠かせない存在でした。しかし、度重なる氾濫で多大な被害を引き起こしたため、農民の「彦五郎」が堤防の人柱(ひとばしら)になって安全を祈願したという「彦五郎堤防」の伝説が残っています。昭和に入ると、本格的な治水事業が始まりました。
そのほか、和歌山県出身の生物・民俗学者である南方熊楠(みなかたくまぐす)が、明治時代の神社合祀(ごうし)により上富田町の田中神社が八上(やかみ)神社に合併される際、森林を残す自然保護の活動に尽力したエピソードも伝わります。後の1956年に、その森林は県の天然記念物の第1号に指定されました。
なお、上富田町の名称は、1956年にかつての東富田村と北富田村が合併し、誕生した富田村(現在の白浜町)を流れる富田川の上流に位置したことからつけられました。上富田町は農業や貝ボタンの製造などを中心に発展し、現在も農業およびボタン・バックルなどの製造業が基幹産業になっています。
上富田町の観光スポット
続いて、上富田町のおすすめ観光スポットをご紹介します。
熊野古道
熊野古道とは、和歌山県の「熊野三山(くまのさんざん)」と呼ばれる「熊野本宮大社(くまのほんぐうたいしゃ)」「熊野速玉大社(くまのはやたまたいしゃ)」「熊野那智大社(くまのなちたいしゃ)」の三社をお参りする際に通る道を指します。この熊野詣は平安時代から盛んになり、当時は約600kmの距離を1ヵ月かけて歩きました。
熊野古道は、2004年に「紀伊山地の霊場(れいじょう)と参詣道」として世界遺産に登録され、現在は国内だけでなく世界中から人々が訪れる有名な観光スポットの1つになっています。
八上(やかみ)王子跡・稲葉根(いなばね)王子跡
八上王子跡と稲葉根王子跡は、いずれも熊野九十九王子に属する神社で、現在の八上神社と稲葉根王子神社を指します。この2つの神社は、古くから地域住民に崇拝され大切に扱われたことから、2016年に世界遺産の「紀伊山地の霊場と参詣道」に追加で登録されました。
八上神社は敷地内に茂る木々の社叢(しゃそう)や神社の形態が美しく保護されている点、稲葉根王子神社は九十九王子の中でも主要で格式が高い「五体王子(ごたいおうじ)」に属する点が見どころです。
興禅寺(こうぜんじ)
上富田町市ノ瀬(いちのせ)にある臨済宗(りんざいしゅう)妙心寺派(みょうしんじは)の寺院で、「だるま寺」と呼ばれています。だるま寺の呼び名は、1972年に和尚(おしょう)の吉田啓堂(けいどう)氏が戦没者の供養と世界平和の願いを込めて創建した白いだるま像に由来します。だるま像は、台座を含むと約8mという日本一の高さを誇ります。
興禅寺には、町指定文化財の聖観世音(しょうかんぜおん)菩薩立像(ぼさつりつぞう)や、古文書(こもんじょ)の興禅寺文書などが保存されています。また、回遊式の庭園、サツキやシャクナゲなどの花々、門前の丘で開催されるイベントなども楽しめます。
観音寺
上富田町生馬(いくま)にある浄土宗(じょうどしゅう)鎮西派(ちんぜいは)の寺院で、「さつき寺」と呼ばれています。さつき寺の呼び名は、絶景を望む141段の石段の両側と境内の一面に植えられた樹齢140数年とされるサツキに由来し、5~6月には美しく咲き誇る花々を観賞できます。
観音寺には、町指定文化財の十一面観世音(じゅういちめんかんぜおん)菩薩、鐘楼堂(しょうろうどう)や稲荷神社があります。また、戦争で供出(きょうしゅつ)した鐘の帰還と生活の安全を願った延命地蔵、宗派を問わずにお参りできる水子地蔵なども見どころです。
郵便橋
上富田町の富田川にかかる国道42号の橋を指します。1871年(明治4年)に施行された郵便制度によって上富田町に郵便局が開設され、郵便物が富田川の渡し船で運ばれました。渡し船が廃止された後、富田川にかけられた板の「野田橋」を人々が「郵便小橋」と呼び、やがて「郵便橋」の名称が定着しました。
郵便橋は何度もかけ替えられ、木製の橋げたの上に土をかぶせた土橋の時代もありましたが、現在の6代目は幅が11mもある大型の橋です。なお、郵便橋の名称は全国でも唯一で、橋名の板は東京都の逓信(ていしん)博物館で保管されています。
上富田町とフマキラー
最後に、上富田町とフマキラーの関係性についてご紹介します。
ガキ大将の森1週間キャンプinくちくまの
上富田町では、自然や森に関するプロデューサー・崎野隆一郎(さきのりゅういちろう)氏の監修による「ガキ大将の森1週間キャンプinくちくまの」を夏に開催しています。このイベントは2022年から始まり、2024年で3回目を迎えました。
「ガキ大将の森1週間キャンプinくちくまの」は、小学校4年生から中学校3年生を対象にして、上富田町の大自然と触れ合いながらコミュニケーションを通して子どもたちの成長を促す目的があります。基本的にはベースキャンプで過ごし、自然の中で目覚め、ご飯をつくり、山を歩いたり川で遊んだりする生活を送ります。
フマキラーは、この「ガキ大将の森1週間キャンプinくちくまの」に協賛しており、虫よけ製品の提供と、子どもたちに向けた虫博士の授業として、虫の疑問に対する回答や生態系に関する講演などを行なっています。
「ガキ大将の森1週間キャンプinくちくまの」のコンセプト
「ガキ大将の森1週間キャンプinくちくまの」のコンセプトは、次の3点です。
- コンセプト①「食」
食事の大切さを実感するために、米の栽培や炊き方、野菜の収穫、地域の家庭料理などを上富田町の方々から習います。最終日は、子どもたちがメニューの決定から食材の買い出し、調理まで取り組み、毎日の生活における食事の意義を学びます。
- コンセプト②「自主性」
集団の中で自ら考えて行動する自主性を促します。具体的には、借りた道具類の扱いで身につく責任感や物の大切さの気づき、1日の改善点の共有・振り返りおよび目標の設定・達成による自尊心の養成、デジタルに頼らない過ごし方・楽しみ方などを学びます。
- コンセプト③「思いやり」
グループの活動において子どもたちが自分のすべきこと・できることを発見し、互いを思いやりながら自ら進んで動くシステムを展開します。家庭や学校に戻った後も、イベントの経験を糧(かて)にしながら自分で考え行動できるような思いやりと実力を養います。
「ガキ大将の森1週間キャンプinくちくまの」の概要
2024年度の「ガキ大将の森1週間キャンプinくちくまの」は、「~仲間と過ごす8日間 熊野古道を歩き、熊野本宮大社を目指すロングウォーク~」として8月17日(土)~8月24日(土)の7泊8日で開催されました。
主なスケジュールは、1日目が「はじめの会」「テント立て」「火おこし」「地元米×羽釜(はがま)ご飯炊き」など、2日目が「手長エビ獲(と)り体験」「野菜収穫体験」など、3日目が「杖(つえ)づくり」「虫のお話」などです。
イベントの集大成として、続く3日間は熊野古道を歩いて熊野本宮大社を目指します。7日目は自由な1日ですが、夕飯は食材の買い出しと調理に挑戦します。最終日は「振り返り」「おわりの会」で締めくくります。
なお、「ガキ大将の森1週間キャンプinくちくまの」の主催は一般社団法人 南紀ウエルネスツーリズム協議会、協力は株式会社ベースブレーンワーク、後援は上富田町および上富田町教育委員会、協賛はフマキラー株式会社です。
今後のイベントの開催や募集の詳細は「一般社団法人 南紀ウエルネスツーリズム協議会」のホームページでご確認ください。
フマキラーと協定を締結
フマキラーは、上富田町と「上富田町における特定外来生物の対策に関する包括連携協定」を締結しました。<2024年12月9日(月)から>
この協定では、上富田町とフマキラーが密接に連携し、特定外来生物の早期防除及び特定外来生物による被害の低減等の対策を行うことにより、町民の方々の良好な生活環境の保全及び安全で安心なまちづくりの推進に寄与することを目的としています。
<連携の内容>
上富田町及びフマキラーは、特定外来生物に係る以下の事項について、協力し取り組んでいきます。
- 調査
- 研究
- 防除に関する普及啓発活動
- 情報交換
- 侵入発生時等の緊急対応
などフマキラーは「ひとの命を守る。ひとの暮らしを守る。ひとを育む環境を守る。」という経営理念のもと、商品開発や社会活動に取り組んでいます。
平成23年には、環境省、独立行政法人国立環境研究所と連携し、東京都大田区内に定着した特定外来生物アルゼンチンアリの地域根絶に向けた防除事業に参画し、アルゼンチンアリ防除手法の開発に協力。「アルゼンチンアリ防除マニュアル」の策定に貢献しています。
また、平成29年の特定外来生物ヒアリ・アカカミアリ侵入時は、神戸市の要請を受けてアリ対策剤を無償提供し、緊急防除作業にも参加しています。
上富田町のある和歌山県では、日本には本来存在しなかったクビアカツヤカミキリが平成29年7月にかつらぎ町で発見され、紀北地域で被害が拡大し南下している状態です。この特定外来生物は同町の基幹作物である梅の木を枯死(こし)させる恐れがあり、特定外来生物に対する専門知識を持つフマキラーとの協働により、農業の保全が期待されています。
上富田町に出かけよう!
今回は、上富田町の概要と歴史、観光スポットのほか、フマキラーとの関係性についてご紹介しました。豊かな自然が残る上富田町は、世界遺産に登録された観光スポットに加えて、少子高齢化が進む中でも人口が増加している町として注目されています。
また、フマキラーが協賛する「ガキ大将の森1週間キャンプinくちくまの」のイベントは、「食」「自主性」「思いやり」のコンセプトの下で、大自然と触れ合い、コミュニケーションを通して子どもたちの成長を促す目的で夏に開催されています。和歌山県にお越しの際は、自然と歴史が美しく調和する上富田町にぜひお立ち寄りください。