広島県で有名な果物は?主要果実・特産果実を紹介

広島県で有名な果物は?主要果実・特産果実を紹介

広島県で生産されている果物といえば圧倒的にレモンが有名ですが、それだけではありません。自然豊かな広島県では、柑橘類をはじめとして、さまざまな果物が栽培されています。

本記事では、広島県の有名な果物を主要果実と特産果実に分けてご紹介します。広島のおいしい果物を知って、ぜひ味わってみてください。

広島県で果物栽培が盛んな理由

広島県は温暖な瀬戸内沿岸部から冷涼な高冷地まで気候が多様であるため、さまざまな種類の果物が栽培されています。瀬戸内海に面した地域では、穏やかな気候と豊富な日射量によって、柑橘類を中心とした果物の栽培が盛んです。

一方、山地に近い地域は朝夕の気温差が大きいため、寒暖差がフルーツの糖度を高めます。広島県には果物狩りを楽しめる農園も多数あるため、もぎたての新鮮な果物を味わうこともできます。

広島県の主要果実

主要果実とは、農林水産省によって収穫量が調査されている果実を意味します。広島県の主要果実には、みかん・ぶどう・柿・梨などがあります。

みかん

みかん

広島県の瀬戸内海に面した地域は温暖で雨が少ないため、みかん栽培に適した気候です。沿岸部や島しょ部を中心に、みかんの栽培がおこなわれてきました。「石地みかん」は広島県発祥で、糖度が高く味が濃厚な中生(なかて)温州みかんです。皮が薄く、じょうのう(房の皮)も薄いので食べやすいことが特徴です。

呉市豊町大崎下島では、「大長みかん」が栽培されています。段々畑は水はけや風通しが良く、太陽の光が十分に当たるため、甘くておいしいみかんが育ちます。秋になると島の段々畑にみかんが実り、収穫期には島がミカン色に染まることから「黄金の島」と呼ばれるようになりました。

ぶどう

広島県では、温暖な瀬戸内沿岸から冷涼な中北部までブドウ栽培がおこなわれています。三次市はピオーネの栽培が盛んで、6次産業化を目指して立ち上げられた「広島三次ワイナリー」もあります。三次市の「三次ピオーネ」は“黒い真珠”とも呼ばれ、大粒で甘みが強いのが特徴です。

標高が高く「天空の里」と呼ばれる神石高原町は、日当たりの良さと寒暖差のある気候によっておいしいぶどうが育ちます。複数の品種が栽培されますが、なかでもピオーネの栽培が盛んです。

尾道市はデラウェアの栽培が盛んで、県内の生産量の9割を占めています。降雨量が少ない福山市もぶどうの栽培が盛んで、とくに多く栽培されているのがマスカットベーリーAです。福山市で最初のワイナリー・福山わいん工房では、自社農園でマスカットベーリーAなど4種類のぶどうを栽培し、スパークリングワインを醸造しています。

柿

広島県では柿も生産され、有名な品種もあります。安芸太田町で栽培されている「祇園坊柿(あおし柿)」は、江戸時代から植えられている広島原産の希少な柿の木です。

江戸時代に現在の広島市安佐南区祇園にある祇園社の神主が発見した渋柿の品種で、実が大きく、形がお坊さんの頭に似ていることから祇園坊柿と名付けられました。

渋抜きした「あおし柿」は、メロンのような上品な甘さが特徴です。干し柿は贈り物としても人気があります。

西条柿は、東広島市が発祥です。一般的な柿とは異なり、縦長の形状で、4つの溝があります。そのため、干し柿を作る際も手作業での皮むきが必要です。糖度は一般的な柿の平均より高いですが、渋柿なので渋抜きしたり干し柿にしたりして食べます。

福山市松永地区は、富有柿の生産が盛んです。富有柿は完全甘柿なので、渋抜きせずにすぐに食べられます。

世羅町は県内有数の梨の産地です。標高が高く、昼夜の寒暖差が大きい気候のため、糖度の高い梨の栽培に適しています。農事組合法人世羅幸水農園と世羅大豊農園が生産した梨は、「世羅なし」という生産地ブランドで呼ばれます。世羅なしの代表的な品種は赤梨の「幸水」や「豊水」です。

広島県の特産果実

続いて、広島県の特産果実をご紹介します。広島県の特産果実でとくに有名なのがレモンをはじめとした柑橘類です。温暖で雨が少ない島しょ部を中心に、傾斜地を利用して、さまざまな柑橘類が栽培されています。

レモン

レモン

広島県はレモンの生産量が日本一で、令和3年時点の生産量は4,401t、全国シェア51%となっています。

【参考】広島県「瀬戸内 広島レモンとは

広島県で生産されるレモンは「広島レモン」や「瀬戸内レモン」と呼ばれます。JA広島果実連の栽培基準に沿って栽培され、管理下で販売されるレモンは「広島レモン」と呼ばれ、腐敗防止剤、ワックスを使用しないことが特徴です。一方、瀬戸内レモンは瀬戸内海沿岸で栽培されているレモンの総称です。

広島県でのレモン栽培は古く、豊田郡大長村(現在の呉市豊町大長)が明治31年に和歌山県からネーブルの苗木を購入した際に、レモンの苗木が3本混入しており、それを試植したのが始まりとされています。

広島県でレモンの生産が盛んなのは、広島県がレモンの栽培に適した気候であるからです。レモンは雨や風によってかいよう病に感染することがあり、冬の寒さに弱いため、温暖で雨が少ない気候の瀬戸内沿岸は、レモンの栽培に適しています。広島県では、主に呉市や尾道市、大崎上島町などの島しょ部を中心に生産されています。

なかでもレモンの産地として有名なのが、しまなみ海道のほぼ中央に位置する尾道市瀬戸田町です。瀬戸田町は瀬戸内海の生口島(いくちじま)と高根島(こうねじま)の2つの島からなり、年平均気温は15.5℃と温暖で、雨が少なく風も穏やかな気候が特徴です。急傾斜地が多く、水はけが良い土壌もレモン栽培に適しています。瀬戸田町では安全性の観点から皮まで食べられるレモンづくりに取り組んでいて、「せとだエコレモンⓇ」は収穫後も防カビ剤・防腐剤・ワックスを一切使用しない、環境にも人にも優しいレモンです。果皮まで安心して食べられます。

広島レモンの露地物は10月から出荷が始まり、10月~12月は清涼感が抜群のグリーンレモンとして出荷。1月~5月はまろやかな酸味のイエローレモン、6月~7月は端境期ですが、一年を通して広島レモンを利用したい方に向けて鮮度保持フィルムで個包装したレモンが出荷されます。7月~10月はハウスレモンが出荷されるため、広島レモンは1年を通して全国に出荷されています。

レモン以外の柑橘類

広島県では、島しょ部を中心に傾斜地を利用してさまざまな柑橘類が栽培されています。レモン以外では、次のような柑橘類の生産量が全国でも上位です。

  • 八朔(はっさく)
  • ネーブルオレンジ
  • ハルミ
  • ハルカ

八朔の生産量日本一は和歌山県ですが、原産地は広島県尾道市です。パリッとした歯ごたえと甘さの中にほんのりとした苦みがあります。ネーブルオレンジは果汁が多く、香り豊かで甘みと酸味が強いのが特徴です。皮は手でむきにくいため、くし形のスマイルカットにすると食べやすいでしょう。

ハルミは清見にポンカンを交配させた柑橘です。果汁が多くて糖度が高く、皮が柔らかいので手で簡単にむけます。ハルカは鮮やかな黄色の柑橘で、レモンに似ていますが、酸味は少なく上品な甘さが特徴です。皮が固くて種があるため、中心部分を残すようにカットするJA広島果実連オリジナルの食べ方「はるカット」で食べるのがおすすめです。

いちじく

いちじく

広島県はいちじくの生産も盛んで、主に蓬莱柿(ほうらいし)という品種が栽培されています。蓬莱柿(ほうらいし)は「白いちじく」とも呼ばれ、とくに西日本での栽培が多い品種です。上品な甘みとほどよい酸味が特徴で、ぷちぷちとした食感を楽しめます。完熟すると果頂部が割れてくるため、日持ちはよくありません。

広島県内のいちじくの主な生産地は尾道市、福山市、広島市西区(古江地区、高須地区、田方地区)です。尾道市は広島県内一の産地で、県内の出荷量の75%を占めています。また、古江地区で栽培される「古江いちじく」は、広島のブランドいちじくで、皮が薄く甘みが強いのが特徴です。

ブルーベリー

豊田郡大崎上島町には、西日本で初めてブルーベリーを栽培した農園があります。大崎上島町のブルーベリーは目に良いといわれるアントシアニンの含有量が豊富なのが特徴です。

また、東広島市豊栄町や広島市安佐北区、世羅郡世羅町などにはブルーベリー狩りが楽しめる観光農園があります。ブルーベリーの食べ放題や食べ比べ体験のほか、オリジナルスイーツも味わえるので、家族連れにもおすすめです。

オリーブ

瀬戸内はオリーブの産地として有名です。国内シェアは香川県(主に小豆島)が圧倒的ですが、広島県も上位にランクインしています。広島県内の主に島しょ部や沿岸地域は雨が少なく日照時間が長いことや、台風が少ないことなど、地中海の気候に似ているためオリーブの栽培に適しています。

江田島市や呉市など瀬戸内沿岸で栽培したオリーブを使ったブランド「安芸の島の実」は広島の新名物です。江田島には「安芸の島の実」のアンテナショップ「江田島オリーブファクトリー」があり、栽培や収穫から飲食、販売まで行っています。

オリーブオイル「安芸の島の実 江田島搾り」は、丁寧に栽培したオリーブを、収穫したその日のうちに江田島オリーブファクトリーで搾油した商品です。その品質は国内外で高く評価されており、オリーブの本場イタリアをはじめとして、国際的なコンテストで最高ランクの賞を数多く受賞しています。

まとめ

広島県産レモンは全国的に有名で、日本一のレモンの産地としても広く知られています。しかし、広島県ではレモン以外にも多くの果物が生産されており、果物狩りを楽しめる農園も豊富です。

広島県の気候は島しょ部の温暖な瀬戸内式気候から標高が高く寒暖差の大きい内陸部までさまざまなので、地域ごとに異なる気候を生かしてさまざまな果物が栽培されています。

広島県のおいしい果物を味わうために、旬の時期に訪れてみてはいかがでしょうか。

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