2018年1月25日 | 園芸・ガーデニング
土作りのポイント – 土の種類と特徴【ガーデニングの基本】
植物を育てる上で大切なことは複数ありますが、そのうちの一つが「土作り」です。ガーデニングで使用する土は種類も豊富であり、植物との相性の良さも考慮する必要があります。
しかし、これからガーデニングを始める方は土の種類や特徴などは全くわからないということが多いと思います。そこで今回はガーデニングで使用する土の種類や特徴、そして土作りで大切なポイントなどを解説します。
ガーデニングの土作りで意識しておきたいポイント
これからガーデニングを始めるという方を中心に最初に躓くのが「土作り」です。良い土を作るためにはいくつかの大切なポイントがあります。このポイントを無視した土作りを行うと植物が順調に育たない可能性も。
そこでまずはガーデニングの土作りをする時に最低限意識しておきたいことをまとめましたので解説します。
根を十分に張れる深さ&硬さ
一口に土といってもサラリとした軽い土から粘土質の重たい土までさまざまな種類の土が存在します。そしてガーデニングや園芸(特に野菜)では主に粘土質と砂の中間ほどの手触りの土が好ましいとされています。このような特徴を持つ土を「壌土」と呼びます。壌土をふかふかの状態になるまで耕すことで植物の根はより張りやすくなります。
なぜガーデニングにおいて根を十分に張れる土が重要なのかという点ですが、根は土から栄養や水分を吸収するためです。また根は自身の成長だけではなく、茎や葉を支える役目も持っています。そのため、土の中にしっかり根を張り、安定感を保つことが重要とされているのです。
保水性・排水性
保水性とはいわゆる「水もち」のことです。水分を一時的に保持しておく能力もガーデニング用の土では必要となります。また排水性とは「水はけ・通気性」のことを指します。植物の多くは排水性が高い土を好みます。
また排水性=水はけが良いということになるため、土も乾きやすく新しい新鮮な水をどんどん与えることも可能です。基本的に保水性と排水性は全く逆の能力を持っているため、一見すると矛盾しているようにも思います。
しかし、植物を育てる上では保水性と排水性は欠かすことができません。水はけが良すぎると乾燥しやすく根は水を吸収することができなくなります。ただし、保水性が高く湿りやすい状態だと根は酸素を吸うことができずに腐ってしまいます。
このような理由からガーデニングでは保水性と排水性の両方を兼ね備えた土作りが大切とされています。
保肥性
保肥性とは文字通り「肥料を保つ能力」のことです。前述のように良い土作りには適度な水はけの良さも大切です。しかし、あまりに水はけが良いと植物の大事な栄養分である肥料まで水と一緒に流れることになります。そのため、排水性と保水性と加えて保肥性もガーデニングの土作りでは重要なポイントです。
適度な酸度(Ph)
肥料や水もしっかりやっているのに「育ちが悪い」と感じたら、土の酸度(Ph)を疑ってみてください。水と同様に土にも酸性とアルカリ性があります。植物を育てる上ではこの酸度がどちらかの性質に偏りすぎるのは好ましくありません。
もちろん、原産地によっては弱酸性を好む植物もあれば、弱アルカリ性の土で成長する植物もあります。そのため、ガーデニングをする上で大切なことは自身が育てたい植物がどのような土を好むかをしっかりとリサーチすることです。
ちなみに一般的に多くの植物は「中性~弱酸性」の土を好むといわれています。また土の酸度は雨の量によって変化する性質を持っています。これは土にはもともとカルシウム、カリウムといったアルカリ性を示す物質が含まれており、雨が降らない地域ではアルカリ性の土が中心です。
基本的に年間を通して雨が降りやすい日本ではこれらのアルカリ性を示す成分が雨で流されてしまうため、「酸性壌土」が多いとされています。また酸度調整に使うアルカリ資材は消石灰、苦土石灰、牡蠣殻などが中心です。
ガーデニングで使用する土は「基本用土」と「補助用土」に分類される
ガーデニングや園芸で使われる土は複数の組み合わせで作られるのが一般的です。そして、ガーデニングで使用する土は主に「基本用土」と「補助用土」の2つに分類されます。まず、基本用土ですがこちらはブレンドした時の土壌全体の5割以上を占める土のことです。
つまりガーデニングで使用する土の中でも主役に該当する土となります。詳細は後述しますが、同じ基本用土でも種類によって保水性、排水性などは異なります。一方の補助用土ですが、こちらは基本用土の改良のために使用される土のことです。
具体的には「基本用土は保水性に不安があるから、補助用土で補おう」という時などに活躍します。補助用土も基本用土同様に保水性、排水性、保肥性などにおいて異なる特性を持っています。
主な基本用土の種類と特徴を解説
ここからは実際にガーデニングで主役級の活躍をする主な土とその特徴を紹介します。まずは基本用土の種類と特徴をご覧ください。
黒土
その名称通り、他の土よりも黒く見えるのが特徴です。黒土は火山灰度(かざんばいど)の一種で有機質が多く含まれています。ちなみに黒土は踏むと「ボコボコ」「ボクボク」といった音を発することから、別名「黒ボコ」「黒ボク」とも呼ばれることがあります。
一般的に畑用の土として知られており、肥料持ち(保肥性)と水もち(保水性)に優れています。ただし、黒土そのものに含まれている肥料成分は少ないため、黒土単体で植物を育てるのは難しいです。
また黒土にはリン酸を吸着する性質があり、リン酸を多く必要とする植物を育てる上では不向きです。しかし、前述のように保肥性と保水性に関しては太鼓判を押すことができるため、現在ではガーデニング用の基本の土として多くの人に親しまれています。
赤玉土
こちらも黒土同様ガーデニングを行う上では主流となる土の一つです。赤玉土は関東平野の火山灰層となる関東ローム層の赤土のことを指します。採取した赤玉を砕き、ふるうことで小粒、中粒、大粒に分類することができるため、幅広い用途に利用されている便利な土です。赤玉土自体には植物の栄養となる成分は含まれていません。
しかし、赤玉土は植物を育てる上では欠かすことができない「排水性」「保水性」「保肥性」「通気性」に優れています。そのため、ガーデニングや園芸においての出番は非常に多くなっています。また赤玉土は栄養素が含まれていないため、菌が寄り付かないというメリットがあります。そのため、室内で衛生的に植物を育てたい時にも適しています。
鹿沼土
「かぬまつち」と呼ばれる鹿沼土。粒上のベージュ色、黄褐色の土であり、その見た目は前述の赤玉土と非常によく似ているのが特徴です。また赤玉土と同様にふるいにかけて大きさごとに分類されます。
粒の大きさごとに排水性や保水性にも変化が見受けられ、一般的に粒が大きくなるほど排水性が高まり、保水性は低下します。反対に粒が小さくなればなるほど排水性は下がり、保水性が上昇します。
鹿沼土は基本的に酸性の土であり、国内でよく見かける山野草などを育てるには非常におすすめです。またその他にもブルーベリー、フランネルフラワー、サツキ、ツツジなどの植物と相性が良いとされています。安定した排水性、保水性が魅力でもあるため、ガーデニング初心者には優しい土と言えるでしょう。
日向土(ボラ土)
日向土(ボラ土)とは九州の宮崎県南部地方の霧島系火山帯で採取することができる軽石です。日向土は「ボラ土」とも呼ばれていますが、この2つの違いは乾燥度合いです。一般的に乾燥しているものを「日向土」、湿り気があるものを「ボラ土」と呼びます。
日向土の特徴はその硬さです。通常の土だと長期間使用することで粒が崩れるため、時間の経過とともに排水性が低下します。しかし、日向土は長期に渡って使用しても粒が砕けることがないため、繰り返し使うことが可能です。また非常に多くの穴が開いていることから、水はけにも優れています。
そのため、空気や栄養分を保つことも可能となります。日向土のPh(酸度)は日本で採れる他の土とほぼ同様の5~6であり、弱酸性の土に該当します。そのため、中性~アルカリ性の土を好む植物を育てる時は少量のアルカリ資材を混ぜるのがおすすめです。
主な補助用土の種類と特徴
続いては基本用土の改良の役割を持つ補助用土の主な種類と特徴をご紹介します。
腐葉土
落ち葉や枯れ草が分解して土壌となったものが腐葉土です。基本的に黒っぽい色の土であり、手にとって嗅ぐと独特の香りがするため、他の土との区別は容易につきます。腐葉土は保水性や排水性に優れており、土を柔らかくする効果があります。
またハーブ栽培や多肉植物を育てる上では基本となる土となります。その他腐葉土は植物に必要な栄養素を豊富に含んでいるため、基本用土の不足している部分をスムーズに補うことが可能です。また適度な保温作用も持ち合わせており、太陽光や冷風を遮断する力にも優れています。
堆肥
堆肥(たいひ)は腐葉土と同様にガーデニングシーンにおいては頻繁に登場する補助用土の一つです。この堆肥と腐葉土ですが「違いは何なの?」という疑問をよく見かけます。まず腐葉土は前述のように主に落ち葉が堆積して、発酵した土のことです。
一方の堆肥は落ち葉の他にもわら、その他植物性由来の有機物が堆積して、発酵した土となります。堆肥も腐葉土も保水性、排水性、保肥性に優れていますが原料が異なります。また堆肥は原料によってバーク堆肥や牛糞堆肥など複数の種類が市販されています。植物がよく育つふかふかの土を作る上では欠かせない補助用土と言えるでしょう。
ピートモス
水苔やシダなどが堆積されてできたのがこちらのピートモスです。見た目は腐葉土をさらに細かくした粉状となっており、乾燥状態では淡い褐色になっていることが多いです。ピートモスは腐葉土の一種と考えることもできますが、ピートモスが生成されるのは湿地帯などの環境です。そのため、腐葉土とは分解過程も異なり、土の性質も強い酸性となっています。
またピートモスは育苗や鉢土としても使用されますが、湿地帯の植物や山野草との相性も良好です。ピートモスは使い始めは水がなじみにくい性質を持っていますが、一度水がなじむとその後の保水性は非常に良くなります。ちなみにブルーベリーなどのメジャーな植物もピートモスとの相性は良好です。
バーミキュライト
酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化アルミニウムを主成分とする人工的に作られた土です。バーミキュライトは別名「蛭石(ひるいし)」とも呼ばれており、保水性、排水性、保肥性に優れているのがポイント。
また無菌でもあるため、綺麗な環境を必要とする挿し木、種まき用などの土には非常に適しています。このようにバーミキュライトは植物を育てる上で必要な要素が揃っていることから、水耕栽培の土としても使用されることがあります。
また多くの穴が表面に開いているため、断熱性や保温性にも優れています。植物も真夏の暑さなどには弱いため、成長しやすい環境を整える上でバーミキュライトは欠かすことができません。
これからガーデニングを始める方必見!主な用土の配合例を紹介
土の種類や特徴などを把握したら、実際に用土をブレンドしてみましょう。ここではガーデニングを行う上で基本となる、主な用土の配合例をまとめましたので参考にしてください。
赤玉土を使用した配合例
赤玉土を使用した配合例で最も有名なのは【赤玉土60%~70%・腐葉土30%~40%】のブレンド用土です。この組み合わせは万能タイプの王道ブレンド用土ともいわれており、多くの植物が成長しやすい環境です。
またベランダで育てている植物は土が乾燥しやすいのがデメリットです。そこでベランダで植物を育てている方は【赤玉土80%・バーミキュライト20%】を試してみてください。バーミキュライトの保水性が乾燥から植物を守ってくれます。
この他にも観葉植物など室内で植物を育てる時は【赤玉土70%・ピートモス30%】がおすすめ。ピートモスは無菌の土でもあるため、衛生面で大きな効果を発揮してくれます。
鹿沼土を使用した配合例
鹿沼土は赤玉土と比較すると酸性に傾いている土です。そのため、酸性の土を好む植物との相性は良好です。酸性を好む主な植物はアジサイ(青色)、ブルーベリー、ツツジ、サツキなどがありますが、これらは【鹿沼土60%・腐葉土40%】の組み合わせが好ましいとされています。
また【鹿沼土20%・赤玉土50%・ピートモス30%】の土は水はけも良くなり、根が腐りにくいという特徴があります。土が乾きにくい室内で植物を育てる時などにはおすすめです。
土作りの基本を学んで楽しいガーデニングライフを満喫しよう!
植物を育てる上では光や水など大切な要素が複数ありますが、土もその一つです。土の作り方を間違えると大切な植物もすくすくと育ってはくれません。そのため、これから趣味でガーデニングを始める方などは土作りの基本を学んでおくことを推奨します。
今回ご紹介した土の種類や配合例などはあくまでも基本的な部分です。さらにガーデニングに関する知識を身に付けたい方はガーデニングや園芸雑誌などに掲載されている専門家の意見を参考にするのもよいでしょう。正しい植物の育て方を知って素敵なガーデニングライフを満喫してくださいね。