年賀状は古くて新しいコミュニケーション手段かも

日本の伝統文化と言われる年賀状ですが、ここ数年は、需要の減少やメールを使った挨拶など、価値観の変化や方法の多様化などで減少の一途をたどっています。2018年の発行枚数は、前年の31億4千万枚から25億8千万枚へと大幅に減少しているようです。
この先、年賀状がなくなることはないとは思いますが、年賀状のことを少し調べてみました。

年賀状のはじまり

年賀状のはじまり、明治初めの郵便制度の発足、あるいは1949年のお年玉付き年賀ハガキの発行と思われているようですが、11世紀中頃の平安時代後期に、藤原明衡(ふじわらのあきひら)という人の年賀状の例文が書き遺されているそうです。
とは言え、年賀状の習慣がいつ頃から始まったのかは、明確にはわからないそうです。
ただ、その後、読み書きができる人の増加や飛脚などの配達手段が発達した時代頃から、手紙や年賀状の交換も増えていったそうです。

印刷枚数の推移

年賀ハガキの発行枚数を見ると、戦後の日本の経済復興や人口増加に伴い増加し、1964年には10億枚、1973年には20億枚を超えたそうです。ピークは2003年の44億5936万枚で、その後は徐々に減少し、2016年の発行枚数は32億枚、2017年の発行枚数は31億4千万枚、そして2018年の発行枚数は7年連続の減少で、25億8600万枚となるそうです。

枚数減少の背景には、年賀状文化そのものの需要の低下や、インターネットなどを利用した年賀状にかわる方法が多様化していることと、さらに、団塊の世代の退職でビジネスでの利用が縮小していることがあるようです。

くじ付き年賀ハガキの誕生

いまでは当たり前のくじ付き年賀ハガキですが、発行がはじまったのは1949年12月だそうです。年賀用のくじ付きハガキは、京都に住む林 正治さんによって考案されたそうです。

当時、林さんは大阪の心斎橋で用品雑貨の会社を経営していたそうで、この年の6月にアイディアを思いついて、見本のハガキを作り、宣伝用のポスターとお年玉の賞品案をもって当時の郵政省に提案し、採用されたそうです。戦後の当時は、新聞やラジオが尋ね人の消息を求めていた時代でしたが、林さんは、年賀状が復活すれば、お互いの消息がわかると思ったそうです。
(郵政研究所付属資料館「年賀状の歴史と話題」より)

年賀状のマナー


年賀状の表面には「年賀」を朱書きで書きます。
裏面の書き方ですが、

① 文頭に「謹賀新年」などの賀詞を大きめに書きます。
② 旧年や日頃のお付き合いへの感謝や新年を喜ぶ言葉、近況報告などを簡潔に書きます。
③ 今後の指導や変わらぬ親交を願い、相手の健康・幸福や繁栄を祈ります。
④ 日付は年号から書きますが、西暦でもかまいません。
⑤ 一言の添え書きは、小さめの字で短くまとめます。

また、よくあるのが出し忘れてしまった人や出していない人からの年賀状が届いた場合です。この場合は、返事を書かないことがもっとも失礼にあたりますので、なるべく早く返信しましょう。年賀状の発送が遅れた理由は書く必要はありません。いただいた年賀状に対するお礼の気持ちを添えますが、目上の人の場合には、かえって失礼になりますので、普通の年賀状として書く方がいいそうです。

年賀状で気持ちのいい一年を

年々年賀状は減っていますが、現在でも国民1人あたり約35通の年賀状が出されているわけですから、年賀状への需要はまだまだ続くと思います。とは言え、価値観の変化や方法の多様化により、メールによる挨拶が一般化してきているのも事実です。

年賀状は日本の伝統文化ですが、あまり形態にとらわれずに、一瞬でも家族や友人、大切な人を思い、感謝や祈りの気持ちを伝えることで、気持ちのいい一年を過ごせるのかなと思います。年賀状って、意外と古くて新しいコミュニケーション手段かも知れません。

「For your LIFE」で紹介する記事は、フマキラー株式会社または執筆業務委託先が信頼に足ると判断した情報源に基づき作成しておりますが、完全性、正確性、または適時性等を保証するものではありません。

こちらの記事もオススメです!