2018年1月5日 | 虫
チョウたちの越冬
春、夏、秋と私たちを楽しませてくれるいろんな蝶たち。モンシロチョウ、アゲハチョウ、そして日本の国蝶であるオオムラサキなど、チョウには子供の頃から親しんできましたね。でも冬になると、ほとんど蝶の姿は見かけませよね。どこへ行ったのでしょう。そう、いろいろな形でひっそりと「冬ごもり」をしているのです。
蛹(さなぎ)で越冬するチョウ
日本は美しい四季のある国です。だから地域によって差はありますが、冬はとても寒い。虫たちにとっても「越冬」は生死をかけた一大事なのです。さて、誰もが一番よく見かけてきたと思われるモンシロチョウやアゲハチョウの仲間は・・・さなぎで冬を過ごします。菜の花畑などで春から乱舞する姿をよく見かけますが、その近くの木や倉庫など軒下などに、ひっそりとさなぎを見かけることがありますよ。注意してみてみると良いかもしれませんね。
卵で越冬するチョウ
アイノミドリシジミや、アカシジミなどは卵で冬を越します。余談ですが最近はウイスキーの熟成樽として有名になってきたミズナラの木。アイノミドリシジミの卵はそのミズナラの新芽の間に産み付けられていることも多く見かけられるようです。
そして卵で冬を越し、春に幼虫になり、夏に美しい成虫として大空に羽ばたくのです。緑や青にキラキラと輝く羽を持つことから「森の宝石」とも言われています。
幼虫で冬を過ごすチョウ
日本の国蝶であるオオムラサキは幼虫で冬を越します。晩秋に葉を落としたエノキの木の根元などで見つかることも多いようです。背中の突起が4つあることが特徴とされています。オオムラサキは7月ごろ成虫となり大空に羽ばたきます。山梨県北杜市周辺がオオムラサキの生息地として有名ですが、そこでも雑木林の樹液を吸いに集まってくるようです。見つけられると良いですね。
成虫で冬を過ごすチョウ
ムラサキシジミやキタテハ、アカタテハ、ヒオドシチョウなどは成虫で冬を過ごします。例えばヒオドシチョウは地面(枯れ葉)の上で、じっと動かずに寝ています。冬眠と言って良いのでしょうか、このまま春を迎えます。キタテハは、見つからないように枯れ葉そっくりの羽を持っており、外敵から身を守るように枯れ葉の中に紛れ込んでじっとしています。アカタテハは体から熱を逃がさないように、触覚を引っ込めやはり動かずにいます。つまり、これらのチョウはいろんな工夫をしながら成虫のまま春を迎えます。
渡り鳥のように大陸を移動するチョウ
最近テレビ番組等でも取り上げられていますが、オオカバマダラというチョウは、アメリカ、カナダからメキシコまで何千キロも北上、南下をしながら生き続けている「驚異のチョウ」です。そう冬は「集団南下」でやり過ごす、と言えるかもしれません。
MBS放送のテレビ番組「世界ふしぎ発見!」で紹介された時のホームページを引用しますね。
「アメリカからメキシコへ、そしてまたアメリカへ。なんと4000キロも旅をする蝶、オオカバマダラのふしぎな生態についてリポートする。蝶たちは11月頃から越冬のためにメキシコのミチョアカン州にあるオヤメルの森に集まる。森は標高3200メートルの山頂付近にある。 蝶たちはこの地で春まで過ごすが、その数は1億匹にも達する。一本の木にびっしり蝶が止まった光景はとても神秘的。 そして春を迎え、およそ6割が旅立つ。オスたちは交尾をした後、その役目を終えてしまうのだ。元気なメスたちだけが子孫を残すためにアメリカへと北を目指す。」すごいですね。
日本にも長距離移動するチョウがいます
アサギマダラというチョウは、まさに浅葱色(あさぎいろ)をした美しいチョウですが、近年このチョウが日本列島を、いや列島を飛び越えて琉球諸島や台湾、香港までという長距離移動していることがわかってきました。
そして、1980年代から全国各地の個人や有志が「マーキング」し、どこからどこへ移動したか、という情報が共有されるようになり、その驚くべき正体がほんの少しずつですが解明されつつあります。
皆さんもマーキングに参加されてはいかがでしょう。以下は群馬県の赤城自然園のホームページの一部引用とURLです。
アサギマダラの移動(再捕獲)情報
赤城自然園でマーキング(AP標識)したアサギマダラの再捕獲事例と他でマーキングされたアサギマダラの赤城自然園での再捕獲事例の記録を掲載します。
http://akagishizenen.jp/asagimadara/