【メロンの育て方】基本の育て方やプランターでの栽培方法も解説

【メロンの育て方】基本の育て方やプランターでの栽培方法も解説

みずみずしい果肉と、とろけるような味わいが魅力のメロン。贈答品やパーティーなどに欠かせない、高級でおしゃれなイメージをもつフルーツのひとつです。近年では品種が増え、家庭菜園でも気軽に栽培できるようになりました。

今回は、メロンの基礎知識と育て方のポイント、基本的な育て方、トラブルと対処法などについてご紹介いたします。

メロンの基礎知識

メロンの基礎知識

はじめに、メロンの基礎知識をご覧ください。

メロンの分類と種類

ウリ科キュウリ属に分類される一年草で、収穫期は6~8です。メロンの語源は、「リンゴのようなウリ」を意味するギリシャ語の「melopepon(メーロペポーン)」とされています。

メロンは東洋系と西洋系に大別され、東洋系には従来の「マクワウリ」などがあります。西洋系では、温室で栽培する「マスクメロン」、ハウスで栽培する「アンデスメロン」や「夕張」、フレームにビニールをかけたトンネルで栽培する「プリンスメロン」や「ホームランメロン」などが有名です。

果肉の色は白や緑、赤(オレンジ)で、表面に網目模様があるものを「ネットメロン」、模様がないものを「ノーネット」などと呼ぶこともあります。近年では、小型で育てやすい家庭菜園向けの品種も多く流通しています。

メロンの歴史

アフリカ大陸のニジェール川流域を原産とする説が有力で、中近東やインドなどとする説もあります。西洋系のメロンはエジプトや南ヨーロッパで、東洋系のメロンは中国で、それぞれ改良されたものと考えられます。

国内では、弥生時代の遺跡から東洋系のマクワウリのタネが発掘されています。明治の半ばから終わりごろに西洋系のメロンが伝来し、大正に入って温室で栽培する方法が開発されました。しかし、当時のメロンは高級で手の届かない存在だったと考えられます。

昭和37年、マクワウリと西洋系のメロンをかけ合わせたプリンスメロンが登場します。露地栽培が可能で収穫量も多く、甘みと香りのよさから「大衆メロン」として広く知れ渡りました。また、昭和52年に栽培が容易なアンデスメロンが誕生し、高級品だったネットメロンも気軽に購入できるようになりました。

メロンの栄養

実の9割近くが水分で、糖分やカリウムを豊富に含みます。果肉が赤いメロンは、βカロテンが豊富です。

メロンは数日~10日ほど常温に置いて追熟(ついじゅく)させ、食べごろのサインが出たら冷蔵庫で1~2時間ほど冷やすと、おいしく味わうことができます。

メロンの育て方のポイント3つ

メロンの育て方のポイント3つ

メロンの上手な育て方は、次の3点を押さえてください。

① 整枝(せいし)

つる性のメロンは、放置すると非常に多くのつるが伸びます。「整枝」の作業で必要なつるだけを残し、絡まないように育てましょう。

② 人工授粉

自然に任せるよりも、人工授粉をすると実のなる可能性が高まります。後にご紹介する方法で、雄花(おばな)を雌花(めばな)につけて授粉してください。

③ 摘果(てきか)

つるに多くの実がつくと、栄養が分散してよい実が育ちません。「摘果」と呼ばれる作業で発育のよい実を残し、糖度を上げましょう

メロンの栽培に必要なもの

メロンの栽培に必要なもの

シャベルなどの基本的ツールのほかに、以下のものが必要です。

畑または鉢やプランター

メロンには、病気や生育不良などが現れる「連作障害(れんさくしょうがい)」が起こりやすいため、畑は前年に同じウリ科の植物を育てた場所を避けてください。鉢は10号以上のもの、プランターは深さ30cm以上、幅60cm以上のものを用意しましょう。

苗またはタネ

タネからの栽培は温度管理などが難しいので、はじめての栽培には苗の購入をおすすめします。とくに初心者の方は、育てやすい小型のメロンや、ほかの植物と接ぎ木(つぎき)した病気に強い苗がよいでしょう。苗は茎が太くて葉の色が濃く、根がよく育ったものを選んでください。

メロンのタネは袋の有効期限を確認し、育て方がわかりやすく記載された商品を購入しましょう。タネから育てる場合は、園芸用ポットやタネまき用の土、保温用の簡易ハウスなども用意してください。

肥料やマルチシートなど

畑の土は、石灰やたい肥、腐葉土(ふようど)、肥料を混ぜて下準備します。果物や野菜を育てる肥料は、植物や魚などを原料にした有機質のものをおすすめします。畑では、黒いマルチシートやマルチ押さえ、植えつけ用の穴をあける器具も必要です。

フレームや支柱など

家庭菜園におけるメロンの栽培は、トンネル栽培や支柱を利用する「立ち作り」、または鉢で栽培する「あんどん仕立て」が一般的です。トンネル栽培をするときは、フレームとビニール、実の下に敷くメロン用のマットも用意してください。

立ち作りには支柱とネットを使い、あんどん仕立てには市販のリングつきの支柱や、3~4本の支柱にワイヤーなどを渡したものを用意します。立ち作りやあんどん仕立てでは、実をつるす袋やひも、ビニタイなどがあるとよいでしょう。

コンパニオンプランツ

メロンと相性のよいコンパニオンプランツを導入する育て方もおすすめです。植えつけの際、同じ穴にネギを植えると、病害虫の予防が期待できます。また、近くにヒマワリを植える方法は、土壌の水分量を調整したり受粉をうながす益虫を寄せつけたりするとして、従来から用いられています。

家庭菜園で挑戦!メロンの育て方

家庭菜園で挑戦!メロンの育て方

それでは、メロンの基本的な育て方をご紹介いたします。品種によって詳細は異なるため、それぞれの育て方に従ってください。

土の下準備

畑の土は古い根や石などを取り除き、下から掘り返して日光に当てて消毒します。植えつけの2週間ほど前に石灰をまいて酸性の土壌を中和し、たい肥や腐葉土を混ぜておきます。メロンはつるがよく伸びるので、畝(うね)の幅を2.5mほどに作って黒いマルチシートを施しましょう。トンネル栽培用のフレームを立ててビニールを張り、植えつけまでに地温を上げます。

鉢やプランターの栽培には、市販の野菜や果物用の土を用意しましょう。古い土を再利用する場合は前年にウリ科の植物を育てていないことを確認し、石灰で中和してからたい肥などを混ぜて準備してください。

タネをまく場合

4月に入ったら園芸用ポットに土を入れ、深さ1cm、直径3cmくらいの穴を作ってタネを3~4粒まきます。軽く土をかぶせて静かに水を与え、簡易ハウスなどで25~30℃に保ちましょう。発芽後は昼間の温度を30℃以下に抑え、夜間は15~20℃に設定します。

本葉が1~2枚出たら、生育の悪い芽を間引いて2本を残します。本葉が2~3枚のころには1本にし、4~5枚に育ったら植えつけましょう。

植えつけと水やりなど

植えつけの時期は、最低気温が14℃以上になる4月中旬以降が適しています。植えつけの穴は、60~80cmくらいの間隔でマルチシートの片側にあけ、つるを広げるスペースを確保します。メロンは根を浅く張る性質をもつため、浅植え(苗の土の表面がマルチシートと同じかやや上に出るくらい)にして水を与えます。

鉢やプランターで育てるときも、苗を浅めに植えつけて水をたっぷりと与えます。植えつけ後に気温が下がるときは、園芸用のキャップやビニールなどで保温しましょう。

水やりと管理

メロンは過湿を嫌うので、雨よけとしてトンネル栽培を続けます。畑の水分は降雨だけで構いませんが、猛暑などで長く土の乾燥が続くときは水やりをしてください。日中はビニールのすそを開け、内部の風通しをよくして温度を調節します。夜間に15℃を下回らない気候になったら、1日中すそを開けたままで構いません。

鉢やプランターの水やりは、春から秋は朝に1回、夏の間は朝と夕方の2回がよいでしょう。雨の日は鉢やプランターを軒下(のきした)などに移動し、過湿を避けてください。

整枝のポイント

品種によって異なるため、それぞれのメロンの育て方に従いましょう。基本的な整枝は、メインとなる親づるの本葉が4~5枚になったら先端を摘芯し、生育のよい子づるを2本残します

それぞれの子づるの下から数えて10本目までの孫づるを取り除き、11~15本目の孫づるを残して実をつけさせます。11~15本目の孫づるは、雌花と葉を2枚だけ残して先端を摘芯します。

16~22本目の孫づるは切るか葉を1枚だけ残して切り、25本目の孫つるが出たら子づるの先端を摘芯します。

先端から数えて3本の孫づるは、「遊びづる」として伸ばします。

遊びづるを伸ばすことで根の働きが促進されると同時に、生長の勢いを確認することができます。立ち作りやあんどん仕立ても同様に親づるを摘芯して子づるを2本残し、支柱やネットにつるを絡ませましょう。

人工授粉の方法

よい実をつけるために、人工授粉をしてください。子づるや孫づるに咲いて花の下がふくらんでいるものが雌花、親づるに咲いて花の下が細いものが雄花です。最低気温が15以上の気候になったら、朝10時くらいまでに雄花を摘み取って雌花につけます。

開花した日や人工授粉した日をラベルに記して雌花に取りつけると、収穫の目安になります。

肥料の与え方

追加の肥料は、品種に合わせて与えてください。一般的には、実がふくらんだころや実がついて10日ほど過ぎたころを目安に与えます。メロンは肥料が多すぎると収穫量が減るため、少なめに追加してください。

摘果と玉直し

受粉させてから7~10日後、実がピンポン玉または卵くらいの大きさになったら摘果のタイミングです。つるの根元に近い部分や先端側につく実、小型で丸い実や細長い実はよい形に育たないので摘果してください。1本のつるには、中央につくやや縦長の実を2個残します。自然交配でついた実は、見つけ次第摘果してください。

受粉して15日くらい過ぎたら、実の色が薄い部分を表側にする「玉直し」の作業をおこないます。トンネル栽培では、同時に実の下にメロン用のマットを敷き、ひび割れや腐敗を防いでください。実をつるして栽培するときは、網の袋に入れて支柱からつるします。作業の際は、実が取れないように丁寧に扱いましょう。

収穫のタイミング

収穫のタイミングは品種によって異なりますが、一般的には開花から50~60日くらいです。実がついたつるの葉が全体的に黄色くなり、ヘタが取れやすいなどの状態になったら収穫してください。収穫後は常温で数日~10日ほど置き、食べごろになってから冷蔵庫で冷やしましょう。

トラブルと対処法

トラブルと対処法

最後に、メロンの栽培で起こりやすいトラブルと対処法についてご紹介いたします。

メロンの実がならない

実がならない原因には、肥料の多さや未受粉が考えられます。元肥は控えめにし、追加の肥料も少なめに施してください。また、メロンは孫づるに実がつくため、先述の育て方を参考にしながら整枝し、人工授粉に取り組みましょう。

メロンに発症しやすい病害虫

茎や葉に病斑(びょうはん)や黒点が出て枯れる「つる枯(がれ)病」、茎にヤニやカビが発生してしおれる「つる割(われ)病」のほか、白い粉状のカビが発生する「うどんこ病」、葉に多角形の模様が出る「べと病」などが挙げられます。また、メロンにはアブラムシやハダニ、ウリハムシなどの害虫がつくこともあります。病気と思われる部分や害虫を発見したときは、早急に取り除いて被害の拡大を防いでください。

メロンなどの果物を栽培する際は、フマキラーの「カダンセーフ」をおすすめします。食品成分由来の膜が病害虫を包み、害虫は呼吸ができずに窒息死、病原菌も栄養を得られず死滅します。お子様・ペットのいるご家庭でも安心してご使用いただけます。活力成分の天然アミノ酸とAO(アルギン酸オリゴ糖)を配合し、病害虫対策だけでなく植物の生育もサポートする優れものです。

メロンの育て方のポイントを押さえよう

メロンの育て方のポイントを押さえよう

今回はメロンの育て方について取り上げ、基礎知識と育て方のポイント、基本的な育て方、トラブルと対処法などについてご紹介いたしました。

メロンの育て方は、整枝と人工授粉、摘果の3点が大切なポイントです。近年では整枝の手間が少ないメロンも流通しているので、育てやすい品種を選んで挑戦してみてください。

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