2019年11月8日 | お役立ち情報
世界で盛り上がりを見せる「eスポーツ」とは?
海外で圧倒的人気を誇り、その熱狂ぶりが日本のメディアでも取り上げられるなど、世界規模で話題のeスポーツ。「賞金が高額」だとか「アジアオリンピックの種目に決定した」など断片的に情報は入ってくるけれど、国内での人気はまだまだごく一部のファンにとどまっているため、なかなか競技の実態がわからないという人も多いのではないでしょうか。
また、スポーツと名がついているものの、そのプレイスタイルから「どこがスポーツなの?」と思った人も少なくないはず。そこで今回は、世界での盛り上がりからも、うかうかしていたら完全に時代に乗り遅れてしまいそうな「eスポーツ」についてご紹介していきます。
eスポーツとは?
eスポーツとはエレクトロニック・スポーツ(electronic sports)の略称で、コンピューターゲームを用いた競技のこと。複数人のプレイヤーとゲームで競うスタイルをスポーツと解釈して「eスポーツ」と呼びます。
スポーツ?と思われる人も多いと思いますが、sports本来の意味には“楽しむ”や“競技”という意味もあることから、海外ではビリヤードやチェスなどもスポーツとして捉えられています。
eスポーツの歴史
コンピューターゲームによる最初の競技大会は、1972年にアメリカのスタンフォード大学で開催された「Spacewar!」の大会であったと言われています。1990年代後半PCの普及によりPCゲームのプレイヤーが増加。これにより、競技大会やイベントも少しずつ増えていきました。
ゲームで賞金を得るいわゆるプロゲーマーの起源は、1997年にアメリカで設立された「サイバーアスリート・プロフェッショナル・リーグ(CPL)」とされています。その翌年、賞金制の大会として「プロフェッショナル・ゲーマーズ・リーグ(米)」が開催され、プロ化の流れが本格化し始めます。
e-sportsという言葉が誕生
2000年には韓国eスポーツ協会(KeSPA)が発足し、プロゲーマーの登録制度を開始すると、ドイツではeスポーツリーグの運営を行うエレクトロニック・スポーツ・リーグ社(ESL)が設立され、ついに「e-sports」という言葉が誕生。世界中の企業や公的機関が次々と「eスポーツ」の可能性に注目し始めます。
世界で加速するeスポーツの人気
2001年には韓国で世界最大規模の大会「ワールド・サイバー・ゲームズ」が開催され、2003年に中国で行われた「中華全国体育総会」ではeスポーツが正式体育種目に指定。2005年にはアメリカで「サイバーアスリート・プロフェッショナル・リーグ」が発足され、高額賞金をかけたワールドツアーがスタートするなど、2000年以降、eスポーツの人気が加速していきます。
日本におけるeスポーツの歴史
国内では、2007年に日本eスポーツ協会設立準備委員会が発足。2010年には人気ゲーマーの梅原大吾氏が企業とスポンサー契約を結びプロゲーマーに。eスポーツの認知度も少しずつアップしていき、翌年の2011年には「第1回eスポーツJAPAN CUP」が開催されました。
以降、2015年に「日本eスポーツ協会(JeSPA)」「e-sports促進機構」、2016年には「日本プロeスポーツ連盟」が設立。2018年にはその3つの団体が合併して「日本eスポーツ連合(JeSU)」が設立されました。「日本eスポーツ連合」の設立によって、日本でもプロライセンスの発行が進められ、各地でeスポーツの大会やイベントが開催されるようになってきました。
eスポーツの公認条件
eスポーツでプレイされているゲームの条件とは?一般社団法人日本eスポーツ連合(JeSU)が掲げるeスポーツの公認条件は以下の通りです。
- ゲーム内容に競技性が含まれること(競技性)
- ゲームとして3ヵ月以上の運営・販売実績があること(稼働実績)
- 今後もeスポーツとして大会を運営する予定があること(大会の継続)
- eスポーツとしての大会の興行性が認められること(興行性)
世界的に盛り上がりを見せるeスポーツ
先進国であるアメリカや韓国をはじめ、中国や欧米諸国を中心に世界的に盛り上がりを見せているeスポーツ。海外で開催されるビッグイベントの様子がネットメディアなどで取り上げられ、会場の熱気や、外国人プレイヤーたちのなかで活躍する日本人プレイヤーの姿を見ることができます。
そんな世界の過熱ぶりにはまだまだ遠くおよばないものの、今年茨城県で行われた国体でeスポーツが開催されるなど、日本のeスポーツ人気に今後ますます期待が集まります。
世界の競技人口
eスポーツの競技人口はいったいどれくらいいるのでしょうか。世界の競技人口は約1億人以上いると言われ、競技者以外に観戦者・視聴者を含めれば約3億8000万人にものぼると言われています。
日本での盛り上がり
世界の競技人口に対し、日本における競技人口は約390万人。観戦者・視聴者を含めて約160万人と言われています。このように世界と比べて日本の市場はまだまだ発展途上ですが、2018年の流行語大賞に「eスポーツ」がノミネートされたり、その人気は右肩上がり。
今年、茨城県で行われた国体(いきいき茨城ゆめ国体)において「eスポーツin IBARAKI」が開催され、「ウイニングイレブン」という人気のサッカーゲームが行われました。
将来プロゲーマーを志す若者が増え、プロゲーマーを育てる学校や学科も増えるなど、日本でもeスポーツを楽しむ環境が整いはじめています。
なぜeスポーツが注目されているのか
世界的に広がる新しい巨大ムーブメントとして注目される、eスポーツの魅力をご紹介します。
高額な賞金
eスポーツ世界的に盛り上がっている要因のひとつが高額な賞金と言えます。海外では1つのタイトルで総額約27億円。優勝賞金が約12億円(2017年)というビッグイベントが開催されています。
大きな市場規模
eスポーツの市場規模は、2017年の段階で約770億円と言われ、2020年には約1665億円まで伸びると予測されています。こうしたeスポーツの可能性に、各企業も大きなビジネスチャンスとして注目しています。
トップレベルの世界を体感
ゲーム自体の魅力に目を向けると、eスポーツでは、サッカーやバスケットボールなどのスポーツゲームをまるで選手になった目線で楽しむことができる点にあると言えます。スポーツ選手のように特別なフィジカルをもっていなくても、トップレベルの戦いを楽しむことができ、トッププレーヤーを目指すことも可能です。
勝利の快感・仲間との一体感
eスポーツでは、各ジャンルのゲームにおいて、戦略やとっさの判断力・瞬発力などが勝利のカギを握ります。頭脳とテクニックに磨きをかけて勝利する喜び。連係プレイを要するチーム戦では仲間との一体感が生まれます。
スマホではじめられる手軽さ
eスポーツをはじめようと思ったら、eスポーツの種目になっているスマホゲームをプレイしてみましょう。eスポーツスマホゲームアプリには「パズル&ドラゴンズ」「モンスターストライク」「シャドウバース」「クラッシュ・ロワイヤル」などがあります。
eスポーツでプレイされているゲームとは?
現在eスポーツではさまざまなジャンルのゲームがプレイされています。なかでも大規模な大会が定期的に開催されるのが、「格闘ゲーム」や「MOBA」「FPS」「CCG」といったゲームジャンルです。他にも、「スポーツゲーム」や「レーシングゲーム」「パズルゲーム」などの人気ジャンルも。ここではそれぞれのジャンルについて紹介していきます。
格闘ゲーム
プレイヤーが操作するキャラクターが主に1対1の格闘技で戦う対戦型ゲームで、通称「格ゲー(カクゲー)」。プレイヤーはそれぞれ能力レベル(パワー、スピード、持久力など)が異なるキャラクターを選び、そのキャラクターの特長を生かして対戦。パンチやキックなどで相手に有効打(ダメージ)を与え、相手の体力レベルを0にするとK.O.(ノックアウト)で勝者となります。
1980年代後半からゲームセンターや家庭用ゲーム機で大ブームとなった日本でもおなじみの「ストリートファイターシリーズ」や「鉄拳シリーズ」などもeスポーツの舞台でプレイされています。
<代表的なゲーム>
- ストリートファイターシリーズ
- 鉄拳シリーズ
- バーチャファイターシリーズ
- DEAD OR ALIVEシリーズ
MOBA(マルチプレイヤー・オンライン・バトル・アリーナ)
プレイヤー同士が3対3や5対5などのチームに分かれ、お互いの拠点を攻撃し合う対戦ゲーム。RTS(リアル・タイム・ストラテジー)から派生したジャンルで、RTSではプレイヤー(1人)が多数のキャラクターを指揮するのに対し、MOBAではプレイヤー(1人)が単体のキャラクターを操作するという特徴があります。
<代表的なゲーム>
- リーグ・オブ・レジェンド
- #コンパス
FPS(ファースト・パーソン・シューティング)
ゲームの主人公の視点で操作する3Dのガンシューティング。「一人称視点のシューティング」とも言われるように、画面に表示されるのは基本的に主人公の体の一部か武器のみ。主人公の目線でプレイするため、なんと言っても没入感が魅力のゲームです。
<代表的なゲーム>
- モダンコンバット5
CCG(コレクタブル・カード・ゲーム)
リアルなカードを用いてプレイするTCG(トレーディング・カード・ゲーム)は以前から人気のゲームですが、CCGはカードをデータ化してアプリケーション内で対戦するもの。代表作には、日本でも人気の「Shadowverse」や、世界で7000万人のプレイヤーを記録した「Hearthstone」などがあります。
<代表的なゲーム>
- Hearthstone
- Shadowverse
スポーツゲーム
スポーツを題材としたシミュレーションゲーム。SPGと略して表記されることもあります。eスポーツではバスケットやサッカー球技がプレイされることが多く、プレイヤーは各チームの選手を操作して相手チームと対戦。得点を多くあげたチームの勝利となります。
<代表的なゲーム>
- NBAシリーズ
- FIFAシリーズ
- ウイニングイレブンシリーズ
- マッデンNFLシリーズ
- ロケットリーグ
レーシングゲーム
運転席に座っているかのような目線でマシン(乗り物)を操縦し、他のプレイヤーたちとタイムや順位を競うゲーム。自動車やオートバイをはじめ、自転車、飛行機などさまざまなマシンによるゲームがあります。
<代表的なゲーム>
- Formula Oneシリーズ
- iFactorシリーズ
- Project Gotham Racingシリーズ
- Need for Speedシリーズ
- GRAN TURISMOシリーズ
- Forza Motorsportsシリーズ
- Forza Horizonシリーズ
- Test Driveシリーズ
- PROJECT CARSシリーズ
- WRCシリーズ
パズルゲーム
次々に落ちてくるパズルを組み合わせて消していきどれだけパズルを消し続けることができるかを競うゲームで、「落ち物ゲーム」や「落ちゲー」などとも呼ばれています。パズルを組み合わせることができず、どんどん積み上がっていくパズルで画面がいっぱいになってしまった時点でゲームオーバー。パズルゲームはスマホでも人気のゲームです。
<代表的なゲーム>
- TETRiSシリーズ
- ぷよぷよシリーズ
それぞれのレベルでeスポーツをはじめてみませんか?
昭和の時代の家庭用テレビゲームから数十年のときを経て、ゲームを競技として世界規模のビッグイベントへと発展させたeスポーツ。世界の盛り上がりに比べると、日本ではまだまだ発展途上ですが、今後ますます人気となることは間違いありません。
eスポーツの楽しみ方は、スマホでゲームを楽しむレベルから大会に参加するレベルまで人それぞれ。本格的なブームに乗り遅れないように、eスポーツをはじめてみてはいかがでしょうか。