2019年8月16日 | お役立ち情報
世界の消費税比較。日本の消費税は高い?
2019年10月に消費税の増税を控えていますね。10%は高いと感じる人も多いと思いますが、世界的に見ると低い方だと言われています。実際はどうなのでしょうか?
そこで今回は、消費税とはどういった税金なのか、また海外の消費税はどのくらいなのか見ていきたいと思います。増税の前に消費税について考えてみましょう。
消費税とは
消費税とは間接税の1つです。消費者が商品やサービスを購入したときに、購入価格に消費税分を上乗せして支払います。消費税を受け取った店は、税務署に納税します。
現在の消費税は8%ですが、6.3%が国、1.7%が地方の財源です。
日本では1989年4月に消費税が導入されました。当初の税率は3%でしたが、1997年4月から5%になり、2014年4月からは8%になりました。そして2019年10月からは10%になる予定です。
消費税は何に使われている?
私たちは買い物をするたびに消費税分が加算された金額を支払っていますが、この消費税は何に使われているかご存じですか?
消費税の9割は、社会保障(年金、医療、介護、子育てなど)に使われています。残りは地方の一般財源として、身近な暮らしのために使われています。
外国にも消費税はある?
外国にも日本の消費税のようなものはあり、「付加価値税」と呼ばれています。世界には消費税が日本の3倍以上という国もあり、日本の税率は低い方です。
ただし消費税率は高くても、特定の品目については税率を低くする軽減税率を導入している国も多いです。
軽減税率とは
世界には日本より消費税の税率が高い国がたくさんあります。しかし食料品や日用品など生活必需品に関しては、通常の税率よりも低い軽減税率を導入している国が多いです。
日本はこれまで一律の消費税でしたが、2019年10月から軽減税率が実施されます。
具体的には、「酒類・外食を除く飲食料品」と「定期購読契約が締結された週2回以上発行される新聞」に対して軽減税率が導入されるので、これらに関してはこれまで通り8%の消費税です。
同じ商品でも店内での飲食は外食になり、テイクアウトや出前・宅配は外食にあたらないので軽減税率が適用されます。また、パーティー会場などでのケータリングサービスは外食にあたるため10%の消費税が適用されます。
新聞については電子版の新聞や駅の売店、コンビニなどで販売される新聞は軽減税率の適用外となり、消費税は10%です。
増税後はキャッシュレス決済でポイント還元
増税となる2019年10月から2020年6月まで、対象店舗で買い物をする際にキャッシュレス決済すると、利用額に応じて最大5%の還元が受けられます。
キャッシュレス決済とは、クレジットカード、デビッドカード、電子マネー、QRコードなどです。対象店舗はポイント還元制度に登録した中小・小規模店舗で、店にロゴ入りポスターが貼られています。
世界の消費税ランキングTOP10+日本
現在、消費税(付加価値税)を導入している国は150ヵ国以上あります。日本の消費税率は低い方だと言われていますが、世界の国々ではどのくらいの税率となっているのでしょう?世界の消費税ランキングTOP10と日本の順位をご紹介します。
第1位 ハンガリー 27%
第2位 クロアチア 25%
第2位 スウェーデン 25%
第2位 デンマーク 25%
第2位 ノルウェー 25%
第3位 アイスランド 24%
第3位 ギリシャ 24%
第3位 フィンランド 24%
第4位 アイルランド 23%
第4位 ポーランド 23%
第4位 ポルトガル 23%
【参考】全国間税会総連合会 平成30年4月版「世界の消費税(付加価値税)152ヵ国」
世界の国々の消費税率TOP10を見てみると、ヨーロッパの国ばかりがランクインしています。ちなみに日本の8%は税率が低い方から数えて第6位、順位は10番目に低いです。
【地域別】世界の消費税
世界の消費税を地域ごとに見て行きましょう。
ヨーロッパ
ヨーロッパの消費税は、全体的に高い傾向です。中でもハンガリーは世界第1位の27%。ハンガリーは不安定な社会情勢や財政難のため、消費税率が高いようです。
また北欧の国が多数上位にランクインしていることも特徴的です。世界第2位のスウェーデンは消費税以外の税負担も重い国ですが、教育費は大学まで無料、医療費は20歳未満と85歳以上が無料という高福祉国家です。
消費税率が高い国は、食料品などに軽減税率を導入している国が多いですが、同じく世界第2位のデンマークは軽減税率を設けていないので、一律25%の消費税がかかります。所得税も高く、年収の3分の1は税金として徴収されると言われています。
しかし、教育費や医療費は無料なので、国民は安心して生活ができるようです。デンマークは国民全員が家庭医(主治医)を持ち、病気にかかったときはまず家庭医に診てもらいます。必要な場合は高度な医療が受けられる病院を紹介してもらえ、高額な医療費がかかる場合も無料で治療が受けられます。
また、同じく世界第2位のノルウェーは、国連開発計画(UNDP)が教育水準、健康・寿命、所得水準の観点から評価する「人間開発指数(HDI)」で毎年第1位にランキングされている国です。消費税が高いだけでなく物価も高い国ですが、妊娠から出産までの医療費は無料、教育費も原則無料です。
世界第3位のアイスランドも原則教育費や医療費が無料。世界経済フォーラム(WEF)が毎年発表している男女平等の度合いを示す「ジェンダーギャップ指数」において、アイスランドは2018年現在10年連続首位に立っています。
消費税率が24%のフィンランドは、国連の関連団体が発表する「世界幸福度ランキング2019」で第1位を獲得しています。教育費は無償で、18歳未満が公立病院を受診する場合は無料です。
このように北欧は消費税が高いものの、社会保障が充実していることが分かります。一方、ハンガリーやギリシャのように財政難のため消費税を高くせざるを得ない国もあります。
ヨーロッパ諸国はほとんどの国が日本より消費税率が高いです。日本より低い国というと7.7%のスイスだけで、リヒテンシュタインは日本と同じ8%です。
しかし、生活に必要なものについては軽減税率を導入している国も多く、税率が日本の8%より低い国も少なくありません。たとえばイギリスの消費税は20%ですが、食料品(適用除外品目もあり)や上下水道、新聞、書籍などはゼロ税率です。
アジア・中東
アジア・中東諸国には、消費税率が20%以上の国はありません。この地域で消費税率が高い上位5カ国は、トルコ(18%)、イスラエル(17%)、中国(17%)、パキスタン(16%)、ヨルダン(16%)となっていて、中国とパキスタンを除き中東の国です。
日本より少ないのはシンガポール(7%)、タイ(7%)、マレーシア(6%)、台湾(5%)というように東南アジアが中心です。
オセアニア
オセアニア諸国で最も消費税が高いのはサモアとニュージーランドで税率は15%です。日本からの旅行者も多いオーストラリアは10%なので、増税後の日本と同じ税率です。
オーストラリアやニュージーランドで消費税はGST(商品サービス税)と呼ばれています。オーストラリアでは2000年7月に導入され、当時から税率は10%です。税率は一律ですが、野菜、果物、肉、魚などの食料品、教育関連費や医療費、チャイルドケア費、水道費など、生活に必要なものは非課税のものもあります。
ニュージーランドでは、ほとんどすべての商品やサービスが課税され、GSTは一律です。
北中アメリカ諸国
北中アメリカ諸国の中で最も消費税が高いのは、カリブ海に浮かぶ島国のドミニカ共和国です。ドミニカ共和国の消費税はITBIS(工業製品およびサービス移転税)と呼ばれ、税率は18%です。
一方、最も消費税が低いのはカナダで、税率は5%です。ただしカナダには連邦消費税(GST)と州税(PST)があり、5%というのは連邦消費税のことなので、これに州税をプラスして支払います。
州税は州によって異なります。たとえばバンクーバーのあるブリティッシュ・コロンビア州では7%です。州税がない州では消費税が連邦消費税の5%のみですが、州税が導入されている州では連邦消費税と州税を足した総額を支います。生活必需品には州税がかかりませんが、どこまでを生活必需品とみなすかは州によって異なります。
また、カナダでは連邦消費税と州税を合算したハーモナイズド消費税(HST)というものもあり、導入している州が5州あります。
ちなみにアメリカ合衆国には消費税がありません。その代わりに小売売上税(sales tax)というものがあります。この税金は国で一律ではありません。州によって州法が違うように、税率も州によって異なります。最も高いのはニューオーリンズ州で、税率は10%。デラウェア州・モンタナ州・ニューハンプシャー州、オレゴン州では州税がありません。
南アメリカ諸国
南アメリカの中で最も消費税が高いのはウルグアイで、税率は22%です。消費税の税率を世界規模で見ると、上位はヨーロッパの国が占めるのですが、ヨーロッパ以外の国で最も消費税が高いのがウルグアイなのです。ウルグアイといえば、ホセ・ムヒカ前大統領が「世界で最も貧しい大統領」として日本でも注目を集めましたね。
ウルグアイ以外では、アルゼンチンが21%、コロンビアとチリが19%というように、世界規模で見ても比較的税率が高い国があります。
アフリカ諸国
アフリカで最も消費税が高いのは、税率20%のマダガスカルとモロッコです。アフリカ諸国の中で最も多い税率は18%で、15~18%前後の国が多いです。
消費税増税のメリット
海外の国に比べると、日本の消費税率はあまり高くないことがわかりました。それでも消費税が上がることを負担に感じる人は多いと思われます。消費税が増税されるとどんなメリットがあるか見ていきましょう。
社会保障の充実
少子高齢化により、現役世代の負担が高まっています。所得税や法人税の負担を増やせば、ますます現役世代の負担になってしまうでしょう。年齢に関係なく全ての世代で負担する消費税を増税することによって、現役世代に偏ることなく社会保障の財源を確保できます。
公共事業や復興費用の財源を確保できる
消費税は公共事業に使われることもありますので、増税することで公共事業の財源を確保できて、私たちの生活の利便性も向上します。また、自然災害による被災地の復興費用を確保できます。
国と地方の税収を安定させられる
消費税の税収は、国だけでなく地方にも分配されます。そのため国の財源を安定させられるだけでなく、地方自治体の税収も安定させられます。
労働意欲を減退させない
所得税は収入が高い人ほど税率が高くなります。しかし消費税は収入に関わらず一律なので、誰にでも平等であることから労働意欲を減退させずに租税できます。
消費税増税のデメリット
消費税が増えることによるメリットを見てきましたが、もちろんデメリットとなることもあります。デメリットにはどのようなことがあるか、見ていきましょう。
国民の負担が増える
まずは消費税が8%から10%になることで、2%の負担が増えます。1,000円の買い物をすると、これまで80円だった消費税は100円に。誰でも平等に10%の消費税がかかりますので、低所得者は特に負担となるでしょう。
景気が悪くなる
給料が上がらないのに消費税が上がれば、購買意欲が下がります。そうなると企業の売上も減少するため社員の給与に反映され、悪循環により景気悪化が懸念されます。中小企業の経営が悪化すると、倒産や失業者が増加する可能性もあるでしょう。
また、増税前は駆け込み需要が増加して一時的に景気が上向きますが、増税後は反動がきて物が売れなくなります。個人消費の水準が戻るには時間がかかるため、中小企業はダメージを受ける可能性もあります。
まとめ
日本の消費税は3%からスタートし、段階的に上がってきたので10%は高く感じてしまう人も多いでしょう。しかし外国、とくにヨーロッパの国々と比べると、10%の税率は低いことがわかりますね。
また今回の増税から海外では一般的な軽減税率が導入されることになりました。食料品は軽減税率が適用されて8%のまま据え置きになりますが、店内で食べると税率が10%になりますので、可能であればテイクアウトにすることで少しでも出費を抑えられるでしょう。
また増税後の9カ月間に限り、キャッシュレス決済でポイント還元されますので、積極的に利用してはいかがでしょうか。